整体師の給与・年収は?急成長の業界で伸びる整体師の需要
人々の体のゆがみを正し正常な機能を取り戻す整体師は、どの程度の収入を得られる職業なのでしょうか。初任給、給与に関する統計データ、求人広告の実績などを参考に、整体師の給与・年収について紹介します。
整体師の初任給
整体師は専門の養成学校を卒業し、その後整体院や治療院に就職することが一般的です。整体師が初めて就職した先でもらえる初任給はどの程度でしょうか。
医療分野は平均より低め
厚生労働省が発表した「賃金構造基本統計調査」における、平成30年の初任給実績の統計では、整体師を含む「医療、福祉」業の初任給は以下の通りとなりました。
学歴 | 男女計 | 男性 | 女性 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
医療、福祉 | 全産業 | 医療、福祉 | 全産業 | 医療、福祉 | 全産業 | |
大学院修士課程修了 | 20.1万円 | 23.9万円 | 20.9万円 | 24.0万円 | 19.8万円 | 23.4万円 |
大学卒 | 20.2万円 | 20.7万円 | 20.5万円 | 21.0万円 | 20.0万円 | 20.3万円 |
高専・短大卒 | 18.4万円 | 18.1万円 | 19万円 | 18.3万円 | 18.3万円 | 18万円 |
高校卒 | 15.9万円 | 16.5万円 | 16万円 | 16.7万円 | 15.9万円 | 16.2万円 |
この統計には、整体師だけでなく、他の医療・福祉に関する職種がすべて含まれています。
業界全体でみると、全産業の平均よりわずかに低いスタートとなる傾向にあるようです。
整体師の平均給与の統計
初任給はやや低めのスタートとなる整体師ですが、平均給与はどのような推移を見せるのでしょうか。
医療分野全体はやや高め
同じく厚生労働省の賃金構造基本統計調査により発表された、平成29年度の整体師を含む「医療、福祉」業の給与実績統計を紹介します。
年齢 | 医療業 | 全産業平均 | 全産業平均との比較 |
---|---|---|---|
全年齢 | 32万円 | 30.4万円 | 105.06% |
~19歳 | 16.5万円 | 17.6万円 | 93.96% |
20~24歳 | 22.5万円 | 20.7万円 | 108.95% |
25~29歳 | 26万円 | 23.9万円 | 108.96% |
30~34歳 | 29万円 | 27.2万円 | 106.47% |
35~39歳 | 32万円 | 30.1万円 | 106.31% |
40~44歳 | 34.3万円 | 32.7万円 | 104.80% |
45~49歳 | 35.4万円 | 35.2万円 | 100.57% |
50~54歳 | 38.1万円 | 37.3万円 | 102.15% |
55~59歳 | 37.5万円 | 36.4万円 | 103.08% |
60~64歳 | 37.6万円 | 27.5万円 | 136.87% |
65~69歳 | 40.5万円 | 25.0万円 | 161.95% |
70歳~ | 59.8万円 | 25.9万円 | 230.86% |
初任給とは打って変わって、平均給与でみると全産業よりわずかながら高い水準となるようです。
募集の平均は20万円前後
統計上では以上となりましたが、実際に大手求人サイト上で募集されている整体師の給与はどの程度の金額が提示されているのでしょうか。
地域にも影響しますがおおむね18~20万円からスタートという金額が提示されており、特別高い金額とはいえないようです。
整体師の年収統計
給与は全産業平均と同程度ですが、年収ではどの程度の差が生まれるのでしょうか。
全産業平均と同等
平均給与と同様に、厚生労働省の賃金構造基本統計調査により発表された、平成29年度の整体師を含む「医療、福祉」業の実績統計から類推した年収額を比較しました。
年齢 | 医療業 | 全産業平均 | 全産業平均との比較 |
---|---|---|---|
全年齢 | 494.8万円 | 491.2万円 | 100.73% |
~19歳 | 224.6万円 | 248.0万円 | 90.56% |
20~24歳 | 336万円 | 314.9万円 | 106.70% |
25~29歳 | 414.3万円 | 391.3万円 | 105.88% |
30~34歳 | 457.4万円 | 450.5万円 | 101.53% |
35~39歳 | 499.6万円 | 495.1万円 | 100.91% |
40~44歳 | 541.1万円 | 536.4万円 | 100.88% |
45~49歳 | 554.1万円 | 576.2万円 | 96.16% |
50~54歳 | 587.6万円 | 606.5万円 | 96.88% |
55~59歳 | 574.5万円 | 583.2万円 | 98.51% |
60~64歳 | 549.5万円 | 409.3万円 | 134.25% |
65~69歳 | 547.8万円 | 348.8万円 | 157.05% |
70歳~ | 761.6万円 | 348.3万円 | 218.66% |
医療業界全体でみると給与同様に全産業平均と大きな差はなく、特別良くも悪くもない業界であることが推測できます。
整体師が求められる業界
しかし近年では整体師は医療業からだけではなく他の業界からも技術者として注目を集めています。
美容業界が注目する整体
最も整体師に注目している業界は美容業界です。美容整体というサービスを展開し、体のゆがみを正常な状態に正し、体の内側からきれいにするサービスを売りにしているサロンが急増しています。
それらのサービスを提供する業者は整体サロン、整体エステとして宣伝し、一般的な整体院よりも高い単価で多くの利用客を集められるようです。
従来の整体は体の不調の原因を探り、骨盤や骨格の矯正を通じて自己治癒力を高めることを目的としていましたが、美容整体は同じ技術を使いながらも違う目的で施術を行っています。
女性が求める美しさには小顔、ヒップアップ、O脚改善、猫背矯正など整体の技術で骨盤や骨格を矯正することで解決する要素が多く含まれています。
エステで皮膚や髪の毛といった表面的な美しさを整えるのはもちろん、正常な骨格からにじみ出る美しさを求めて多くの女性が施術を受けるようになったのです。
給与面でも大きな差
整体師の募集においても美容業界の影響は非常に大きく表れています。医療的な効果を期待する整体を行う、一般的な整体院や治療院の求人広告に記載されている給与は15~25万程度。一般企業と同程度かやや低い金額が提示されています。
しかしエステやサロンが募集する整体師の給与額は20~35万と大きく上がります。中には30万円スタートや、未経験でも25万スタートというような高額を提示する企業もあり、業界の景気がよいことがうかがえます。
なお美容業界では整体の資格のほかに、アロマテラピーやセラピストの資格を持っているとさらに優遇される傾向があり、30万円を超える求人も期待できるようになるでしょう。
スポーツ整体が増加中
美容業界と同様にスポーツにスポーツ整体が広がりを見せています。スポーツ整体はプロのスポーツ選手や競技としてスポーツに打ち込んでいるアマチュア選手だけでなく、趣味でスポーツに取り組む人々も対象にした整体です。
健康志向が強くなっている現代では、中高年の趣味としてスポーツが盛んになっています。軽いジョギングからスポーツジムへ通ってトレーニング、それが高じて競技会への出場まで熱を上げる30~50代が増加しています。
しかし少し無理をするとすぐに体を痛めてしまう年齢であることには変わりがないため、怪我の予防、症状の軽減のために整体を利用する人口が増加し、また利用する頻度も上がっています。
スポーツ整体では美容整体と違い、柔道整復師の資格所持者が優遇される傾向があります。スポーツの性質上、軽度の怪我はつきものです。整形外科に行くほど重い症状ではない場合など、整体と一緒に柔道整復の施術を希望する患者も多いようです。
こちらの業界も顧客が増加しているためか、求人広告に提示されている給与は25万円前後と、高い金額となっています。
独立開業により年収1,000万も目指せる
整体師の技術を生かして安定した給与を手にできる業界は増えてきていますが、それでも500万円前後もらえれば高い部類に入る金額です。整体師として年収1,000万円を超える収入を得る方法はあるのでしょうか。
独立開業が必須
整体師として雇用されている場合、収入は給与という形で入ります。給与は原則として会社に利益が残るだけの額が払われるため、どれだけ働いても会社が潤う以上に整体師が潤うことはないといえるでしょう。
独立開業し、施術代をすべて自分の収入にすることができれば、1回の施術に対する収入は上がります。単価を高く設定し、施術人数を増やせば収入も比例していきます。
さらに多店舗展開ができれば自分が手を動かさなくても売り上げが増えていくため、大きな収入増が期待できるでしょう。
もちろんそれだけの多くの患者に来てもらうためには、評判のいい先生、評判のいい整体院であるという前提があります。大きく収入を上げるためには独立が必須であり、成功する独立には確かな腕と実績が求められるのです。
整体師の給料・年収まとめ
高収入を目指すのであれば独立と確かな腕が必要不可欠
整体師は統計データで見る限り、一般的な金額の給与をもらうことが期待できる職業です。
美容業界、スポーツ業界は整体院に比べて客単価を高くとる傾向があり、その分だけ給与面に反映できる仕組みが整っています。それぞれ今後も伸びていく業界であり、整体師の需要も高まっています。
しかし整体師として年収1,000万円を超えるほどの給与をもらうことは難しいのが現実です。1,000万円の収入を得るためには、整体院の独立開業の上、多店舗展開といった実業家としての活動が必要になるでしょう。
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整体師の参考情報
平均年収 | 200万円~400万円 |
---|---|
必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | 心理・福祉・リハビリ |
統計情報 出典元:
- 職種・性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
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