司書の資格・試験とは?図書館司書と司書教諭資格の概要と取得方法
司書の仕事は人気の職業です。しかし膨大な量の本を扱い、多くの利用者と接する司書には、体力やコミュニケーション能力が必要不可欠です。そのため、本を通じて人と接することに喜びを感じる人は大きなやりがいを感じることができるでしょう。では、司書になるには、どのような資格・試験が必要なのかをお伝えします。
司書の資格とは?
図書館司書と司書教諭がある
司書(図書館司書)とは、公立図書館などで働くための資格です。図書館司書の資格を取得するには、様々な方法があります。
図書館司書の資格を取得する方法
- 大学や短大で司書養成科目の単位を取得する
- 大学、短大、専門学校卒業後に司書講習を受講する
- 高校卒業後に司書補講習を受けて「司書補」となり、3年以上の実務経験を積んだ上で、司書講習を受講する。
上記のいずれかの方法で資格を取得することができます。自身の条件に照らし合わせて、最善の方法で資格取得を目指しましょう。
一方、司書教諭とは学校図書館を管理する司書のことで、教育的な役割が強くなります。学校では12学級以上のクラスがある場合、必ず司書教諭を配属しなければならない決まりとなっています。そのため司書教諭は国家資格の「司書教諭」と「教員免許」の取得が必要になるため、「司書教諭講習科目」の講義がある大学や短大で学ぶ必要があります。
図書館司書の場合、地域の様々な方と接することができる仕事です。一方で、司書教諭は子どもたちを対象に読書教育を推進する仕事になります。司書にも種類があるため、自分の適正に合う勤務先とそれに伴う資格を選びましょう。
司書の資格に試験はない
司書の資格取得に試験を受ける必要はありません。文部科学省が指定する司書資格取得に必要な科目を大学や司書講習で履修し、修了することで資格取得することができます。ただし大学在学中に資格取得を目指す場合、司書養成科目の単位を取得するためのレポート提出や大学内での試験勉強などは必要になります。
また司書講習で資格取得する場合も短期間で集中して終日開催の講義が行われるため、計画的に学習を進める必要があります。司書講習の場合もレポート提出を求められるため、ただ講義を聞いていれば良いという訳ではありません。実際に司書として働く際に必要な知識となるため、積極的な姿勢で講習を受講することが大切です。
■司書講習で学ぶ内容
必須科目 | 選択科目 |
|
|
---|
司書の資格の難易度・合格率
図書館司書の難易度はそれほど高くない
司書の資格は試験を受ける必要がないため合格率などはありません。ただし司書講習を受講して資格取得する場合は複数回のレポートを提出する必要があるため、必ずしも簡単に資格取得できるものではありません。司書資格の難易度などは公開されていませんが、計画的に学習を進めることが重要です。
公務員採用試験は難易度が高い
地方自治体の運営する公立図書館で働くには公務員として採用される必要があります。
近年の傾向として、司書のみ採用する地方自治体は少なく、他の一般行政職と同じように公務員採用試験を受験することになります。その採用試験に合格したあと、公立図書館の司書定員に空きがあれば司書として働くことができるのです。
公務員は人気の職業であり、自治体によっては若干名しか採用しないため競争倍率は非常に高い状況となっています。その結果、公立図書館で正社員の司書として働くのは至難の業といえるでしょう。
ただしパートタイマーや臨時職員といった有期雇用であれば定期的に採用しています。正社員にこだわらないという方や公務員試験に向けて勉強中という方は、有期雇用として司書の経験を積むことをオススメします。
司書教諭の難易度もそれほど高くないが、教員免許の難易度は高め
司書教諭は教員免許を持っている人だけではなく、大学に2年以上在籍し所定の科目を62単位以上取得することで取得できる資格です。特別な試験がある訳ではなく、講義を受講することで資格を取得することができます。
ただし実際に学校図書館で働いている司書教諭の方は、大半が教員免許保持者となっています。司書教諭の場合は小・中・高校・特別支援学校教諭いずれかの免許状を取得している方が対象となり、教員免許も取得するには大学などで専門科目の単位を取得し、教育実習を受ける必要があります。
大学で教員免許を取得するには一般的な単位よりも多く講義を受ける必要があるため、講義スケジュールが過密になります。学生の中にはその過密スケジュールの講義に対応できず、取得単位が足りないことから教員免許を諦める方も少なくないです。
そのため、教員免許を取得するには高い志とモチベーションを維持し、忙しい中でも単位取得できる計画性が必要になります。
司書の資格が取れる学校
図書館司書の資格を取得する場合
大学や短大在学中に図書館司書の資格を取得する場合、大学や短大で「司書養成科目」を履修する必要があります。
平成30年4月1日時点の文部科学省「司書養成科目開講大学一覧」によると、合計203の大学や短大で「司書養成科目」を開講しています。中には通学だけではなく通信講座による受講も可能な大学があるため、受講しやすい大学を選びましょう。
司書養成科目を開講する大学数
分類 | 大学数 |
---|---|
国立大学 | 9校 |
公立大学 | 5校 |
私立大学 | 134校 |
公立短期大学 | 3校 |
私立短期大学 | 52校 |
大学や短大を卒業後に図書館司書を目指す場合
大学や短大を卒業した後であっても条件に該当すれば「司書講習」を受講することで、司書の資格を取得することができます。その条件というのは、大学に2年以上在籍し62単位以上取得していることです。
その年度によって「司書講習」が行われる大学は異なります。例年7~9月の夏季休暇の期間中に集中講義が行われ、期間は約2ヶ月とする大学が多く、費用は15~20万円ほとです。
平成30年度司書及び司書補の講習を実施した大学
- 富士大学
- 聖徳大学
- 明治大学
- 鶴見大学
- 愛知学院大学
- 桃山学院大学
- 別府大学
なお、年度によって、司書講習を実施する大学は変わるため、申し込み時に確認が必要です。
司書教諭の資格を取得できる学校
司書教諭の資格を取得するための、「司書教諭講習科目」を受講できる大学や短大へ進学する必要があります。
同志社女子大学
■在学中に目指せる資格
小学校、中学校の教諭一種、高等学校の教諭一種、養護教諭一種、図書館司書、学校図書館司書教諭など。
■強み
資格取得支援講座などにより、資格取得に向けた手厚いサポート体制が整っています。
大阪樟蔭女子大学
■在学中に目指せる資格
高等学校教諭一種、小学校・中学校教諭一種、司書、司書教諭など。
■強み
副専攻制度といって、学生が所属する学部学科の科目履修に限らず、興味関心のある分野も学ぶことができる制度により、幅広い学びを得ることができます。
千葉敬愛短期大学
■在学中に目指せる資格
小学校教諭免許、学校図書館司書教諭など。
■強み
少人数制の短大であるため、一人ひとりの学生を大切にしたカリキュラムとなっています。
既に教員免許保持者は八洲学園大学がオススメ
■特徴
通信制により司書教諭の資格取得を目指します。また、最短半年で必要な科目を修了することができ、自分のペースで計画的に学習できる方にはオススメです。
■条件
教員免許を取得している方のみ対象となります。学歴要件としては短大卒以上です。
■費用
9.2万円。別途、テキスト代などが必要になります
司書の資格・試験まとめ
司書には図書館司書と司書教諭がある!どちらの資格を取得するかで進学先が変わる!
司書の資格には図書館司書と司書教諭の2種類あり、働く場所が公立図書館か学校図書館のどちらになるかで資格の種類が異なります。また学校図書館で働く場合は本による教育推進活動という要素が強くなるため、教員免許も必要です。
どちらの資格も試験を受ける必要はありませんが、受講するべき講義が異なります。司書を目指す方は、どちらの司書になりたいのかを明確にしてから進学先を決めることをオススメします。
司書の参考情報
平均年収 | 300万円~400万円 |
---|---|
必要資格 |
|
資格区分 | 国家資格 |
職業職種 | 教育・保育 |
司書の関連記事
「フォロー」をお願いします
最新情報をお届けします