鷹匠の給与・年収は?伝統的な鷹匠の仕事で得られる収入の実態
大空に鷹を放したり呼び戻したりと、自由自在に鷹を操る姿が印象的な鷹匠。昔は大名等の狩りに随行したりして鷹狩りを行なっていた鷹匠ですが、今の時代にいったいどのように収入を得ているのでしょうか。今回はこの記事で、気になる鷹匠の初任給や給与・年収についてご紹介します。
鷹匠の初任給
鷹狩りをして獲った動物を販売するという鷹匠本来の仕事は、現代の日本ではほぼ不可能です。そこで、訓練の成果をイベントで披露したり、鳥獣駆除をしたりすることが主な仕事となっています。
それぞれの初任給について見てみましょう。
イベント出演の初任給
各種イベント等で鷹を放つ技術を披露した場合、1日あたりまたは1回あたりの出演料が収入となりますので、いわゆる初任給というのはありません。
一般的に、金額は1日あたり1万円前後です。交通費や鷹の餌代などの諸経費を引くと、手元にはほぼ残らないか、下手をするとマイナスになることもあります。経験年数を積んでも金額はあまり変わりません。
猛禽類を自由自在に操る魅力的な仕事に見える鷹匠ですが、現代においては、収入面ではかなり厳しいというのが実際のところです。
害鳥駆除の初任給
集合住宅や工場、倉庫などで害鳥が巣を作ったりフンに悩まされたりしている場合に、鷹を放して害鳥が居づらい環境を作り、害鳥を追い払うのが害鳥駆除です。害鳥駆除は、1回のみ行うこともありますが、害鳥がより居づらい環境にするため、異なる日、異なる時間帯を選んで数回行ったり、ある期間に定期的に行ったりすることもあります。
害鳥駆除を個人で受託した場合、一般的な日当は1日あたり1万円前後なので、5日なら5万円前後、10日で10万円前後となります。こちらも、初任給というのはなく、職務年数が長くても金額はあまり変わりません。イベント出演と同様、諸経費を引くと手元に残るお金はわずかで、イベント出演と同様、収入面はかなり厳しいのが現実です。
害鳥駆除の会社に就職した場合
害鳥駆除を行っている企業に就職している場合は、会社員として固定給を得ることが可能です。害鳥駆除を行っている会社に依頼する場合の相場は、1回あたり3万円~10万円前後です。数日ごとに時間を変えて計5回、とか週1回ペースで3ヶ月間行なって120万円、などと一括契約で受注したりします。
また、害鳥駆除の後日、鷹匠が現地に出向き、再び鷹を放して害鳥が寄り付かないように念押しする“アフターフォロー”をすることもあり、この場合の料金は1回、半日程度で3万円前後です。
害鳥駆除の値段には、鷹の餌代や鷹匠の人件費、交通費以外に、日ごろの鷹の飼育や訓練に必要な経費や、消耗品費、通信費、福利厚生費、地代家賃、その他の事務所経費など、会社のさまざまな経費や利潤までが含まれているわけですので、鷹匠本人の手元へ行く給料は、1回あたりで計算すると数千円~1万数千円程度と考えられます。
したがって、害鳥駆除の会社で正社員となった場合でも、鷹匠に専念して満足な給料を得るのは難しいと思われますので、鷹匠以外の仕事もこなすことが求められるでしょう。
鷹匠の平均給与の統計
次に、鷹匠の平均給与について見てみましょう。
ひと月数万円ということも
鷹匠の給与についての統計はありませんので、ひと月の給与を概算で算定してみます。
平日は鷹匠以外の仕事をして、週末にイベント等で鷹匠としての日当を得る場合、1回1万円の日当を週1回得るとすると、ひと月の収入は4~5万円ほどです。ただ、イベント等はコンスタントに開催されるわけではなく、毎週呼んでもらえるという保証もありませんので、実際にはもっと少ないことも考えられます。
会社に勤務する場合
それでは害鳥駆除を行う会社に就職した場合はどうでしょうか。
害鳥駆除を専門に行っている会社はあまり多くはありません。害虫駆除、害獣駆除や、側溝、床下等の清掃、場合によっては水漏れ修理や電気工事など、住まいのお悩み全般を解決したりビルのメンテナンスをしたりする仕事を行っている会社で、害鳥駆除もしていることもあります。
こちらもそのまま当てはまる統計はありません。鷹匠はもともとの人数がとても少なく、鷹匠の求人というのもほぼありませんので、害虫駆除や害獣駆除の求人情報などから平均給与を見てみましょう。
害虫駆除や害獣駆除のスタッフは、月給制、月給プラス歩合制、日給月給制など給与形態はさまざまですが、平均的な月給は17万円から29万円前後、日当や歩合は1万円から3万円前後です。自宅待機していて、仕事が発生したら出向いていくという形態の場合もあります。
給与の大幅アップは期待できない
鷹匠として得られるこれらの日当は、年齢も性別も職務経験もほとんど関係ありません。世の中には職務経験に応じて給与がアップする仕事はたくさんありますが、鷹匠を長くやっているから日当が大幅にアップするということはほとんど期待できません。
ただし、害鳥駆除を行う会社に就職して固定給を得る場合は、一般的な会社員と同様に勤務年数や勤務態度、業績等に応じて昇給することが期待できます。
低い給与を上回る魅力と誇りを感じる仕事
鷹匠の仕事は、飼育や訓練など鷹と向き合うことだけではなく、イベントなどの仕事を受注するところから、会場への移動、現場の安全面の配慮、経費処理まですべてを自分でこなす必要があります。また、害鳥を駆除したり、時には害鳥を捕獲したりすることもありますので、かなり大変な仕事と言えます。
それでいて、鷹匠として得られる報酬はごくわずかという厳しい現実が待っています。
しかし、イベント等で培った技術を披露してお客様に喜んでもらえたり、害鳥駆除やバードストライクなどの社会的課題に貢献できたりすると、大きなやりがいを感じます。収入の面ではかなり厳しい鷹匠ですが、誇りを持って取り組むことが大切になりそうです。
異業種からの転職は熟考を
鷹匠の仕事は、年齢も性別も関係ありませんし、学歴も、特別な資格も必要ありません。これらは仕事としては魅力的な要素と言えるかもしれません。
しかし、他業種からの転職にはかなりの覚悟が必要です。イベントや害鳥駆除の仕事はコンスタントにあるわけではなく、また収入を得られたとしても、諸経費を引くと手元のお金はゼロか悪ければマイナスになってしまうレベルです。鷹匠としての収入は新人でも他業種からの転職でも変わりませんので、他業種から鷹匠に転職すれば収入としては大幅ダウンとなることが確実です。
たとえ大幅ダウンだとしても、鷹匠に専念して生計を立てることができればかなり良い方で、そのような人はごくわずかです。実際には、他の仕事で収入を得ながら休みの日に鷹匠としてイベントに出る、などの方法をとっている人がほとんどです。
もちろん、日頃から鷹の飼育や訓練も必要です。憧れの鷹匠ですが、安易な気持ちで転職はせず、ぜひ慎重に考えてください。
鷹匠の年収統計
鷹匠の年収はどの程度でしょうか。鷹匠の年収についての統計はありませんので、日当や月給の実態をもとに年収を見ていきます。
イベント出演の年収
イベント出演の年収は、稼げる人でも100万円がせいぜいです。
イベント出演等で1回1万円前後の出演料を得る場合、週1回ペースだとすれば年間で約50万円となります。しかし、コンスタントに仕事がるとは限らないので、平均2週間に1回とすれば年25万円です。
害鳥駆除の年収
害鳥駆除を個人で受注した場合、日当は1回1万円前後で、日を空けて5回行ったとして5万円前後、これを年間に5回受注したとして年25万円となります。イベント出演と同様に害鳥駆除の年収はせいぜい数十万円です。
会社に就職した場合
害鳥駆除を行っている企業に就職した場合、固定給を得ることが可能です。
害鳥駆除についての統計はないので参考として害虫駆除や害獣駆除を行なっている会社の年収を見ると、200万円から600万円前後となっています。月給制か歩合制かで幅があります。
ただし、害虫駆除や害獣駆除の会社に勤務する場合、害鳥駆除以外の仕事も多くすることになるので、鷹匠としての仕事で得られるのは、年収のうちほんの一握りということになります。
鷹匠の給料・年収まとめ
鷹匠の年収は相当低い。収入以上に誇りとやりがいを持てる仕事
鷹匠は、命ある猛禽類と常に接する仕事ですので、鷹への愛情はもとより、エサ代などのコストや、飼育や訓練に適した場所が必要です。
鷹匠になるために特別な資格は必要なく、希望すれば誰でもなることができますが、安易な気持ちで目指すのはおすすめできません。しっかりと下調べをすることが大切です。
伝統ある鷹匠の技術を次世代に受け継ぐ誇りを持って真摯に取り組めば、収入面以上のやりがいを感じることができるでしょう。
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鷹匠の参考情報
平均年収 | 50万円~120万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | 自然・動物 |
統計情報 出典元:
- 職種・性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
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