検察事務官の仕事内容とは?仕事の魅力や醍醐味も解説
検察事務官として働く場合、具体的にどういった仕事や役割を求められるのか気になる部分もあるでしょう。検察事務官は社会の風紀や秩序を保つ存在として欠かせない職業であり、求められることも少なくありません。今回は検察事務官として働く場合の仕事内容について取り上げます。
検察事務官とはどんな仕事?
メインの仕事は検察のサポート
検察事務官は国家公務員として、検察のサポートをすることが大きな役割です。事件の捜査や取り調べ、裁判に携わることも多い仕事ですが、基本的には検察官が仕事をしやすいように補佐的な業務をこなすことが求められます。
取り調べの立ち会いを行ったり、罰金の徴収をしたり、資料作成をしたりするなど、検察事務官としての仕事は多岐にわたります。配属される部門によっても仕事内容は異なりますが、検察官を支える存在だと考えておけば間違いありません。
3つの部門に分かれて仕事を行う
検察事務官になると、3つの部門のいずれかに配属されて仕事を行います。「捜査・公判部門」、「検務部門」、「事務局部門」のいずれかに配属され、その中で求められる仕事をこなします。
それぞれの部門によって役割は異なりますが、事件や捜査などの最前線に関わるのは「捜査・公判部門」です。捜査・公判部門では検察官と検察事務官がチームを組んで事件捜査に当たることが一般的です。
本人の希望や適性、組織の事情などが考慮されて配属される部門が決まります。異動することも可能なので、自分がやりたい仕事を見つけることも大切です。
転勤は少なめ
検察事務官は国家公務員であり、国に仕える仕事です。そのため、全国転勤がないわけではありません。しかし、実態として転勤は少なめであり、全国各地に飛び回るようなことはそれほど多くないでしょう。
2年から3年周期で部署異動をすることが一般的ですが、同じ検察庁内での異動となることも少なくありません。転勤の場合も近隣の都道府県への異動となることが多いです。
ただし、場合によっては大都市への転勤となることもあります。転勤は少なめですが、絶対にないとも言い切れないので、その辺を頭に入れておくと良いでしょう。
精神的なストレスを感じる仕事もある
検察事務官の仕事をしていると、精神的なストレスを感じるケースもあります。特に事件捜査に携わる場合、凄惨な現場を目にすることもあります。人の死を目の当たりにすることも多く、労災事故や自殺などで亡くなった方のご遺体と対面することもあります。
事件や事故には日常生活でなかなか関わらないことであり、検察事務官だからこそ関わる機会が多くなります。そうした現場や状態を目撃すると精神的なストレスを感じるケースもあることを理解しておきましょう。
多くの事件と関わる
多くの事件と関わることも検察事務官の特徴です。事件は日々発生するものであり、毎回異なる事件の立ち会いや捜査、公判などを行います。
検察事務官や検察官の判断が被疑者の人生を大きく左右すると言っても過言ではありません。社会的な秩序を保つため、どれくらいの制裁を与えるのが良いか、過去の判例や事件の凄惨性などを考慮して客観的に判断することが求められます。
複数の事件を同時並行で扱うことが多いので、事務作業などは迅速かつ正確に行えるようにすることが大切です。
検察事務官の具体的な仕事内容
ここからは、検察事務官の具体的な仕事内容について紹介します。
検察事務官の仕事は部門によって変化する
検察事務官は検察官をサポートする存在として欠かせません。事故や事件の捜査、公判に携わることも多く、社会的意義の大きい仕事です。
その中で具体的な仕事内容に関しては部門によって変化するのが実情です。同じ検察事務官と言っても部門によって求められる役割は異なります。それぞれの部門ごとの仕事や役割について確認しましょう。
捜査・公判部門の仕事内容
捜査事務
捜査事務とは主に数多くの事件を取り扱い、起訴や不起訴を決定するための取り調べを行うことです。
窃盗事件や障害事件などをはじめとして多くの事件に関わることが特徴であり、実際に事件現場に足を運ぶこともあります。
立会事務
捜査・公判部門では立会事務も行います。立会事務では検察官とチームを組んで事件捜査を行います。事件の調査を行ったり取り調べを行ったりすることが主な仕事であり、被疑者の心情や境遇などを詳細に確認します。
事件の背景や動機などを把握するなど、起訴か不起訴かを決めるために必要な情報を集めます。最終的な判断を下すのは検察官ですが、その前段階のサポートを行います。
公判事務
事件の立証や公判手続きの確保を行う役割もあります。被疑者に対して適切な量刑を下すために検察官をサポートすることが大きな役割であり、公判立会に向けた資料作成も行う仕事です。
検務部門の仕事内容
事件事務
検務部門では検察庁の窓口的な役割を果たす事件事務の仕事を行います。
各地の捜査機関から送られてくる事件について法律に則っているかどうか調査を行い、受理の手続きを行います。事件の最初の入り口となる仕事であり、重要な任務を果たします。
証拠品事務
検務部門では証拠品事務と呼ばれる仕事も行います。事件に関係する証拠品の受け入れ手続きを行うことが主な仕事です。
事件状況や捜査状況によっては証拠品の保管や処分も行います。
執行事務
検察官には裁判の終了後に刑罰執行指揮を行う権限があります。その際の執行手続きを行うことが執行事務であり、主に検務部門で行います。
徴収事務
事件後の裁判で罰金やその他の量刑が確定した場合に徴収金を徴収します。この仕事も検務部門内の役割として重要な任務です。
記録事務
記録事務とは裁判で確定した記録の管理や保管を行う仕事です。その他、記録閲覧手続きの業務も行います。
犯罪事務
犯罪事務とは有罪判決を受けた人物の犯罪歴の調査や管理を行う仕事です。
犯罪履歴がある人をデータ化することで、必要な時に迅速に確認できるようにすることが求められます。
事務局部門の仕事内容
総務事務
最後に事務局部門の仕事について紹介します。事務局部門では、まず総務事務を担当します。
総務事務とは捜査・公判部門などの事務を円滑に行えるようにするための事務的な作業や会計作業のことを指します。
人事や給与管理、検察庁で働く職員の福利厚生の実行や書類発送といった仕事も行います。組織全体を支える立場として、事務的な処理や細々とした仕事を行うことが大きな役割です。
会計事務
事務局部門では会計事務も行います。検察庁の歳入や歳出を管理することがメインの役割で、会計全般の仕事を担います。
その他、検察庁舎の維持管理や業務上必要となる器具や機材の管理など、備品の整備にも力を入れて作業を行います。
検察事務官の役割
検察事務官は部門ごとにやるべきことや求められる仕事内容が変わる部分があります。その中でも基本となるのが、検察官のサポートを行うことです。事件の捜査や取り調べ、書類作成や諸々の手続きを含めて検察官が裁判に専念できるような体制を作ることが検察事務官に求められる大きな役割です。
その他に検察事務官には以下のような権限が与えられており、事件捜査などに関わることができます。
- 逮捕状による逮捕
- 被疑者の取り調べ
- 緊急逮捕やその場合における逮捕状の請求
- 第三者の取り調べや鑑定等の嘱託
- 被疑者の鑑定留置請求と鑑定処分許可請求
- 差し押さえ、捜索、検証または身体検査の令状請求と執行
- 検察官の指示による検視
上記のような権限を持っており、事件の真相究明や解決につなげるための役割を担います。総務的な仕事や会計の仕事も含めて社会秩序を保つことが重要です。
検察事務官の仕事のやりがい
検察事務官は検察官のサポートを中心に、さまざまな働きや役割が求められる職業です。国家公務員として社会の秩序を保つことを求められる仕事でもあり、その職責は大きなものがあります。
その中で、検察事務官として働くことによって感じるやりがいもあります。具体的にどういったやりがいを感じられるのかについて確認しましょう。
日常生活では関われないような仕事ができる
まず大きなやりがいとして挙げられるのが、日常生活では関われないような仕事をできることです。事件の捜査や取り調べ、逮捕など、普通に生活していたら関われないようなことを多く経験できます。
ドラマなどを見て事件捜査や取り調べに憧れるという方もいるでしょう。そうした憧れがリアルな状況として目の前に現れます。
事件の最前線に関わる仕事を経験することで、仕事の醍醐味や面白さを感じる人も少なくありません。仕事自体が非日常的なことであり、大きなやりがいにつながります。
社会秩序を保つという仕事に誇りを持てる
検察事務官として働くことによって、社会秩序を保つことにやりがいを感じることもできます。事故や事件の取り扱い、手続き、起訴や不起訴の判断をサポートすることも多く、自身の助言や判断が被疑者の人生を左右することも少なくありません。
そうした1つ1つの作業や判断が社会の安定感を保つことにつながることも事実です。正義感や責任感が強い人であればより一層のやりがいを感じることができます。
自身の仕事が社会秩序を保つために大きく貢献しているという実感を持てるようになると、ますます仕事が面白くなるでしょう。
給料の安定感もある
検察事務官は国家公務員でもあり、給与面の安定感があることもやりがいにつながります。公務員自体が安定した職業であり、経験を重ねることによって徐々に待遇も良くなっていきます。
30代になると600万円から700万円ほどの年収を稼ぐ人も多くなり、一般的な中小企業と比較してもより良い条件で仕事をできます。
仕事自体のやりがいもそうですが、給与面の安定感があることでプライベートも充実させやすくなるでしょう。
キャリアアップの道もある
検察事務官として働き続けることも可能ですが、さらに上の立場を目指したい場合は副検事に昇進するステップもあります。内部の昇進試験を通過すると副検事まで上り詰めることが可能であり、キャリアアップの道があることが仕事のやりがいにつながる部分もあるでしょう。
検察官になれば事件の捜査や裁判への関わり方もより深くなります。検察事務官を経験してより大きな仕事をしたいというニーズが出てきた場合も、そのためのステップが用意されていることが魅力です。
検察事務官の仕事内容まとめ
検察事務官は社会の秩序を守るために知識やスキルを活かせる仕事
検察事務官は社会秩序を守るために、自身の知識やスキルを活かせる仕事です。検察事務官として検察官をサポートするためには法律に関する知識も相当身につけなければなりません。
検察事務官として働き始めたばかりの頃は思うように仕事ができなかったり、わからなかったりすることも多いでしょう。それでも一定の経験を積むことで、できることやわかることも増えていきます。
部門ごとの異動も活発に行われており、さまざまな仕事を経験できることもやりがいにつながります。事件捜査や取り調べなど、非日常的な仕事を的確にこなせるようになればさらに仕事が楽しくなるでしょう。そうした感覚を掴めるように、日々の業務を精一杯行うことがポイントです。
検察事務官の参考情報
平均年収 | 400万円~550万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 試験合格 |
職業職種 | 法律・政治 |
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