建築模型士になるには?求められることや向いている人の特徴などを具体的に解説
建築模型士になるには、特別な資格こそ要らないものの一定の技術や知識は必要です。建築模型士という職業は、様々な建築模型を作ることによって、より頑強で長持ちする建築の設計に大きく寄与します。本記事では、建築模型士になるために求められること、向いている人の特徴などについてご紹介します。
建築模型士になるには何が必要?
何よりも手先が器用であることが必要不可欠
建築模型士が製作する建築模型には様々な種類のものがありますが、大まかな外観のみを塊として作成するボリューム模型だったり、内部まで詳細に作り、仕上材も実際に用いられるものを使って緻密に再現する完成模型だったり、設計の段階によってその性格は大きく異なります。
建築は人が長時間利用し、人が長年住むものですから、実際に立体物として建てられた際に、些細な支障も見逃せないものです。そうした細やかな問題点も全て欠かさず見出すことができるように、図面通りに正確に模型を作る必要があります。
そうした際に必須となるのは何よりも手先の器用さです。特に立体物に対する感覚をしっかりと持っていて、立体という概念の細部まで的確に理解し、実際に形に起こさない部分に至るまでの豊かな想像力がないと、建築模型士の仕事を務めることはできないでしょう。
図面やCADに対する知識も必ず求められる
当然と言えば当然ですが、建築模型を作るということは、単に立体物を作るだけではなく、あくまでも「設計図通りに正確な模型を作ること」が重要視されます。いくら手先が器用であっても、図面通りに作れなければ何の意味もありません。
そのためには建築学をしっかりと学んで知識をつけた上で、図面が正確に読める事は必須の能力となります。図面から正確なスケールを読み取り、それを正確に縮小して作る必要があるので、数値に関しては非常に厳しく再現することが求められます。
特に細部まで緻密に作るプレゼンテーション模型、完成模型の製作に際しては、正確性の高い模型製作スキルのみならず、的確な材料の使い分けや、彩色のセンスも要求されます。
過程に応じ最適なクオリティの建築模型を作るスキル
建築模型というのは、設計の進行段階と密接にリンクしており、設計の段階がどれだけ進んでいるかによって、必要な模型の作り方やクオリティが異なってきます。
例えば、設計の基礎段階では、まだ設計にも改良の余地が大きいため、ある程度大まかな立体物としての形やスケールを再現するに留まった簡易的な模型(スタディ模型)を、検討段階に応じて複数製作する必要があります。
ある程度設計が固まったら、クライアント(建築主)に対する構造や設計趣旨の説明を目的としたプレゼンテーション模型と呼ばれる、より詳細で正確な内部構造までを作り込んだ模型を製作します。工事が始まってからも、部分に応じたより詳細な模型を作り込んでいき、施工方法を細かく検討することが多々あります。
場合によっては、建物の竣工後にエントランスホールなどに展示するための完成模型を作ることもあります。完成模型は彩色も細かく再現し、歩く人々や植物などの飾り付けもしっかりと行い、見た目的な完成度をかなり高くしないといけません。
こうしたように、設計段階に応じてどういったクオリティや内容の模型製作が求められるのかを正確に把握する能力が建築模型士には求められます。
建築模型士に向いている人、適性がある人
様々な立場の人との連携が重要
建築模型士はただ単に建築模型を作ればいいという職業ではありません。当然と言えば当然の話ですが、建築というのは多様な職業の人々が多く関わるプロジェクト形式の仕事です。
先ほど説明したように、建築模型士は常に設計や施工状況に応じて、参考として求められる建築模型を提供する必要があります。そうした仕事をこなしていくために最も大事なのは、様々な人との「連携力」です。
クライアント(建築主)はもちろん、設計者(建築家、建築士、設計事務所職員など)との細かい部分に及ぶ擦り合わせや認識の共有、問題点の検討と改善を都度行っていくことが大切になってくる仕事ですので、基本的なコミュニケーション能力は必須となります。
特に相手の要望を的確に汲み取り、それを新たな模型に落とし込む想像力と制作技術が求められます。それは中々に難しいことであり、たとえ難しくても厳しく求められる能力でもあります。つまり、建築模型士の仕事は非常に高度なものであると言えます。
地道な作業をコツコツこなせる真面目な人
先程も説明したように、建築模型士が作る建築模型は簡易的なものもあれば、かなり緻密に再現するものもあります。
前者の場合では製作期間は平均2~3日程度、時間がかかっても1週間ほどで完成するレベルですが、後者の場合は特にプレゼンテーション模型や完成模型を作る際、製作期間がゆうに1ヶ月~2ヶ月に及ぶ可能性があります。
製作期間が長期間に及ぶということは、常に同じ図面を見ながら建物の模型をひたすら作っていくことになります。数日間の製作期間でも十分長時間に及びますが、1ヶ月単位となってくるとかかる労力や時間のレベルは段違いです。
そうした長時間に及ぶ製作期間の中でモチベーションを保っていくことは、人によっては厳しい場合もあるでしょう。しかし仕事ですので、決められた納期通りに建築模型を完成させなければなりません。
また、比較的短期間で完成するスタディ模型であっても、設計案の検討案に応じて複数回、同じ建物の模型を都度作り直すことが必要になってきます。つまり、簡単なものでも難しいものでも、同じ建物の模型を長時間にわたって製作していくという業務そのものは変わらない、ということです。
こうした地道な作業の繰り返しを、コツコツ真面目に淡々と取り組めるような人でないと、建築模型士になることは難しいでしょう。
建築模型士になるための学校・教室等
資格取得は通信講座でもOK、就職のためには大学進学が理想
建築模型士には特別な資格や免許は不要ですし、様々な働き方があります。そのため、基本的に進路については自分が求めるキャリアプランに応じて比較的自由に選択できる業界ではあります。
建築模型士としての模型製作スキル自体に関しては、在宅の通信講座などでも取得が可能ですし、設計事務所や模型製作メーカーへの就職後に先輩社員から指導を受けることが多いです。必ずしも就職前にスキル取得する必要はありません。
とはいえ、就職前に取得しておいても損はないわけですから、もし就職前に取得するのであれば、「実践建築模型認定試験」や「建築模型技工士インストラクター」といった資格取得を前提とした通信講座を受講して基本的な知識や製作スキルを身につけるのがいいでしょう。
スキルを就職前に習得するかどうかに関わらず、建築業界で就職する際には学歴はある程度重要視され、大卒以上であれば給与待遇的にも多少有利にスタートできます。
特に「一級建築士」や「二級建築士」として就職した上で、兼業で建築模型士を目指す場合には、仕事を行うために必要な資格を取るにあたって、学歴があればあるほど有利です。大卒以上の学歴を持っていて建築士の有資格者であれば、大手ゼネコンでの仕事も視野に入れることができるでしょう。
建築模型士になるには?まとめ
的確に需要を満たせる建築模型士になると同時に最新技術も視野に
近年では、立体構造を仮想的にPC上に構築できるCADと呼ばれる技術がすっかり浸透し、殆どの設計者がCADの使用を前提に仕事を進めています。また、こうしたCADを使って起こしたデータをそのまま3Dプリンターで立体物として出力する技術も発展を続けています。
こうした技術の台頭によって、アナログな建築模型の需要は従来より確実に減ってきてはいます。しかし、大規模かつ緻密な模型を製作するにあたっては、まだまだ人の力が必須となっています。
工程によっては最新技術を使いつつ、人間にしかできない模型製作のスキルを上げていくことが、これからの建築模型士に求められています。
建築模型士の参考情報
平均年収 | 300万円〜400万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | 建築・不動産 |
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