神父・牧師になるには?召命を受けて学校で神学を学ぶことが必要
神父・牧師は神の教えに従い人々を導く役割を担っていますが、どのようにその職業に就くことができるのでしょうか。神父・牧師になるにはどのようなことが必要なのか、また向いている人について紹介します。
神父・牧師になるには何が必要?
教派の教えを世に広める役割を担う神父・牧師になるためには、どのようなことが必要なのでしょうか。
資格はいらないが「召命」が必要
神父・牧師ともにその職業につくために特別に必要な資格はありませんが、それぞれの教派で認められた学校で学ぶことと、「召命」を受ける必要があります。召命とは自らが果たすべき役割を神様から与えられ、自らの中に使命感が芽生えることを指します。
召命を得るきっかけは人により全く異なります。信者の多い家族の中で過ごすうちに自然に芽生えることもあれば、事故や病気など人生の中で出会った大きなきっかけを機に、神様への信仰に目覚め、召命を受けることもあります。
またどのような召命を受けるかは人によって異なりますが、神の教えを広め、人々を導いていく役割となることを召命として得られたなら、神父・牧師となる道に進むのがよいでしょう。
多くの神学校では神父・牧師になるための召命を得ていることを条件としているところもあり、召命に従った道を選ぶことは、非常に重要なことであると捉えられています。神の教えを広め人々を導くためには中途半端な気持ちでは入り口にすら立てないのが、神父・牧師が住む神々の教えに触れている世界なのです。
学校で学ぶ必要あり
神父・牧師になるためにはその教派に認定されている神学校、または大学の神学部で学ぶことが必要です。カトリックは一教派しかないため認定されている神学校は限定されています。
対してプロテスタントは教派が複数に分かれており、教派ごとに認められている学校が異なります。神学校で学ぶ項目は非常に多岐にわたる上、一般的な学校で学ぶ内容とは大きく異なる専門性を持っています。
ギリシャ語、ヘブライ語といった聖書に関係する語学、旧約聖書・新約聖書の各章の解釈について、伝道学・宣教学・教会経営学といった学問、世界教会史、日本教会史、イスラエル史といった歴史分野など、キリスト教ならではの科目を多数学ぶことを求められます。
期間は教派により様々
また学校で学ぶ期間は教派によってさまざまです。カトリックは6年制の学校のみ。プロテスタントは4年制の学校が中心です。カトリックでは卒業年度に「助祭」という司祭(神父)の下の階級を与えられ、卒業時に司祭の資格が与えられます。
プロテスタントの多くの教派において、学校で学んだだけでは牧師資格を与えられません。伝道師としてある程度の期間布教活動に努めた後、牧師として認められます。その期間は教派によってさまざまで、6~10年ほどの時間を要するケースもあります。
神父・牧師に向いている人、適性がある人
職業に就くまでに非常に厳しい条件が多い神父・牧師ですが、それらの職業に向いている性格や求められる適正には何があるのでしょうか。
強い信仰心
何をおいても最も必要とされるのが強い信仰心です。神父・牧師になるための使命を持つには強い信仰心があってこそ召命を受けることができるでしょう。
悩みや苦しみを抱える人々を導き、さらに新たな人々を信仰への道へいざなうためには何よりまず自分自身が神を信じ、信仰の道に確信を持っていることが必要です。
人の役に立ちたい
神父・牧師となり活躍している人々は、お金のために就く仕事ではないと言い切ります。迷える人々を正しい道へ導くことで、人々の役に立ちたい、世の中の役に立ちたいと思うことが神父・牧師の活動を支える原動力となるでしょう。
人前で話すことが得意
神父・牧師はミサや礼拝、勉強会などにおいて、多くの信徒に対し「説教」をする機会があります。その際には話す内容を覚えていることは当然必要ですが、人生のみちしるべとなるような聖書の教えをわかりやすく伝えることが必要です。
多くの人前で話すこと、また難しい内容をわかりやすく組み立てることが得意であればあるほど、実りある説教を行うことができるでしょう。
研究心が強い
神学校で学ぶ科目は独特であり、長い歴史の積み重ねによって成熟してきた概念のような内容が多く含まれます。また聖書の解釈は神学者ごとに異なった意見があり、それらを学び日々の教えに生かしていくためには、自分自身に強い学習意欲が求められます。
また聖書の原文を読んで研究したいという欲求があればギリシャ語・ヘブライ語の習得にも力が入るでしょう。研究心の強さは、なってからも学ぶことが多い神父・牧師にとって、楽しく学ぶために欲しい適正の一つです。
人を受け入れる度量がある
神父は告解というかたちで、牧師は相談というかたちで信徒の悩みを聞くことが非常に多くあります。時にはひどい内容の相談や、先の見えない悩みごとについての話を聞くこともあります。中には一般人ではとても聞いていられないような相談ごともあるかもしれません。
人が抱えるさまざまな問題に触れ、人の闇ともいえる部分を見なくてはならない神父・牧師にとって、どんな人のどんな問題も受け入れられるほどの広い度量は、多くの信徒から信頼を集めよりよい方向へ導くことができるでしょう。
神父・牧師になるための学校・教室
神父・牧師になるためには指定の神学校などで学ぶ必要があります。それぞれの教派ではどのような学校に通えばよいのでしょうか。
カトリックは専門の神学校へ
カトリックにおいて神父になるためには進学する学校は「日本カトリック神学院」に限定されます。学舎は東京キャンパスと福岡キャンパスに分かれており、全寮制です。東京キャンパスには哲学科1・2年および助祭(神学科4年)、福岡キャンパスには神学科1・2・3年生が生活しています。
入学審査を受験するためには所属教区の司教の推薦を受けることが必須とされ、その他にも年齢や学歴にもある程度の制限がかけられています。この学校は司祭(神父)になるための学校であることから、学ぶための費用は所属の教区が負担します。その代わり希望すれば必ず入学できるとは限らず、見込みのある適切な人物だけが入学を認められるでしょう。
大学の神学部
プロテスタントにおいては大学の神学部を卒業することで牧師になる条件を満たすことができます。しかし教派が複数に分かれており、教派に属する適切な大学を卒業しなければいけません。
例として「ルーテル派」はルーテル学院大学、「会衆派教会」は同志社大学、桜美林大学、「日本基督教団」は東京基督教大学、東京神学大学といったような大学を選ぶ必要があります。原則的には1大学1教派ですが、まれに複数の教派の大学が合同した大学も存在します。
プロテスタントの神学校
専門学校としての形態をとる牧師・伝道者育成のための学校です。特定の教派による設立や出資が行われ、大学同様に教派に属しています。原則として全寮制であり、そこで4年間の共同生活を送ることが求められます。入学に求める条件は学校によってさまざま。
高校卒業程度でよい学校もあれば、大学卒業の上、数年の社会経験を求める学校もあります。反対に一切の学歴を問わないこともあり、教派ごとの思想に基づいた多様化が進んでいます。
また近年では牧師・伝道者を育成するための課程だけでなく、一般信徒や教会奉仕者向けの通信教育や通学課程を設ける学校も増えてきています。
神父・牧師になるには?まとめ
重要なのは召命を得ること
神父・牧師になるためには資格は必要ありませんが、何よりも「召命」を得る必要があります。神父・牧師になるための道はただなんとなく進める道ではないといえます。
教派により異なる道のり
大学および神学校はその教派ごとに卒業が求められる学校が異なります。また学習期間はカトリック6年、プロテスタントでは4年に加え数年の修行期間を必要とするため、神父・牧師になるためには長い時間が必要です。
神父・牧師になるためには何よりも強い信仰心と、人々を導くためにふさわしい適性を身につける厳しい努力も必要とされるでしょう。
神父・牧師の参考情報
平均年収 | 250万円~400万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | 葬祭・宗教 |
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