メンタルトレーナーになるには?必要資格や向いている人の特徴などを具体的に解説
メンタルトレーナーになるには、何が必要なのでしょうか?メンタルトレーナーは、昔からスポーツ選手などアスリートに対し精神鍛錬の指導を行ってきました。しかしこれからはアスリートのみならず広く一般の人々に対し手腕を振るうことが期待され、社会的役割も大きい仕事です。今回は、メンタルトレーナーに向いている人の適性や、必要な能力、なるための方法についてご紹介します。
メンタルトレーナーになるには何が必要?
クライアントの自律的な心理的コントロールを促すことが目的
メンタルトレーナーが行うメンタルトレーニングは、宇宙飛行士の心理的コントロールをルーツとして、主に世界を股に掛けて活躍するアスリートたちの精神的な調整やセルフコントロールの習得を目的として、大きく研究が発展してきた歴史があります。
アスリートに対するメンタルトレーニングは、歴史的に見ても欧米諸国を中心として長年実施されてきました。しかし、そうして構築してきた理論や技能を広く一般の人々を対象にして、幅広い立場にある人々へ応用することが近年殊に求められています。
メンタルトレーニングは、例えばフィットネスジムでのトレーニングや医療機関におけるリハビリテーションのように、一方通行のアプローチで行う「治療」という側面のみならず、ひいてはクライアント自身がメンタルトレーニングを身につけ、実践していけることが最終目標となります。
なので、主体はあくまでクライアントにあり、必要な期間が長期的にせよ短期間にせよ、クライアントの自律的なメンタルトレーニングを定着させることを目的とする仕事です。なので、一方通行的な指導で終わるのではなく、クライアントが求めるメンタルトレーニングをクライアント自身が実践できるよう導いて行く必要があります。
人間の心理的、生理的機能に関する深い理解が不可欠
人間が一人ひとり違うように、その人に必要なメンタルトレーニングも一人々々異なります。メンタルトレーナーは、クライアントがなにを求めているのか、何を目的に、どれくらいの期間トレーニングを行うかを、クライアントとしっかり話し合って、最適なトレーニングプログラムを策定する必要があります。
そのためには、人間の心理的、生理的、身体的な諸機能に対する深い知識と理解が必須となります。学問としては、心理学、生理学、解剖学、内外科学、スポーツ科学、社会学など必要な知識は多岐に渡ります。
人間の体内外における様々な状況を、クライアントとのカウンセリングを通して的確に見出して行くために、非常に多様な専門知識を身につけていないといけません。そのために、学会基準のメンタルトレーニングに関する資格(スポーツメンタルトレーニング指導士など)は大学院修了などの高い学歴が求められます。
メンタルトレーナーの仕事をする上で資格取得は必須ではありませんが、メンタルトレーナーとして長く食べて行くためには、相応の専門知識と、それに基づいたスキルが必要です。
メンタルトレーナーに向いている人、適性がある人
コミュニケーション能力が高く、聞き上手な人
メンタルトレーナーは、先に説明した通り、クライアントによって異なるメンタルトレーニングプログラムの作成をしなければなりません。
そしてそのプログラムは、クライアントがどういった精神状態をどう変えて行きたいのか、どの程度の期間にわたってそれを維持すればいいのか、ということを深く理解した上で適正に設定されなければならず、必ずしも既存のセオリーに当てはまるとは限りません。
メンタルトレーナーは、人の数だけあると言っても過言ではない、非常に多岐に渡る対応をその都度生み出していかなければならない大変難度の高い仕事です。まずはクライアントとしっかり面接し、話を聞く必要があります。
要望に応じた適正なメンタルトレーニングを指導し、最終的にはクライアントが主体となって取り組むことができるトレーニングプログラムを提案することが重要となりますから、まずクライアントが継続的に実践不可能なものであってはいけません。
あくまでもクライアントが習得できるものであって、かつクライアントの要望にしっかり合った内容でなければなりませんので、クライアントとのやりとりを通して適正なトレーニングを提案できるように、何が問題なのかをしっかり聞き出せるコミュニケーション能力が必須となります。
そして、カウンセリングにおいて大切なのは、相手の話を聞く能力です。これを専門用語で「傾聴」と「共感」と言いますが、文字通り耳を傾けて、クライアントの話を深く聞くことによって、心理状況を把握する必要があります。聞き上手な人は、メンタルトレーナーに向いています。
言葉の裏に隠された真の問題点に気づくことができる洞察力のある人
クライアントの要望に応えることも大切ですが、一方でクライアントが自覚して言葉にしている問題と、根本的な解決を阻害している問題が別である可能性もあります。こうした場合、クライアントの言う通りにしたメンタルトレーニングを提案しても、全く問題が解決しない可能性があります。
セオリーにクライアントを当てはめてはいけないのは勿論、クライアントの言いなりになってもいけません。クライアントが必要と思っている解決法と、本当に必要な解決法は別である可能性もあるからです。
こうした点もしっかり意識しながら、言葉尻に惑わされず、相手の言葉の裏に隠された真意はどこにあるのか、ということを把握できる洞察力のある人が、メンタルトレーナーに向いています。
中長期的なメンタルトレーニングを指導できる、根気強さを持った人
試合直前のアスリートなど、短期的なメンタル調整のためにメンタルトレーナーが就く場合もありますが、基本的には心の問題は中長期的なトレーニングが必要になると思ってください。また、メンタルトレーニングプログラムを組み立てる前に、問題点を明確にするまでにも、それなりの回数のカウンセリングが必要になる場合が多いです。
こうした性格がある以上、メンタルトレーナーには根気強さが重要になります。本当にこのメンタルトレーニングが最適なのかを、中長期的な時間に渡って、最後まで疑いながら、日々のトレーニングとその振り返り、アフターフォローなどを通じて、辛抱強く動向を見守りながら指導を行っていくことが求められています。
アスリートでもビジネスマンでも、心理的問題を抱えているということは非常に繊細な精神状態になっていますので、短期的な解決を求めてピリピリしている可能性があります。急かすクライアントを落ち着かせ、じっくりと問題の洗い出しと適正な指導の提案を行い続けることが必要です。
メンタルトレーナーになるための学校等
体育系、心理系の大学への進学で深い教養を身につけよう
メンタルトレーナーになるのに、資格取得は必須ではありません。しかし、メンタルトレーナーとして的確な仕事を行っていくには、心理学的な側面だけでなく、身体機能や生理機能に関する深い教養が必須となります。
また、学会が認定するスポーツメンタルトレーニング指導士などの資格では、スポーツ心理学分野や体育、心理学などの関連分野において大学院修了と、学術的な研究成果などの業績、所定の指導実績など、高度な水準が求められます。
国際的な学会とも繋がりのある、歴史的にも古い機関が認定していますので、真のメンタルトレーナーとして、高い意識とスキルを持って仕事をして行くのなら、大学のみならず大学院で修士号を取得しなければなりません。
今は所定のカリキュラムを受講すれば資格が取得できる敷居の低い民間資格も乱立している状態ですが、将来的に国家資格など高いレベルの知識や技能が要求される資格に統一される可能性もあります。
それを見越して、最低でも4年制大学、理想を言えば大学院への進学をして、生理学や心理学に関する専門分野を深めておくことが重要となります。
メンタルトレーナーになるには?まとめ
今後需要は確実に伸びて行く、社会的意義の大きい仕事
近年は様々な業種においてうつ病やハラスメントなどが問題となっていて、適正なメンタル管理がより一層求められてきています。スポーツの分野のみならず、ビジネスマンや経営者、学生、主婦などの多様な人々にメンタルトレーニングが必要となってきています。
こうした多様な需要に応えて行くことこそがこれからのメンタルトレーナーに必要なことです。まだ発展途上の職種だからこそ、今のうちから高い意識とスキルを積み上げて行くことが大切です。
メンタルトレーナーの参考情報
平均年収 | 300万円~500万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | 心理・福祉・リハビリ |
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