行司の資格・試験とは?入門が難しい相撲部屋と強い繋がりを持つ必要がある
力士の近くで伝統的な衣装を身にまとい、審判のような役割を担う行司を目にしたことがある方は多いでしょう。相撲の主役は力士ですが、その勝負を支える行司になるには、力士よりも狭き門を突破する必要があります。行司には、どのような資格試験が必要になるのか、また、どのような修行を積むのかをお伝えします。
行司の資格・試験とは?
行司に資格は必要ないが、年齢制限などの条件がある
日本の国技である相撲を取り仕切る行司になるには、特に決まった資格取得や試験を受ける必要はありません。しかし、伝統を重んじる相撲の世界では、行司になるための条件がいくつかあります。
行司になる条件
- 学歴は中学校卒業以上
- 19歳未満の男性
- 健康面において、相撲協会から的確と認められた場合
相撲部屋に入門することが重要
上記の条件を全て満たす必要があります。その上で、相撲部屋へ入門しなければ、行司になることはできません。さらに、入門した相撲部屋の推薦状をもって日本相撲協会の審査を通過する必要があります。
そのため、行司になりたい方は、まずは自分の年齢や健康面などが条件に当てはまるかを確認した上で、入門できる相撲部屋を探すことになります。条件の年齢を超えてしまった方は、残念ながら行司になるのは諦めなくてはいけません。年齢制限は19歳未満であるため、行司になるかどうか、かなり早い段階での決断が必要です。
また、運よく相撲部屋に入門できたとしても、すぐに相撲部屋からの推薦を得られる訳ではありません。最初の3年間は相撲部屋での養成期間となり、行司の見習いとして修行の日々が始まるのです。
力士と一緒に修行を重ね、相撲漬けの生活を送る
3年間の養成期間では、他の見習い力士と同様に料理を作り、先輩の身の回りのお世話や掃除などの雑用をこなします。加えて、相撲の歴史を学び、行司としての勝敗の見極め方、発声方法、相撲特有の字の書き方などを勉強します。
加えて、養成期間に初土俵を飾り、行司としての経験を重ねていきます。このように、相撲や行司の仕事に関わる修行だけでなく、それ以外の雑用までこなさなくてはならないため、他の力士とともに相撲部屋に寝泊まりし、朝から夜まで修行の日々を送ることになります。
一般的な資格や試験に合格するための学校とは違い、一日のほとんどを公私関係なく相撲に費やすことになります。そのため、本当に相撲が大好きで、心の底から行司になりたいという方でないと、修行の日々を乗り切ることは難しいでしょう。特に、行司の見習いとして修行を始めるのは、19歳未満の若い方のみとなっています。
一人前の行司になるまで十数年かかると言われており、長い年月を力士のように勝敗でモチベーションを高めることも難しいです。ただし、相撲に対して熱い情熱を注げる方であれば、相撲漬けの日々は充実したものになるでしょう。
同年代の力士に刺激を受けながら、憧れの先輩力士の取り組みを近くで見ることができるのは、行司ならではのやりがいになります。
行司の資格の難易度・合格率
先ほどもお伝えしたように、行司に資格試験はありません。しかし、行司には定員が決まっているため、毎年必ず採用があるとは限りません。1年に1名採用があるかどうかという状況です。
相撲部屋に入門するのは超難関
力士の場合は、相撲大会での実績などが認められれば相撲部屋に入門することができますが、行司の場合は実績を示すことができません。相撲部屋に入らないことには、行司の修行を積むことができないため、まずは、相撲部屋に入門することが必須です。
相撲部屋に入門するための方法
有力者に推薦してもらう
相撲部屋に関わる有力者から推薦してもらうことで、入門できる可能性が高まります。後援会の関係者など、親方との繋がりが強い人と繋がりを持ち、お願いできないか当たってみましょう。
相撲部屋を見学する
行司になりたいという熱意を伝えるには、実際に会って熱意を伝える必要があります。行司の定員に空きがない場合でも、数年後には空きが出るかもしれません。行司は65歳定年制であるため、どの行司がいつ定年退職するのか事前に知ることができます。
相撲部屋のホームページで所属する行司を確認する
大半の相撲部屋では、ホームページで力士や行司、床山の名前・経歴などを公開しています。生年月日も公表している場合が多いため、行司の定年退職がいつなのかを予測することができます。それに合わせて相撲部屋と繋がりを作り、熱意を伝えることで、次の行司候補として選んでもらえるかもしれません。
行司には番付があり、上位番付は狭き門
行司の番付は9種類
力士には幕内や大関、横綱などといった番付があることは知られていますが、実は、行司にも番付があるのです。
行司の番付
- 序ノ口格行司
- 序二段格行司
- 三段目格行司
- 幕下格行司
- 十枚目格行司
- 幕内格行司
- 三段格行司
- 立行司格式守伊之助
- 立行司格木村庄之助
行司の番付を上げるには、地道な努力と経験年数が必要
上記の番付は、下に行くほど階級が上がる仕組みになっています。まずは、一番低い階級の「序ノ口格行司」から始まり、日頃の働きが相撲協会の理事会などに認められると、一つずつ階級が上がっていきます。初土俵から十両格の行司になるのに約15年はかかると言われており、ある程度一人前と認めてもらうには、長い年月が必要になります。
また、行司の定員は全体で45名までと決まっており、階級によっては、さらに細かく定員が決められています。ちなみに、最も階級の高い「立行司格木村庄之助」は最大2名の定員です。さらに、行司の定年は65歳であるため、先輩のポストが空くまで待たなくてはいけません。それまでは経験を積んで、しかるべき時に昇格できるよう地道に努力する必要があります。
行司の資格が取れる学校
これまで、相撲部屋に入門し、修行を積むことが行司になる方法とお伝えしてきました。その修行の過程で、行司も「相撲教習所」に通う場合もあります。
相撲教習所とは
日本相撲協会が運営している新人力士のための施設です。両国国技館の敷地内にあり、設立60年の歴史がある教習所で、相撲部屋に入門した全ての力士は、半年間通う必要があります。この相撲教習所では、座学と実技が行われています。その中で、座学に関しては、行司も参加することができるのです。
相撲教習所では書道を中心に学ぶ
相撲教習所の座学では、相撲の歴史や書道、現代社会などを勉強します。その中で、見習い行司が最も時間を割くのが、「相撲字」を練習する書道の時間です。相撲番付や電光掲示板などで目にする機会の多い相撲字は、独特の書体で知られています。
紙一杯に、文字が重ならないよう筆で文字を書いていくのは非常に難しい作業となります。正座をしながら、先輩行司の相撲字をお手本に、筆と墨を使って練習を重ねていきます。
力士を目指していた人が行司になるパターンが多い
日本相撲協会の規定によると、力士になるには、新弟子検査で所定の身長・体重を満たし、医師の健康診断で問題がないことを確認する必要があります。過去の相撲大会で優秀な実績を残していても、この新弟子検査などに合格しないと力士を名乗ることはできません。
行司として活躍している方の中には、この新弟子検査の基準を満たすことができず、行司になったという方も少なくないです。相撲が好きで、相撲に関わる仕事をしたいという方は、相撲部屋との繋がりができていれば、力士を諦めた後に行司を目指すこともできるのです。
力士の基準
- 身長167センチ以上
- 体重67キロ以上
ただし、3月場所新弟子検査受検者で、中学卒業見込者に限り、
- 身長165センチ以上
- 体重65キロ以上となる。
行司の資格・試験まとめ
行司には相撲部屋入門が必須!地道な修行と経験年数で昇格を目指す
行司は、特別な資格試験を受ける必要はありませんが、相撲部屋に入門する必要があります。行司の定員は決められており、必ずしも毎年入門できるとは限りません。ただし、先輩行司の定年退職は予測できるため、事前に相撲部屋との繋がりを持つ必要があります。
また、相撲部屋に入門後は、修行の日々が始まります。行司として昇格するためには、長い年月をかけて地道な努力を重ね、相撲部屋と相撲協会に認めてもらうことが重要です。
行司の参考情報
平均年収 | 200万円~360万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | スポーツ |
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