気象予報士の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説

気象予報士の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説

超難関と言われる気象予報士の仕事。国家試験の合格率は4〜5%、就職においても気象業務専門の仕事についているのは、合格者のおよそ3割しかいないという統計も出ています。お天気キャスターのように華やかなイメージもありますが、実際のところ、仕事事情はどうなのでしょうか。この記事では、気象予報士の仕事の内容や特色、将来性などについてご紹介します。

気象予報士とはどんな仕事?

高い専門性を誇る「気象の専門家」

気象予報士は、文字通り、気象現象を専門に取り扱う仕事です。各地の気象観測データを集め、分析し、過去の天気図とも照らし合わせながら、今後の天候の移り変わりを予測し、発表するのが、気象予報士の主な仕事です。

合格率5%とも言われる超難関な国家試験「気象予報士試験」に合格し、気象庁長官によって気象予報士として登録されて初めて、気象予報士になることができます。受験者数に比べて合格者数があまりにも少ないことから、気象予報士の試験に合格するということは、それだけでも凄いことですが、それで安心してはいけません。

気象予報士になってからも、気象業務専門の職業につける人はほんの一握りと言われます。難関の試験をやっとの思いで突破した矢先、さらに厳しい就職競争に晒されることになるのです。

また、天候や災害と深く関係する仕事である以上、できる限り正確な予測を求められます。人の命に関わる仕事でもあり、ミスはけして許されません。天候の予測に100%はありませんが、厳しい責任を求められる仕事でもあります。

試験が難しく合格率が低いのは、天候の予測やその発表という仕事に、相応の高い専門性と、あらゆる気象知識を求められるからだ、と言えるでしょう。

気象専門の仕事に就けるのは一握り、しかし幅広い需要も

平成25年に行われた気象予報士現況調査では、気象予報士登録を行った人の中で、気象以外の職種に就いている人は7割にも達します。気象庁はじめ、気象業務専門の仕事に就けるのはごくわずかと言っていいでしょう。しかし実際は気象予報士資格が活きる仕事は多岐にわたり、間接的にでも、気象を仕事に活用しています。

いわゆる「お天気キャスター」に気象予報士の資格は不要

意外に思われるかもしれませんが、気象予報士と言ってまず思い浮かびそうなお天気キャスターには、必ずしも気象予報士資格は必要ありません。お天気キャスターは、予報を出すのではなく、主に気象予報士や専門機関が分析し出した予測、気象予報士が作成した原稿を「言葉で広く伝える」仕事だからです。

予報を出すことは気象予報士にしか許可されていませんが、それをそのまま伝えることは、未資格者でも可能なのです。実際、お天気キャスターの仕事の大半は未資格者が担っています。しかし近年、気象予報士の資格を持ったお天気キャスターも増えています。

気象予報士の仕事の具体的な内容

気象業務を専門に行う組織での予報業務

気象業務を専門に行う人は資格取得者全体の3割。その中でも、勤務先は様々にあります。

まずは、気象庁。国土交通省の外局にあたる国の機関で、国内の気象に関わる組織の中でも最大です。気象観測・監視を筆頭に、気象レーダーやアメダスなど観測システムの構築と維持、数値予測資料の作成などを行っています。また、地震や火山変動の観測や監視も行っています。気象庁の養成機関である気象大学校も組織に含まれます。

気象庁の予報は、都道府県単位までの予報で、それ以上に細かい地域のピンポイント予報などは、民間気象会社に委ねるというスタンスを取っています。また、災害に関する注意喚起や警報は気象庁にしか出すことができませんので、「災害の予防」については大きな役割を果たしています。

そしてもう一つ代表的なのが、民間気象会社。民間気象会社は、一般財団法人気象業務支援センターを通して気象庁から得た観測データを基に、独自の観測データと掛け合わせ、独自の予報を出します。テレビ、ラジオなどマスメディアに対する予報提供、天気予報の原稿作成、お天気キャスターの派遣など、マスコミに果たす役割が広く知られています。

また、山岳気象予報やサーファー向けの波浪予報など特定の分野に強い気象会社、特定の地域に密着したローカル型の気象会社など、気象庁がカバーしきれない細かく広い範囲の予報業務を担うのが、民間気象会社の存在意義であると言えます。

自衛隊の気象隊という組織にも、気象予報士は存在します。気象隊は、自衛隊基地や演習場などの局地的な予報を出す組織で、主に活動が気候条件に左右されやすい航空自衛隊、海上自衛隊にとって大変重要な役割を担います。中でも航空機に関わる予報はかなりシビアに求められますので、民間を凌ぐ高精度な予報を行っています。

マスメディアでの予報業務

マスメディアにおいても予報業務は重要視されています。お天気キャスターや、テレビやラジオの予報原稿の作成が主な業務です。お天気キャスターは気象予報士の資格がなくても務められますが、予報原稿の作成は、気象予報士にしかできません。

民間気象会社からの派遣もありますが、自社で気象予報士を持っている場合も多く、かつ、未資格のお天気キャスター、アナウンサーなどが、キャリアアップのために気象予報士の資格を取ることも少なくありません。

気象条件が大きく左右する業界で活きる気象予報士の資格

気象予報士の仕事は、専門的な気象業務だけではなく、もっと幅広い分野に跨っています。

例えば、季節によって需要が変わる飲食業界。日本は四季が明確なので、季節感を売り出す場合には気象予報士に頼らなくても、と思うかもしれません。

しかしここ近年、季節外れの台風や、季節に見合わない気候条件が突如訪れることも少なくなく、異常気象が発生した時、あるいは発生しそうな時に、商品の仕入れを始め運営全般に対する判断について、気候条件が大きく影響する場合があります。その時に、気象予報士の資格が必要とされます。

また、工事現場や建設計画にも気候は大きく影響しますので、建設業界にも気象予報士は重宝されています。地理に強く、気象や地形を深く理解している気象予報士の役割は大きいです。そのほか、天候が売り上げに大きく左右される大型スーパーや、レジャー施設など、様々な業界に気象予報士の力は必要とされています。

気象コンサルティングなど新たな仕事も

気象災害のリスクを顧客に説明し、顧客の業務に沿った提案を行う、気象コンサルティングという業務があります。気象予報士は顧客に対し、将来起こり得る可能性のある災害や気候変動を予測し、リスクマネジメントについてもアドバイスを行います。主な顧客は地方自治体の防災担当、鉄道等交通機関の運行担当者、道路管理者などです。

こうしたリスクコミュニケーションを行う仕事をリスクコミュニケーターといい、信頼度の高い提案を行うために、24時間の交代勤務制で、気象現象を逐一監視しています。

気象予報士の仕事のやりがい

人々の暮らしを支え、豊かにすることができる仕事

気象予報士の専門業務である天気予報は、遍く人々の暮らしに役立っています。気候を予測し発表してくれる気象予報士がいるからこそ、人々は気候に備えて旅行のスケジュールを立てたり、まとまった雨が降る前に洗濯を行ったり、災害に備えて自宅待機や避難を行ったり、台風の日に早めに帰るなどの対策を取ることができます。

天気予報は進むべき道、取るべき行動といった大小様々な日々の選択にも密接に関与しますので、日々の暮らしに欠かせないものとなっています。天気予報、災害警報によって人々の安全、命をも左右することもしばしば。その分責任は重大ですが、だからこそやりがいがあります。

天気予報に100%はなく不確定、だからこそ楽しい

天気予報の精度を高めることは大変難しく、100%の予報を出すことは極めて難しいこと。気象は自然現象ですが、必ずしも過去の似た事例と同じになるとは限りません。それでも気象予報士は、長年培った経験と、膨大な観測データによって未来を予測し、広く世に伝えなければなりません。

的中することも、大外れになることもあります。精度を高めるために、常に違ったデータと対峙しなければなりません。しかし気象現象は一筋縄ではいかないからこそ、大変で、そして楽しくもあります。飽きが来るくらい明確な仕組みであれば理想ですが、そういかないのが現状で、理想にできる限り近づけていくことこそが、やりがいを生むのです。

気象予報士の仕事内容まとめ

今後ますます重要視される気象予報士、新たな仕事も視野に

狭き門である気象予報士ですが、高い専門性を活かせる仕事は様々にあります。新しい仕事もどんどん生まれて行くでしょう。気象現象を軸に、あらゆる方向にアンテナを張っておくことが重要です。

昨今はアプリやWebサービスも充実し、より局地的で精度の高い天気予報が求められています。異常気象も頻発し、夏にはゲリラ豪雨が当たり前になってきています。これからの時代は、全国的な予報、都道府県単位の予報では立ち行かなくなっていくでしょう。あらゆる地域で、気象予報士の力が必要とされています。

気象予報士の参考情報

平均年収300万円~500万円
必要資格
  • 気象予報士
資格区分 国家資格
職業職種自然・動物

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