メンタルトレーナーの資格・試験とは?取得しておくと役立つ資格の特徴などを解説

メンタルトレーナーの資格・試験とは?取得しておくと役立つ資格の特徴などを解説

メンタルトレーナーの仕事自体には、資格の取得などは必須ではありません。しかしまだ専任のメンタルトレーナーは多くない為、関連職の人が資格取得によって精神鍛錬のスキルを示す場合が多いです。今回は、メンタルトレーナーに関する資格を取得する方法や、認定試験の情報をご紹介します。

メンタルトレーナーの資格とは?

メンタルトレーニングの歴史

メンタルトレーニングはもともと旧ソ連において1950年代に、宇宙飛行士に対する精神強化や心理的・生理的なセルフトレーニングを促すために開発されたと言われています。当時宇宙はまだまだ未知の世界でしたから、有人宇宙飛行には多大なストレスがかかっていたことが想像できます。

旧ソ連におけるメンタルトレーニングのスポーツへの応用は1957年ごろにはじまり、選手の実力発揮を阻害する精神的不安や恐怖心といったものを無くす事を目的として、およそ半年にわたる基礎メンタルトレーニングを経て、毎日の練習スケジュールにメンタルトレーニングを組み込むというものでした。

メンタルトレーニングが普及したのは、1972年のミュンヘンオリンピックや1976年のモントリオールオリンピックにおいて、早くからメンタルトレーニングを取り入れていた旧ソ連、旧東ドイツが顕著な成績向上を果たしたことが要因として挙げられます。

当時、この2国のメダル獲得数がアメリカを大きく追い越したことから、ドーピング疑惑が取り沙汰されましたが、これに対し旧東ドイツが心理学的なトレーニングの成果である事を報告しました。

また同時期の70年代に集中力やイメージトレーニングの重要性がアメリカの博士によって説かれていたことから、アメリカやカナダが本格的に導入し始め、実際に1984年のロサンゼルスオリンピックにて大きな成果が出たことから、メンタルトレーニングが世界的な注目を集めることとなりました。

日本でも1980年代から研究や普及活動が進み、2000年のシドニーオリンピックにおいてようやく日本のスポーツ界でもメンタルトレーニングが導入され、また同年に、日本スポーツ心理学会が認定する「スポーツメンタルトレーニング指導士」の資格制度が始まりました。

メンタルトレーナー養成に繋がる資格はいくつか存在する

メンタルトレーニングは、このように欧米の諸外国ではスポーツ心理学と結びついて発展してきた歴史があり、欧米においては80年代頃から「国際メンタルトレーニング学会(ISMTE)」「国際応用スポーツ心理学会(AASP)」などの国際的なメンタルトレーニングに関する学会を設立しています。

メンタルトレーナーは、アメリカやドイツなど諸外国では既に地位が確立されている仕事であり、研究も進んでいる分野ですが、日本ではまだまだ専門家が少なく、研究も発展途上となっています。

メンタルトレーニングはスポーツ心理学と結びついて発展してきた歴史があり、アメリカでは、資格制度や大学の養成プログラムがしっかりと整備されています。アメリカでメンタルトレーニングを主体としたスポーツ指導を行うためには、スポーツ心理学を専攻し大学院を修了する必要があるなど、ある程度の専門性が担保されています。

日本においてもいくつかメンタルトレーニングに関する資格は存在しますが、いずれも国家資格ではなく民間資格です。代表的なものでは、前述の日本スポーツ心理学会による「スポーツメンタルトレーニング指導士」が挙げられます。

メンタルトレーナーに役立つ資格「スポーツメンタルトレーニング指導士」

スポーツメンタルトレーニング指導士 資格の概要

スポーツメンタルトレーニング指導士は、競技力向上につながる心理的スキルを中心とした指導や相談を行う、専門的な学識と技能を有する専門家として、日本スポーツ心理学会が認定する資格です。

スポーツメンタルトレーニング指導士の資格を得るためには、まずは一定の条件を満たし、受験資格を得る必要があります。受験資格を得るために必要なステップとしては、「日本スポーツ心理学会の会員として2年以上在会すること」、「原則として大学院でスポーツ心理学あるいは関連領域(体育・スポーツ科学、心理学など)を専攻し修士号を取得すること」が挙げられます。

また、「学術上の業績5点以上、研修実績10点以上、指導実績30時間以上、本学会の講習会の受講、スーパーヴィジョン1回2時間以上を受けていること」といった、学会所属を前提とした様々な条件が追加で課されます。

スポーツメンタルトレーニング指導士 認定試験について

認定方法は筆記試験や実技試験などではなく、まずは書類審査が行われます。資格取得希望者が申請書類を提出し、その書類を元に書類審査を受ける形になりますが、その中には履修単位、学術上の業績、研究実績、指導実績などが盛り込まれています。

書類審査に合格したら、資格取得講習会を受講し、さらにスーパーヴィジョンと呼ばれる一種の研修を受けることで、スポーツメンタルトレーニング指導士の資格が与えられます。スーパーヴィジョンとは心理学、介護、教育に関する専門用語で、資格取得済みの指導者によって規則的に面接が行われ、また指導者の指導に基づいた継続的な専門的訓練を積む過程を指します。

スポーツメンタルトレーニング指導士は、等級が設定されていて、「スポーツメンタルトレーニング指導士」「スポーツメンタルトレーニング上級指導士」「スポーツメンタルトレーニング名誉指導士」の3等級が存在します。

先に挙げた認定要件は通常の「スポーツメンタルトレーニング指導士」のもので、他の2つは認定要件が異なります。例えば「スポーツメンタルトレーニング上級指導士」の場合は、「指導士の資格を持つ者」かつ「学術上の業績25点以上、研究実績30点以上、指導実績100時間以上」等の要件を課され、更には5年ごとの資格更新時に都度書類審査が行われます。

「スポーツメンタルトレーニング名誉指導士」は、スポーツメンタルトレーニング分野において顕著な活動実績、学術上の業績を挙げた人が対象となります。

申請者に対する合格者の割合は公表されていない

日本スポーツ心理学会内における認定制度なので、合格率などは基本的に公開されていません。また、純粋な検定試験ではなく、これまでの実績や指導経験を問う書類審査が中心となるため、明確な合格基準は業績数と指導実績時間数のみで、それ以外の基準は専門家による審査如何によるもので、外部の人間からはわからない基準によって決められていると推察されます。

なので、基本的には難易度は不明ですが、まず大学院の修了が必須で、学会に所属して学術的な研究発表などによる業績が求められる時点で、相当難しい資格であることは明確であると考えられます。

その他のメンタルトレーナーに関連する資格

メンタルトレーニング・応用スポーツ心理学研究会の認定資格

日本には、日本スポーツ心理学会の他に、東海大学に本部を置く「メンタルトレーニング・応用スポーツ心理学研究会」という組織が存在し、こちらも古くからメンタルトレーニングに関して研究実績のある組織です。全国に支部が存在する大規模な研究会となっています。

こちらは日本スポーツ心理学会によるスポーツメンタルトレーニング指導士の資格よりも早く、1996年の国際メンタルトレーニング学会による資格制度の始まりを期に、英語での資格取得が難しい日本人でも取得できるように内部基準による認定資格制度をスタートさせました。

国際メンタルトレーニング学会からの要請でスタートした組織であり、国際応用スポーツ心理学会を手本に設立され、国際的な基準においてメンタルトレーニングの専門家の育成や、メンタルトレーニングの普及に努めています。

特に資格の名称はなく、「メンタルトレーニング指導の専門家」としての認定を、メンタルトレーニング・応用スポーツ心理学研究会内部で行うものですが、当学会は日本スポーツ心理学会のメンタルトレーニング指導士資格も併せて取得するよう呼びかけています。

この認定資格は主に研究会が実施する所定の講習会や研修を、所定の単位数修了する事によって与えられます。基準としては、300単位取得した者は「準指導員(メンタルトレーニングコーチ)」とし、1,000単位取得及びメンタルトレーニング指導士の資格を併せて取得した者は「正指導員(スポーツ心理学コンサルタント)」として認定されます。

更にその後、2,000単位を取得した者に対し「プロ基準」を認定する、と言ったように、継続的な研修受講によって、認定資格のレベルが向上して行きます。併せてメンタルトレーニング指導士の資格も取得させる事で、公的にも認められる資格になり得る工夫を凝らしています。

この学会は非常に自らの専門性を誇りにしている性格があり、「メンタルトレーナー」という呼称を認めない、と公式ホームページにおいて宣言しています。

その他メンタルトレーナーの名を冠する民間資格

その他、様々な団体がメンタルトレーナーの名を冠する認定資格制度を発足させており、例えば日本心理学アカデミーによる「メンタルトレーナー」資格があります。こちらは等級が3つあり、3級、2級、1級の順番に難しくなっています。所定の受講料を支払って講座を受講すれば取得できる簡易的な資格制度です。

他にも、一般社団法人メンタルトレーナー協会が主宰する「メンタルトレーナー」資格制度があり、こちらも3級〜1級まで等級が別れており、所定のメンタルトレーニング検定取得セミナーが実施されていて、所定のカリキュラムを受講し修了する事で取得できます。こちらは1級にて実技スキルチェックを受検することが特徴的です。

その他、リコレクト・メンタルトレーナースクールによるメンタルトレーナー資格講座や、H.Y.L. Academyによるメンタルトレーナー養成講座などがありますが、こちらも所定の受講料を支払い、養成コースを修了することによって資格取得が可能です。

基本的に誰でも受講が可能なので、日本スポーツ心理学会など学会基準のものに比べて、これらの民間資格はかなりハードルが低く設定されている印象です。

メンタルトレーナーの資格を取るための学校

学会基準の資格とスキルを得るなら、大学院への進学は必須

先に見てきた通り、メンタルトレーナーの仕事を行うにあたり、資格取得は必須ではありません。しかし肩書きを重視する日本社会において、認定資格を取っておくと大きな強みになります。

日本スポーツ心理学会によるメンタルトレーニング指導士の資格を得るためには、まずはスポーツ心理学、またはスポーツ科学・体育、心理学などの分野において大学院を修了する必要があります。

学会基準の資格取得にはスポーツ指導実績やメンタルトレーニングにおける学術的な業績が必要になりますので、まずは学会に所属し研究発表を行い、併せてスポーツ心理学関連領域における指導実績を積み上げる必要があります。

学会基準の資格を取得するつもりがなければ、基本的には大学の進学などの要件は関係なくなりますので、志望者それぞれのキャリアプランに応じて、例えばメンタルトレーナー養成講座を受講するなり、メンタルトレーナースクールに通うなりして、専門知識を磨いていけば良いです。

しかしメンタルトレーニングには高度な専門知識が要求されますので、最低限、スポーツ心理学やスポーツ科学、体育学などを学べる学校、専門学校でもいいですができれば大学への進学をしておくと、進学後により深く専門知識を学びたい、学会基準の資格を取りたいとなった時に選択肢が広がります。

日本ではまだまだ資格は整備されておらず、様々な民間資格が乱立している状態です。この状態が専門家ごとの認識の違いや誤解を生んでおり、時に混乱をも招いています。現在は様々な手法で資格取得が可能ですが、今後国家資格等の形で明確に整備される可能性があります。

メンタルトレーナーに関する資格・試験まとめ

資格は必須ではない!だからこそ専門知識をしっかり磨こう

メンタルトレーナーとして勤めるにあたり、日本では資格が必須ではありません。なので民間資格が乱立している状態ですが、資格講座を受講すれば取得できるものと、学会基準のもので、レベルやスキルに大きな差が開いている状態です。

こうした状態がメンタルトレーナーのスキルの差や仕事の誤解など混乱を招いているのも事実であり、アメリカがそうであるように今後明確な資格基準に統一される可能性があります。そういう大きな動きが生まれても通用できるよう、しっかりと専門知識を磨いておくことが肝要です。

メンタルトレーナーの参考情報

平均年収300万円~500万円
必要資格 必要資格なし
資格区分 -
職種心理・福祉・リハビリ

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