検察事務官になるには?求められることや向いている人の特徴などを解説
さまざまな職業がある中で検察事務官になるにはどういったスキルや適性が求められるのでしょうか。検察事務官は国家公務員であり、安定感のある仕事としても人気があります。今回は検察事務官になるために必要なスキルや特徴、採用試験の考え方などをご紹介します。
検察事務官になるには何が必要?
国家公務員採用一般職試験の合格が必要
検察事務官になるには、国家公務員採用一般職試験の合格が必要ですが、それ以外に何か特別な資格が必要となるわけではありません。日本国内の試験でトップクラスの難易度とされる司法試験よりは難易度が下がりますが、それでも簡単に合格できる試験ではありません。
しっかりとした対策を講じた上で試験に臨むことが重要であり、合格に向けた道筋です。学生時代から専門学校に通うなど、合格に向けてダブルスクールを行う人もいます。
大卒であれば社会人になってから受験することも可能です。仕事をしながら試験の合格を目指す場合は通信講座などを利用して自己研鑽を積むこともおすすめです。
高卒以上の学歴があれば受験可能
検察事務官になるための国家公務員採用一般職試験には、大卒程度試験と高卒者試験の2種類があります。高等学校または中等教育学校(中高一貫校)を卒業後2年を経過しない方であれば、高卒者試験を受験できます。
在学中の方であっても、3月までに卒業見込みであれば受験資格が与えられます。検察事務官と聞くと、大卒や大学院卒といった学歴が必要なのではないかと思う人もいるでしょう。しかし、実際には高卒でもチャレンジできるので、興味のある方は積極的に受験することがおすすめです。
大卒者は30歳未満であれば受験可能
高卒で検察事務官を目指す場合は、基本的に卒業後2年を経過しない人が受験対象です。その他、人事院が受験資格があると判断した場合も受験可能ですが、社会人になってから受験し直すことが難しい部分もあります。
一方で、大卒の場合は卒業後30歳未満の方であれば受験資格が付与されます。30歳を過ぎると受験資格がなくなりますが、一度社会に出た方でも再び検察事務官の夢を追いかけるチャンスが残されています。
一度別の道に進んだり一般企業に就職したりした方でも、30歳未満であればチャンスがあることを認識しておきましょう。
専門課程は問われない
検察事務官になるために国家公務員採用一般職試験の合格が必要ですが、専門課程が問われることはありません。高校の普通科卒業でも受験資格がありますし、大学の学部などが問われることもありません。
法学部などで法律に関する勉強をしておくと後々の仕事で役立ちますが、国家公務員採用一般職試験を受験する段階で専門課程が問われるわけではありません。
試験に合格するための知識を身につけることが重要であり、在学中に検察事務官を目指すことも可能です。そういった意味では幅広い方に門戸が開かれている職業であり、どのタイミングでも目指せる仕事としておすすめです。
面接の通過
国家公務員採用一般職試験に合格することで、検察事務官になるための第一ステップをクリアします。試験に合格しただけで検察事務官として働くことはできません。
試験合格者の中から、各検察庁で実施される面接などを通過した人だけが検察事務官として働くことができます。
面接では検察事務官としての適性や熱意などが問われます。まずは国家公務員試験に合格することが最優先ですが、その後に面接があることも理解しておきましょう。
検察庁で検察官のサポートを行う
面接まで通過して晴れて検察事務官になった場合、メインとなるのは検察庁で検察官のサポートを行う仕事です。検察庁の職場には主に「捜査公判部門」と「検務部門」、「事務局部門」の3部門があり、その中のいずれかの部門に配属されて検察官と二人三脚で仕事を行います。
検察官との相性も重要ですし、検察官に指示されたことをスピード感を持って処理することが求められます。事件の捜査や裁判に関する仕事も多く、高い集中力が求められます。
その他、総務や会計といった事務処理を任されることも多く、幅広い仕事に携わることができます。
検察事務官に向いている人、適性がある人
ここからは検察事務官に向いている人や適性がある人の特徴について取り上げます。国家公務員採用一般職試験に合格することで検察事務官として働く道筋が見えてきますが、一定の適性や資質が求められることも確かです。
実際に働いてから思っていた仕事と違ったなどと感じてしまうと、その後のキャリア形成にも不安が残ります。検察事務官を目指す前段階として、どういった適性が求められるのか知っておくことは大切です。具体的なポイントや特徴について確認しましょう。
正義感が強い人
正義感が強い人が検察事務官に向いています。検察事務官は事件や裁判を扱う仕事が多く、他人の人生を左右する仕事だと言っても過言ではありません。少しでも社会を良くしたい、公正な立場から判断を下したいといった気持ちがなければ務まる仕事ではありません。
適当な気持ちや曖昧な判断を下すと、社会的にも検察事務官に対する信頼を失いかねません。1つ1つの仕事に真摯に向き合い、何が最善なのかをじっくり検討する気持ちを持って仕事に当たることが大切です。
検察事務官は強い正義感があることが前提となる仕事となるため、改めて自分の心に問いかけてみると良いでしょう。
使命感が強い人
正義感と同様に使命感が強い人も検察事務官には向いています。仕事に対する責任感と言い換えることもできますが、法に違反する行為を取り締まり、厳正な対処をすることで社会の安定感を保つ気概を見せることが重要です。
社会の秩序や治安を保つ仕事であり、法に基づく的確な判断を下すことが求められます。なぜそうした判断を下したのかしっかりと説明できるように客観性を持たせることも重要であり、個人の一存で判断することはできません。
根拠となる法や過去の判例などを徹底的に探し出すことも使命感につながります。そうした姿勢を持って仕事に取り組める人が検察事務官に向いています。
コツコツと事務処理をこなせる人
コツコツと事務処理をこなせる人も検察事務官に向いています。検察事務官は検察官のサポートをすることがメインであり、検察官から指示されたことを的確に処理することが重要です。
その中には資料作成や会計、総務の仕事も含まれます。判断を下すために根拠となる法律を探し出す作業を行うこともあり、地道な作業が多いと感じることもあるでしょう。
地味ではありますが大切な仕事であり、とにかくコツコツと1つ1つの仕事を丁寧に行える能力が求められます。そうした根気強さを持っていると前向きに仕事を行えるでしょう。
他人をサポートすることが好きな人
何度か紹介していますが、検察事務官のメインとなる仕事は検察官のサポートをすることです。そのため、誰かを支えたり他人をサポートしたりすることが好きでないと、なかなか務まらない仕事です。
自分がメインとなって仕事をしたいのであれば検察官を目指す方が良いでしょう。検察事務官として仕事をする限り、自分が主導して仕事を行う機会はそれほど多くありません。検察官と二人三脚で事件解決のための業務を行うことがメインであり、基本的には常にサポート役に回ります。
裏方として事務処理や捜査に関わりたいという気持ちがあれば十分に活躍するチャンスがあるでしょう。
定期的な異動を苦にしない人
検察事務官として働く場合、異動が多いことも理解する必要があります。特に若手のうちは2年から3年程度で異動になることも多く、異動のたびに新しい仕事を覚えたり人間関係を築いたりする必要があります。
検察庁には主に「捜査公判部門」と「検務部門」、「事務局部門」の3つの部門があり、部門ごとに行う仕事は全く異なります。
異動になるたびに新しい知識を習得する必要もありますし、その部門や検察官のやり方に慣れる必要もあります。そういった部分での柔軟性があるかどうかも検察事務官として働くために必要な適性と言えるでしょう。
コミュニケーションスキルが高い人
コミュニケーションスキルが高いことも、検察事務官として働く上では重要な適性です。検察官と協力しながら事件を解決したり捜査を進めたりすることが多く、適宜コミュニケーションを取りながら仕事を前に進めることが求められます。
検察官や他の検察事務官とやり取りすることも多く、場合によっては警察関係者とやり取りすることもあります。1つの事件や捜査を取っても、多くの関係者の協力がなければ解決につながらないことは少なくありません。
他者と協調しながら仕事を行う意識を持っておくと、より仕事を行いやすくなります。
法律に関する興味や関心がある人
検察事務官として働くためにはさまざまな適性が求められますが、法律に関する興味や関心があることも重要なポイントです。事件や犯罪などの捜査を行う上では根拠となる法律を理解しておかなければなりません。
その点において、法律に全く興味や関心がなければ仕事を続けることが難しいでしょう。大学では法学部を専攻した方が有利と言われるケースもあります。
法律を覚えたり条文を暗記したりするのは気の遠くなるような作業でもあります。多少なりとも法律について知りたい、もっと詳しくなりたいという気持ちを持つことが大切です。
細かい部分に注意が向く人
細かい部分に注意が向く人も検察事務官に向いています。事件の書類チェックや管理、法律の確認、証拠品の預かりや処分、刑の執行など、1つ1つの過程がとても重要であり、被疑者の人生を左右させるような仕事ばかりです。
そうした1つ1つの過程において何か間違いはないか、漏れている処理はないかなど、細かい部分に気を遣えるかどうかは重要な適性です。
検察事務官という職業だからこそ公正な立場から判断を下すことが重要であり、そのために細かい部分にまで目を向けることが求められます。
検察事務官になるための学校や講座
ここからは、検察事務官になるためにおすすめの学校や講座について紹介します。本文でも触れましたが、検察事務官になるには国家公務員採用一般職試験に合格する必要があります。試験を受験するためには高卒以上の学歴が必要ですが、何か特別な資格が必要となるわけではありません。
学生時代の専門課程が問われることもないので、実際にはどこに入学しても問題ありません。その前提を踏まえた上で、おすすめの学校や講座について確認しましょう。
大学の法学部がおすすめ
まず検察事務官を目指す上では、大学の法学部に入学することがおすすめです。検察事務官になるために必要な資格や学歴があるわけではなく、高卒でもなるチャンスがあります。
大学に関しても学部や学科の指定があるわけではなく、いずれの学部でも卒業すれば受験資格を取得できます。
重要なのは検察事務官になってから活躍することです。検察事務官になっても仕事が面白いと感じなかったり、数年で辞めてしまったりしてはもったいないでしょう。
充実感を持って働くためには多少なりとも法律や経済に関する知識を身につけておいた方が得です。国家公務員採用一般職試験でも憲法や民放、行政法や刑法など、法律に関する知識が問われます。
経済学部もあり
試験ではミクロ経済学やマクロ経済学など、経済に関する知識も問われるので、経済学部に入学することも悪くありません。
中学や高校といった段階で検察事務官になることを夢見ているのであれば、大学は法学部か経済学部のいずれかを選択すると良いでしょう。
高卒と大卒では検察事務官になってから進むキャリアに違いが出ることもあるので、まずは大卒という学歴を手にすることも有効です。
大原法律公務員専門学校
大学を卒業したり、社会人になったりしてから検察事務官を目指すを目指す場合は大原法律公務員専門学校に通うこともおすすめです。大学在学中にダブルスクールという形で通学することも悪くありません。
大原法律公務員専門学校では公務員試験の合格を目指して多くの仲間と切磋琢磨しながら、自身のスキルを高めることができます。
札幌や大宮、横浜や名古屋、岐阜や大阪など、各主要都市に学校があるので、お近くの学校に通えるところもメリットです。
2年制の「国家公務員・地方上級」コースを選択すれば、以下のような試験の合格を目指せます。
- 国家公務員一般職大卒程度
- 裁判所一般職大卒程度
- 衆議院事務局一般職大卒程度
- 参議院事務局一般職大卒程度
- 東京都職員 類B
- 都道府県庁職員上級
- 市区町村職員上級
検察事務官を目指すためには国家公務員一般職大卒程度の合格が必須ですが、その他の職業を目指す仲間も数多くいます。幅広い知見や興味、関心を持った仲間たちと共に学べる時間はとても有意義なものとなるでしょう。
主なカリキュラム(1年次)
大原法律公務員専門学校の「国家公務員・地方上級」コースでは2年間にわたって、国家公務員一般職大卒程度試験の合格に向けた授業や講義を受けることができます。
在学中でも通学できますし、社会人になってから学び直すことも可能です。自身の夢や目標に向かって日々努力する姿勢を忘れないようにしましょう。
1年次の主なカリキュラムに関しては以下の通りです。
- 数的推理
- 文章理解
- 公務員研究
- 一般教養科目
- 憲法
- 判断推理
- 経済学
- 民法
- 政治学
- 空間把握
- 行政法
- 行政学
- 財政学
- 社会学
- 応用数的処理
- 項目別問題演習
- 面接基礎トレーニング など
主なカリキュラム(2年次)
2年次の主なカリキュラムは以下の通りです。
- 面接基礎トレーニング
- 項目別問題演習
- 論文
- 模擬面接演習
- Word・Excel実習
- ビジネスマナー実習
- 採用職種に応じた学習 など
その他のカリキュラム
- OB・OGガイダンス
- 官庁見学
- 2年生による合格報告会
- 官庁人事担当者ガイダンス など
さまざまなカリキュラムを通して検察事務官になるための知識や教養を身につけます。卒業生からの話を聞く機会や官庁人事担当者からのガイダンスを通して、検察事務官として働く上での心構えを持つことも大切です。
2年間という貴重な時間を通して吸収できるものを積極的に取り入れると良いでしょう。
検察事務官になるには?まとめ
検察事務官になるには高い事務遂行能力が必要
「検察事務官になるには」というテーマで、検察事務官になる方法や向いている人の特徴などを紹介しました。実際に検察事務官になるには国家公務員採用一般職試験に合格することが最低限必要なことであり、それ以外に必要な資格があるわけではありません。
高卒以上の学歴があればチャレンジできる職業であり、より多くの方にチャンスがある仕事です。実際に検察事務官として働くためには強い正義感や使命感、仕事に対する責任感が重要であり、欠かせない資質です。
それと同時に検察官を支えるための高い事務遂行能力も求められます。法律に関する知識なども含めて簡単に務まる仕事でないことは確かです。それでも検察事務官にチャレンジしたい、社会を良くしたいといった情熱がある方は積極的に目指しましょう。
検察事務官の参考情報
平均年収 | 400万円~550万円 |
---|---|
必要資格 |
|
資格区分 | 試験合格 |
職業職種 | 法律・政治 |
検察事務官の関連記事
「フォロー」をお願いします
最新情報をお届けします