カメラマンの給与・年収は?サラリーマンとフリーランスで大きく収入額が変わる
カメラマンは出版社などに就職する会社員と、独立して自営業として働くフリーランスの2つに大きく分かれます。それぞれどの程度の収入が期待できるのでしょうか。カメラマンの給与・年収についてご紹介します。
カメラマンの初任給
カメラマンが一般の企業に就職する場合、その多くは出版社・新聞社への就職となるでしょう。カメラマンとして受け取れる初任給はどの程度の金額が期待できるのでしょうか。
出版社への就職
厚生労働省が発表している「平成29年度 賃金構造基本統計調査」における、出版社・新聞社を含む「映像・音声・文字情報制作業」の初任給実績は以下の通りです。
最終学歴 | 男女計 | 男 | 女 |
---|---|---|---|
大学院修士課程修了 | 23.5万円 | 23.6万円 | 23.3万円 |
大学卒 | 21.6万円 | 21.7万円 | 21.4万円 |
高専・短大卒 | 18.9万円 | 19.3万円 | 18.0万円 |
高校卒 | 16.5万円 | 16.5万円 | 16.4万円 |
全産業の平均初任給額は以下の通り。
最終学歴 | 男女計 | 男 | 女 |
---|---|---|---|
大学院修士課程修了 | 23.9万円 | 24万円 | 23.4万円 |
大学卒 | 20.7万円 | 21万円 | 20.3万円 |
高専・短大卒 | 18.1万円 | 18.3万円 | 18.0万円 |
高校卒 | 16.5万円 | 16.7万円 | 16.2万円 |
初任給の段階では、ほぼ一般的な給与と差はないところからのスタートとなっているようです。
カメラマンの平均給与の統計
会社員として雇用されているカメラマンは、一般の会社員と同様に毎月の給与を受け取ります。カメラマンが受け取る給与はどの程度なのでしょうか。
出版業界は平均給与が高い
平成29年における、カメラマンが属する映像・音声・文字情報制作業と全産業の平均給与(手当含まず)の統計情報を比較したものが以下の表です。
年齢 | 映像・音声・文字情報制作業 | 全産業平均 | 割合 |
---|---|---|---|
全年齢 | 43.5万円 | 30.4万円 | 142.95% |
~19歳 | 16万円 | 17.6万円 | 90.88% |
20~24歳 | 22.1万円 | 20.7万円 | 106.97% |
25~29歳 | 25.7万円 | 23.9万円 | 107.45% |
30~34 | 33.6万円 | 27.2万円 | 123.59% |
35~39歳 | 36.6万円 | 30.1万円 | 121.65% |
40~44歳 | 46.6万円 | 32.7万円 | 142.43% |
45~49歳 | 55.8万円 | 35.2万円 | 158.33% |
50~54歳 | 61.9万円 | 37.3万円 | 166.15% |
55~59歳 | 59万円 | 36.4万円 | 162.28% |
60~64歳 | 30万円 | 27.5万円 | 109.44% |
65~69歳 | 26.9万円 | 25万円 | 107.59% |
映像・音声・文字情報制作業には出版・新聞だけでなく、テレビ局やラジオ局といった、他の業種も含まれています。
そのため上記の表では全産業平均よりかなり高い月給が出ていますが、求人情報等を見る限り、カメラマンの給与の実態はもう少し低いところに落ち着きそうです。
募集は18~30万ほど
大手求人情報サイトにおいて、カメラマンを正社員として募集している東京都の求人広告によれば、月給はおおむね20万~30万円程度となっていました。
わずかですが新卒募集もあり、こちらも18~20万円前後と、一般企業の会社員と大きな差はありません。
アシスタントは非常に安い
カメラマンとして働く際、学校を卒業したらすぐ就職するだけでなく、ある程度下積みを積むという選択肢があります。
写真スタジオのスタッフやカメラマンのアシスタントとして働き、現場に触れて技術や知識を学びながら収入を得る方法があります。
この場合、写真スタジオのスタッフはアルバイトとして雇用され、カメラマンのアシスタントはカメラマンと個人契約を結び、アシスタント料をもらって働くことになります。
これらの場合、受け取れる報酬は就職した場合に比べて安いことが多く、月間数万円から多くても十数万円という程度の報酬となるようです。
カメラマンの年収統計
会社員としてのカメラマンは、出版社の社員としての報酬を受け取ることになります。どの程度の報酬が期待できるのか、また会社員以外のカメラマンの報酬はどの程度得られることが期待できるのでしょうか。
業界の年収は高め
平成29年における、映像・音声・文字情報制作業と全産業の平均年収を統計情報から類推したものが以下の表です。
年齢 | 映像・音声・文字情報制作業 | 全産業平均 | 割合 |
---|---|---|---|
全年齢 | 692.1万円 | 491.2万円 | 140.90% |
~19歳 | 218.3万円 | 248.0万円 | 88.02% |
20~24歳 | 320.1万円 | 314.9万円 | 101.65% |
25~29歳 | 408.2万円 | 391.3万円 | 104.32% |
30~34歳 | 557.7万円 | 450.5万円 | 123.80% |
35~39歳 | 593.4万円 | 495.1万円 | 119.85% |
40~44歳 | 738.9万円 | 536.4万円 | 137.75% |
45~49歳 | 886.2万円 | 576.2万円 | 153.80% |
50~54歳 | 962.6万円 | 606.5万円 | 158.71% |
55~59歳 | 971.5万円 | 583.2万円 | 166.58% |
60~64歳 | 429.9万円 | 409.3万円 | 105.03% |
65~69歳 | 358.7万円 | 348.8万円 | 102.84% |
70~歳 | 673.9万円 | 348.3万円 | 193.48% |
月給の統計同様に、こちらも他業種の影響が強くカメラマンの実態とは大きくかけ離れている印象です。
大手求人広告サイトによれば、正社員としてカメラマンを募集する場合の年収提示はおおよそ350~600万円が多いようです。高額の年収を提示している案件では、広告や商品カタログといった商業用写真の撮影カメラマンの募集が主流となっています。
さらに高額の報酬を求める場合、写真撮影だけではなく、編集者も兼ねた募集となる傾向が強いようです。
フリーランスのカメラマンが多い
厚生労働省が発表している統計は、会社員としての報酬が対象になっていますが、カメラマンの多くはフリーランスとして仕事しています。その年収はピンからキリまであり、200万を切る人もいれば、1,000万を超える売れっ子カメラマンも存在しています。
フリーランスカメラマンの単価
フリーランスのカメラマンは、丸1日、午前中の半日というような拘束される時間・日数あたりの報酬を求めることが一般的です。
カメラマンの募集を専門としたマッチングサイトによれば、時給募集案件は1,500円前後、日給募集では8,000円程度から始まり、専門性の高い案件では50,000円を超えるようなものも見受けられます。単価の高い案件は専門性も高く、また過酷な撮影環境が高単価の理由になる場合もあるため、全て高単価の案件で埋め尽くすことは難しいでしょう。
またフリーランスは稼働日を増やせば増やすほど収入に直結しますので、一般的な会社員より稼働日数を増やすことで収入増が見込めます。ある程度の単価の案件を受けつつ、高単価案件の比率をどれだけ増やせるかが高収入へつながる道といえます。
おおよその予想ですが、年間300日×平均日給15,000~20,000円で、450万~600万がフリーランスカメラマンの収入モデルといえそうです。
1,000万円超えも夢ではない
カメラマンには多くのジャンルがあり、その中でも稼ぎやすいジャンルは存在します。
写真の出来が商品の売れ行きに直結する広告写真を撮影するカメラマンは、その腕次第で一本の撮影単価を大きく引き上げることができるでしょう。そういった大きな単価の案件を多く発注できる力を持ったクライアントや、大企業の広告を取りまとめる代理店と懇意にできるかどうかで、収入は大きく左右されます。
また、近年ではSNSや個人サイトを通じ、代理店を挟まずに直接顧客と契約することで、高い単価で撮影を行うカメラマンも増えています。ネット上にポートフォリオを公開し、それを営業ツールとして使うことで「自分たちもこんにきれいに撮ってもらえる」とイメージしやすく、集客につながることが多いようです。
利用する層は若いカップルや夫婦が多く、結婚式や子供の七五三など、人生の中で一度しかない大きなイベントを最高の形で残すことが期待されています。
個人間取引の相場はあって無いようなもので、1日だけの撮影で5万~10万ほどになることもあります。そのような案件でカレンダー上の休日を埋め尽くすことができれば、それだけで1,000万円が見えてくるほど効率のよい収入源となっています。
撮影+編集がトレンド
また、撮影物に対して付加価値をつけることで、単価の引き上げに成功するケースもあります。
近年ではデジタル化が進んだ影響で、撮影物を納品するだけでなく、必要に応じた編集・加工までできるカメラマンが重宝される傾向にあります。発注者側の手間を減らせるカメラマンは大事にされ、仕事が集中することが容易に予想できます。
現代では仕事が少なく悩むカメラマンと、高額報酬を得るカメラマンに大きく分かれていますが、今後付加価値を提供できるカメラマンが増えていけば、さらにその二極化の傾向は強くなっていくでしょう。
カメラマンの給料・年収まとめ
会社員として働くカメラマンは、一般的な会社員と大きな収入の差はなく、年を追うごとに徐々に上がっていくでしょう。
フリーランスとして働く多くのカメラマンのモデル年収は、おおよそ450~600万円ほど。しかし現実には1,000万円を稼ぐスターカメラマンも存在しています。
今後はデジタル化により順応し、より高い付加価値を提供できるカメラマンや、SNS等による集客に優れたカメラマンが続々と登場し、カメラマンの中でも大きく稼ぐ層と稼げない層の二極化がさらに進んでいくことでしょう。
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カメラマンの参考情報
平均年収 | 300万円~1000万円 |
---|---|
必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | 出版・報道 |
統計情報 出典元:
- 職種・性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
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