ひよこ鑑定士の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説
ひよこ鑑定士の仕事内容は、初生雛のオスとメスを鑑定するというシンプルなものです。あまり一般的な職業ではありませんが、私たちの食生活を支える重要な役割を担っています。本記事では、ひよこ鑑定士の具体的な仕事内容、仕事のやりがいなどについてご紹介します。
ひよこ鑑定士とはどんな仕事?
「ひよこ鑑定士」の仕事内容は、ひよこのオスとメスの区分けです。正しい名称は「初生雛(しょせいびな)鑑別師」と言い、「ひよこ鑑定士」は通称名です。
一見すると簡単に見えるヒナの選別ですが、定められた資格を取得する必要があり、長年の経験者であっても鑑別率100パーセントの選別は難しいといわれています。
雄と雌を分ける理由は?
私たちが普段食する鶏肉は「オス」、卵は「メス」を利用しています。オスとメスを分ける理由は、育てる上で与える餌や飼育方法が異なるからです。
ひよこはある程度成長すると、外見や鳴き声などから誰でもオスとメスの判別ができるようなります。
しかし、生まれてすぐに鑑別せずに育て続けると適切な飼育ができないばかりでなく、それまでにかけた餌代や設備が無駄になってしまいます。
よって不要な餌のロスを少なくし、適切な方法でひよこを育てるためには、卵からかえった雛をすぐに鑑定して選別しなければなりません。
どんな鑑別方法がある?
昔から使われていたオスとメスのひよこを鑑別する主な方法は「肛門鑑別法」「羽毛鑑別法」「機械鑑別法」の3種類。近年では2016年に「内視鏡鑑別法」が開発されました。それぞれの特徴は以下の通りです。
肛門鑑別法
肛門鑑別法は別名「指頭鑑別法」とも言い、ひよこの肛門部分にある生殖突起の形状の違いをもとにオスとメスを見分けます。鑑定方法はひよこの肛門を指で押し、一発で判断できる突起物があればオス、細長いものや小さな突起物の場合はメスと判断されます。
この方法は大正13年に農林省畜産試験場で開発された最も古い鑑別方法で、日本のみならず世界のひよこ鑑定士の中でも一番スタンダートとされています。
肛門鑑定法を利用すると高い正解率でオスとメスが判別できるとされていますが、この方法を利用するひよこ鑑定士は精度の高い技術が必要となるため、熟練した鑑別技を求められます。
羽毛鑑別法
羽毛鑑別法とはその名の通り、ひよこの羽毛の特徴によってオスとメスを見分ける方法です。オスとメスの羽毛は成長の早さが違うため、ひよこの段階で羽毛の先が揃っているものはオス・揃っていないものはメスと判断されます。
羽毛鑑別法はそれほど高い技術を必要とされず誰にでも判定できる方法とされていますが、伴性遺伝を利用して品種改良された鶏だけに通用する技法なので、どの仕事場でも通用するわけではありません。
「機械鑑別法」
機械鑑別法は一昔前に流行った鑑別方法で、現在では一部の鑑定士しか利用していない識別方法です。ひよこの直腸内に光学機器のガラスレンズ管を入れ、精巣や卵巣の有無をPCの画面に写してオスとメスを判定します。
精度が高く、高等な技術を必要とされないことがメリットですが、1羽にかかる鑑定時間が長いことがデメリットとなり、使用機器の製造は現在行っておらず、昭和40年代に流行が下火になりました。
内視鏡鑑別法
内視鏡鑑別法は2016年に開発が発表され、開発時点では1~2年先の実用化を目指すとされている鑑別方法です。方法はヒナの直腸にガラスレンズ管を挿入し、直腸壁を通して精巣や卵巣の有無を調べるというもの。
一見「機械鑑別法」と同じ方法のようにも思えますが、使用する機械が内視鏡であり、機械の先端だけを挿入するので「ひよこへの負担が減ること・どんな鶏の品種にも通用すること」がメリットといわれています。
また、内視鏡を使用することでパソコンのディスプレイにうつすときに画像の拡大や、動画や静止画の撮影も可能になりました。
昔よりも機器の精度が増して判定速度が向上するにともなって、鑑定士の熟練した技術もそれほど必要とされない画期的な鑑別方法と発表されています。
ひよこ鑑定士の具体的な仕事内容
ひよこ鑑定士の仕事は、「ひよこをオスとメスに分ける」というシンプルなものです。ここでは、ひよこ鑑定士の仕事場や雇用形態がどのようなものなのか見ていきましょう。
働く場所は孵化場
ひよこ鑑定士の仕事場は「孵化場(ふかじょう)」です。孵化場とは鶏の卵からヒナを孵化させるための多くの大型機械設備が完備され施設を指します。
卵が孵化してひよこになる時間帯は早朝が多いので、一般的なひよこ鑑定士の仕事開始時間は早いのが特徴です。
孵化場で作業をするためには、生まれたばかりのひよこが細菌感染などをしないように防塵服・キャップ・マスクの着用や手の消毒をして作業を行わなければなりません。
オスとメスを鑑別するにはひよこが良く見える状態にしなければならないため、部屋全体は暗めに設定し、手元をライトで照らして椅子に座り作業をします。
目の前の机には生まれたばかりのひよこが入った箱が置かれ、オスとメスの判定が終了したものを左右の箱に振り分けて入れていきます。
ひよこ鑑定士はこれらの作業を朝から就業終了時間まで行います。1羽にかかる鑑定時間はおよそ2~3秒、1日に数千から多い時は数万匹のオスとメスの鑑別をします。
多くはフリーランスとして活躍
ひよこ鑑定士は大規模な工場や孵化場の正社員として働く以外にも、フリーランスという道の選択が可能です。フリーランスのひよこ鑑定士になるメリットは、自分で休日や労働時間の設定ができる点にあるといってよいでしょう。
ただし、国民年金や社会保険等の支払いや、確定申告をしなければならないということは考慮しておきましょう。また、一社との提携だけでは収入が不安定になりがちです。
収入を安定させるためにフリーランスのひよこ鑑定士の多くは、複数の企業と契約をして掛け持ちをしながら働くのが一般的とされています。
兼業という働き方も
ひよこ鑑定士の資格を保有している人の中には、本業とは別に兼業や副業としてひよこ鑑定の仕事をしている人もいます。
本業で収入を安定させつつひよこ鑑定士でも収入を得る働き方は、鑑定の仕事が減りつつある現代においてフリーランスにおける効率的な働き方の一つといえるでしょう。
フリーランスなら海外活動も視野に
日本国内におけるひよこ鑑定士の働く場所は年々縮小化される傾向にあります。高齢化にともない若手の募集がされる場合もありますが、基本的には資本力のある孵化場の数が減少してきていることが原因です。
また、力のある大きな工場では「羽毛鑑定」が主流とされてきているため、高い技術を持ったひよこ鑑定士はそれほど必要とされなくなりました。日本での需要が低くなりつつある一方で、海外でのひよこ鑑定士の需要は増えつつあるのが現状です。
特に日本人は高度な技術を持ち合わせているので貴重な人材として重宝されることや、海外(特にヨーロッパ)で現地でのひよこ鑑定士の人材不足が問題であることが要因としてあげられます。
ひよこ鑑定士の仕事のやりがい
ひよこ鑑定士の仕事のやりがいや魅力はどのような点にあるのでしょうか?
資格とビザの保有で海外での活躍が可能
ひよこ鑑定士は資格の保有とビザの申請がおりれば、持っている技術のみで海外での活躍が可能です。
農業大国ヨーロッパやニュージーランドでの需要も多く、特に日本人は技術が長けているため、必要とされる人材とされています。多くの職業の中でも、腕一本で海外を渡り歩ける職業はそう多くは存在しないといってよいでしょう。
フリーランスでなら長期休暇が可能
時間の調節ができるフリーランスのひよこ鑑定士は、長期休暇の取得が可能です。フリーランスの休暇取得は収入面に響くことも考えられます。
しかし、ひよこ鑑定士の仕事は繁忙期と閑散期があるので、都合の良い時に融通を利かせて短時間労働や休暇を取ったり、場合によっては長期休暇を取得して旅行に出掛けたりすることも可能です。
定年がない
フリーランスで活躍するひよこ鑑定士には定年がありません。視力・体力・集中力の問題をクリアできれば、年齢を気にすることなく長期間働くことができます。
定年がないことで若い人の就職先が少なくなるとされていますが、一旦職に就いてしまえば体が許す限り技術の向上につとめながら働くことができます。
ひよこ鑑定士の仕事内容まとめ
ひよこ鑑定士は多様な働き方ができる仕事
ひよこ鑑定士の仕事は、雛の性別の鑑定というシンプルなもの。孵化場が主な職場になりますが、これからの就職を考えるなら国内だけでなく海外で働くことを前もって視野に入れておくとよいでしょう。
働き方もフリーランス・兼業・孵化場所属など多様なので、色々な働き方を選択することができます。また、健康に問題がなければ定年を気にせずに働き続けられます。
ひよこ鑑定士の参考情報
平均年収 | 500万円~600万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 民間資格 |
職業職種 | 自然・動物 |
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