入国警備官の資格・試験とは?入国警備官採用試験の概要と合格の秘訣

入国警備官の資格・試験とは?入国警備官採用試験の概要と合格の秘訣

日本国内においてビザがない、期限切れのビザを利用して不法滞在をしている外国人に対して調査や摘発などを行う入国警備官。入国警備官になるために必要な資格や試験の合格率、資格を取得するための学校はあるのかご紹介します。

入国警備官の資格・試験とは?

入国警備官採用試験を受ける必要がある

国家公務員である入国警備官になるためには、法務省が行っている「入国警備官採用試験」に受験し、合格することが第一条件となっています。入国警備官になるためにはまず、採用試験に合格できるように対策を取りましょう。

入国警備官採用試験の受験資格

人事院の公式ホームページ「国家公務員採用情報NAVI」による、入国警備官採用試験の受験資格について紹介します。

警備官

  • (1)2019年(平成31年)4月1日において高等学校、または中等教育学校を卒業した日の翌日から起算して5年を経過していない者及び、2020年3月までに高等学校または中等教育学校を卒業する見込みの者
  • (2)人事院が(1)に掲げる者に準ずると認める者

警備官(社会人)

  • 1979年(昭和54年)4月2日以降に生まれた者
    (上記の(1)に規定する機関が経過した者、および人事院が当該者に準ずると認めた者に限る。)

身体基準が決められている

入国警備官採用試験の受験資格には身体基準が決められています。以下のいずれかに該当する方は不合格となるので注意が必要です。

  • 身長が男子160㎝、女子148㎝に満たない者
  • 体重が男子47㎏、女子40㎏に満たない者
  • 裸眼視力がどちらか1眼でも0.6に満たない者(ただし、矯正視力が両眼で1.0以上の者は差し支えない。)
  • 色覚に異常のある物(ただし、職務遂行に支障のない程度の者は差し支えない。)
  • 四肢の運動機能に異常のある者

身体条件も受験資格にある入国警備官採用試験。次に入国警備官採用試験の内容や合格率について紹介します。

入国警備官の試験の難易度・合格率

入国警備官採用試験の試験内容

入国警備官採用試験は第一次試験、第二次試験と受験する必要があります。第一次試験では筆記試験と作文試験が行われ、約1か月後に実施される第二次試験では人物試験や身体検査、身体測定や体力検査が行われます。

試験の合格基準は第一次試験の受験者のうち、筆記試験が基準点以上である満点の30%を筆記試験合格者としています。その筆記試験合格者を対象に作文試験を行い評定し、第一次試験者合格者が確定します。

作文試験まで合格した第一次試験合格者を対象に第二次試験が行われ、最終合格者を決定します。

採用後に研修が行われる

入国警備官採用試験の最終合格者は採用校者名簿に記載されます。その後全国の地方入国管理局、または入国者収容入国管理センターでの採用が決まります。地方入国管理局などで一定期間勤務に携わり、その後茨城県牛久市の法務総合研究所牛久支所にて3カ月間の「初任科研修」という合宿研修を行います。

その他に、採用から4年経過後に中堅職員を目指すためにより高等な知識や実技の習得するための「中等科研修」を受けることができるようになります。入国警備官の実務や知識を高める研修だけではなく、外国語専門学校などで語学を学ぶ「語学研修」も受けることができます。

入国警備官採用試験の競争率は非常に高い

次に入国警備官採用試験の合格率について紹介します。入国警備官採用試験の倍率はほぼ毎年30倍前後となっており、この倍率からして競争率が激しい職業であることが伺えます。

2014年に実施された際の応募者数は1,976名で合格率3%となっており、2015年では応募者数1,785名で合格率6.8%。2016年では応募者数1,906名で合格率6.6%となっており、2017年では応募者数2,193名で合格率3.6%。2018年では応募者数2,072名で合格率8.9%となっています。

応募者数は平均で約2,000名前後の方が採用試験を受験していますが、合格率は10%未満と厳しい数値になっています。

さらに試験区分別に詳しく合格率を見ていきます。

警備官

西暦 申込者数 合格者数 合格率
2018年 1,673名 178名 10.6%
2017年 1,743名 74名 4.2%
2016年 1,360名 121名 8.9%
2015年 1,136名 118名 10.4%
2014年 1,134名 53名 4.7%

警備官(社会人)

西暦 申込者数 合格者数 合格率
2018年 399名 7名 1.8%
2017年 450名 5名 1.1%
2016年 546名 5名 0.9%
2015年 649名 4名 0.6%
2014年 842名 6名 0.7%

平成24年から入国警備官採用試験の社会人枠が導入されましたが、合格率は2%を切っている厳しい合格率となっています。

その他の入国警備官に関連する資格

語学力の知識は予め学ぶと有利になる可能性がある

入国警備官は外国人と向き合うため、外国語の能力を求められる職業です。法律を違反している外国人を取り締まる仕事でもあるので、法律に関した知識と語学力が必要となります。

近年英語だけではなく、中国語や韓国語を話せる知識を習得していることでより幅広く活躍できるようになるため、需要が高まっている語学となっています。

入国警備官になるためには、全く英語が話せないレベルでは合格することは難しいといえるでしょう。語学に自身がなかったとしても、試験に合格した後の語学研修でしっかり学ぶことができますが、採用試験を受けるためには最低限の英会話はできるようにする意識が必要です。

資格ではないが第二次試験のために体のトレーニングが必要

入国警備官採用試験の第二次試験では、体力測定が実施されます。普段から筋力トレーニングを行っている方は問題ない可能性がありますが、特にトレーニングを行っていなかった方は第二次試験に向けて体力づくりをしておく必要があります。

また、入国警備官は外国人を相手にするため精神的にも強い方がよりいい人材と見られるため、日ごろから安定し動揺しない精神力を保てる方法を見出すことも大切です。

入国警備官の試験に役立つ学校

中学卒業の学歴でも受験できるが給与額に差が生じる

入国警備官採用試験は中学卒業程度の学歴でも受験することはできます。しかし、入国警備官は学歴によって支給される俸給額に差が生じる職業です。

入国警備官採用試験の第一次試験で実施される筆記試験の内容は、高校卒業程度のレベルとされているため、可能であれば高校卒業以上の学歴を持ち受験することが望ましいといえるでしょう。

なるべく多くの給与を望んでいる方は大学・大学院を卒業する必要があります。また大学に進学することによって、将来入国警備官以外の企業に転職したいと考えている方は、転職時に学歴で有利になることがあります。

公務員試験に特化している専門学校へ進学する

即戦力となれる入国警備官を目指している方は、公務員試験の学科が設けられている専門学校へ進学することで入国警備官になるための近道になる可能性が高くなります。

しかし、入国警備官になるための特別な試験対策のカリキュラムを設けている学校はないため、入国警備官採用試験に向けて過去問題集を積極的に取り組む必要があるといえるでしょう。

公務員学科を設けている専門学校では、学生一人一人が目指す公務員に向けて徹底された個別指導を行っている専門学校もあります。入国警備官になるために自身はどこまでの知識を学びたいのかしっかり予定を立てることで、必要な知識のために進まなくてはいけない学校が見えてくるでしょう。

入国警備官の資格・試験まとめ

難関公務員試験を受ける前にどんな業務内容なのかも把握する

入国警備官採用試験の合格率は低く、社会人になってからの合格率は2%を満たないほど難しい公務員試験です。激しい競争の末、入国警備官になれたとしても過酷な業務内容に退職してしまう方が多い職業の一つです。

高収入で好待遇ではある職業ではありますが、業務内容をしっかり把握してから試験に臨むことも大切です。学歴は必要とされない資格ではありますが、知識だけではなく体力・精神力も必要な仕事となっています。

入国警備官の参考情報

平均年収600万円~700万円
必要資格
  • 入国警備官採用試験
資格区分 試験合格
職業職種保安

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