ネットワークエンジニアの仕事内容とは?やりがいや魅力について解説
ネットワークエンジニアとは、ネットワークを構築・管理する人のことで、主に6つの仕事内容に分かれています。どの工程も専門的な知識が必要とされる仕事であり、熟練するためには経験と努力が必要です。IT業界の進歩に伴って、ネットワークエンジニアの需要は大きくなっており、今後も仕事量は増加していくでしょう。本記事では、ネットワークエンジニアの具体的な仕事内容、仕事のやりがいなどについてご紹介します。
ネットワークエンジニアとはどんな仕事?
コンピューターのネットワークを管理する人がネットワークエンジニア
ネットワークエンジニアとは、ネットワークの管理を一括して行う人のことです。仕事の内容としては、構築や保守、管理などの業務があり、スキルや経験によって適材適所に割り当てられます。
インターネットが普及するようになって、普段の生活にコンピューターは欠かせない存在になっています。自分のパソコンから情報を送信したり、必要なファイルをダウンロードすることがありますが、快適な通信環境を整え、整備していくのがネットワークエンジニアの仕事なのです。
ネットワークエンジニアとシステムエンジニアの違い
ネットワークエンジニアと似た職業にシステムエンジニアがありますが、どのように違うのでしょうか。
ネットワークエンジニアは個々のコンピューターを快適に使用できるように、ネットワークの運用や構築を行いますが、システムエンジニアは個々のコンピューター上で動作するシステムやソフトウェアの開発や設計、テストを実施する人のことです。
端的に言うと、ネットワークエンジニアはネットワークシステムを作り上げ、システムエンジニアはコンピューターシステムを作り上げます。
コンピューターシステムによって価値ある情報が作り上げられても、ネットワークシステムがなければ、情報を共有することはできません。
両者の仕事内容は似ていますが、対象となっているものが違うということを覚えておきましょう。
ネットワークエンジニアの具体的な仕事内容
先にも紹介したように、ネットワークエンジニアの仕事は要件定義から監視までの業務に分類できます。それぞれの分野でどのような仕事を行い、どんなスキルが求められるのか詳しく解説します。
ネットワークエンジニアの仕事内容は大きく6つに分類されます。一般的には4つに分類されることが多いのですが、今回は詳しく解説するために6つの項目に分けて紹介します。
- 要件定義
- ネットワーク設計
- ネットワーク構築
- ネットワーク運用
- ネットワーク保守
- ネットワーク監視
一人のネットワークエンジニアがすべての項目を担当するのではなく、項目ごとに担当するエンジニアが分かれています。
初心者の場合は、監視や運用などの難易度が低い項目から始めて、構築や設計などの高いスキルが必要とされる分野にステップアップしていくのが通常です。
要件定義業務
ネットワークエンジニアが行う要件定義とは、顧客の問題点や要望などをヒアリングして、問題を解決するためのネットワークシステムの構想を練ることです。
高いコミュニケーション能力に加えて、シスコ技術者認定資格であるCCNAなどを持っていると有利です。クライアントとのヒアリングが済んだ後は要件定義書を作成し、次の工程に引き継ぎます。
ネットワーク設計業務
ネットワークエンジニアが設計業務で行うことは3つあります。
- 基本設計書
- 詳細設計書
- 運用設計書
上記の設計書を作成して、どのような種類のネットワークシステムがクライアントにとって最適かを検討します。
具体的には、ネットワークシステムの構成や機器・機能性能を検討し、ネットワーク全体の方向性を定めます。また、設定した基本設計に基づいて、アドレスの設定や機器の設定を決め、どのように監視するのか、保守の方法などを検討します。
設計業務を担当するネットワークエンジニアには、機器保持の機能やスペックに関する知識やCCNP以上のネットワークに関係する専門知識が求められます。
ネットワークエンジニアとしても難易度の高い業務内容になるので、スキルや経験のある人が担当することが多いといわれています。
ネットワーク構築業務
構築の分野では、ネットワーク設計に基づいて機器を設置して、機器同士をケーブルでつなげるなどの作業を行います。
具体的には、ケーブルにポート名や機器の名前が書いてあるラベルを張り付けたり、床下や天井ラックにケーブルを配線するなどの作業を行います。
コンピューターと向き合っている、というイメージが強いネットワークエンジニアですが、現場で作業することもあります。機器やケーブルを配置した後、回線が正常に作動しているかをチェックしてネットワークが設計通りに作動しているかを確認します。
ネットワークエンジニアは、通信の正常性やランプの状態、トラブル発生時の回線の切り替えの動作確認を行い、使用するはずの電源が作動していなかったり、ケーブルの数が足りないなどの問題が発生している場合、早い段階で対策を講じます。
ネットワークエンジニアが行う作業の中でも、実際に機器に触れて作業する項目なので、ネットワークを構築しているという実感が湧きやすい作業です。
ネットワーク運用業務
ネットワークエンジニアが行う運用作業とは、ネットワークの利用が始まった後、正常な状態で利用し続けることができるように維持管理を行なうことです。
具体的には、コンピューターの数に合わせてネットワークの構成を修正したり、ユーザのアカウントの管理や機器の更新作業、構成図や設計書のメンテナンスなどを行ないます。システムの状況をチェックして、見直しが必要であれば、リプレイスを行なったり、再構築を検討することもあります。
また、経験のあるネットワークエンジニアであれば、保守業務や監視業務との兼任が求められることもあります。
安全なネットワークの構築には提案や設計だけでなく、メンテナンス作業も不可欠ですから、運用を担当するネットワークエンジニアは重要な役割を果たすことになります。
ネットワーク保守業務
24時間365日の対応が求められる
保守業務を担当するネットワークエンジニアは、ネットワークに障害が発生した時にいち早く復旧作業を行なう人です。
通信ができなくなったり、ネットワークに不都合が生じた場合、原因を突き止めて問題の解決にあたります。時にはクライアントと現地で意見を交換しながら、問題の機器を交換したり、影響が出ている部分の切り分けを行ないます。
ネットワークエンジニアとして最初に担当することが多い保守業務ですが、ネットワーク機器に関する専門知識が必要ですし、ネットワーク全体の構成を把握しておく必要があります。そのため、決して簡単な作業ではなく、専門的なスキルが必要です。
ネットワークの故障はいつ発生するかわかりませんから、保守業務を担当するネットワークエンジニアには24時間、365日の対応が求められます。
ネットワーク監視業務
>監視業務ではネットワークが正業に機能しているかをチェックします。基本的には、専用のソフトを使用して監視を続け、故障などの問題が発生した時は保守担当のネットワークエンジニアと連携を取り、問題の解決にあたります。
監視業務を担当するネットワークエンジニアにも24時間365日体制の勤務が求められ、SNMP(Simple Network Management Protocol)に関する知識も必要になります。
監視ソフトの情報登録はIPアドレスを使って行われており、数字が1つ違うだけでも全く別の機器につながってしまうので、慎重さと正確さが求められる仕事です。
ネットワークエンジニアという仕事の将来性
ネットワークエンジニアの仕事は増加傾向にある
ITが普及するようになり、ネットワークエンジニアの仕事量は増加傾向にあります。企業にとってネットワークのインフラ整備は会社の運営を左右する生命線ともなっているので、ネットワークエンジニアの仕事が完全になくってしまうことはないでしょう。
最近では、コンピューターへの不正アクセスやネットワーク・トラフィックが大きな問題になっており、ネットワークエンジニアが活躍できる場所は増えています。特に、保守・監視・運用の仕事が増えており、安全なコンピューター環境を整備するためにネットワークエンジニアが必要とされています。
ネットワークエンジニアとして就職したとしても、次から次へと新しい問題が発生するため、常に勉強に新しい問題への対応が求められます。また、将来性のある仕事であり、スキルを向上させることができますから、とてもやりがいのある仕事です。
ネットワークエンジニアの需要が増えている理由
ネットワークエンジニアの需要が高まっていますが、その理由として2つの要因があります。
クラウド技術の発展
アマゾンなどのクラウド技術が発展することにより、ネットワークを構築する需要が格段に大きくなっています。
以前のように物理的なネットワークを構築する機会は少なくなっていますが、モノとインターネットの結びつきが強くなり、クラウドを使ってネットワークの需要が増しています。
活躍できる業界の拡大
ネットワークエンジニアが活躍できる業界の幅が広がっています。以前はIT業界に限定されていましたが、インターネットを使ったゲームが普及するようになり、ゲーム業界でもネットワークエンジニアが活躍できるようになりました。
ゲーム製品は日本国内に留まらず、海外に進出することもあります。ネットワークエンジニアは世界的な規模で活躍することができるのです。
ネットワークエンジニアの年収はスキルによって変わる
ネットワークエンジニアの平均年収は370万円程度となっており、IT業界の中では中間程度の年収になります。
例えば、ITコンサルタントであれば約500万円、データベースエンジニアであれば、約400万円程度の年収になっているので、それらと比べるととりわけ高い年収とは言えないでしょう。
しかし、経験とスキルを重ねたネットワークエンジニアの場合、500万円以上の年収を得ることも可能です。どれくらいの規模の会社に就職するか、ネットワークエンジニアとしてのスキルをどの程度向上させるかによって年収は大きく変わってきます。
ネットワークエンジニアの仕事のやりがい
ネットワークエンジニアには専門的な知識や経験が必要になりますが、どのようなやりがいがあるのでしょうか。詳しく解説します。
専門分野でのスキルアップが目指せる
ネットワークエンジニアは専門性の高い仕事です。一人前になるまでには多くの時間と経験が必要になりますが、努力を続けることで専門分野でのキャリアアップが目指せます。
スキルと経験を積めば、公的機関の大きなプロジェクトなどにも声がかかるようになり、数億円単位の業務を担当することもあります。大きなプロジェクトで設計や構築を任されるのは、大きな責任を負うことになりますが、それだけやりがいを感じることができます。
また、ネットワークエンジニアの仕事にはチームワークも必要です。大きなプロジェクトになると100人程度のスタッフが関係することもあり、他のスタッフと連携しながら問題を解決していくとき、自分のスキルと経験が役に立っているという実感を得ることができます。
専門性の高い分野において、スキルアップしていくとき、これからもネットワークエンジニアとして成長していきたいという気持ちになるでしょう。
熟練した経験と技術があれば年収1,000万円以上も可能!
ネットワークエンジニアとしてスキルを向上させていくことで、キャリアアップして高額な年収を得ることも可能です。例えば、ITスペシャリストの平均年収は700万円程度になっており、大幅なステップアップも可能です。ネットワークエンジニアが大きくステップアップするためには、IT関係の資格を取得しておくといいでしょう。
IT関係のスペシャリストとして認知してもらうためには、システムの構築スキルやシスコ製品に関する知識、プロジェクトマネジメントスキルなどがあると高い評価を受けることができます。これらに関係する資格を持っておくと、大規模なプロジェクトでITエンジニアとして声がかかるかもしれず、もしそうなれば年収1,000万円以上も夢ではありません。
また、ITの技術は国内だけでなく世界で必要とされており、特に欧米では需要が高いと言われています。将来、海外で自分のスキルを開花させたいと思っている人や高い年収を貰いたいと思っている人にはおすすめの仕事です。
システムが完成した時に達成感を得られる
エンジニアに共通するやりがいとして、システムが完成した時に協力した仲間と共に喜びを分かち合い、やりがいを感じることができます。大きなシステムプロジェクトであれば1年以上の期間をかけて完成まで仕事を続けます。
規模が大きくなればサーバーの台数も増え、ネットワークエンジニアが担当する業務内容も膨大な量になります。関係する部署、スタッフと一致団結して問題を解決し、ネットワークシステムを完成させたときは大きな喜びを感じると共に、やりがいも実感できます。
仲間と一緒に喜びを共感できるというのは、ネットワークエンジニアとしてのモチベーションを維持するうえで重要な要素になります。
機器に触れることでやりがいを感じる
IT業界の仕事は目に見えない業務が多く、コンピューターと向き合って作業することが多いものです。ネットワークエンジニアもコンピューターと向き合って仕事しますが、構築作業や検証作業の時には機器に触れることができます。
実際に手を動かして作業することによって、ネットワークエンジニアとして働いているという実感を得やすくなります。
ネットワークエンジニアはルータやスイッチなどの点検作業を行いながら問題を解決し、システム全体のバランスを図りますから、機械に触れるのが好きという人や実験や検証作業が性に合っているという人には、大きなやりがいになります。
国際レベルでの仕事ができる
ネットワークエンジニアの仕事は国内だけに留まらず、海外とのやり取りも多く行われます。新しいネットワークを構築するために、アジア、ヨーロッパ、アメリカなどのスタッフとやり取りを行って作業を進めることもあります。
日本のエンジニアのレベルは高いといわれていますが、世界の技術力から学べるものもたくさんあります。英語という壁があっても試行錯誤しながら、多国籍なスタッフと作業を進める時、国際レベルの仕事に参加できるているという実感を持つことができ、ネットワークエンジニアとしてのやりがいを感じることが可能です。
ネットワークエンジニアのキャリアアップに必要な能力
ネットワークに関する総合的なスキルと知識が求められる
ネットワークエンジニアがキャリアアップするためには、要件定義から監視業務までの作業を担当できるようになるため、ネットワークに関する総合的なスキルと知識が必要です。
例えば、無線LANやDNS(Domain Name System)、Webサーバーに関する知識は必須となっており、クラウド操作に関するスキルも必要です。
エンジニアとして得意な分野を持つのはいいことですが、幅広い仕事内容に対応できるように備えておけば、ネットワークエンジニアとしてキャリアアップするきっかけを得ることができます。
ネットワークエンジニアには、コミュニケーション能力が必要
ネットワークエンジニアはIT業界の中では人と接する機会が多い仕事です。設計や提案を行うネットワークエンジニアの場合、クライアントと意思を図り、どのような設計にしていくのかを話し合う必要があります。
また、構築や保守の項目では、マネージャーや設計者と意思を交換しながら作業を進めていきます。時には、利用者のトラブルに対応し、解決策を提示することも求められます。
ネットワークに関する基本的な知識がない人に専門用語を使って説明しても理解してもらうことは難しいので、相手に合わせたコミュニケーション能力が必要です。
ネットワークエンジニア自身がたくさんの専門知識を持っておくことに加えて、他の人に分かりやすく、的確に説明する能力が必要です。
ネットワークエンジニアの仕事内容まとめ
専門的な知識が求められるが、キャリアアップが期待できる、やりがいのある仕事
ネットワークエンジニアの仕事内容を端的にまとめると、ネットワークシステムを構築する仕事と言えます。
快適で安全なネットワーク環境を維持するためには、ネットワークエンジニアの存在は欠かせません。
ネットワークエンジニアは高い専門性と知識が必要となりますが、キャリアアップも可能ですし、高額年収も目指せるので、とてもやりがいのある仕事です。
ネットワークエンジニアという仕事に関心のある方は今回の情報を参考にして、自分の夢を叶えてください。
ネットワークエンジニアの参考情報
平均年収 | 350万円〜600万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | コンピューター |
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