キックボクサーの資格・試験とは?プロテスト・ライセンス試験の概要と合格の秘訣
キックボクサーになるには、キックボクシングジムにおいて練習生として一定のトレーニングを積み、プロテストに合格してプロライセンスを取得する必要があります。今回は、キックボクサーのプロテストの詳細や、試験の難易度などをご紹介します。
キックボクサーの資格とは?
キックボクシングは日本独自の打撃系格闘技
キックボクシングはもともと、タイの格闘技であるムエタイがルーツとなっています。日本のボクシングプロモーターである野口修によって創設された、日本独自の打撃系格闘技です。
1960年代にムエタイの選手を日本へ招致し、ムエタイ対ボクシング、ムエタイ対空手などの異種格闘技的な興行を画策した野口がルールを整理し、独自の格闘技として成立させたことで、日本にキックボクシングが生まれました。
その後、野口が立ち上げた日本キックボクシング協会、石原慎太郎がコミッショナーを務めた全日本キックボクシング協会をはじめ、1972年には全日本学生キックボクシング連盟が設立されました。
様々な団体の分裂と合併がその後相次ぎ混迷を極めるも、1990年代にテレビ界とのコネクションによってフルコンタクト空手の大会を催していた石井和義が、空手やボクシング、ムエタイなどの異種格闘技戦によって打撃系格闘技の世界最強を決める大会「K-1」を設立し、これが大人気となりました。ルールを工夫して流血を減らし、膠着した試合を防ぐなどオーディエンスに配慮したルール設定と、派手な演出によって大きなムーブメントに発展しました。
また2000年代後半にも続々と新団体が発足し、2016年にも複数の団体の連携によってライセンスの統一を図る一般社団法人キックボクシング振興会の発足が発表され、まだまだ発展途上の格闘技であることがわかります。
プロになるには様々な団体が認定するプロテストへの合格が必要
日本には現在、10を超えるキックボクシングの団体が乱立している状態です。日本においてプロのキックボクサーになる為には、まずは練習生としてキックボクシングジムに所属して、練習生として1年以上トレーニングを積む必要があります。
そうして一定のレベルにまで成長した段階でアマチュア大会への出場を打診されます。そうしてアマチュア大会で一定程度の実績(勝利数に関係なく、どういう戦い方をしたかが審査される)を積んだら、所属ジムから声が掛かって、プロテスト受験を提案されます。
そうしてジムの推薦を受けてプロテストに臨み、合格すれば無事にライセンス獲得ができます。以上が、プロのキックボクサーになるまでの大まかなプロセスです。
現在のキックボクシング界では、統一ライセンスはなく、日本国内に大小合わせて10を超える団体がそれぞれにプロテストを開催しており、それぞれの団体によって独自のライセンスを発行している状態です。
プロテストは様々な団体のものがありますが、ここでは「新日本キックボクシング協会」のプロテストと、「J-NETWORK」のプロテストについて紹介します。
新日本キックボクシング協会が行うプロテストについて
新日本キックボクシング協会認定プロテストの概要
新日本キックボクシング協会は、日本で唯一「打倒ムエタイ」を目指している団体で、タイ国への遠征試合が恒例となっていて、キックボクシングのルーツであるムエタイを倒すことを目的として、日々熱い戦いを行なっています。
2003年に正式に財団法人日本プロスポーツ協会所属団体となり、スポーツを通した青少年の健全な育成およびプロスポーツのレベルの向上と発展を図っています。新日本キックボクシング協会が行うキックボクサー認定試験であるプロテストは、誰でも受けられるわけではなく、先述の通り、一定の条件が必要となります。
受験資格は、キックボクシングジムに所属した上で、練習生としてのトレーニングを経て、全くの未経験者の場合はアマチュア大会において試合を複数回行い、その際の戦いぶり、試合の内容を詳細にチェックされ、審査に通った者のみがプロテストへと進むことができます。
個人差はあるものの、真面目に練習を積んで早くて半年、遅くておおよそ1年〜1年半ほどでプロテストを受ける資格を得るところまで進めるようです。
なお、ジムに所属する前に一定程度、他の格闘技、例えば空手、ボクシング、ムエタイなどの経験がある練習生の場合は、協会長の判断によっていきなりプロテストに挑戦でき、無審査でライセンス取得ができる場合もあるようです。
新日本キックボクシング協会のプロテストは、毎月第3土曜日に行われています。試験内容は筆記試験(15〜30分程度)と、スパーリング試験の2つです。まずは筆記試験が行われますが、筆記試験はすぐに採点されますが、簡単な内容で、勉強しなくても難なく解けるレベルのようです。
試験の難度としては比較的簡単で、記念受験者も4人に1人ほど存在するようです。
J-NETWORKのプロテストについて
J-NETWORK認定プロテストの概要
J-NETWORKは、母体となる組織の発足が1989年、J-NETWORKに改称したのは1997年で、株式会社という形態をとり、複数のジムやアマチュアキックボクシングの大会や多くの興行を主宰しています。
この組織は革新的なシステムを続々と取り入れていて、例えば日本のキックボクシングの団体で唯一、タイトルをフリー王座としていて、他の団体に所属しているプロ選手でもタイトルマッチに挑戦できる取り組みを行っています。
また、男子中心の大会だけでなく女子限定のプロ大会(J-GIRLS)を定期的に開催し、キックボクシングにおいて初めて女子王座の認定を行うようになった団体として知られています。
J-NETWORKのプロテストは、新日本キックボクシング協会と比べると非常にしっかりと内容を詰めて行なっている印象がありますが、開催頻度は低く、2019年のプロテスト日程を見ると、4月、9月、12月の年3回のみとなっています。
J-NETWORKは受験資格に年齢制限を設けています。受験資格は、健康状態の良好な16歳以上37歳以下の男女、と規定されていて、受験時に健康診断書、あるいは健康証明書の提出が必須となっています。また、J-NETWORK以外の他の団体のジム所属選手でも受験が可能という間口の広さが特徴です。
J-NETWORK認定プロテストの試験内容
試験の内容は、まずは筆記試験が課され、基本的なキックボクシングの知識を問われます。
その後は実技試験となり、科目は「シャドーキックボクシング」(2分1ラウンド)、「スパーリング」(パンチのみで1ラウンド、パンチとキックで1ラウンド、合計3分2ラウンド)、「首相撲」(2分1ラウンド、女子は無し)、「ミット蹴り」(キックミット左右連続蹴り3分2ラウンド)、「筋力テスト」(腕立て&腹筋各50回)が課せられます。
この団体の特徴はプロテストに課せられる実技の実際の様子を動画で公開して、どこをチェックされるかなどを、わかりやすくリアリティのある映像で伝えている点です。試験の内容も詳細に記されていて、非常に親切な印象を受けます。
キックボクサーの資格を得るためには?
とにかくキックボクシングジムへの所属が第一歩となる
キックボクサーになるためには、プロテストへの合格が必須となり、プロテストへの受験資格を得るには、基本的にはキックボクシングジムへの所属が義務付けられます。
一般的には半年〜1年半に及ぶ練習生としてのトレーニングを経て、格闘技経験者は許可が下りればそのままプロテストへ進み、未経験者はアマチュアキックボクシング大会への出場、試合内容によって審査が行われ、プロテスト受験を許可されます。
基本的にプロテストにはジム代表者の許可(署名)が必要となるため、実質的にジムからの推薦が無いとプロテストの受験はできない状態です。J-NETWORKの場合は年齢制限がありますが、年齢制限は一般には無い団体の方が多いと言われています。
キックボクシングジムへの所属には、入会料や月謝が必要となり、プロになるまではお金を稼ぐどころかお金を払わないといけないという厳しさがあります。
キックボクサーは、若いうちが花なので、10代でプロ選手になる人も多くいます。学歴や資格は問われないので、ただただトレーニングと、スパーリングなどキックボクシングの技能を純粋に問われることとなります。
キックボクサーの資格・試験まとめ
兎にも角にもプロテスト合格が必須!実績を積み上げてプロになろう
キックボクシング界は団体が今も増え続けており、団体ごとにライセンスが発行され、まだまだ統一ライセンスには至っていない状況です。
そうした群雄割拠のキックボクシング界において重要なのは実績と技能です。しかしファイトマネーの上下の査定に関して、純粋な勝利数よりも勝利へのプロセスが問われる点は非常に特徴的です。
プロボクサーと比べても客観的な基準が不足している分現状は厳しいですが、人気のある大会で活躍すれば途端に有名になれる夢のある世界です。まずはプロテストに受かって、世界レベルへの切符を掴みましょう。
キックボクサーの参考情報
平均年収 | 50万円〜100万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 免許 |
職業職種 | スポーツ |
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