外交官の給与や年収は就職先で変わるのか?外交官の給与事情まとめ
高い語学力と幅広い知識を持ち、政治・経済などに関して交渉や条約締結を行い、他国との関係を良好に進める外交官という職業は、どれほどの年収があり、初任給はいくらなのか?外交官の給与・年収についてご紹介します。
外交官の初任給
初任給は約21万円
国家公務員採用総合職試験に合格し外務省に入省した人を「キャリア外交官」と呼び、外務省専門職員採用試験や国家公務員採用一般職試験に合格し外務省に入省した人を「ノンキャリア」と呼びます。キャリアもノンキャリアも男性の外交官、女性の外交官問わず初任給は、平均して約21万円となっています。
国家公務員であるため、支払われる給料は国の規定のなかで金額が決められています。初任給の金額だけを見ると決して高い給料とはいえませんが、国家公務員の職業は、年齢を重ねる=月収といわれていることもあり、外交官の場合も基本的には年齢を重ねることで給料が増えていきます。
初任給は高いとはいえない金額ですが、勤務年数を重ね、等級が与えられることで増える外交官の給与は、国家公務員総合職、外務省専門職とではそれぞれどのように変化していくのでしょうか。外交官の国家公務員総合職と外務省専門職、それぞれの平均給与について紹介します。
外交官の平均給与の統計
国家公務員総合職の場合
国家公務員総合職の初任給は平均で約20万円になりますが、40代頃になると月給は約38万円となることが多いです。月給にプラスしてボーナスも支給されます。また、海外に赴任することになれば、月給に加えてさらに多くの手当てが支給されるようになります。
外交官として海外赴任した場合は、海外赴任手当が支給されます。赴任する国や職員の等級によって海外赴任手当の額に差があり、約10~50万円となっています。さらに住宅手当など、海外での基本的な生活をするための経費として給料とは別に支給される在勤基本手当も支給されます。
海外赴任手当はなぜ、約10~50万円と大きく差が出るのでしょうか。海外赴任先は必ずしも先進国になるとは限りません。在外公館の3分の2は途上国にあるため、赴任先が途上国になることがおおいにあります。途上国のなかには治安が悪く衛生環境も整っていないことが珍しくないため、外交官の負担を減らすための措置として、海外赴任手当が支給されます。
外務省専門職の場合
ノンキャリアに分類される外務省専門職の外交官の役割としては、外交の中枢に携わる仕事であり、外交官のなかでも専門的な仕事が多いため、語学に関する知識と技術が求められる職業です。主に在外公館と本省での領事業務に携わります。
多くの知識と外交の専門分野のスペシャリストでもある外務省専門職の平均給与額は約41万円になりますが、年齢や与えられる役職によって平均給与額に差はあり、キャリア外交官より給与が下回ることがあります。
しかし公務員に支給される手当は恵まれており、基本給にプラスされて支給されます。特に、海外の在外公館に勤務している期間は、在外勤務手当も支給されます。
公務員であるため昇進は確実にありますし、ボーナスも間違いなく支給され、在勤手当は一番低くても月に約20~30万円支給されます。また幹部や小国の大使になることは外務省専門職員としては極めて稀なケースではありますが、将来的に目指すことは可能です。
国家公務員総合職と外務省専門職はどちらも国の顔として国内外で経済や条約を結ぶなどの責任の重い仕事に携わりますが、国家公務員である以上、公務員の給料は国で定められた金額しか支給されません。
外交官の年収統計
業務内容によっては海外赴任をすることで多くの手当の支給を受けることがあります。これらの支給を受け取ることで、国家公務員総合職と外務省専門職の年収がどう変動するのかを紹介します。
国家公務員総合職の場合
国家公務員である外交官は、大学卒の初任給は約20万前後のため、年収に換算すると約240万円、さらにボーナスが支給されます。40代になる頃には月給が約38万円、年収に換算する約456万円、さらにボーナスが支給されます。
キャリア組と呼ばれる外交官の国家公務員総合職の平均年収は、約300~1200万円であると考えられています。
なぜこんなにも差が出るのでしょうか。先ほども紹介しましたが、国家公務員総合職である限り、海外赴任はさけて通れない業務です。海外赴任の際は赴任手当など多くの手当が支給されるため、年収に差が生じているのだと推測できます。
海外赴任手当に差が生じる理由としては、まず海外では物価が違います。赴任先で新たな生活を始める際、これまでの生活水準を維持できるように海外赴任手当の支給額に差が出てくるのです。
在勤基本手当
在勤基本手当とは、在外公館で勤務するための衣食住などにあたる経費のことです。この在勤基本手当の支給額は、赴任先の在外公館の場所によって大きく差があります。
住居手当
在外公館で勤務する際の住居は、無料の宿舎や公邸、または住宅を準備する必要があります。無料の宿舎や公邸が貸与される場合は、住宅手当は支給されないため、年収には反映されません。しかし、日々変動する海外情勢に外交官の身の安全を確保することができる住居に住む必要があり、安全が確保できる条件をクリアした住居をかりることができます。
また住居が無料で貸与されず自分で借りる場合、一定の限度額内での家賃の一部が住居手当として支給されます。光熱費や管理費、共益費は自己負担となります。
その他の手当て
海外赴任する外交官のなかには、配偶者を伴うこともあります。そのような場合には「配偶者手当」が支給されます。海外で教育を受ける子どもに対しては「子女教育手当」などが支給されます。
これらの手当だけでも毎月50万円以上が支給されることになるので、外交官のなかでも、海外赴任する場合の給料は総合的に高くなります。
外務省専門職の場合
ノンキャリアと呼ばれる外務省専門職ですが、高度な語学力と、各地域の経済・社会・歴史などの専門的な知識が求められます。公務員であるため、役職がつき昇進することで基本給は上がりますが、最終的には約600~800万円の年収になることが多いです。
またノンキャリアの外交官であっても海外赴任をすることもあるので、その場合は外務省専門職の月給にプラスして、海外赴任手当が支給されるため、平均年収額は高くなります。ただし、一般的な公務員と同じ、国の規定に準じた給料が支払われるので、年収は平均して約300~700万円で落ちつくことが多いでしょう。
また残業が多い部署に配属された場合は、残業代が支給されます。基本給が安く、豊富な手当が支給される外務省専門職の仕事は、給料だけでなく業務のやりがいを重視して仕事に携わっている人が多くみられます。
女性の外交官の年収に差はあるのか?
一般企業ではよく女性と男性とで基本給、ボーナスなどの支給される手当に差があることがあります。しかし国家公務員である外交官の仕事は、男女共同参画社会基本法や男女雇用機会均等法などの法律に準ずる立ち位置です。これらの法律によって女性の外交官と男性の外交官とでは給与に差はなく、年収においても差が生じることはありません。
外交官の仕事は高額な給料が支給されているイメージを持たれることが多くありますが、あくまで国家公務員であるため、初任給は一般企業並みか下回ることもある職業です。しかし公務員はクビになることがないため、安定した職業の一つといえます。
外交官の職業は国の顔として業務に携わるため、幅広い分野の知識と語学力が必要となり、海外赴任への抵抗がないことが、外交官になるための条件といえます。
外交官の給料・年収まとめ
手当は充実しているが、見合った給料なのか?
外交官として就職し始めの給料は、一部上場企業よりも低いこともあります。しかし年齢を重ねることで昇進へとつながるのが公務員の特徴でもあり、昇進することで基本給が上がり、役職手当も支給されるようになります。
しかし国内勤務ばかりではなく、途上国も含めた海外赴任が必ずあるため、海外での慣れない生活の大きい負担と、国の政治・経済などを背負う外交官の仕事に見合った給料なのかは、これからも議論されることでしょう。
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外交官の参考情報
平均年収 | 300万円~1200万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 試験合格 |
職業職種 | 国際 |
統計情報 出典元:
- 職種・性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
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