青年海外協力隊の資格試験とは?青年海外協力隊 採用試験の概要と合格の秘訣
「草の根外交官」「青年海外協力隊」なんとなく聞いたことはあるけれども、良く分からないという方も多いのではないでしょうか。青年海外協力隊には120以上の職種があります。必要な資格や試験はあるのか、採用試験はどうなっているのでしょうか、ご紹介します。
青年海外協力隊の資格・試験とは?
そもそも青年海外協力隊とは
青年海外協力隊とは、JICA(独立行政法人国際協力機構)のボランティア事業である青年海外協力隊、シニア海外ボランティア、日系社会青年ボランティア、日系社会シニア・ボランティアの4種類のボランティア事業のうちの1つです。
青年海外協力隊は、JICAボランティア事業で最も歴史があり、1965年度に発足しました。現在およそ70カ国に派遣されています。
平成28年7月にフィリピンのラモン・マグサイサイ賞を受賞しました。これは、アジアのノーベル賞とも呼ばれている、とても名誉な賞です。草の根外交官として、開発途上国の抱える問題に取り組むだけではなく、お互いの国の理解に貢献しています。
青年海外協力隊になるための資格
応募資格は、20~39歳の日本国籍を持つ方になります。ただし、条件に当てはまっていても応募できない方もいます。暴力団員その他の反社会的勢力に属する者。裁判が係属中の方。破産手続き中の方などです。
他には、単身での赴任になりますので、単身赴任ができる方。派遣期間が原則2年間になりますので、2年行ける方。派遣期間が1年間のものもあります。
まずは説明会へ
興味があれば、まず説明会に行くのもありです。とにかく全国各地で説明会や募集イベントをよくしています。中には個別相談会があり、直接ボランティアの経験者に話を聞けるチャンスもあります。
応募の資格や試験についてはもちろんですが、派遣中の話や帰国後の話も聞けるので、少なくても青年海外協力隊をやる決意をしたら、一度は行っておくべきでしょう。
2年間離れると、帰ってきたときには浦島太郎状態など、面白いあるあるネタも聞けるかもしれません。まだ説明会に行くまでではない、忙しくて説明会に行けないという方には、WEB型のもあります。オンラインですが、予約すればボランティア経験者と個別相談もできます。
青年海外協力隊になるための試験
試験といっても採用試験になります。募集は年2回、4月頃と10月頃です。まずは、応募から。応募は、ウェブ応募サイトからできます。ネット環境が整っていない方は書類で郵送することもできます。
応募者調書(応募者基本情報、応募職種、要請)、応募用紙(志望動機)、職種別試験解答用紙、語学力申告、問診票などが必要です。応募者調書の学歴、資格のウソはやめましょう。ウソを書いて合格しても取り消される可能性がありますし、なによりも沢山の方に迷惑が掛かります。
一次選考、二次選考
一次選考は、書類審査です。応募書類によって行われます。技術審査、健康診査、語学力審査があります。
語学力に関しては、一部要請を除いて英語は中学卒業程度に設定されています。中学卒業程度といえば、英検3級もしくはTOEICスコア330点になります。あとは、合格後に派遣前の訓練などで必要な言語を習得します。
一次選考に合格したら健康診断を受診し、いよいよ二次選考です。二次選考では、人物・技術面接、健康審査になります。人物・技術面接では、場合によっては、面接、実技試験、作品の提出があります。健康審査は、一次選考の後の健康診断の結果をもとに審査します。
すべてクリアすれば、応募締切から3~4カ月という長い期間を経て、ようやく青年海外協力隊になれます。
登録制度の期間は約6カ月
ただ、合格ラインをクリアしていても要請内容に適合しないなどの理由で派遣されない場合があります。その場合は、登録という制度があります。登録期間は約6カ月。派遣予定の方が辞退したり、受入国から要請があったりした場合は、繰り上げ合格になることがあります。
採用試験の難易度・合格率
大きく9つの分野にわたる職種
計画・行政、農林水産、鉱工業、人的資源、保健・医療、社会福祉、商業・観光、公共・公益事業、エネルギーの9つの分野からなります。さらに、細かく分けると120以上の職種があります。当然、人気のある職種は、合格率が低くなります。
要請数に対して応募者が多い職種は、計画・行政のコミュニティ開発、人的資源の青少年活動や環境教育などです。要請数に対して応募者が少ない職種は、鉱工業の電気・電子機器や電気・電子設備、自動車整備、人的資源の服飾などになります。
青年海外協力隊になるための難易度・合格率
難易度・合格率は、職種によって違います。
2018年度春募集の9つの分野別だと、計画・行政は、要請数141名に対して応募者数205名、二次選考合格65名。農林水産は、要請数83名に対して応募者数22名、二次選考合格15名。鉱工業は、要請数68名に対して応募数20名、二次選考合格11名。
人的資源は、要請数701名に対して応募者数595名、二次選考合格272名。保健・医療は、要請数187名に対して応募者数115名、二次選考合格66名。社会福祉は、要請数75名に対して応募者数50名、二次選考合格30名。商業・観光は、要請数31名に対して応募者数45名、二次選考合格18名。
公共・公益事業は、要請数34名に対して応募者数20名、二次選考合格11名。エネルギーは、要請数4名に対して応募者数2名、二次選考合格1名でした。
要請ごとに選考基準が異なるようです。何度か採用試験を受けてみて派遣される方もいます。
合格後の技術補完研修と派遣前訓練
技術補完研修の研修先は、自ら探す場合とJICAが手配する場合があります。職種によって違いますが、数日のところから長いものだと最長で3カ月間になります。
派遣前訓練もあります。こちらは、原則として70日間程度です。派遣国によって、福島県二本松市か長野県駒ケ根市で実施します。ボランティアとして適性が不十分だと判断された場合、派遣を取り止めることがあります。
語学に不安のある方も、この派遣前訓練で活動するための語学を身に付けられますので安心です。
青年海外協力隊その他
短期ボランティア
青年海外協力隊の派遣期間は原則2年間ですが、「ボランティアが初めてでやっていけるか不安」「仕事、学校を休めない」など、2年が難しい方のために、1カ月から参加できる短期ボランティア制度もあります。
短期ボランティアも応募資格は、2年間のものとそれほど変わりませんが、募集が4月中旬、7月中旬、10月初旬、3月初旬の年4回あります。応募締切から2~3カ月で結果が出ます。
もちろん、試験の合格者には、最大4日間の派遣前合同研修と事前学習が用意されています。
シニア海外協力隊
青年海外協力隊の応募資格に20~39歳という条件がありますが、ボランティアをしたいと思ったら40歳過ぎていた。という方のためにシニア海外協力隊があります。
応募資格は、40~69歳までです。年齢制限以外は、応募資格や選考、派遣前訓練などほとんど青年海外協力隊と同じになっています。
派遣期間は原則2年間。1カ月からの短期ボランティアもあります。
日系社会ボランティア
日系社会を対象とした日系社会ボランティアというものもあります。日系団体の派遣要請を受けて派遣されます。現地の日系社会と関わりを持つことができます。
青年、シニアとありますが、発足したのは青年が1985年度、シニアが1990年度と、比較的新しくできたばかりです。派遣状況は、青年、シニアともに5カ国となっています。
国連ボランティア、NGO
青年海外協力隊の大事な応募資格、日本国籍を持っている方とありますが、持っていない。でも国際協力したい、困っている人の力になりたいという方は、国連ボランティアやNGOという活躍の舞台があります。
青年海外協力隊の資格・試験のまとめ
必要な資格
青年海外協力隊に必要な資格は基本的にありません。しかし、発展途上国からの要請に応えられる知識や技術、経験があった方がいいでしょう。そして、それらを証明するためのそれぞれの資格や職歴があると活かすことができます。
2年間赴任されるにしろ、1カ月の短期ボランティアで行くにしろ、健康が何より大切です。赴任する国は、日本とは医療レベルが同じではないでしょうが、健康に働けることがなによりです。
きっと自分を必要としてくれる人がいるはずです。草の根外交官を目指してみるのはいかがでしょうか。
青年海外協力隊の参考情報
平均年収 | 100万円〜200万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | 国際 |
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