宮大工の給与・年収は?技能と働き方次第で年収600万円以上も可能

宮大工の給与・年収は?技能と働き方次第で年収600万円以上も可能

神社仏閣の構造物を新築・修繕する宮大工は、釘を使わない木組みという工法を習得した職人です。大工の中でも高い技能を持つ宮大工の給与・年収はどのくらいなのか、ポピュラーでない職種だけに見当もつかないという人が多いのではないでしょうか。ここでは、宮大工の給与・年収について詳しく解説します。

宮大工の初任給

初任給は17〜20万円。学歴不問のことが多く中卒・高卒でも入職できる

宮大工になると、初任給は一般的に17〜20万円程度もらえます。大卒初任給の平均額は20万円前後ですから、それと同じくらいか少し低めです。理由の一つに、宮大工は学歴不問のことが多いため、中卒・高卒で就職する人が少なくないということが挙げられます。

なお、宮大工になるには親方に弟子入りするか工務店の求人に応募する道がありますが、工務店で宮大工を抱えているところは非常にまれで、求人もめったにありません。あえて工務店の一般建築を手がける大工として就職し、経験を積んでから宮大工になるという人も多数います。

その場合、大工としての基本的なノウハウを得た上で宮大工に入職することになるため、採用はされやすいといえます。しかし、宮大工としては徒弟制の修行を一から開始することになるため、収入が大幅に下がることを覚悟する必要があります。

建設現場で働く人の中では高収入。将来の収入アップも見込める

宮大工の初任給は学歴・経験不問で20万円弱と、金銭面での待遇は比較的よいといえます。

建設現場にはさまざまな職種の人たちが出入りして仕事をしますが、その中でも宮大工は高収入の部類に入ります。さらに、技能を高めて見習いを卒業すれば収入は新人の1.5〜2.5倍となりますから、初任給が高いだけでなく将来的な収入アップが見込めます。

ただし、収入アップにつながる技能を身につけるには努力が必要です。宮大工は先輩の仕事を見て技を盗む、職人の世界です。手取り足取り仕事を教えてくれるわけではないため、技能・収入アップできるかどうかは本人次第という厳しい一面があります。

経験年数で給与や職位が自動的に上がっていくわけでもないので、人によっては数年以上経験を積んでいても収入が初任給とあまり変わらないという場合があります。

宮大工の平均年収

平均給与は20〜40代で20〜30万円。日当制のため月によっても変動する

宮大工の平均月収は20代で20万円前後、30代で約25万円、40代で約25〜30万円前後です。これは平均的な工務店に務めた場合であり、個人の経験や技能によって上下します。また、大手工務店ではより待遇がよいこともある他、独立開業して棟梁になればもっと給与が上がることも当然ありえます。

宮大工の給与体系は日当制か固定給+日当制です。一般的なサラリーマンは固定給制のため毎月同じ額が支払われますが、建設現場ではそうはいきません。現場によって日当の金額が変わることもありますし、その月に働いた日数によっても給与が変わります。このため、給与は毎月同じ金額ではありません。

雨や強風の日には休工となり作業ができず、日当も出ません。また、雪国では冬場の仕事はほとんどできませんから、季節によっても仕事量や収入にバラつきがあります。個人で働いている棟梁は、全国を飛び回っていろいろな仕事を受注するため、年間を通して働くことができ収入が高くなる傾向があります。

職位によって日当は大きく異なる。年齢と職位の上がり方は世間並み

見習いと親方では収入に大きな差があります。宮大工は職人ですから、技能や経験によって職位や収入が上がっていきます。見習いの日当は1日1万円前後ですが、ある程度腕を上げると1.5万円になり、親方になれば1日2.8万円ももらえるようになります。

なお、宮大工の見習い期間は7年程度といわれています。日々仕事をしながら高度な技術を目で盗み、自分のものにするにはそのくらいかかってもおかしくありません。中卒で入職すると22歳くらいで、高卒だと25歳くらいで一人前ということになりますが、そう考えると職位や収入は同学年の大卒・院卒生とあまり変わらないといえます。

むしろ一人前の宮大工の技能を持っている点で、同学年の新卒者よりも職業能力は高いといえます。

腕次第で給与は上がるが、難しい仕事のため妥当とはいいにくいことも

腕を上げればそれなりに給与は高くなっていきます。しかし、宮大工が非常に高度な専門知識と技術を持っていることを考えると、決して割に合う金額ではないともいえるのです。

図面すら残っていない古い建造物を相手にすることもあり、外側から見ただけで構造を把握し修復の仕方を考えなければならない現場もあります。さらに、元々ある部材は丁寧に扱わねばならず、加工するにも神経を使います。

一般的な建築物を手がけるのとは大きく異なる仕事内容でありながら、作業の難易度と収入は必ずしも比例しないということもまた事実です。宮大工は高い技能と伝統を守る仕事に誇りを持っている人が多いですが、より作業が簡単で実入りのいい類似職種に転職する人も一定数います。

例えばコンクリートを扱った基礎工事を手がける型枠大工が転職先の一例で、職人の中には元宮大工という人も見られるようです。

宮大工の平均年収

平均年収は350万円前後。リタイアが比較的早く、生涯年収は平均より低め

宮大工は、腕によって年収に大きな差が生じます。一般的な宮大工の平均年収は330〜390万円程度ですが、確かな腕を持った一人前の宮大工であれば年収600万円ということも珍しくありません。重要な建造物の修繕経験を重ねたベテランなら年収1,000万円にもなります。

といっても、宮大工は肉体労働ですから終生仕事を続けることは難しいものです。一般的な会社員と比べるとどうしても現役の期間が短くなり、50代になっても仕事量を減らさずバリバリ働くという人はまれです。リタイアが早い分、生涯年収は低めとなります。サラリーマンの平均生涯年収は約2億円ですが、宮大工では平均1.3億円程度といわれます。

生涯年収には修行期間の長さも関係ある

生涯年収が低くなるのは、修行期間が長いことも関係しています。入職して7年は見習いとして働くのが通例であるため、その間の年収は300万円代前半というのが珍しくありません。

一人前になれるタイミングも弟子入り先や本人の腕次第であり、場合によっては10年以上かかることもあるでしょう。こうしたケースでは必然的に年収が上がりにくく、生涯年収で見るとハンデがあります。

個人の宮大工は全国の現場を飛び回り、稼いでいる

地域や季節によって仕事量が変動するため、個人で独立開業している宮大工は全国各地の仕事を受注することが多くなります。雪国では冬に建設作業を行うことが難しいため暖かい地域で仕事を探したり、歴史ある寺社仏閣の大規模修繕に名乗りを上げたりとさまざまな場所で仕事を担います。

工務店に所属していると自由に仕事場を選ぶことが難しいため、各地を回って割りのいい仕事を受注するというスタイルは自営業ならではです。腕に覚えがあれば受注できる仕事の幅も増えるため、収入に直接影響します。

新築の寺社仏閣は少なく、収入を維持するため一般建築を受注することも

工務店勤務であれ個人であれ、宮大工が組み木でできた寺社仏閣の新築・修繕だけで食べていくことは難しくなっています。寺社仏閣が新築されることはかなり少なく、修繕もそう度々発生するものではありません。

そんな中で収入を得るために、宮大工ながら組み木の技術を使わない一般建築に携わることもあります。普通の大工として仕事をする場合の収入と宮大工の収入にはさほど差がないため、年収も変わりません。

こうした状況で宮大工としての技能を磨いていくのは骨が折れますが、その一方で近年では個人住宅を組み木で建てたいという注文も増えています。

宮大工の給与・年収まとめ

宮大工の給与・年収は実力次第。昇給スピード、生涯賃金まで大きく変わる

技能と給与が密接に関連するのが職人の世界です。宮大工は弟子入りしてから一人前になるまでの期間が長く、技能を身につけるスピードで出世や昇給の早さが左右されます。

肉体労働のためリタイアが早めで生涯年収は世間一般より低めですが、独立して全国で割りのいい仕事を受注するなどして、年収600〜1,000万円を稼ぎ出す宮大工もいます。腕のよさが収入に直結するため、高収入を狙うには努力が欠かせません。

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宮大工の参考情報

平均年収350万円〜600万円
必要資格 必要資格なし
資格区分 -
職業職種建築・不動産

統計情報 出典元:

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