農家の給与・年収は?自営ではなく農業法人に就職した場合はボーナスや手当があることも

農家の給与・年収は?自営ではなく農業法人に就職した場合はボーナスや手当があることも

農家と言っても、農業に専念している農家から副業的な農家まで様々です。また、露地栽培、ハウス栽培、酪農、養鶏など扱う農産物も幅広くあります。それぞれの収入はどのくらいなのでしょうか。今回はこの記事で、気になる農家の給与・年収についてご紹介します。

農家の初任給

専業か副業的かで大きく変わる

農家には、農業に専念している農家と、他の職に就きながら農業もしている農家があります。

以前は「専業農家」「兼業農家」などと分類されていましたが、最近の統計などでは「主業農家」「準主業農家」「副業的農家」と分類されています。主業農家は農業所得が主、準主業農家は農外所得が主、準主業農家は農業に60日以上従事、副業的農家は60日未満、などと定義がされています。

農林水産省の統計(農林業センサス)によると、2018年時点での日本の主業農家は25.2万戸、準主業農家は18.8万戸、副業的農家は72.5万戸で、副業的農家が圧倒的に多いのが現状です。

そして、農家の収入は、専業なのか、副業的なのかで大きく変わります。

経営体別の初任給

農業は、田畑を耕して種や稲を植え、育てて収穫した農作物を生産するという一連の仕事を、年間を通じて行なうので、一般的な会社員の初任給のような概念は馴染みが薄いのですが、月あたりのおおよその収入を知るため、農業所得(年収)をもとに計算してみます。

2017年の農業所得の全国平均は、主業経営体は667.7万円、準主業経営体は61.7万円、副業的経営体は61.0万円です。これを月あたりにすると、主業経営体は約55.6万円であるのに対し、準主業経営体と副業的経営体はそれぞれ約5万円強程度となります。

農業法人に就職した場合の初任給

自分で田畑を所有して農業を行う場合以外に、農業法人に就職するということが考えられます。この場合、一般的な初任給は15万円から25万円前後です。ただし、経験年数や能力が考慮されて、より高い金額となる場合もあります。

異業種からの転職は事前によく確認を

農家は、学歴や年齢に関係なくなることができます。他業種から農家に転職する場合、自営ならそれまでの職務経歴や年齢は無関係ですし、農業法人でもこれらの点が考慮されることは少なく、新卒者と同じ初任給ということもありえます。収入の大幅ダウンになりかねませんので、転職の際は事前によく下調べをしましょう。

農家の平均給与の統計

農業経営体の農業所得についての統計

農業は、年間で一連の仕事をするため、平均給与という考え方はなじみませんが、年間の所得の統計はあるので、それをもとに平均給与を計算してみます。

農林水産省の2017(平成29)年農業経営統計調査(2018年12月公表)によると、農業経営体の1経営体あたり農業粗利益は全国平均で623.4万円です。それに対して、肥料代や光熱費、動力費などの農業経営費が433.7万円。差し引き190.7万円が農業所得ということになります。

月あたりでは、約15.9万円となります。

農業法人に就職した場合の平均給与

農業法人に就職した場合、平均給与は法人によってかなり開きがありますが、一般的には年収200万円から400万円と言われています。ただし、農業法人の場合は一般企業と同様に昇給が期待できます。また、業績や能力に応じてボーナスが支給されたり、通勤手当、住居手当などが支給されたりすることもあります。

農家の年収統計

農業経営体の農業所得や総所得

平均給与のところで紹介したとおり、2017年農業経営統計調査による農業経営体の1経営体あたり農業所得は190.7万円です。

ほかに農業所得以外の所得として、農業生産関連事業の所得が1.1万円、農業以外の所得が141.8万円、年金等の収入が192.4万円あるので、農業所得も合わせた総所得は526.0万円です。なお、農業生産関連事業というのは、観光農園や農家民宿、農家レストランなどです。

農業所得は地域によってかなりの差があります。北海道が断トツで多く1,118.7万円、その次は九州が246.1万円、関東・東山が179.3万円などとなっています。一方、もっとも少ないのは中国で71.2万円、次は近畿が98.4万円です。

副業的経営体は農業以外の収入が主

農業所得の全国平均は、主業経営体は667.7万円ですが、準主業経営体は61.7万円、副業的経営体は61.0万円となっていて、主業経営体とそれ以外でかなりの開きがあります。

主業経営体は関連事業の所得が0.6万円、農業以外の所得が47.9万円、年金等の収入が85.9万円で、農業所得も合わせた総所得は802.1万円です。

一方、準主業経営体は関連事業4.5万円、農業以外423.7万円、年金等159.2万円で、総所得は649.1万円、副業的経営体は関連事業0.7万円、農業以外138.0万円、年金等228.6万円で、総所得は428.3万円です。準主業経営体や副業的経営体は、農業以外の収入がメインとなっている実態が統計からも明らかです。

営農類型別の農業所得

一言で農業と言っても、栽培する農作物は様々です。作物によって、収入にはどのような差があるのでしょうか。

個別経営の営農類型別経営統計を見ると、たとえば水田作経営は全国平均で農業粗利益276.9万円、農業経営費が207.3万円で、差し引いた農業所得が69.6万円です。

このうち、20ヘクタール以上の大規模経営体について見ると、農業粗利益5,000.6万円、農業経営費3,202.6万円、農業所得1,798.0万円となっています。一方、3ヘクタール未満の経営体は、農業粗利益1,379.9万円、農業経営費888.7万円、農業所得491.2万円となっていて、経営規模によりかなりの開きがあります。

水田作以外の営農類型別の農業所得

水田作以外についても営農類型別の農業所得を見てみましょう。全国平均は以下の通りです。

営農類型 農業所得
水田作 69.6万円
畑作 348.8万円
野菜作 320.7万円
露地野菜作 234.0万円
施設野菜作 507.1万円
果樹作 225.8万円
露地花き作 188.9万円
施設花き作 378.8万円
酪農 1,601.7万円
繁殖牛 534.8万円
肥育牛 992.7万円
養豚 1,928.8万円
採卵養鶏 1,018.6万円
ブロイラー養鶏 1,074.4万円

養豚がもっとも高く、水田がもっとも低くなっています。分類によってかなり開きがあることがわかります。

ただし、これはあくまで全国平均で、地域別や規模別などと細かく見ると、それぞれ幅があります。また、年によっても変動があります。さらに、調査は全数調査ではなく、農業経営体から一定数の経営体を標本抽出して行なわれています。

ですから、必ずこの所得、ということはできませんが、おおよその全体像を知ることはできますし、これから参入を目指す方にとっての一定の目安にはなるでしょう。

詳細は、農林水産省のホームページをご覧ください。

参考リンク:農業経営統計調査:農林水産省

品目別の農業所得

それでは、作る作物によって、農業所得にどのくらい差があるでしょうか。これは品目別経営統計で知ることができます。ただし、この統計調査は2007(平成19)年で終了してしまったので、ここでは2007年の10アールあたりの農業所得について、露地栽培、施設野菜、果樹、花きそれぞれのベストスリーを見てみましょう。

露地栽培

品目 農業所得
ししとう 142.8万円
なす 122.6万円
きゅうり 118.5万円

施設野菜

品目 農業所得
ミニトマト 202.8万円
いちご 189.8万円
なす 169.4万円

果樹

品目 農業所得
おうとう 36.3万円
キウイフルーツ 35.5万円
ぶどう 34.2万円

花き

品目 農業所得
施設ばら 194.2万円
施設カーネーション 137.1万円
鉢物シクラメン 103.8万円

施設野菜のミニトマトやいちご、施設ばらは比較的高く、果樹や露地栽培は低めとなっています。ビニールハウスなど施設内で栽培するものは、天候に左右されにくく、露地ものと比べて多収量で、市場価格も高いためです。

しかし、同じ施設野菜でも青ねぎは34.2万円、すいかは37.4万円など、農業所得が比較的低い作物もあります。また、施設栽培はかなりの初期投資がかかる上、栽培にも手間がかかります。さらに、同じ野菜でも品種、産地などによって差が出ますし、出荷時期や農産物個別の品質などによっても価格が変動します。

したがって、高収入を得るためには、農作物の品質はもちろん、生産量や出荷時期など、市場動向を読みながら生産していくことが求められます。

農家の給料・年収まとめ

農家の収入は品目などによって様々

農家の収入は、自営なのか農業法人に就職しているのか、作物の種類、施設栽培なのか露地栽培なのか、などによって大きく異なります。

一般的な会社勤めのように曜日を決めて休むといったことはしづらく、天候に左右されやすいこともあり、思うとおりに行かないこともあるでしょう。しかし、苦労して育てた農作物を無事に出荷できた時の喜びはひとしおです。自然と向き合う、やりがいのある仕事と言えるでしょう。

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農家の参考情報

平均年収400万円~500万円
必要資格 必要資格なし
資格区分 -
職業職種自然・動物

統計情報 出典元:

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