国連職員になるには高い語学力が必要!必要スキルや向いている人の特徴などを具体的に解説
世界中で起きている問題を解決するために日々駆け回る国連職員になるには、一体どのようなスキルや資格が求められるのでしょうか。この記事では、国連職員に必要なスキル・役立つ資格、向いている人の性格・適性についてご紹介します。
国連職員になるには何が必要?
国連職員になるには高い語学力と選考試験に通ることが必要
国連職員になるには、選考試験に合格することが必要です。これに合格しなければ、国連職員として働くことはできません。
応募についても誰でもできるというわけではなくそれぞれで応募要件が定められているので、それを満たしていることが条件になります。
職員募集については、国連事務局が行うものや各種国際機関が独自に行う採用プログラム、日本であれば外務省が行うものなどさまざまです。
募集から採用までの流れは応募方法にもよりますが、おおむね下記のとおりです。
1. 募集
勤務場所・仕事内容・契約期間・求められる能力(語学力など)は募集情報に記載されているので、応募したいポストが見つかった場合はオンライン上で必要事項を記入の上応募します。
2. 応募
記入した内容をもとに書面審査を行い、面接を行います。職種によっては、書面審査の後で筆記試験が行われることも多いようです。
3. 採用
筆記試験・面接を終えて合格したら採用です。ここでは、職員試験に応募するための情報収集方法から、どのような応募手段があるかについてまとめていきましょう。
国連職員になるための情報収集方法
国連職員の募集については、日本の公務員(国家・地方)や新卒採用で行われるような定期採用を行っているわけではありません。
何らかの理由で空席が生じたときに随時募集が行われるため。空席がなければ職員募集も行われないことがあります。
国連職員になるには、いろいろな手段があります。その中で日本人が利用できるのは主に3つです。
- 空席公告(Vacancies)
- JPO派遣制度(Junior Professional Officer Programme)
- YPP(Young Professionals Programme)
この中から、それぞれが持っている経験や目的に合った方法を選んで応募することができます。
空席公告
その名前のとおりポストに空席ができたときに募集が出ることです。基本的に、国連職員の募集は全世界から公募する形式で行われるので、「空席公告」と呼ばれています。
空席公告の探し方は、以下の方法があります。
- 国連の求人サイト「UN Careers」(https://careers.un.org/lbw/Home.aspx)を見る
- 外務省の「国際機関人事センター」(https://www.mofa-irc.go.jp/)から検索する
先にも書いたように、国連職員の募集は国連事務局から行われるものだけではありません。下記のような国連の関連機関から直接公告されることもあります。
- 地域経済委員会(アフリカ経済委員会・欧州経済委員会など)
- 総会付属・常設機関・補助機関(国連パレスチナ難民救済事業機関など)
- Funds & Programmes(国連環境計画・国連婦人開発基金など)
- 専門機関(国際原子力機関・国際電気通信連合など)
- 世銀グループ(国際復興開発銀行・国際開発協会など)
- その他(経済協力開発機構)
これらの各種機関からも、直接空席公告をされることがあります。上記の空席公告については、国際連合日本政府代表部の「空席情報関連リンク」(https://www.un.emb-japan.go.jp/jp/hr/links.html)から見ることができます。
必ずしも希望するポジションが空いているとは限りませんが、基本的に「空席公告」は毎日のように出ているので、随時応募することが可能です。
JPO派遣制度(Junior Professional Officer Programme)
JPO派遣制度とは、各国政府が費用負担することを条件として、国際機関が若手人材(35歳以下)を受け入れる制度のことで、1961年の国連経済社会理事会決議によって設けられました。
日本では1974年から派遣を開始。アジア太平洋経済社会委員会などの地域委員会をはじめとして、国際貿易センター、世界保健機関、国際刑事裁判所、国際エネルギー機関など、外務省が派遣取り決めを結んでいる国際機関へ原則として2年間派遣され、勤務経験を積む機会が与えられます。
2020年度の応募資格は、2020年2月1日時点で35歳以下であること、英語で職務遂行できることなどがあります。
条件を満たしていることを確認したら、事前登録を行った上で英文カバーレターや英文履歴書、TOEFLもしくはIETLSのスコアの写しなどの書類を添付して応募してください。
JPO派遣制度における選考は、下記2つの枠があります。
- 国際機関選考枠
- 外務省選考枠
選考への応募は、上記いずれか1つだけで両方に応募することはできません。
詳細については、外務省国際機関人事センターの「JPO派遣制度」(https://www.mofa-irc.go.jp/jpo/index.html)内のPDFファイルを参照してください。
YPP(Young Professionals Programme)
YPPの正式名称は、「国連事務局ヤング・プロフェッショナル・プログラム」です。
「ヤング」という言葉のとおり、国連事務局の若手職員を採用するための試験で、日本人が国連職員として採用されるための方法のうちの1つになります。
試験は年に1回で、内容は下記のとおりです。
- 書類審査
- 筆記試験
- 面接
合格後はロスター(合格者名簿)に掲載されます。掲載後は、ポスト(P1もしくはP2)の空席状況に応じて選考を行い採用されます。そのため、下記の2点に注意が必要です。
- 選考に合格=職員になれるというわけではない
- 合格後はあくまでも採用候補である
ロスター掲載の有効期限は3年で、3年経過後に採用されなかったらまた採用試験を受けなければなりません。
なお、ポスト採用後の任期は2年で、勤務中の成績が優秀であれば2年経過後も引き続き雇用されます。応募資格は下記3点です。
- 日本国籍を有し、受験年の12月31日時点で32歳以下
- 英語またはフランス語で職務遂行ができる
- 募集分野に関連する学士号以上の学位を有する
大学卒業見込み(大学4年生)の場合は応募できない点には注意が必要です。通常は、修士もしくは博士号の学位を求められることが普通なので、年齢条件以外はもっとも応募しやすいカテゴリといえます。
募集対象分野・試験概要は毎年異なるので、最新年度の要項を確認するようにしてください。
FAO(国連食糧農業機関)やOECD(経済協力開発機構)などでも、YPPとは別に若手向けの採用試験を実施しています。ただし、応募資格や募集方法は機関ごとに異なるので、興味のある人はウェブサイトを確認してみてください。
上記以外にも、国連職員に採用される方法がある
正確には国連職員ではありませんが、国連関連機関の職員として採用される方法があります。ここでは、それらの方法について紹介していきましょう。
UNICEFのNETI採用プログラム
例えば、国連児童基金(UNICEF)という機関があります。
この機関ではNETI(ニュー・エマージング・タレント・イニシアチブ)採用プログラムを実施しています。これは、若手の人材を目的とする制度です。応募条件は2つあります。
- 4~5年の関連分野での職務経験
- 関連分野での修士号以上の学位を有すること
書類選考や筆記試験・面接などを経て採用されると、1年間研修に参加できます。
外務省の人材育成事業に参加する
2つ目は、外務省が実施している「平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業」に参加する方法を紹介します。
この制度は2007年から実施されており、当時の外務大臣が制作として打ち出した「平和構築者の寺子屋を作る」という演説を受けて廃止された制度です。
修了生は、バングラデシュ、ヨルダン、ルワンダなどで国際機関やNGO,政府機関などの一員となっています。
現在のグローバル人材育成事業は、以下の3コースからなっています。
■プライマリー・コース
5週間の国内研修と国連ボランティアとして1年間の研修を行い、将来の平和構築・開発の担い手を育成します。
研修参加費用:30万円
■グローバルキャリア・コース
10年程度の専門的な職歴を持っている人を対象に、国際機関などでのキャリア構築の可能性を探るべく、48時間の国内研修と海外フィールド・トリップ(オプション)を行います。
国内研修のみであれば無料ですが、海外研修を行う場合は20万円~30万円かかります。
■ミッドキャリア・コース
平和構築・開発関連分野で10年程度の実務経験を持ち、それを活かして国連などの国際機関で平和構築・開発のキャリアアップを目指す人へ1週間の国内研修を実施(実施言語:英語)。
これらの研修への参加者には、平和構築・開発分野での国際機関などへの就職、さらなるキャリアアップを目指す人を対象として、ポスト獲得に求められるスキル・知識の提供などの支援を実施しています。
分野は限定されますが、自身の指向性が合致していれば、これらの研修に参加する価値は十分にあるでしょう。
日本人にとって国連職員は狭き門
国連機関はたくさんありますが、その中で日本人が占める割合は約3%です。
これは、英語もしくはフランス語で仕事ができることという条件がついていることがその大きな理由であると考えられます。国連職員になるには、言語の壁を超えることが必要です。
学歴と高い語学スキルが求められる
国連職員になるためには、募集している分野での学位が求められます。中には学士号で応募可能なものもありますが、修士号もしくは博士号を求められるものも見られるようです。
どの分野での学位が求められるかは、ポストにより異なりますが、国際関係学(International Relations)、教育(Education)、情報工学(Information Technology)など非常に多くの分野にまたがっています。
先にも書いたように、国連職員としての業務はその多くで英語もしくはフランス語が求められます。英語を例に取ると、TOEICで860点以上もしくはIETLSでは7点以上、TOEFLテストで100点以上などのスコアが求められるでしょう。
これに加えて、募集分野に関連する実務経験が求められるので、長期的な計画で準備することが大切です。
国連職員は契約職員
国連職員になりたい人が注意しなければならないのは、基本的に契約期間のみの雇用となる職員ということです。契約期間はさまざまですが、1年や2年というような有期雇用なので、雇用期間が終わったら日本に帰国することになります。
日本の公務員のように採用試験に合格すれば、定年まで勤められるというものではないので、雇用自体は不安定であることには注意が必要です。
国連職員に向いている人、適性がある人
国連職員の仕事における特徴は、所属する団体や担当業務によって、持っているスキルや専門分野を活かせる可能性が幅広く用意されている点にあります。
問題意識を持ち、かつ意欲が高い人
国連職員の活躍の場は、世界全体です。世界にはさまざまな問題があり、それらを解決するための即戦力であること、その分野のプロフェッショナルであることが求められます。言い換えると、専門的であることかつその分野における最高水準の能力が必要です。
問題を解決するためには、現在起きていることの何が問題か、解決のために何が必要かをいち早く察知すること、解決するために自分は何で貢献できるのか、貢献したいのかという目的が明確であることが大切でしょう。
社交性が高い人
国連職員になるには、求められている分野における専門性を有することはいうまでもありません。しかし、それだけでは務まらない仕事でもあります。
最終的にその専門性をフルに発揮するためには、現地の人と信頼関係を構築できることがすべての基本です。誠実であること、常に中立・公正な立場であること、積極的にコミュニケーションをとることなどが求められます。
時には現地の人に厳しいことを言わなければならないこともあるかもしれません。その際にも、簡潔に伝えること、明確に伝えること、説得力を持って伝えられることが必要でしょう。
多様な文化を理解・適応できることが大切
国連職員は国連に属していますが、実際に働く場所は本部以外にある人が全体の約6割います。つまり、何らかの問題を抱えている中に飛び込んでいくわけです。
そんな中でそれぞれが持つ専門性を発揮して、問題を解決に導くためには、派遣された先の環境に適応できること、その地域の文化に適応する能力が求められます。
また、国連職員は多様なバックグラウンドを持っている人の集まりなので、そうしたものを理解した上で、チームワークを重視して仕事できることが何よりも大切です。
臨機応変に対応できること
現場の状況、国際情勢は刻一刻と変わっていきます。何らかの理由で、ほんの数分もしくは数秒前とガラリと変わってしまうということも決して珍しくありません。
そうした状況下にあっても、冷静に状況を判断して、次の行動を起こすことが大切です。
国連職員には心身のタフさが必要
国連職員になるには、心身ともにタフであることが求められます。先でも触れたとおり、ほとんどの職員は実際に問題が起きている地域に派遣されます。その中では、もしかしたら一歩間違えれば危険な目に遭うようなことも少なくないでしょう。
そういうときでも冷静かつ論理的に物事を考えるとともに、何があっても動じることなく冷静に仕事を進めていく力が大切となるでしょう。
国連職員になるために役立つ学校
国連職員になるためには、語学力はもちろんのことその分野における実務経験と学問的知識が求められます。
国連職員になるためには大学卒であることが最低条件
国連職員になるには、学問的知識が求められます。求められる学位は分野によって異なりますが、最低でも「Bachelor(学士)」が必要です。分野によっては「Master(修士)」や「Doctor(博士)」が求められるものもあります。
学位や職務経験などの情報は、募集ページに書かれているので、募集要項をしっかりと確認してください。
求められる学位の分野はさまざま
学位は最低でも学士、分野によっては修士もしくは博士が求められます。それでは、どの分野の学位が必要なのでしょうか。
これについては、非常に多くの分野の学位があります。外務省の国際機関人事センターのサイトから、一部を抜粋してみましょう。
- International Relations(国際関係学)
- Business Administration(経営学)
- Hydrology(水文学)
- Mechanical Engineering(機械工学)
- Demography(統計学)
いかがでしょうか。文系・理系問わず、さまざまな分野の知識が求められていることがお分かりいただけたことと思います。
国・地域の数だけ問題はあるので、複合的な知識を求められ、国籍や文化の違う人とチームを組んで仕事を行うことが多くなるでしょう。
基本的には職務経験も求められるが、卒業・修了後の応募も可能
国連職員になるには、基本的にその分野に関する職務経験が求められます。しかし、職務経験がなくても応募できる場合もあります。
それがYPPであり、JPO派遣です。大学院で修士号を得ていること、その他年齢条件もつきますが、世界を相手に仕事をしたい人で、語学力に自信を持っていたら応募する価値は十分にあります。
国連職員になるには?まとめ
高い語学力と学歴が求められる職業
国連職員は基本的に英語かフランス語などが使われます。それに加えて、高い学識が求められる職業です。基本的には何らかの問題を抱えている地域に派遣され、現地で問題解決に向けて仕事を行うのが一般的なスタイルとなります。
異文化圏での仕事となるので、高い適応能力が求められるとともに、何もわからないところから信頼関係を構築する能力が求められるため。どんな事があっても動じることなく、冷静に業務を進めていく能力が必要です。
語学力に自信があり、かつ学問的な見識と実務経験に自信がある人は、長い人生の中で一度は挑戦する価値のある職業です。
国連職員の参考情報
平均年収 | 500万円~2000万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | - |
職業職種 | 国際 |
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