花屋の仕事内容|やりがいや魅力、求められる人物像について
花屋の仕事は当然ながら「花を売る」こと。しかし、お客様に花を売るまでに、ほかにもいろいろな業務を行っています。こちらでは花屋の仕事内容や、やりがいと魅力、花屋に適した人材について詳しく解説しています。
花屋の仕事は「買い付け」と「販売」の2種類
花屋の仕事は「花を売る」ことがメインであるのはもちろんですが、大きく分けると花を売る「販売」の仕事と、売るための花を買い付ける「買い付け」の仕事という2種類に分けられます。
さらに、この「買い付け」と「販売」に付随したさまざまな業務があり、細かいものも含めると、かなりたくさんの業務があるのです。ここでは、「買い付け」と「販売」に分けて、それぞれに付随する仕事内容について解説していきます。
買い付けに関わる仕事内容
朝の買い付け
市場に行って本日販売する花の買い付けをします。魚や野菜と同じように、朝5時には起きて市場に行かなければならないので、買い付けの日は朝がとても早いです。前日にその日必要な花や、よく出ると思われる花について打ち合わせておき、それに伴った花を買い付けます。
生き生きとした花をお客様に提供するには、その日に販売する花を当日の買い付けで用意することが理想ですが、小規模な花屋の場合は、週に2〜3回のペースで買い付けをしているお店も多いです。
開店時間中の買い足し
朝に買い付けた花では当日販売分が足りない場合や、追加で大きな花束の注文が入った際には、開店時間中でも市場に行って花を買い付けることがあります。
また、売れると思われる花が新たに入荷したという情報が入ったときも、いち早く買い付けに向かいます。
買い付ける花のチェック
次回の買い付けに向けて、必要となる花や売れそうな花、注文の入っている花をチェックしておきます。そして、次回の買い付け時に購入します。
買い付けに伴うその他の仕事
自分の店で売る、花束を作って販売するための花を買い付ける、というのも仕事ですが、業者から依頼された花を買い付け、さらに販売するのも花屋の仕事のひとつです。この場合、花の配達も行います。
そのほか、個人で運営している花屋の場合、業者などの顧客から注文を受けて、花を買い付けて注文された花束やアレンジメントを作り、配達するという仕事や、買い付け代行なども行っています。
販売に関わる仕事内容
開店準備
まず、開店前に店内の掃除をします。これは前日の閉店後に行っているお店も多いですが、新たな汚れに気づくこともあるので、一通りチェックして必要があればきれいにします。
「キーパー(花が保管されている冷蔵庫)」の温度を確認するのも開店前の重要な仕事です。キーパーが適切な温度に設定されていても、気温によって中の温度が左右されてしまうことがあるため、花の状態と合わせてキーパーの温度を確認し、花がもっともよい状態を保てるように調節します。
その後、開店に向けて花を店頭に並べます。閉店時は外に出していた花を店内に移動して店を閉めるので、翌日開店前にまた店頭に並べ、多くのお客様に見てもらえるようにディスプレイします。
それと並行して、花の水やりや手入れなども行います。手入れにはいろいろな作業がありますが、例えば買い付けてきた生花は、下の方にある葉を落としてから、長さを揃えておくのも仕事のひとつ。また店内の花で状態が悪くなっているものは、古い部分を取り除いたり、カットしたり、葉を落としてきれいな状態にしておくのも仕事です。
そして忘れてはならないのが、その日の予約や注文の確認。花束を取りに来るお客様や、花を注文されているお客様をチェックして、滞りなく提供できるようにしておきます。
接客・販売
買い付けも花屋の仕事に欠かせない大切な業務ですが、やはりメインは接客や花の販売です。お客様がどういった花を探しているかをヒアリングし、適切な花をセレクトしてご案内します。
花の手入れ
開店前にも一通り花の手入れを行いますが、接客や販売の合間に随時花の状態を確認し、悪くなっているものがあれば手入れをします。
夏はすぐに水が汚れてしまいますし、外に出している花や土も乾きやすいので、必要に応じて水やりをする、悪くなっている部分を取り除くなど花が常にきれいな状態であるようにします。
花束作り
お客様に希望のイメージを伺い、それを元に花束を作ります。この花束作りは、花屋の仕事の中でもっとも重要だといえるかもしれません。
例えば、「3,000円以内でピンクをベースにした花束を作ってほしい」と言われたときに、根掘り葉掘りヒアリングしなくてもお客様がイメージする通りの花束が作れれば、顧客獲得に大きく影響します。
逆に、イメージと違う花束になってしまったら、クレームにならなかったとしても次の来店はないでしょう。お客様が求めるイメージを形にできるよう、フローリストは常に新しい花やアレンジについて勉強し、技術を高めていかなければなりません。
閉店作業
閉店時間になったら、外に出していた花を店内にしまいます。それからお店の掃除をして、キーパーの温度や花の状態を確認し、手入れが必要な場合は手入れをします。水やりが必要な花には水やりも行います。
そして花の在庫を確認し、足りない花や買い付ける必要のある花があれば、買い付けリストに加えます。お店によって必要があれば集計作業を行い、閉店となります。
その他の仕事
先に紹介した仕事内容のほかには、予約注文の受注やディスプレイの考案などがあります。お店によってはフラワーアレンジメントの講習を行っているところもあるようです。
フローリストとは?
「フローリスト」とは、本来は「園芸愛好家」、「草花栽培家」などの意味合いがありますが最近は花屋でフラワーアレンジメントを作る人を指すことが多いです。
花束を作るだけでなく、花を用いた空間づくりや、花の配置や編成を構成する仕事をする人もフローリストと呼ばれます。花を用いた幅広いデザインを行っている人、それを生業にしている人というイメージが近いです。
花屋の仕事に適した人材
花が好きな人
「好きこそものの上手なれ」という言葉がありますが、花が好きだということは、花屋で働く上で重要な要素のひとつ。花屋の仕事は意外とハードですし、花粉アレルギーがある人は働くことが難しいです。花が好き、花に囲まれているのが幸せと感じられる人は、花屋の仕事に向いています。
また、フラワーアレンジなどは季節や時代によって流行が変わりますし、人気の花も常に変動するため、時代に合わせた花に関する知識や技術を学び続けることは、花が好きな人でないとなかなか継続できません。
花の勉強を続けることが楽しいと感じられる人は、花屋の仕事をしっかりこなすことができるでしょう。
接客技術に長けている人
花を売る仕事なので、接客が得意であることも大切なポイントです。一言で接客といっても、いろいろな接客方法がありますが、花屋の場合は少し癒し系で、穏やかな雰囲気の人だとお客様も話しやすいようです。
逆に、少し強面でもイメージ通りの花束を作ってくれると人気のフローリストもいますので、必ずしも雰囲気が柔らかくなければいけないというわけではありません。お客様の話を聞いて、その内容をしっかり理解できる人、それを形にできる人は、花屋の仕事に適しています。
健康で体力がありハードワークをこなせる人
花屋の仕事は思いのほか重労働。重い鉢植えや、花が入った花瓶などを運ばなければなりませんし、フラワーアレンジを作る際にはたくさんの草花を素手で扱うため、手荒れをしやすいです。
また、花が生き生きとした状態を保つためには、人間にとって少し寒いと感じるくらいの気温が望ましいので、冬場はかなり寒さを感じることも。アレルギーの心配もありますし、まずは健康であること、そして体力があり、重労働をタフにこなせることが、花屋で働く上で欠かせない要素だといえるでしょう。
花屋の仕事・やりがいと魅力
花が好きな人は1日中花に囲まれて働ける
「花がとても好き」という人は、性別を問わず意外と多く、そういった人であれば、1日中大好きな花に囲まれて働くことができるという点は大きな魅力ではないでしょうか。
花を五感で感じることで、癒やしやパワーを受け取ることができるという「フラワーエナジーセラピー」というセラピーもあるほどですから、花に囲まれているだけでとても幸せな気持ちになれそうですね。
お客様の笑顔を見られる
病気の方のお見舞いや、仏花の購入に来店されるお客様もいますが、基本的に花を買いに来るお客様は、祝いごとや大切な人へのプレゼントなど、笑顔で来店される方が多いです。花屋で働くスタッフも、こうした楽しい買い物のお手伝いができるので、自然と笑顔になり、前向きな気持ちで働けます。
また、自分の作った花束やフラワーアレンジがお客様に喜んでいただけたときのやりがいと嬉しさは、なかなか味わうことができません。ハードワークと比例するくらい、感動の大きい仕事でもあります。
辛いと感じる点
参考までに、花屋で働いて辛いと感じることも紹介しておきましょう。ひとつは、買い付けなどで朝が早い点。朝が弱い人はかなり辛いと感じてしまうかもしれません。
また、水や草花を素手でたくさん扱う仕事なので、とても手荒れしやすいです。手袋をつけて行なうことが可能な作業もありますが、素手で行っている人がやはり多く、慣れるまでは手荒れに悩まされるようですね。
花屋で働くには資格が必要?
必ずしも資格がなくても働ける
花屋で働くにあたり、必ずしも資格がなければ仕事ができないということはありません。
花束を作るなどのフラワーアレンジメントにおいても、買い付けにおいても、無資格で行なうことが可能です。ただ、近年フローリストの資格が普及してきたことや、フローリストの仕事に人気が集まっていることなどから、資格を取得した上で目指す人が増えてきました。
このため、無資格で花屋の求人に応募するのと、何らかの資格を取得して応募するのとでは、やはり資格を持っているほうが有利だということはいえるかもしれません。また、花の配達を行なうのであれば、普通自動車運転免許があると重宝します。
花屋で働くにあたり役立つ資格
フラワー装飾技能士
「フラワー装飾技能士」は国家資格で、花の装飾に関する知識や技術を検定する資格です。ブライダルブーケの制作や、葬儀用の花飾りの制作、フラワーアレンジメントなど、花を用いた装飾において幅広い技術があることを証明できます。
資格は3級から1級までの3段階で構成されていて、それぞれの級に応じて持つべき技術の位置づけが設定されています。受験者は花屋や園芸業、華道に通じる人が多いようです。
こちらの資格は国家資格になるので、いずれの級も実務経験が必須となります。3級においては実務経験年数不要ですが、1級を受験する場合は7年以上の実務経験が必要です。
フローリスト検定
「フローリスト検定」は、フローリストとしての知識と技術について検定する民間資格です。5級から1級までの5段階に分かれ、それぞれに技術の基準が定められています。
フローリスト検定は実務経験不要となりますが、2級以上を受けるには、3級に合格している必要があり、1級を受ける場合は2級に合格している必要があります。
花屋の仕事まとめ
大変な分喜びも大きい仕事
花屋の仕事には、花の販売以外にも買い付けや手入れ、注文や集計といった事務作業など、実に幅広い業務があることがおわかりいただけたのではないでしょうか。
花屋の前を通るだけでは見えてこない仕事内容も、こうして挙げてみると本当にたくさんありますし、かなりのハードワークであることが理解できますね。
しかしその分、美しい花に囲まれて温かい気持ちで働ける、やりがいのある仕事です。募集があれば無資格でも仕事に就けること、またどの地域にでも花屋が運営されていることなどから、意外と働くチャンスの多い職業でもあります。
花が好きな方、人と接する仕事に興味のある方は、ぜひフローリストとして花屋の仕事にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
花屋の参考情報
平均年収 | 350万円~400万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | 自然・動物 |
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