キックボクサーの給与・年収は?収入源は、ほぼファイトマネー次第という厳しい実情
キックボクシングは熱狂的な支持者を多く持つ人気格闘技です。過酷な減量やリング上の死闘など非常にハードな仕事である印象がありますが、キックボクサーはどれくらいの年収を得ているのでしょうか。今回は、キックボクサーの給与・年収の詳細を紹介していきます。
キックボクサーの「給与」事情
キックボクサーに定期的な「給与」は存在しない
キックボクサーには、定期的な給与というものが存在しません。キックボクサーとして得られる唯一の収入は、試合を行うことによって獲得できるファイトマネーだけです。
新人の頃は勿論ですが、知名度を挙げてプロになって、さらには日本チャンピオン、世界チャンピオンになっても、その状況は変わることなく、ただファイトマネーのみで、その身を粉にして試合に挑むことでしか収入を得ることはできない、非常に厳しい世界です。
唯一幸いといっていいのが、獲得タイトルや勝利実績などによってファイトマネーの金額を増やすことが可能なことです。しかしながら、いくらファイトマネーを増やせても、タイトルを防衛できなかったらファイトマネーは途端に急降下します。
そのためキックボクサーは、常に勝ち続けなければなりません。常に戦い続け、タイトルを得たら、身体が許す限り、何度でも防衛戦に出て、防衛し続けなければなりません。そして、防衛しきれなくなった時、試合に出られなくなった時、容赦無くキックボクサーとしての生命は絶たれます。
キックボクサーと違い、例えばプロレスラーなどは、所属しているプロレス団体から一定程度の給与が定期的に支払われます。プロレスはあくまで興行として、エンターテインメント要素も色濃く試合を行っているので、試合の成績や人気の有無によってインセンティブも発生する場合があります。
しかし、キックボクサーにはそういった待遇はほぼありません。団体は、マネジメント代行などは取り計らってくれますが、給与の支払いはないどころか、むしろファイトマネーから一定の割合が団体によるマネジメント料として差し引きされてしまいます。
サラリーマンのように一定の給与もない、昇級や賞与といった特別な手当もない、役職に就くこともない、己の肉体と、戦績だけが全ての世界。キックボクサーの世界は、非常に厳しく、過酷です。
プロのキックボクサーになるにはプロテストに合格する必要がある
日本のキックボクシング業界においてプロのキックボクサーになる為には、キックボクシングジムに所属した上で、国内に様々にあるキックボクシング団体が実施する認定試験(プロテスト)に合格し、プロのキックボクサーライセンスを取得することが必須条件となります。
プロキックボクサー候補生が乗り越えなければならない道としては、まずキックボクシングのジムに所属し、練習生として一定期間トレーニングを積みます。その後アマチュアのキックボクシング大会への出場が許され、そこで一定以上の成績を収めます。
キックボクサーのプロライセンス認定試験を受けられるのは、アマチュアボクシング大会で一定以上の勝利を獲得した者の中で、ジム側から声を掛けられた者のみです。一種の推薦制度のようなものが出来上がっています。
キックボクシングは、ボクシングと違って、ライセンスを統括する組織がありません。そのため、国内に複数ある団体ごとに、プロライセンスを発行しているような状況です。なので、比較的プロライセンスは取りやすいと言われています。
しかしプロテストに合格するまでの期間、すなわち練習生としてトレーニングを積み、アマチュア大会に出ている期間は、キックボクシングジムから給与が出ることは一般的にはありません。
むしろ、練習には月謝が発生し、プロテスト受験料もあるなど、出費ばかりが増えて行きます。そのため、他にアルバイトなどをしないと生活が成り立ちません。
キックボクシングのプロライセンスは、プロボクシングとは異なり、プロテストの受験に関して年齢制限は設けられていない団体が多いです。なので、社会人として働きながら、プロのキックボクサーを目指す為に練習生になる人もいます。
しかし経験ゼロの状態からプロテストに合格するまでに持っていく為には最低でも1年以上の練習期間が必要ですし、プロテストを受けるまでにアマチュア大会で一定の成績、実績を積で実力をアピールしないといけません。
社会人を続けながらプロボクサーを目指すのは、非常にハードな生活を覚悟しなければならないでしょう。
新人・中堅キックボクサーの平均年収
新人・中堅レベルのキックボクサーの年収は、50〜80万円
下積みを経てプロデビューを飾っても、キックボクシングの世界は団体が乱立し、その団体同士のマッチメイキングによって試合を重ねます。キックボクシングはタイの格闘技ムエタイをルーツとしていて、ムエタイそのもののルールの団体もあれば、K-1など独自の、オーディエンスに配慮したルールや派手な演出を盛り込む大会もあります。
団体によって少しずつルールも異なり、マッチメイキングが主といっても、キックボクサーの収入は特に新人の頃は厳しく、プロになったばかりの新人キックボクサーの場合、ファイトマネーの平均は50万円にも届かないと言われています。
収入源は1試合ごとに得られるファイトマネーのみなので、ファイトマネーが少ない間はできるだけ多くの収入を得るために試合に沢山出なければなりません。しかしキックボクシングの試合はそうそう回数があるわけではないため、どうしても収入は厳しくなります。
試合は多くても年間10試合程度で、1試合ごとのファイトマネーは数万円ですから、年収にして50万円にも届かないことも普通にあり得ます。これでは、到底キックボクシングだけでは生活ができません。こうした状態が長く続きます。
ファイトマネーは、どんな戦い方をしたか、どんな勝ち方をしたか、タイトルをとったか、などプロセスを重視して徐々に上がって行きます。中堅となると、ある程度は改善されるとはいえ、年収は50万円を軽く超える程度までにしか上がりません。
実績を積んだキックボクサーの平均年収
日本チャンピオンクラスのキックボクサーの平均年収
キックボクサーは実績が全てで、実績を基準にしたファイトマネーが収入の全てです。プロボクサーは日本トップクラスの実績を積めば、そのキャリアに応じてファイトマネーは高額になって行きますが、キックボクサーは実績を積み上げても、ファイトマネーはそこまで派手に上がらないと言われています。
団体によっても異なりますが、キックボクサーは日本チャンピオンレベルでも、年収は100万円をちょっと超えるかどうかであると言います。流石にK-1やKrushなどの大きな大会に出れば、1試合ごとに数十万円は保証されますが、それでも人気のある選手と、そうでない選手の差は歴然としています。
ですので、たとえ日本チャンピオンクラスのキックボクサーでも、副業を持ったり、アルバイトをしたりしなければ生活を維持していくことはできません。
人気キックボクサーになり大きな大会に出れば、収入は段違いに増える
キックボクサーの世界では、日本チャンピオンになっても俄然収入は厳しいままであることは先に見てきた通りです。なので、世界チャンピオンを目指さなければ食っていけないと言われます。
キックボクシングは、タイのムエタイを参考にして生まれた日本独自の格闘技です。しかし、K-1をはじめ世界でキックボクシングの人気は高まっていて、世界王者を目指す道も開かれています。
K-1など大きな大会で世界チャンピオンになれれば、もちろん選手の実力によって貰える金額はピンキリですが、かなりファイトマネーの額は上がるようです。
たとえばK-1 WORLD GPで史上初の2階級制覇を成し遂げた武尊選手によれば、ファイトマネーは世界王者クラスになれば1試合あたり3桁は行くとのことで、武尊選手の最高月収は1,000万円にも上ると言います。
それに加えて、トーナメントを勝ち抜くと賞金も出ます。この賞金がまた高いと言いますが、詳しくは公表されていません。武尊選手によれば、世界を制するか、それと同等レベルに人気が出れば、高級車が買えるくらいの賞金が出るようです。
人気が出れば、ファイトマネー以外にも副収入が得られる
キックボクサーとしての収入は、ファイトマネーのみであると繰り返し説明しました。しかし、キックボクサーとして人気が出て、世界を制するなどして自らの価値にブランドがつくのに従って、ファイトマネーやトーナメントの賞金以外にも、CM出演料やTV出演料、スポンサー契約料、広告料などが副収入として入ってくるようになります。
勿論、自らの意志でそうしたメディアや企業と契約すればの話ですが、人気のキックボクサーになれば、お金には困らなくなり、キックボクシングのみに専念できるようになります。
武選手は賞金やファイトマネーや賞金でベンツなどの高級車を買っているようですが、こうして聞くとプロのキックボクサーには十分夢があるということが出来ます。
しかしここまでのレベルに達することができるキックボクサーは本当に一握りです。そして、このレベルに達したとしても、基本的に安定した収入を得ることは不可能に近く、メディア出演料やスポンサー契約料なども、キックボクサーとして活躍できなくなれば、やがては途絶えてしまうものです。
タレント転向でもしない限り、一生安泰とまではいきませんし、そもそもタレントも安泰な職業ではありません。依然として、根幹としては厳しい業界なのです。
安定した収入を得ようと思ったら、キックボクサー志望の練習生が集まるキックボクシングジムのトレーナーになるしかありません。とあるジムの求人によれば月収は大体20〜30万円ほどとなっていました。
キックボクサーの給与・年収まとめ
短命で厳しい待遇 人気を出して短期間に巨額の収入を得る事が大切
キックボクサーは、実績が全てであり、ファイトマネーが全てです。しかし世界レベルの実力をつけて実績を重ねれば、スポンサーがつき、テレビ露出が増えてその分高収入を得ることも可能になります。実績を積めば収入は増えますが非常に短命で、20〜30代のうちに引退してしまう選手が多いです。
なので、世界レベルの実力にまで達したときに、いかに自身をブランディングして、短期間で巨額の収入を得るかが大切になってきます。勿論、そこまでの実績を積むこと自体非常に厳しいですが、しかし可能性はあります。相応の夢がある職業とも言えます。
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キックボクサーの参考情報
平均年収 | 50万円〜100万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 免許 |
職業職種 | スポーツ |
統計情報 出典元:
- 職種・性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
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