家具職人の資格・試験とは?取得しておくと役立つ資格の特徴などを解説

家具職人の資格・試験とは?取得しておくと役立つ資格の特徴などを解説

家具職人は学歴や性別、年齢なども関係なく、誰でも目指すことができる仕事です。家具職人になるために必須の資格はありませんが、資格を持っていると有利なことはあるようです。今回は家具職人に関連する資格・試験の情報をご紹介します。

家具職人の資格とは?

家具職人に必須となる資格や試験はありませんが、取得しておくことで業務やキャリアとして役立つであろう資格や試験を紹介します。

家具製作技能士

家具製作技能士は、厚生労働省が所管する技能検定制度のひとつで、国家資格です。検定試験は都道府県知事が実施します。多くの家具職人が資格取得を目指す、家具の世界では王道の資格で、家具製作の技術や知識が十分あることを示します。

家具製作技能士は1級から3級まであり、1級を受検するには7年以上の実務経験、または2級合格後2年以上の実務経験が必要です。また、2級受検には2年以上の実務経験または3級に合格していることが必要です。3級の受検資格は、高校や大学等で関連学科に在籍しているか卒業した、あるいは関連実務経験を有することなどです。

専修学校卒業者が1級を受検する場合、実務経験は6年以上で良いなど、経歴によって必要な実務経験が短縮されることがあります。家具製作技能士の資格は、家具手加工作業、家具機械加工作業、いす張り作業の3つに分かれています。

木材加工用機械作業主任者

木材加工用機械作業主任者は、厚生労働省が所管する国家資格です。家具の加工には木材加工用の機械を使用します。機械を一定数以上設置する工房・作業場には、作業の指揮や労働災害の防止のために木材加工用機械作業主任者を設置することが定められています。

このため、将来独立を目指す方や、現場で責任者のような立場として働きたい方は、資格が必要となります。講習の受講資格は、「木材加工用機械による作業に3年以上従事した経験を有する者」とされています。

家具職人に役立つ資格の難易度・合格率

家具製作技能士の難易度・合格率

家具製作技能士の資格は、学科試験と実技試験を受けて合格すると取得できます。

学科試験は、家具一般、製図、電気、関係法規、安全衛生についてです。また、実技試験は、家具手加工作業、家具機械加工作業、いす張り作業それぞれについて、製作課題があります。

検定試験の開催日程や受講料などは都道府県により異なるので、詳細は都道府県職業能力開発協会などに問い合わせてください。実技試験は60点以上、学科試験は65点以上で合格となります。平成29年度の家具製作技能士の受験者数は1609人、合格者数は1109人で、合格率は69%です。

木材加工用機械作業主任者の難易度・合格率

木材加工用機械作業主任者の資格は、以下の科目の講習を受講し、修了試験を受けると取得できます。

  • 作業に係る機械、その安全装置等の種類、構造及び機能に関する知識
  • 作業に係る機械、その安全装置等の保守点検に関する知識
  • 作業の方法に関する知識
  • 関係法令

講習の開催日程や受講料などは都道府県により異なるので、詳細は各都道府県の労働局などに問い合わせてください。

終了試験は、各科目の正答率40%以上、総合点で60%以上をクリアすると合格となります。修了試験の合格率は公表されていませんが、真面目に受講すれば、ほぼ100%合格できるようです。

その他の家具職人に関連する資格

「マイスター」など海外の資格

海外の家具職人資格を取得して、日本や世界で活躍する家具職人もいます。

海外の資格としては、ドイツの「マイスター(Meister)」や「ゲゼレ(Geselle)」、スウェーデンの「イェセル(Gesaell)」などが代表的です。

特にドイツのマイスターは有名ですが、先に3~4年学んでゲゼレという資格を取得してから、さらに修行を積んでマイスターを取得することとなっていますので、マイスターを取得したい場合、まずはゲゼレ取得を目指すことになります。

海外での資格取得は、一般的な留学と同様に自費で現地の職業訓練学校等に入学することもありますが、国や企業が費用を負担してくれることもあります。ただし、一定以上の語学力があることが前提となりますので、語学力の不足で現地の語学学校に行く場合などの費用は自己負担となることがほとんどです。

現地の職業訓練学校等で働きながら修行を積む場合、その労働分の賃金がもらえることがあるので、留学費用は一般的なの留学よりも少なくてすむでしょう。海外での資格取得を専門にしている留学斡旋業者などもありますので、気になる方は問い合わせてみてください。

必ずしも日本で通用するとは限らない

海外の資格取得は、一見、家具職人としての箔がつくかのように感じますが、もともと家具職人になるために必須の資格はない日本では、必ずしも資格が役立つとは限りません。

「マイスター」などを取得した家具職人の活躍話を耳にすることもあると思いますが、それはあくまでも相当の腕があるからです。資格があるから採用に有利とか、高い年収が期待できるということはほとんどないと思ったほうが良いでしょう。

何年も海外で生活して、修行を積み資格を取得するのは大変なことです。言葉や文化、生活習慣の違いもあります。しかも、資格を取得しても、日本での高給につながるとは限りませんので、安易な憧れのみで海外での資格取得を目指すことはおすすめできません。

自動車運転免許

家具職人になるなら持っていた方が良い資格のひとつに自動車の運転免許が挙げられます。家具職人は、材料となる資材を自分で運搬することがあります。また、お客様から家具をお預かりしたり、製作・修理した家具を納品したりするのも家具職人が自ら行なうことがあります。

そのため、勤務する工房・会社にもよりますが、普通自動車運転免許を必要とされることが多くあります。運転免許はできるだけ就職前に取得しておきましょう。

インテリアコーディネーター、インテリアプランナーなどの資格

家具だけではなく、家具を置く空間全体のインテリア等に関連する資格もあります。

インテリアコーディネーターの資格

インテリアコーディネーターは、快適な住空間づくりのためにアドバイス等を行う専門知識があることを示す資格です。インテリア産業協会が認定しています。

建物の内装、家具、照明器具などの商品知識を有していることの証明になるので、家具だけではなく内装や照明器具なども手掛けたい場合は、資格を持っていると有効でしょう。

試験は筆記試験による一次試験と、プレゼンテーション・論文(記述式)による二次試験があります。

インテリアプランナーの資格

インテリアプランナーは、インテリア空間をトータルで設計できるプロフェッショナルであることを示す資格です。建築技術教育普及センターが認定しています。

設計部分に関しては設計士と重なる領域があります。家具職人が、家具づくりだけではなく建物内部のインテリア設計や安全で快適な空間づくりなどをトータルで行ないたい場合には、資格を持っていれば自分の能力を示すために有効でしょう。

インテリアプランナーは、以前は受験資格に年齢制限がありましたが、この年齢制限もなくなり、受講しやすくなりました。試験は学科試験と設計製図試験があります。

これらの資格は、家具職人にとって必須ではありませんが、独立して多角経営を狙う場合などは、資格を持っていれば対外的に能力を証明することができます。

家具職人に役立つ資格が取れる学校

就学は必須ではないが有利なことも

家具職人は、学歴に関係なくなることができる仕事ですが、学校で学んでおくと有利なことはあります。家具の製作や修理には、図面が読めることや、道具が使えることが前提となりますので、これらの知識や技術を学んでおくと、家具工房・製作会社等への就職試験や就職後の実務で役立つと考えられます。

学校・コースは幅広くある

全国各地の職業訓練学校や、家具専門の専門学校・スクールなどでは、図面の見方や、家具製作の基礎を学ぶことができます。

具体的な内容は学校により様々で、CADなどの専門ソフトを用いた本格的な製図や模型製作からインテリアコーディネートや空間デザインまで、幅広くあります。中には、家具製作技能士などの資格を取得できる学校もあります。

就学期間についても、全日制で3年程度の学校から趣味程度に数回の講座で終了するところまで色々とあります。ご自分の進路や学びたい内容に照らして選んでみてください。

家具職人の資格・試験まとめ

資格は必須ではないが取得を目指そう

家具職人に必須の資格はありませんが、家具製作技能士は家具に関する知識や技術を証明することができます。また、木材加工場などには木材加工用機械作業主任者の設置が必要なので、独立を目指すなら資格を取得しておきましょう。

他にも、マイスターなど海外の資格や、インテリア関連の資格などがあればセールスポイントになることもあります。自分のやりたいことに応じて資格取得を目指しましょう。

家具職人の参考情報

平均年収250万円~400万円
必要資格 必要資格なし
資格区分 -
職業職種建築・不動産

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