法務の資格・試験とは?役立つ資格の特徴や試験の難易度、合格率などを解説

法務の資格・試験とは?役立つ資格の特徴や試験の難易度、合格率などを解説

企業内で法律に関わる業務をこなすのが法務の仕事です。取引契約や特許関連、海外現地法人の設立など社外法務の仕事と、コンプライアンス関連などの社内法務の仕事があります。今後の需要も見込まれるこの仕事に就くために必要な資格や取得方法を紹介します。

法務で必要な資格とは?

法務の仕事は、法律に関する知識が必要です。しかし、弁護士のような法律の専門家の資格が必要というわけではありません。

企業や公共機関の法務部の社員、職員というポジションなので、国家試験に合格し資格を取得しなければならない、4年制大学の特定の学部を卒業しなければならないという事もありません。無資格でも法務の仕事を行うことは可能です。

とはいえ、特定の学部を卒業している、特定の資格を持っているなら、法務の仕事に就職する点で有利になります。さらに、法律に関する知識を必要とする専門性の高い仕事なので、募集を4年制大学卒業者に限っている、法学部出身者を積極的に採用しているという企業もあります。

この記事では、法務の仕事に就く点で有利に働く学科、資格を紹介します。

法学部卒業が望ましい

法務の仕事は、法律に関係した仕事を扱うので、4年制大学の法務部の出身であれば就職の際に有利です。弁護士を目標に大学の法務部で勉強したが、司法試験に合格していないという方は、就職先として企業の法務部も選択肢に加えることができるでしょう。

法務の仕事であれば有利な資格

法務の仕事に就くためにあれば有利な資格の代表例としては以下の4つが挙げられます。

  • 弁護士
  • 司法書士
  • 行政書士
  • ビジネス実務法務検定

上から資格取得が難しい順番で並んでいます。それぞれの資格の簡単な説明と資格取得の難易度・合格率を紹介します。

弁護士の資格の難易度・合格率

法務の仕事に就くときに最も有利に働くのが、法律関連の資格としては最高峰の弁護士資格です。法務に関するあらゆる面の仕事を扱うことができるからです。一定の条件下では行政書士や司法書士の仕事も行うことができます。

司法試験の難易度は高い!

弁護士になるためには司法試験に合格し、その後、司法研修所に入所し、約1年間の司法修習を修了しなければなりません。司法試験の合格率は約25%です。

司法試験の受験資格は、法科大学院の過程を修了しているか、司法試験予備試験に合格しているかのどちらかです。

司法試験予備試験の難易度も高い!

法務の仕事に就くため有利な弁護士の資格ですが、その資格を得るためにはまず司法試験に合格しなければなりません。もし、法科大学院を修了していなければ、司法試験予備試験に合格しなければ、司法試験の受験資格は得られません。この司法試験予備試験の合格率も3%と狭い門となっています。

司法試験の受験資格

弁護士になるための司法試験の受験資格や費用は以下の表のようになります。

受験資格 法科大学院の過程を修了または司法試験予備試験に合格
受験費用
  • 司法試験 28,000円
  • 司法試験予備試験 17,500円
試験内容 短答式試験と論文式試験

司法書士の資格の難易度・合格率

法務の仕事で就職する際に有利な資格として次に紹介するのが、司法書士の仕事です。司法書士の資格を得るためにも国家試験に合格しなければなりません。

扱える仕事の内容としては、不動産登記、法人登記の申請、供託手続きの代理、裁判所・検察庁・法務局などに提出する書類作成などです。また、一定の条件のもと簡易裁判所における民事訴訟、和解、調停などで当事者の代理になることもできます。

法律に関係する幅広い仕事を行えるので、法務の仕事でも採用されやすくなる資格です。

司法書士試験の難易度はかなり高い!

司法書士試験の合格率は約3%です。かなり高い難易度の高い試験です。例えば、平成29年の司法書士試験の出願者18,831名で、そのうち合格者は629名でした。ですから司法書士試験の合格率は3.3%です。

実際に司法書士試験に合格するためには、法律関連の知識がない人ならば3,000時間以上の学習時間が必要と言われており、合格までに数年間を費やす人もおられます。

司法書士試験の受験資格

司法書士になるための司法書士試験の受験資格や費用は以下の表のようになります。

受験資格 年齢、性別、国籍、学歴等に関係なく誰でも受験可能
受験費用 8,000円
試験内容 筆記試験と口述試験

行政書士の資格の難易度・合格率

法務の仕事で就職もしくは転職する際に有利に働く次の資格は、行政書士です。行政書士の資格も国家試験に合格しなければ取得できない国家資格です。

行政書士の仕事は、官公庁に提出する申請書類の作成、作成した書類の提出手続代理、遺言書等の権利義務、事実証明及び契約書の作成などです。扱える書類の数は10,000以上と言われており、その中には、決算書・内容証明書・各種契約書が含まれるので、法務の仕事に直結する資格です。

行政書士試験の難易度もかなり高い!

法務の仕事で活かせる行政書士の資格ですが、行政書士試験の合格率は約10%。行政書士試験の難易度も司法書士試験と同じように難易度の高い試験となっています。

平成29年度を例とすれば、受験人数が40,449名で、合格者が6,360名、合格率が15.7%でした。平成28年度は受験人数が41,053名で、合格者が4,084名、合格率が9.95%でした。

行政書士試験の受験資格

行政書士になるための司法試験の受験資格や費用は以下の表のようになります。

受験資格 年齢、性別、国籍、学歴等に関係なく誰でも受験可能
受験費用 7,000円
試験内容 ■筆記試験

  • 行政書士の業務に関し必要な法令等から46問出題
  • 行政書士の業務に関し必要な一般知識等から14問出題

その他の法務に関連する資格

弁護士・司法書士・行政書士と法務の仕事に就く際に有利な国家資格を3つ紹介しました。法務の仕事に有利な民間資格もいくつかあります。次に法務の仕事に就くのに有利な民間資格として「ビジネス実務法務検定」を紹介します。

ビジネス実務法務検定

東京商工会議所が実施しているのがビジネス実務法務検定です。この資格は、コンプライアンス・法令遵守能力の基礎となる実践的な法律知識をバランスよく効率的に身につけることを目的としています。

法務部門に限らず営業、販売、総務、人事などあらゆる職種で必要とされる法律知識がこの資格取得のための勉強を通じて学べます。

ビジネス実務法務検定はまず2級・3級から

ビジネス実務法務検定は、3級・2級・1級の3つのランクがあります。3級の合格率は高く難易度は低いです。3級と2級の併願受験や、2級からの受験も可能です。

2018年度のビジネス実務法務検定の合格率など

等級 受験者数 合格者数 合格率
ビジネス実務法務検定1級 509名 56名 11.0%
ビジネス実務法務検定2級 13,729名 5,766名 42.0%
ビジネス実務法務検定3級 19,808名 15,711名 79.3%

2018年度に実施されたビジネス実務法務検定3級の受験者は19,808名、合格者は15,711名です。合格率は79.3%です。ビジネス実務法務検定の3級はそれほど難易度の高くない試験です。

2018年度に実施されたビジネス実務法務検定2級の受験者は、13,729名、合格者は5,766名です。合格率は42.0%で3級よりはハードルが高くなっています。

2018年度に実施されたビジネス実務法務検定1級の受験者は、509名、合格者は56名です。合格率は11.0%と難易度がかなり高い試験となっています。

ビジネス実務法務の受験資格

ビジネス実務法務検定の受験資格や費用は以下の表のようになります。

受験資格
  • 年齢、性別、国籍、学歴等に関係なく誰でも受験可能
  • 2級と3級の併願受験も可能。1級に関しては2級合格者のみ受験可能
受験費用 受験費用は級によって異なります

  • 1級 10,800円
  • 2級 6,480円
  • 3級 4,320円
試験内容 2級・3級はマークシート方式
1級は論述問題

ビジネス実務法務検定の1級は、難易度のかなり高い試験ですが、合格すれば「ビジネス法務エグゼクティブ」の称号が与えられ、法務に関するスペシャリストとして認定されます。

法務の仕事に役立つその他の資格

弁護士・司法書士・行政書士・ビジネス実務法務の4つの資格を紹介しましたが、他にも法務の仕事で役立つ資格があります。

例えば、ビジネスコンプライアンス検定、個人情報保護士などが挙げられます。こうした資格をすでに有しているのであれば、法務の仕事での就職や転職を視野に入れることもできます。

ビジネス実務法務検定の資格が取れる学校や講座

弁護士や行政書士などの国家資格がなくても、民間資格ですが、ビジネス実務法務検定の資格があれば、法務での就職や転職に有利です。ビジネス実務法務検定の資格取得に役立つ学校や講座を紹介します。

資格の学校TAC

TACでは、ビジネス実務検定の合格をサポートするための効率的なカリキュラムを備え、オリジナル教材、繰り返し学べるDVD、経験豊かな講師陣のサポートなどを受けることができます。2級・3級の同時合格を目指している方、ハードルの高い1級試験をパスするための実践的訓練などを期待している方にはおすすめです。

東京商工会議所の通信講座

ビジネス実務検定を主催している東京商工会議所の提供している通信講座もおすすめです。東京商工会議所発行の公式テキストの内容がすべて盛り込まれた内容の講座です。法務に関する知識が全くない方でも、3ヶ月の期間で3級合格を目指し勉強することができます。

1級の試験は論述試験ですが、論述試験対策として弁護士などの法務に関する実務に携わっている講師からの添削指導を受けることができ、試験合格に向けた答案作成能力を身に着けられます。

法務の資格・試験まとめ

ビジネス実務検定などの資格があれば就職や転職に有利

法務の仕事で就職・転職する場合、弁護士や司法書士、行政書士といった国家資格が必須というわけではありません。とはいえ、こうした国家資格を持っている、ビジネス実務検定などの民間資格があるなら、企業も法務部に積極的に採用しようと思う場合があります。

大学の法学部や法科大学院に通いながら、こうした資格を得られるよう勉強できるでしょう。法務の仕事は、社外法務・社内法務の両面から、今後も引き続き需要の見込まれる仕事です。長く務めることができ、転職などにも有利に働く法務の仕事に就くために、こうした資格を身に着けるのはいかがでしょうか。

法務の参考情報

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