航空会社社員の資格・試験とは?取得しておくと役立つ資格の特徴などを解説

航空会社社員の資格・試験とは?取得しておくと役立つ資格の特徴などを解説

航空会社には、グランドスタッフやディスパッチャー、パイロット、キャビンアテンダントなど、それぞれの役割を担う社員がいます。それらの職業に必要な資格・試験はどのようなものでしょうか。本記事では、航空会社社員に役立つ資格などについてご紹介します。

航空会社社員の資格とは?

職種によって必要な専門性が異なる

航空会社には、空港のカウンターで乗客の搭乗手続きなどの接客業務にあたるグランドスタッフ、「地上のキャプテン」として航空機のフライトプランを作成し、フライト中も管理を行うディスパッチャー、航空機を操縦するパイロット、機内で乗客の接客と保安管理を行うキャビンアテンダント(CA)などの職務にあたる社員がいます。

同じ会社に勤務していても、その職務内容によって求められる専門性は異なります。そのため、それぞれの業務のために必要な資格も細かく定められています。

職種ごとに必要な資格

グランドスタッフ

グランドスタッフを目指す際に必ず必要とされるのは語学力です。就職試験を受けるための受験資格として、英語関連の検定で一定レベルを取得していることが必要条件になります。グランドスタッフを目指すなら、少なくとも英語検定2級かTOEIC550以上は取得しておきたいものです。

英語以外にフランス語や中国語、韓国語などの第2外国語の検定試験の資格があれば、アピールポイントになります。語学以外にも、接客関連の資格や旅行業務に関する資格を取得しておくのも有効でしょう。

ディスパッチャー(運航管理者)

ディスパッチャーの仕事に必要な資格・試験として「航空従事者」という国家資格があります。この資格を受験するためには「2年以上の実務経験」が必要です。

そのため、ディスパッチャー志願者が航空会社に入社して、運航業務に適していると認められると、最初はオペレーションコントロールセンター(運航管理室)に配属され「運航支援者」としてディスパッチャーをサポートしながら経験を積みます。

2年を経て受験資格を取得し、国家試験に合格してからも、数年間運航管理業務を担当し、航空会社が行う社内審査にパスすることで、ようやく正式にディスパッチャーとして業務にあたることができるようになります。一人前のディスパッチャーになるには長い年数を要するので、それなりの覚悟が必要です。

パイロット

航空会社のパイロットになるためには「定期運送用操縦士」の資格を取得する必要があります。この資格は操縦に2人必要な旅客機などを操縦するための資格です。

その資格を取得する前の段階として、国土交通大臣より受けられる「操縦士技能証明」と「航空身体検査証明」によって、パイロットの免許を得ます。

パイロットの資格には「自家用操縦士」と「事業用操縦士」そして「定期運送用操縦士」が代表的なものです。航空会社での航空機機の操縦には「事業用操縦士」の資格が、旅客機の操縦には「定期運送用操縦士」の資格が必要です。さらに、旅客機の場合は機種ごとに操縦の資格が必要となります。

また、地上の管制官に見守られながらフライトするための「計器飛行証明」や,無線機やレーダーを操作するための「航空無線通信士」そして機長にはそれぞれの路線をフライトするための「路線資格」も必要です。

その他、航空管制では英語が国際共通語とされているので、ICAD(国際民間航空機関)は、国際的な英語評価基準を確定しました。

これに基づき、一定以上の英語力があると認められたパイロットのみが国際線を運航できるというルールが各国で採用され、日本でも「航空英語能力証明」が設けられました。この証明は、国際線を運航するためには必要不可欠となります。

キャビンアテンダント(客室乗務員)

キャビンアテンダント(CA)に必要な資格は、何といっても語学関連の資格です。CAを志願して入社試験を受験するためには、少なくともTOEIC600以上を取得していることが求められます。

また、英語以外にも第2外国語として、中国語や韓国語、フランス語などの検定資格を持っていると有利になります。

航空会社社員の資格の難易度・合格率

職種ごとの資格の難易度・合格率

グランドスタッフ・キャビンアテンダント(客室乗務員)

グランドスタッフとCAに求められている資格は、英語関連の資格です。英語の資格として、最もポピュラーなのは、実用英語技能検定(英検)といってよいでしょう。

英検の資格には、1級、準1級、2級、準2級,3級、4級、5級があります。5~3級は中学校レベルで、準2級が高校中級レベル、2級が高校卒業レベル、準1級が大学中級レベル、1級はどんな内容でも英語による会話や読み書きができるレベルといわれています。

グランドスタッフやCAを目指して航空会社を受験する場合、英検であれば最低でも2級の取得が求められます。合格率は、準2級が約35~36%、2級が約25~26%、準1級が約15%、1級は10%となっています。

また、TOEICも英語の実力を示す資格として広く用いられています。TOEICは、個人別のスコア制なので「合格・不合格」という概念はありません。

英検との比較で難易度を示すと、英検1級=TOEIC920、英検準1級=TOEIC700、英検2級=TOEIC570、英検準2級=TOEIC450、英検3級=TOEIC350となります。

グランドスタッフやCAの受験資格とされているTOEIC550~600は、日常生活に必要な会話ができて、さらに、ある程度は業務上のコミュニケーションができるレベルとされています。

ディスパッチャー(運航管理者)

ディスパッチャーに必要な資格・試験は「航空従事者」です。この試験の難易度は高く、合格率は非公開です。

試験内容は、学科と実地に分かれており、学科は「航空機」「航空機の運航」「航空保安施設」「無線通信」「航空気象」「気衝予報」「天気図の解説」「空中航法」「法規」となっており、実地は「天気図の解説」「航空機の航行の援助」です。

学科試験は年2回行われ、実地試験は学科試験の合格通知日から2年以内の希望日に実施されます。

パイロット

パイロットになるために必要な資格として、国土交通省は「自家用操縦士」「事業用操縦士」「定期運送用操縦士」の3つの資格の取得が必要であると示しています。

受験資格として、自家用操縦士は年齢が17才以上で総飛行時間が40時間以上、事業用操縦士は年齢が18才以上で総飛行時間が150時間以上、定期運送用操縦士は年齢が21才以上で総飛行時間が1000時間以上などと示されています。

また、受験資格として必要とされる技能も提示されており、受験前にこれらの条件を満たしておかなければなりません。そのためには、学校や訓練施設で指導を受けながら経験を積むことが必要だといえるでしょう。

その他の航空会社社員に役立つ資格

職種ごとの関連資格

グランドスタッフ

グランドスタッフを目指す人が持っていると有利な資格として、旅客機の予約など、旅行業務に必要な端末操作の技能を図る「AXCESS検定」や「アマデウスシステム検定」があります。

また、旅行関連の資格として「通訳案内士(通訳ガイド)」や「旅行業務取扱管理者」の資格も持っていれば役立つかもしれません。

さらに、接客業の仕事なので「接客サービスマナー検定」や「サービス接遇検定」なども持っているとよいでしょう。

ディスパッチャー(運航管理者)

ディスパッチャーに必要な資格は「運航管理者技能検定」ですが、この資格は航空会社に就職して必要な業務経験を満たすことで受験資格が得られます。

そのため、ディスパッチャーを目指す人が予め持っていると有利な資格はありませんが、気象についての知識も必要なので「気象予報士」を持っていれば、検定の際に勉強の助けになるでしょう。

パイロット

パイロットに必要な資格は、関連資格というよりも、全てが業務に必要なものです。

パイロットの免許は「操縦士技能証明」と「航空身体検査証明」があり、この2つがそろって、免許として効力を発します。「操縦士技能証明」は、航空機を操縦する技能があることを証明するもので、原則として生涯にわたって有効です。

しかし「航空身体検査証明」は、定期的に厳しい航空身体検査を受けて発行されるので、パイロットを続けるためには、この証明を取得し続けることが必要です。

航空会社が横行する旅客機は、機種ごとに資格が必要になります。航空機には、エンジンが1つの単発機と、2つ以上ある多発機がありますが、旅客機は全て2つ以上ついているので、多発機の免許が必要になります。

また、旅客機として使われる航空機には、ボーイング777や、ボーイング737など様々な機種がありますが、操縦する際には、その機種ごとの免許が必要です。航空会社で新しい機体を導入した際には、その機種を操縦するための免許を取得しなければなりません。

キャビンアテンダント(客室乗務員)

CAもキャビンアテンダントと同様、接客の仕事が中心になります。そこで「接客サービスマナー検定」や「サービス接遇検定」などの資格を取得しておくとよいでしょう。

また、看護師資格を持っていれば、乗客の体調不良時に対応できますし、小さい子どもさんに対応できるように保育士資格を持っていればアピールポイントになるでしょう。

航空会社社員に役立つ資格が取れる学校

職種ごとの資格が取れる学校

グランドスタッフ・キャビンアテンダント(客室乗務員)

グランドスタッフや、CA目指す人のための学校として、航空ビジネス学科やエアライン科を設置した専門学校があります。

これらの学校では、航空業界用語などの基礎知識や、接客マナー、AXCESSやアマデウスシステムの操作、航空会社受験のための英語や第2外国語、航空業界で華やかさを際立たせるメイクのしかた、空港の見学など、グランドスタッフやCAの業務に必要な知識やスキルを身につけ、航空会社の入社試験に役立つ学びを行います。

航空会社に入るためには、必ずしも専門学校に行く必要はありません。一般の大学や短期大学出身者でも受験できます。外国語学部や英文科などの外国語学科であれば、受験に有利ですが、看護師や保育士などの資格もアピールポイントになるので、看護科や保育学科で資格を取得し、英語や第2外国語は自力で学ぶという方法をとるのもよいでしょう。

ディスパッチャー(運航管理者)

ディスパッチャーの資格である「運航管理者技能検定」は、航空会社に就職して運航管理業務の経験を積まないと受験資格が得られないため、資格を取得できる学校はありません。

出身大学の学部や学科は問われませんが、航空宇宙学や気象学などを学んでおくと、検定に向けた勉強の際に役立つかもしれません。

パイロット

パイロットになるためには、航空会社に就職して「自社養成パイロット」として訓練を受けながら必要な資格を取得していく方法がありますが、もう1つの代表的な方法といえば、航空大学校に入学して学ぶことです。

航空大学校は、日本の公立で唯一の、エアラインパイロット養成機関です。入学試験は超難関な上、入学してからも、たくさんの資格取得に向けての、数々の厳しい訓練をクリアし続けなければなりません。

また、数は少ないのですが、パイロット養成コースを持つ大学もあります。日本国内でこのコースがある大学は全て私立の大学です。

最近では、アメリカの大学に留学してパイロットのライセンス取得を促すという動きも出てきています。アメリカで学ぶことによって、パイロットに必要な英語力も身に付けることができ、就職先の可能性として、日本はもちろん、世界各国の航空会社を視野に入れることも可能になります。

航空会社社員の資格・試験まとめ

接客系は語学が必須で技術系は専門資格が必要

航空会社社員の中で、グランドスタッフとキャビンアテンダントは、入社試験の段階から高い語学力が求められます。

ディスパッチャーとパイロットは、その職種のための専門資格を、長い期間の訓練と経験、そして厳しい試験によって取得し、ようやく専門職として一人前の仕事ができるようになります。

人の命を預かる重責を担う仕事なので、より高い専門性が求められる職業であるといえるでしょう。

航空会社社員の参考情報

平均年収400万円~1000万円
必要資格
  • 定期運送用操縦士
  • 運航管理者
資格区分 国家資格
職業職種企業

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