舞妓さんの資格試験とは?舞妓になるための試験難易度、合格率

舞妓さんの資格試験とは?舞妓になるための試験難易度、合格率

きらびやかな京の華として世界的に注目を集めている舞妓。その舞妓になるためには年齢制限やキャリアなど、現代の一般的な資格とは大きく異なる厳しい制限があります。舞妓になるためにはどのような条件があり、どのような資格・試験が必要なのかご紹介します。

舞妓の資格とは?

舞妓になるためには、特定の機関や業界が定めた資格を取得するといった仕組みはありません。京都ならではの舞妓育成のシステムにより、厳しい教育と徹底的な現場実習によって鍛え上げられ、周囲に認められることで舞妓・芸妓として独り立ちしていきます。

舞妓になるまでの道のり

舞妓は希望したその日からなれるものではなく、数年間にわたる芸事や礼儀作法といった修行を重ねていく必要があります。

置屋の女将さんが判断

舞妓になるためには、まず「置屋」と呼ばれる、舞妓・芸妓専門の養成所兼芸能事務所に所属します。

置屋に入るには15~20歳の女性という年齢・性別の制限があります。また、希望すれば誰でも入れるわけではなく、置屋を束ねる女将さんが面談を通じて直接判断し、認められた場合にのみ所属を許されます。

舞妓は芸妓遊びのできる花街で、社会的立場の高いお客を相手にすることから、立ち居振る舞いや言動には細やかな注意が求められます。そのため、長年芸事の世界において培った目で見極めた、舞妓・芸妓として独り立ちできる素質がある女性だけを迎え入れるのです。

仕込み~見習い~見世出し

芸妓の世話をする「仕込みさん」

置屋に所属すると、最初は「仕込みさん」と呼ばれる修行から始まります。この仕込み期間はTシャツにジーンズといった動きやすい服装で、化粧もしません。髪の毛は舞妓になる時に備えて伸ばし始めます。

この期間は日本舞踊や和楽器、華道・書道といった芸術、礼儀作法や言葉遣いなど、様々な分野について徹底的に仕込まれる時期であり、約1年間の間に舞妓として必要となる知 識・技術を身につけます。

その修業は大変厳しいものであり、この期間に志半ばにして辞めていく人も多いようです。

舞妓になるための「試験」

約1年の仕込み期間が終わるといよいよお座敷デビューとなる「見世出し」の日が決まり、舞妓としての技量が十分な水準にあるかを確かめる試験が行われます。

この試験は客が舞妓・芸妓を呼んで宴席を楽しむ場所である「お茶屋」の代表が試験官となり、2曲の課題曲の舞を踊れるかを試験します。この試験で無事に認められれば、いよいよお座敷に出ることになります。

「見習いさん」を経て「見世出し」

お座敷デビューとはいえ、客の前でいきなり芸を披露するわけではありません。1ヶ月ほどの間、「見習いさん」として先輩芸妓についてお座敷を見学させてもらう期間があります。見習い期間が始まると服装は普段着から着物になり、髪も結ってお座敷に出るようになります。

見習い期間が終われば、ついに舞妓としてのデビューです。正式な舞妓として初めてお座敷に出ることを「見世出し」といい、きれいな着物にだらりの帯、花かんざしと舞妓らしく着飾ります。厳しい修行を経て、ようやくここで舞妓となれるのです。

芸妓になるための修行期間

舞妓になるための修行期間である「仕込み」の期間はおおよそ1年といわれていますが、これは花街により差があるようです。

京都には「上七軒」「先斗町」「宮川町」「祇園甲部」「祇園東」の5つの花街があり、総称として「五花街」と呼ばれています。舞妓希望者はこれらの花街にある置屋のいずれかに所属しますが、花街ごとに修行期間は異なります。

おおよそ1年間としている花街がほとんどですが、祇園東・上七軒は最短半年ほどで試験を実施するので短めですが、逆に祇園甲部はじっくり1年以上かけて修行するという、やや長めの花街もあります。

舞妓の資格試験の難易度・合格率

では実際に舞妓になるための難易度、また合格率はどの程度なのでしょうか。

制度としての資格はない

舞妓には公的機関等から認定されているような検定資格のようなものはありません。舞妓において検定といえるものは、置屋の女将さんから修行の成果を認められ、お茶屋の前で舞のテストを行うことにあたります。

女将さんの面談が最初のハードル

舞妓になるための最初のハードルは、置屋の女将さんとの面談で認められることといえるでしょう。

女将さんが見るのは厳しい修行に耐えられる根性があるか、お客様の前に出しても恥ずかしくない人間性であるか、お客様にかわいがってもらえる器量と愛嬌があるかといった、人間としての資質です。

女将さんからしても、大事な他所様の娘を預かる責任もあり、また途中で辞められたりお客様に迷惑をかけるといった問題を起こされるのは信用に関わるため、厳しい目で見ざるを得ません。

どんなに舞妓になることを望んでも、女将さんのお眼鏡にかなわない限り、舞妓への道の入口にすら立てないでしょう。

試験自体の合格率は高い

無事に置屋に所属ができれば、厳しい修行が待ってはいますが、あとはほぼ一本道と言ってよいでしょう。具体的な試験合格率は発表されていませんが、修行の成果を見たうえで女将さんが合格できると判断して初めて試験となるため、合格率は高いと考えられます。

ただし、舞妓となった後も客に喜んでもらうため、芸妓という次のステップに進むための修行は終わりません。その時点では、長く厳しい芸の道はまだ始まったばかりなのです。

その他の舞妓関連資格

舞妓を卒業して芸妓へ

京都の花街といえば舞妓が注目されますが、舞妓は「芸妓」になるための準備期間を指しており、20歳を過ぎた後は芸妓への道を進むことになります。

芸妓には舞踊を主とする「立方(たちかた)」と、長唄や三味線など音楽を主とする「地方(じかた)」に分かれます。

舞妓を卒業する時にどちらの芸妓になるかを選択し、本格的な花街の女性としての道を歩んでいくことになります。

国際化・観光地化に適応するための語学

かつては京都の花街といえば「一見さんお断り」の文化が有名でしたが、現在では国内だけでなく海外からの観光客も増えているため、観光客向けのサービスが増えてきています。

今後は海外からの観光客増加を見据えた、外国語を話せる舞妓・芸妓の需要が高まっていくことでしょう。

舞妓の資格が取れる学校

舞妓の資格は学校では取得できませんが、舞妓になるための訓練を行う学校があります。

技芸学校

京都市内は「技芸学校」があり、舞妓・芸妓の芸事の稽古の場となっています。その生徒は舞妓・芸妓を目指す人だけでなく、すでに舞芸妓となっている人も含まれています。

舞妓・芸妓である限りは生徒になる資格があるため、その年齢は仕込みになりたての15歳から70歳代の大ベテラン芸妓まで様々です。また、技芸学校は花街ごとに通う学校が決まっています。

入学条件が舞妓・芸妓であることや、置屋に所属していることと定められているため、舞妓・芸妓になるつもりがない人は入学することはできません。

需要が広がる語学

海外からの観光客の増加を見据え、英語や中国語といった語学を学んでおくことは大きなメリットとなるでしょう。ただし、舞妓になれるのは15歳~20歳とかなり年齢制限が厳しいため、専門学校で学ぶだけでなく語学留学といった短期間での習得を考えるのもよいでしょう。

舞妓の資格まとめ

舞妓になるためには、京都の置屋に所属し、厳しい仕込み期間を通じて技術や心構えを学ぶ必要があります。古くから受け継がれてきた日本芸能の世界を守り、広げていくために必要な仕組みといえるでしょう。

舞妓になるために、中学卒業後にはその世界に飛び込まなければならないため、若すぎる時期に大きな決断を迫られますが、一般的な他の職業では決して体験することのできない世界を見ることができるでしょう。

舞妓の参考情報

平均年収-
必要資格 必要資格なし
資格区分 -
職業職種芸能

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