音楽療法士の資格・試験とは?役立つ資格の特徴や試験の難易度、合格率などを解説

音楽療法士の資格・試験とは?役立つ資格の特徴や試験の難易度、合格率などを解説

音楽療法士が担当する仕事自体には、資格の取得などは不要です。しかし、音楽療法について専門的に学び認定資格を取ることで、専門性が保証でき、キャリアアップにも大きく繋がります。今回は、音楽療法士の資格を取得する方法や、認定試験の情報をご紹介します。

音楽療法士の資格とは?

音楽療法士の資格の概要

音楽療法士とは、心身に障害を負った人々に対して運動機能や社会性、認知力を向上あるいは回復させる目的で、各個人に合わせた音楽プログラムを設定し、音楽が持つ心理的な効果や治療効果などを利用する治療を、専門的に行う人をさします。

精神科や医療センター等での音楽療法が日々行われているほか、緩和ケア(痛みを和らげるなど)や障害者のケアに際しても、音楽療法の導入が進みつつあります。

音楽療法士の資格は、国家資格ではなく民間資格です。日本ではまだまだ音楽療法に対する専門分野や研究が確立していないので、いまだに明確な国家資格を設けることができていないのが現状です。そのため、音楽療法士を認定している団体・組織は複数あり、それぞれが独自の認定試験を設置し、違った基準で音楽療法士を認定しています。

アメリカでは一つの機関が認定試験を実施しているため、基準が明確

音楽療法は、日本ではまだまだ未成熟な分野ですが、海外では音楽療法は医療や福祉の現場で盛んに取り入れられています。例えばアメリカでは、近年ホスピスケアなどの医療において特に、音楽療法の幅広い効果が実証されつつあり、年々音楽療法が注目され始めています。

学校など教育現場や、高齢者施設において音楽療法を積極的に取り入れているアメリカでは、「MT-BC」という音楽療法士の認定資格があります。この資格を取得するためには、米国音楽療法学会の承認を受けた養成校としての大学に入学し、所定のカリキュラムをしっかり修了する必要があります。

この「MT-BC」も国家資格ではありませんが、日本と違って、一つの団体が明確な基準でもって資格を認定しているので、様々な団体が独自に認定している日本よりも信頼性はかなり高いと言えるでしょう。

日本は音楽療法の分野ではまだまだ遅れをとっていて、これから発展していく分野であると言われています。ですので、現状では、まだ資格取得に関しても手探りで行っていかないといけないのが実情です。

音楽療法士の資格の難易度・合格率

「日本音楽療法学会」認定音楽療法士の試験の概要

日本において、音楽療法士の資格を認定している代表的な団体となっているのは、日本音楽療法学会です。学会内に国家資格推進委員会が存在し、認定資格を設けている団体の中で最も積極的に音楽療法士の国家資格化を推し進めている団体です。

日本音楽療法学会は、主に音楽が生体に及ぼす影響を客観的に評価する研究を行っていたバイオミュージック学会と、主に臨床現場での音楽療法の技術を研究・研鑚しつつ普及活動も行っていた臨床音楽療法協会が、統合されてできた全日本音楽療法連盟(1995年設立)を母体とし、2001年4月に設立された団体です。

疾病と健康に関する、音楽の機能と役割を学際的に研究しており、音楽療法が医療、福祉、健康、教育において積極的に展開されることを目標とし、音楽療法を通じて健康の維持・増進を図ることで、広く社会への貢献を果たして行くことを目的としています。2009年3月からはアジア音楽療法シンポジウムを開催し、毎年国内外の専門家を招くなど、音楽療法の普及に向けた活動を熱心に行っていることで知られています。

日本音楽療法学会での認定試験は、筆記試験と面接試験からなり、筆記試験の内容としては、音楽療法科目を中心にマークシートを用いた多肢選択式問題が100問と、小論文が出題されます。筆記試験に合格すれば、学会認定音楽療法士(補)の資格が得られます。(補)資格には有効期限はなく、面接試験を受け合格することで認定音楽療法士の正式な資格を得ることができますので、必ずしも同じ年内に筆記→面接を受ける必要はありません。

面接試験では、面接実技(弾き歌い)において課題曲が10曲事前に告知されます。A群(テンポの速い曲群)5曲、B群(テンポがゆっくり目の曲群)5曲の中から、A・B各群それぞれ2曲ずつ選択し、申請時に曲目を明記します。曲目はみんなのうたから歌謡曲まで様々なラインナップがあり、受験者は会場に設置されたグランドピアノ、ないしは受験者持参のギターで選択した曲を弾き歌う必要があります。

認定音楽療法士の資格取得までのプロセスは2種類ある

日本音楽療法学会での認定音楽療法士の資格を得るためには、大きく分けて2種類のプロセスを経る必要があります。

まず一つ目は、学会認定校への入学、カリキュラムにおいて必修単位を全て取得し、音楽療法士(補)試験(筆記試験)を受け、さらに認定音楽療法士資格審査(面接試験)を受け合格すると資格が認定されるというプロセスです。最も効率的な方法であり、認定校の所定の受験以外には特に特別なハードルはありません。

学会認定校は全国に18校ほど存在しますが、その実に半分以上が関東に集中しています。特に東京が多いです。認定校には四年制大学の他、音楽専門学校や音楽療法専門学校、医療専門学校もあります。学校名に「音楽療法」を冠した専門学校は、関東近郊にしかありません。

また、国立音楽大学、日本大学芸術学部、昭和音楽大学など、音楽・芸術分野に特化した大学も少なくありません。地方においても音楽大学や芸術学部が認定校に選ばれていますが、東京に比べると専門性が高い大学が少ないのが現状です。

もう1つのプロセスとしては、日本音楽療法学会が主催する、必修講習会というものを受講し、全てのカリキュラムを修了して、音楽療法士(補)試験を受け、面接試験に合格して資格を取得するというプロセスです。

必修講習会には所定の受講資格があり、まず前提として日本音楽療法学会の正会員であることが必要になります。そして、大学、短期大学、修学年限2年以上の専門学校を卒業していること。そして、臨床経験5年以上(音楽を使用した臨床経験2年を含む)を有することが求められます。

講習会は2年半に及ぶ長い期間を講習会での単位取得に費やさねばなりません。取得しなければならない単位としては、音楽療法概論、音楽療法各論、事例の書き方・研究、音楽療法技法A(音楽系)、音楽療法技法B(非音楽系)音楽療法演習、合計90コマに及びます。

認定校入学に比べると、必修講習会の受講資格の方がハードルが高いため、認定校に進学できる条件さえ整っていれば、認定校に入学した方が遥かに効率がいいでしょう。また、必修講習会の開催は2年サイクルになるため、年によっては募集していないこともあります。ホームページをしっかり確認しましょう。

日本音楽療法学会認定 音楽療法士(補)資格審査(筆記試験)概要

合格率 不明
受験資格 日本音楽療法学会から教育カリキュラムの審査を受け承認された大学ならびに専門学校等の音楽療法コースの履修生(卒業見込み者・既卒者)および新認定制度における必修講習会受講修了生養成校を修了、あるいは修了見込みの者。
受験費用 (補)筆記試験受験費用:1万円 面接試験受験費用:1万円

その他の音楽療法士関連資格

全国音楽療法士養成協議会の認定する資格

音楽療法士の日本音楽療法学会の認定資格の他に、全国音楽療法士養成協議会という団体の認定する資格もあります。こちらは、東京市ヶ谷の私学会館(アルカディア市ヶ谷)において大学および短期大学の理事長、学長が集い、音楽を通して高齢者や障害者等の心身の機能の回復を図るための、有為な人材を養成することを目的に設立された団体です。

こちらの資格取得におけるプロセスの特徴としては、協議会加盟校へ進学し、所定の単位をとって卒業すれば、卒業と同時に音楽療法士の資格の授与がされるというものです。つまり、認定試験などの審査は用意されていません。

もう一つの大きな特徴として、加盟校の種類、修学年限、取得する単位の数等によって、2種、1種、専修の3種類に資格が分かれ、その等級に応じて養成校がしっかり別れていることです。大まかにいうと、2種は短期大学士レベル、1種は学士レベル、専修は修士レベルの習熟度となっています。

2種の養成校は各地の短期大学および大学で、平成29年4月1日現在で、短期大学13校、大学4校があります。1種は、各地の4年制大学で、合計7校の大学があります。専修の養成校は2校しかなく、徳島文理大学か、聖徳大学大学院しかありません。

民間資格のため、特段これらの等級に応じて仕事内容が変わるなどはありませんが、等級にはそれなりの修練度の反映があり、通学上の不都合がなければ、より高い専門性を追求しても損はないでしょう。

その他団体の認定する資格

他にも、日本インストラクター技術協会が認定する、音楽療法インストラクター認定試験というものもあります。こちらの試験の大きな特徴は、1,3,5,7,9,11月の計6回試験があることと、受験資格が特にないこと、在宅で受験が可能なことです。所定の問題と回答用紙が自宅に送付されるので、試験期間中に回答し、提出期限までに返却用封筒で回答用紙を期限必着で送付すればOKです。

そのため、誰でも自由に受けることができますし、在宅試験ですので知識問題については資料などを参照し調べることも可能です。これまで紹介した団体の認定試験などに比べると非常に敷居の低い試験ではありますが、しかし、非常に多岐にわたる専門的な問題が出題されるので、何も学ばずに受けて受かるほど甘いものでもありません。

その他の認定資格としては、兵庫音楽療法士会が認定する兵庫県音楽療法士、奈良市社会福祉協議会が認定する奈良市音楽療法士、ぎふ音楽療法協会が認定する岐阜県音楽療法士というものがありますが、これらは地名が冠されていることもあり、よりローカルな意味合いが強い資格と言えるでしょう。

音楽療法士の資格を取るための学校

所定の団体が認定する養成校への進学が最も合理的

先に見てきた通り、音楽療法士の仕事は、資格を得なくても行うことが可能ですし、民間資格ですので、必ずしも所定の団体の試験を受けなければ認められないものでもありません。資格を取るも取らないも自由、そしてどの資格をとるかもまた自由です。

資格をとるのなら、しっかりと自分で考えてキャリアプランを決め、それに最も都合のいい団体の資格認定プロセスへ進むことを勧めます。しかしどの道を行くにせよ、音楽に対する深い教養、演奏技術があるに越したことはありませんので、音楽系の大学、短期大学、専門学校に進んでおいて損はないでしょう。

音楽療法士を目指すために大学などに進学することを明確に決心しているのなら、初めから日本音楽療法学会や全国音楽療法士養成協議会から認定された養成校への進学をすれば、資格も取れますし、自ずと音楽療法士に必要な専門知識や技術の習得ができるでしょう。

そういう意味では、最も専門分野を学ぶのに適しており合理的なプロセスをたどれるのは、団体の認定校への進学ということができるでしょう。

音楽療法士の資格・試験まとめ

音楽療法士の資格をとるのなら、大手団体の認定校へ行こう

音楽療法士は、重ねていうようですが資格が必須ではありません。しかし、将来的に国家資格になる可能性もありえますし、国家資格になったとしたら、今のうちに資格を取っておいた方が、取得単位の要件などでかなり有利に働く可能性もあります。そう考えると、国家資格を推進している団体の認定試験を受けるのが、もしかしたら賢明なのかもしれません。

とはいえ、資格を取るも取らないも自由です。自分の働き方、キャリアプランに応じて、自分の納得のいく道を選んでいくことが大切です。

音楽療法士の参考情報

平均年収250万円~350万円
必要資格 必要資格なし
資格区分 -
職種心理・福祉・リハビリ

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