保育士の資格試験とは?保育士資格試験の概要と合格の秘訣

保育士の資格試験とは?保育士資格試験の概要と合格の秘訣

保育士として働くためには、保育士試験を受けて資格を取得しなければなりません。受験者も多く、合格率も高くないのでいばらの道ですが、保育士の資格は一生ものの国家資格なので、取得しておくと就職に大変有利です。今回はこの記事で、保育士試験の詳しい説明と必要な準備についてご紹介します。

保育士の資格試験とは?

児童福祉法に基づく国家資格

保育士として働くためにはまず、保育士試験を受け、必要な資格を取得する必要があります。保育士試験は、児童福祉法で定められた国家資格ですから、言い換えれば国家試験でもあります。

世間一般の認知として、保育士の資格は医者のような「業務独占資格」ではないので、保育士の資格を持っていなくても保育の仕事に携わることは可能です。

ですが実際、資格を持っていない人は保育士を名乗ることはできず、その決まりを遵守しなかった際には処罰が与えられる可能性もあります。

なぜ保育士資格が必要性なの?

資格を持っていなくても保育の仕事につけるのであればわざわざ苦労して保育士試験を受ける必要があるのか?という疑問が残ることでしょう。

どこに保育士資格の必要性があるのかというと、保育所は資格を持った保育士がいないと作ることができず、運営できないという理由があります。

どんなに保育にかかわるスタッフが沢山在籍していても、保育士資格がないなら「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」の法律に引っかかってしまい、運営の許可が下りません。それだけ責任と必要性のある資格だということの証です。

保育士試験の受験者は増加している

実は保育士試験の受験者はここ最近増加傾向にあります。一時期少なくなっていた時期もあったのですが、平成20年度を皮切りに4万人越え、平成24年以降からは5万人越えを記録しています。

それだけ人気の資格で、目指している人が多いことの証拠です。受験者からすれば倍率が高くなり、ライバルが増えるので難度が上がってしまう傾向でもあります。

保育士資格試験を受けるための準備

では保育士試験を受けるためにはどんなことを踏まえておけば良いのでしょうか?

何といってもまずは試験の日程をきちんと把握しておかなければ、必要な準備もできないはずです。事前に確認しておきましょう。

保育士の試験日程

まず保育士試験は、1年に2回行われています。正確にいうと、前期と後期に分かれており、前期は「春に筆記試験、夏に実技試験」、後期は「秋に筆記試験、冬に実技試験」という流れになります。

実は2015年度までは年に1回しか行われていなかったのですが、保育士の減少の食い止めと待機児童増加に伴い、2016年度から年に2回にチャンスが広がりました。受験者としては嬉しいことですね。

平成31年度の試験日程

平成31年度の保育士資格取得のための試験日程は下記の通りです。

  前期試験日程 後期試験日程
筆記試験 平成31年4月20日(土) 21日(日) 平成31年10月19日(土)21日(日)
実技試験 平成31年6月30日(日) 平成31年12月8日(日)

受験の条件を把握する

保育士試験の受験に年齢上限はありませんが、満たしていなければならない条件があります。条件を見逃していて受験できなければ意味がありませんから、必ず事前に確認してください。

保育士資格試験の条件

  1. 大学卒業者
  2. 大学中退または在学中で62単位習得済み、又は取得見込みがある者
  3. 短大卒業者
  4. 短大卒業見込み者
  5. 2年以上通う専門学校卒業者
  6. 2年以上通う専門学校の卒業見込み者
  7. 平成8年3月31日以前に高校卒業したもの
  8. 平成8年3月31日以前に保育科高校を卒業したもの
  9. 中学高校卒業後、児童福祉施設において2年以上かつ2880時間以上従事し実務経験を積んだもの
  10. 中学卒業後、児童福祉施設において5年以上かつ7200時間以上従事したもの

また、保育士とは関係のない大学や短大の学部を卒業していても、保育士試験は受けることができます。

自分では条件や受験資格について判断できない時には、全国保育士養成協議会か保育士試験事務センターに問い合わせてみることをお勧めします。

【保健試験事務センター】
TEL: 0120-4194-82 (祝日以外の月曜日~金曜日9:30~17:30対応可)
もしくは、代表電話 TEL: 03-3590-5561

必要な受験料

保育士試験の受験料はどこで受けたとしても一律です。

保育士試験 受験料:12,950円(受験手数料12,700円+受験申請の手引き郵送料250円)

ただし、幼稚園教諭免許状所有者等で筆記試験実技試験が全て免除になった場合は、2,650円(受験手数料2,400円+受験申請の手引き郵送料250円)です。

保育士試験の詳しい内容

保育士試験には、筆記試験と実技試験の二つがあります。両方に合格しないと保育士資格は取得することができず、保育士として働くことはできません。

ではまず、初めに行う筆記試験の詳しい内容について紹介します。

筆記試験の概要

筆記試験の科目は9種類あり、大抵は土日の2日間に渡って行われます。例えば、下記のようなスケジュールで行われています。筆記試験はマークシートによる選択スタイルで、全体のうち約60%正解していれば合格点ということになります。

一度パスした科目は3年間有効の扱いになるので、最悪の場合一回ですべて合格できなかったとしても問題ありません。ただし、「教育原理」と「社会的養護」は2科目で1セットの扱いなので、一度の試験で両科目とも合格点を取らなければ合格扱いになりません。是非、ご注意を。

実技試験の概要

筆記試験を全科目合格出来たら、今度は実技試験に進みます。

実技試験には、言語音楽造形の3科目があり、そのうち2科目を自分で選択できます。1科目は50点満点で、60%以上正解なら合格です。筆記試験に比べて合格率は高く、95%が合格すると言われています。

日時 試験時間 試験内容
1日目 10:30~11:30 保育の心理学
12:00~13:00 保育原理
14:00~15:00 児童家庭福祉
15:30~16:30 社会福祉
2日目 10:00~10:30 教育原理
11:00~11:30 社会的養護
12:00~13:00 子どもの保健
14:00~15:00 子どもの食と栄養
15:30~16:30 保育実習理論

言語関連試験

言語に関する実技試験は、読み聞かせの技術をテストする試験です。保育園ではお昼寝前などに子どもに絵本を読み聞かせることが多く、保育士には必須の技術です。試験内容として指定されている絵本やお話の中から一つ選び、子どもの前で話すように実技します。

特にチェックしているのは、基本的な声の出し方、子どもに対する話し方の技術、表現力の幅、表情の豊かさなどです。集中力がなかなか続かない子どもが飽きずに夢中になるような話し方や工夫が必要になってきます。声の抑揚や強弱、子どもと目を合わせることなども技術の一つです。

音楽関連試験

音楽関連試験は、歌を歌う技術と伴奏の能力を見られます。自分の得意な楽器を演奏しながら歌うのですが、特にチェックされているのは、保育士として必要な歌、伴奏の技術、リズムを総合的に上手に表現ができるかということです。ただ演奏がうまい、歌が上手ければ良いというものではないのです。

決まっている規定はこのようなものです。課題局として選ばれている2曲を演奏しながら、子どもの前だと想定して歌う。使える楽器は、ピアノ、ギター、アコーディオン。使用する楽譜は、市販の楽譜か添付楽譜(保育士試験の受験申請書に記載されている楽譜)のコードネームを参照して編曲したものなら可。

前奏後奏をつけても良い。歌詞は1番のみ。これらの条件をそつなくこなすためには自分のレベルに合った楽譜を探すこと、自信を持てるように良く練習すること、子どもが参加できるような楽曲を選ぶことです。

読み聞かせの場合と同じく、子どもと視線を合わせたり、一緒に楽しく歌えるように工夫しているかが大切で、あくまでも実務に沿った視点で判定が下されます。

造形関連試験

造形関連試験はいわゆるお絵かきの試験と考えて良いでしょう。保育園では出番の多い実技ですから、保育士には必須技術です。試験当日、絵のお題を聞き、それを時間内に書き上げるという試験。

ここで見られるのは、「保育士として必要な造形表現(情景及び人物を表現豊かにイメージした描写や色使い)ができること」です。パッと目を引く絵、分かりやすい描写、生き生きした登場人物などを意識して書くと良いでしょう。元々絵をかくのは苦手でという人もいることと思いますが、何事も毎日コツコツ行えば上達するものです。

何も画家になるわけではないですから、上手くないと受からないというわけではないのです。題材になりやすいものに目星をつけて、地道に練習してみましょう。例えば、男の子や女の子の絵、保育士や保育園にあるような遊具、動物など保育園に関連したことや子どもが書きそうなものに着目すると効果的です。

保育士資格試験、合格への道

保育士資格取得試験の合格率は非常に低いと言われています。公表されている現在の合格率は、10~20%。厚生労働省のデータでは、平成25年度の保育士試験合格率は17.4%、平成26年度は19.3%、平成27年度は 22.8%です。

他の資格に比べて合格率が低い要因として、合格ライン基準が高いという理由があります。保育士試験は筆記の試験の9科目全てを60%以上クリアできなければ合格にならず、1科目でも落としてしまうと不合格です。

受験者は増えていますが、合格するまでに何年かの期間を必要とする場合が多く、一発合格者は少ないようです。

試験に合格するためのコツとは?

せっかく保育士試験を受けるのであれば、一発で合格したいと誰もが願うはずです。いったいどうすればよいのでしょうか?合格するためには勉強は必須ですが、ただ闇雲に勉強すればよい訳ではありません。まずは筆記試験に関しても実技試験に関しても、試験の目的とその目的に適した回答な何かという視点を見定めましょう。

過去の出題や解答例を調べたり、現役の保育士に教えてもらうのも効果的です。またスクールが開講している試験対策講座なら点数取りのコツや秘訣を教えてもらえます。演奏や読み聞かせなど緊張しやすい実技試験の練習も人前で出来ますから、本番に落ち着いて臨めるはずです。

そのような受験体策講座や通信講座なども活用しながら、受験の準備を進めてみましょう。

保育士資格取得試験に合格したら

保育士資格取得試験に合格したら、忘れてはならないもう1ステップがあります。保育士登録事務処理センターのウェブサイトで都道府県知事に登録を申請して、保育士証を発行してもらう必要があるのです。

よく試験に合格したことに安心しすぎて、この登録申請を忘れてしまう人も見受けられますが、ここまでしてやっと保育士として働けるようになるので、お忘れなく。ただ、忘れてしまって期間が経過しても登録ができなくなるといったことはありません。

保育士の資格まとめ

保育士資格試験はかなり難易度が高い試験と言われています。受験者が増えていますが、合格率はあまり変化せず低いままです。筆記試験は9科目全てクリアしなければならず、1科目も満点中60%を取らなければなりません。

ですが必要な準備をきちんと行い、コツを抑えておけば一発合格も夢ではないかもしれません。試験の日程や条件、受験料などを事前に確認しておくことを忘れず、筆記試験、実技試験ともに万全に準備をして臨む必要があります。

スクールや通信講座などで実際的な練習を積むことも大きな助けになるでしょう。

保育士の参考情報

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必要資格
  • 保育士
資格区分 国家資格
職業職種教育・保育

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