e-Sports選手(プロゲーマー)の資格・試験とは?取得しておくと役立つ資格の特徴などを解説
基本的に、e-Sports選手として活動する上で必須となる資格は特にありません。また、e-Sportsの世界ではライセンスが発行されていますが、それらのライセンスを取得すると賞金付きの大会に出場できるなどのメリットがあります。今回は、e-Sports選手に役立つ可能性が高い資格試験などについてご紹介します。
e-Sports選手に役立つ資格は?
e-Sports選手は資格がなくてもなれる
まず、e-Sports選手として活動するために必要な資格はないということをお伝えします。資格を取得していなくてもなれるのがe-Sports選手であり、ゲームで相手に勝つ実力やスキルがあることが大前提となる職業です。
プロ野球選手やプロサッカー選手になるために資格が不要なのと同様に、e-Sports選手として活躍するためには資格よりも実力があることが重要です。そういった意味では誰にでもなるチャンスがある職業ですし、努力次第で自分の可能性を大きく広げられる職業だと言えます。
日本eスポーツ連合が発行するライセンス
特に資格がなくてもなれるe-Sports選手ですが、特定の団体が発行するライセンスは存在します。
それが日本eスポーツ連合(JeSU)が発行するライセンスであり、ライセンスを取得することで日本eスポーツ連合が主催する大会に出場することができます。ただし、このライセンスを持っていなくてもプロゲーマーとして活動することは可能です。
年齢や組織体制によって発行されるライセンスは異なり、全部で3種類用意されています。それが ジャパン・eスポーツ・プロライセンスと ジャパン・eスポーツ・ジュニアライセンス、 ジャパン・eスポーツ・チームライセンスの3つです。
それぞれの内容について紹介していきます。
ジャパン・eスポーツ・プロライセンス
ジャパン・eスポーツ・プロライセンスが最も一般的なライセンスです。満15歳以上で義務教育を終えた方が対象となるもので、大人のプロゲーマーが目指すライセンスとなります。
ライセンスを持っていることで日本eスポーツ連合が主催する大会に出場できますが、チーム内に1人でも保持者がいれば問題ありません。つまり、チームメイト全員がライセンスを取得する必要はないということです。
また、プロライセンスの他、この後紹介するジュニアライセンスの保持者が1人以上いる場合も日本eスポーツ連合主催の大会に出場できます。
ジャパン・eスポーツ・ジュニアライセンス
続いては、ジャパン・eスポーツ・ジュニアライセンスについてです。これは13歳から15歳の義務教育を終えていないプレイヤーが対象となるライセンスです。
義務教育を終えていればプロライセンスを目指すことができますが、そうでない場合はまずジュニアライセンスの取得を目指します。ライセンス取得者が満20歳未満の場合は親権者の同意が必要となります。
ジャパン・eスポーツ・チームライセンス
続いて、ジャパン・eスポーツ・チームライセンスについて取り上げます。このライセンスは法人が対象となっており、IPホルダーの承認があることや日本eスポーツ連合が実績を認めている団体に発行されるものです。
IPホルダーとは、JeSU 公認プロライセンス発行の対象となるゲームタイトル(以下「IP」と表記)の発行主体またはIP を利用した大会実施等に必要な知的財産(intellectual property:IP)等を管理ないし保有するもののことを指します。
このライセンスを取得できるのは、より日本eスポーツ連合に近い組織であり、対象となる団体はそれほど多くありません。まずは、プロライセンスやジュニアラインセンスを目指すことが賢明です。
ライセンス制のメリット
日本eスポーツ連合が主導して行っているライセンス制ですが、そこにはいくつかのメリットがあることも事実です。海外では高額な賞金を獲得できる大会が数多く開催されていますが、日本ではなかなか高額賞金を獲得できる大会を開催できていません。
それはeスポーツ大会の賞金は景品表示法の規定に抵触する恐れがあるため、なかなか高額な賞金を設定できないという事情があります。景品表示法の規定では賞金の上限を10万円に設定するか、ゲームソフトの金額の20倍までしか設定できないことになっています。
こうした実情を回避するための助けとなるのがライセンス制度です。
ゲーマー側の視点
ゲーマー側の視点で見るとわかりやすいですが、ライセンス制を採用することで高額賞金の大会に出場できるというメリットがあります。プロゴルフやボクシングなども参考にできますが、ゴルフやボクシングはライセンス制を採用していることで、高額賞金の大会を実施することができています。
その代わりに、アマチュアが優勝した場合でも賞金を渡すことはできないという規定になっています。この考え方をeスポーツの世界にも取り入れることで、プロゲーマーたちが稼ぎやすくなる環境ができ上がります。
プロゲーマーとして生計を立てていくためには、大会で好成績を収めて賞金を稼ぐ必要があります。ライセンス制を取り入れることで、そういった好循環が生まれやすくなります。
発行者側の視点
発行者側としてもメリットがあるのがライセンス制です。eスポーツは世界中で人気のある分野であり、日本国内でも年々市場規模が拡大しています。eスポーツをオリンピック競技にしようという機運も高まっている中で、そのスポーツを管理できる団体となれば、国内外から認められる大きな組織となります。
そうなればより多くの人材やお金が集まってくることが想定され、組織や団体としてより大きな成長を遂げることができます。プロを名乗るためのライセンスを発行している団体には多くのスポンサーがつくことも想定されるでしょう。
つまり、ゲーマー側としても発行者側としても資金面で大きなメリットを受けられることになります。
英語力があると良い
e-Sports選手として活動するために必要な資格がないことを紹介していますが、あった方が良いスキルもあります。それは英語力です。eスポーツは世界中で行われている競技であり、海外で開催されている大会に出場することもあります。
対戦相手や審判、その他関係者が外国人であることも珍しくなく、英語でのコミュニケーションが求められる機会も少なくありません。そうした中で流暢に英語を話すことができれば、対等なコミュニケーションを取ることができます。
試合に際してわからないことを質問する際も、日本語では回答してくれない可能性があります。今後、プロゲーマーとして活躍していくに当たっては、最低限の英語力を身につけておくことがおすすめです。
e-Sports選手に役立つ資格「プロライセンス」
各ライセンスに関する情報
ここからはe-Sports選手に役立つ資格として、各ライセンスに関する情報について取り上げます。e-Sports選手のライセンスに関しては、何か試験があるわけではありません。基本的には日本eスポーツ連合が発行の是非を判断します。
実際に、「JeSU公認プロライセンスの発行はJeSUが最終的な判断を行うものとする」という規定も盛り込まれています。つまり、明確な基準があるというよりも、JeSU側の判断によってライセンス発行か否かが決まるということです。
少なくとも日本eスポーツ連合(JeSU)が主催する大会で活躍することが最低条件であり、その上でプロとして活躍が見込まれそうなプレイヤーに対してライセンスを発行することが多くなっています。
それぞれのライセンスについて細かく見ていきましょう。
ジャパン・eスポーツ・プロライセンス
ライセンス発行対象
満15 歳以上で、義務教育課程を修了している者(満20歳未満の場合は親権者の同意が必要)
特例
チーム内に1人でもプロライセンスかジュニアライセンスの保有者がいれば、JeSUが主催する賞金付きの大会に出場できる
発行手数料
5,000円
ライセンスの更新
- 更新期間:発行日から2年ごと
- 更新時にはeラーニングによる講習を受講する
- 更新時には発行手数料と同額の費用を支払う
ジャパン・eスポーツ・ジュニアライセンス
ライセンス発行対象
次の条件を全て満たすこと
- 13 歳以上15 歳以下で義務教育課程を修了していない者
- ジャパン・eスポーツ・プロライセンス発行のための条件を満たすと判断される選手
- 親権者の同意があること
プロライセンスへの移行
プロライセンスの保持資格年齢に達した場合は、本人と親権者の意思を確認してプロライセンスへの移行を決定する。
発行手数料
3,000円
ライセンスの更新
- 更新期間:発行日から2年ごと
- 更新時にはeラーニングによる講習を受講する
- 更新時には発行手数料と同額の費用を支払う
ジャパン・eスポーツ・チームライセンス
ライセンス発行対象
次の条件を全て満たすこと
- 法人格があること
- IPホルダーが推薦または承認したチームであること
- JeSUが公認プロライセンス発行が妥当と認めたチームであること
発行手数料
5,000円×チーム内の人数
ライセンスの更新
- 更新期間:発行日から2年ごと
- 更新時にはeラーニングによる講習を受講する
- 更新時には発行手数料と同額の費用を支払う
ライセンス発行対象のゲームタイトル
日本eスポーツ連合の認可大会でライセンス発行対象となるゲームタイトルは以下の通りです。
- ストリートファイターV アーケードエディション
- ウイニングイレブン2018
- 鉄拳7
- コールオブデューティワールドウォーII
- パズドラ
- ぷよぷよ
- GUILTY GEAR Xrd REV 2
- レインボーシックス シージ
- モンスターストライク
- BLAZBLUE CROSS TAG BATTLE
- BLAZBLUE CENTRALFICTION
まだまだ改善の余地がある
紹介してきたように、eスポーツのライセンスに関しては日本eスポーツ連合(JeSU)が主導する形での発行となっており、客観的な発行基準が存在するわけではありません。あくまでも、日本eスポーツ連合に認められる必要があり、試験で一定基準を満たすといったわかりやすい制度とはなっていません。
その点においてまだまだ改善の余地があるのがライセンスに関する制度であり、今後もじっくりと見守っていく必要があります。日本eスポーツ連合自体も2018年に創設された団体であり、まだまだ歴史は古くありません。
今後、ライセンスの発行に関する新たな基準を設けたり、客観的にわかりやすい基準を設定したりすることも十分に想定されるでしょう。それがeスポーツのさらなる発展につながっていくと考えられます。
e-Sports選手の資格が取れる学校や講座
ここからは、e-Sports選手を目指す上でおすすめの学校や講座について紹介します。具体的な資格があるわけではありませんが、ライセンス取得を目指す上ではゲームのスキルを磨いて実力を高める必要があります。
ゲーム自体は単独でも行えますが、プロを目指すのであれば専門学校に行くなどして、より深い知識やスキルを身につけることが重要です。そのためにおすすめの学校について、いくつか取り上げていきます。
東京デザインテクノロジーセンター専門学校
まず紹介するのは、東京デザインテクノロジーセンター専門学校についてです。東京デザインテクノロジーセンター専門学校では6つのコースが用意されていますが、その中でもe-Sportsコースを専攻することでプロゲーマーを最短で目指しやすくなります。
日本初のプロゲーマー育成専門学校として立ち上がり、東京だけではなく、札幌や仙台、名古屋や大阪、福岡といった主要都市でも専門学校を開講しています。
e-Sportsコースの中でもe-Sports・プロゲーマー専攻を選択することがおすすめです。PCゲーム初心者の方でも基礎から教えてもらうことができるので、ゲーム攻略のテクニックや考え方を備え付けることが可能です。
実際に、e-Sports・プロゲーマー専攻の道に進むことで、以下のような職業への道が拓かれていきます。
- プロゲーマー
- キャスター
- 監督
- チームマネージャー
- チームオーナー
- コーチ
- ストリーマー
プロゲーマーとしての活躍を目指す以外にもさまざまな道があることがわかります。また、カリキュラムもしっかりしており、3年間の学生生活でプロへのステップアップを目指せます。
基礎カリキュラム
e-Sports・プロゲーマー専攻では基礎カリキュラムや応用カリキュラムといったカリキュラムが用意されています。基礎カリキュラムでは主に以下のような内容を学ぶことができます。
- e-Sports業界研究
- e-Sportsの世界市場
- ゲーム実習基礎
- ルール
- 戦略
- 分析
- メンタルトレーニング
- フィジカルトレーニング
- 英会話
- チーム研究 など
e-Sports・プロゲーマーとして活躍するための基礎を徹底的に叩き込めるようになっています。プロゲーマーとして活躍するためにはゲームのスキルを磨くだけでなく、e-Sports市場やセルフマネジメントといった分野に関しても理解を深める必要があります。
フィジカルトレーニングやメンタルトレーニングなどはプロアスリート同様に求められるスキルであり、e-Sportsの世界でも大切な要素としてカリキュラムに組み込まれています。
専門カリキュラム
続いては、専門カリキュラムの内容について紹介します。専門カリキュラムでは、主に以下のような内容を学ぶことができます。
- 自己認識
- 自己管理
- スポンサードトレーニング
- コミュニケーションプレイ(チームプレイ)
- ゲーム構造
- チームマネジメント
- コミュニケーションスキル
- 海外、国内チームとの交流戦 など
専門カリキュラムでは基礎カリキュラムの内容を踏まえて、さらに一段ステップアップした内容が組まれています。プロフェッショナルとしてのマインドセットを行うために、自己認識や自己管理の方法について学ぶこともできます。
また、海外チームや国内チームとの交流戦を通して実践的なスキルを身につけることができます。基礎カリキュラムや専門カリキュラムの他、就職対策カリキュラムも準備されており、卒業後の道までサポートしてもらうことができます。
OCA大阪デザイン&IT専門学校
e-Sports・プロゲーマーを目指せる学校として、OCA大阪デザイン&IT専門学校もあげることができます。e-Sports選手専攻が用意されており、プロゲーマーやプロゲームチームのマネージャーを目指すことができます。
3年制となっており、3年間の講義や実践を通して一人立ちを目指します。現役のプロゲーマーから指導を受ける機会もあるなど、刺激に満ちあふれた環境が用意されていることも特徴的です。
1年次から3年次にいたるまでのカリキュラムについても確認していきます。
1年次
1年次はe-Sportsの基礎やゲームで勝利するための基礎を学ぶことが多いです。チームで共に協力し合いながらプレイするためのコミュニケーション技法も学びます。主なカリキュラムは以下の通りです。
- e-Sports基礎論
- 英会話
- プロゲーマー実習
- コミュニケーション技法
- プログラミング思考
2年次
2年次には1年次に学んだ内容を踏まえて、メンタル面と洞察力を鍛えることに注力したカリキュラムが組まれています。e-Sportsで対戦相手に勝利するためには、ゲームのスキルを磨くことはもちろん、その場の空気や相手の圧力に飲み込まれないような強いメンタルを醸成することが大切です。
そのために必要なセルフプロデュースなどの内容が組まれており、プロゲーマーとして必要なメンタルスキルを習得します。主な内容は以下の通りです。
- プロゲーマー演習
- セルフプロデュース
- フィジカルトレーニング
- メンタルトレーニング
- e-Sports基礎論
- 英会話
3年次
1年次、2年次と必要なスキルを身につけることができたら、3年次にいよいよ実践的な舞台で活躍できるような力を身につけていきます。在学中から国内外に出場することが可能であり、3年次になるとより学校外の相手と交流したり対戦したりする機会が増えていきます。
時にはプロゲーミングチームとの交流戦が組み込まれるなど、より実践的な演習が増えていきます。主なカリキュラムは以下の通りです。
- 業界特別講義
- 海外クリエイティブ研修
- e-Sports企業訪問
- 国内外の大会出場
- 英会話
ヒューマンアカデミー
e-Sports選手を目指せる学校として、ヒューマンアカデミーもあげることができます。ヒューマンアカデミーは北海道から沖縄にいたるまで全国各地の主要都市に校舎を構えているので、近くの校舎で学びやすい環境が整っています。
その中のe-Sports専攻を選択することで、e-Sports選手としての道が拓かれていきます。プロゲーマー以外にも、以下の職業を目指すことができます。
- e-Sportsライター
- イベント企画、運営スタッフ
- ゲームイベントMC
体験入学なども行うことができるので、興味がある方は一度お近くの校舎に行ってみることもおすすめです。
資格よりも実力が重要
e-Sportプロゲーマーを目指すための学校はいくつかありますが、大切なことは資格よりもゲームの実力があることです。ライセンス制度は用意されているものの、e-Sports選手になるために必要な資格があるわけではありません。
資格がなくても大会に出場して好成績を収めるだけのスキルや実力があれば、十分に活躍することができます。そのための基礎的なスキルや考え方を学ぶのが、今回取り上げた専門学校のような場所です。
他にもさまざまな専門学校がありますが、自分にとって最適だと思える学校や講座を選んで、e-Sports選手としての第一歩を歩み始めることがおすすめです。
e-Sports選手の資格・試験まとめ
e-Sportsは実力が物を言う世界!スキルアップのための努力を重ねよう
e-Sports選手と関係するライセンスについて紹介してきました。今回取り上げたように、e-Sports選手になるために必要な資格があるわけではありません。ライセンスを取れるのであれば取っておいた方が良いですが、ライセンスがなくてもプロになることは可能です。
e-Sportsは実力が物を言う世界であり、プロスポーツと同様にシビアな環境が待っています。プレイヤーとして活動できる寿命も短く、25歳を過ぎると引退を余儀なくされる選手も多く出てきます。それだけに若いうちに努力を重ねて世界で活躍できるように自分を磨くことが大切です。
e-Sportsについて学ぶためのさまざまな専門学校もあるので、その中から行きたい学校を選択するのも良いでしょう。いずれにしても、スキルアップのための努力を怠らず日々精進し続けることがポイントです。
e-Sports選手(プロゲーマー)の参考情報
平均年収 | 400万円~1000万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | マンガ・アニメ・ゲーム |
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