漁師の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説
漁師は魚介類を収穫する職業であり、日本の食卓に大きな影響を与える重要な役割を担っています。さまざまな魚介類を得るために、漁師はどのような内容の仕事をしているのでしょうか。さまざまなジャンルに分かれる漁師の仕事内容について紹介します。
漁師とはどんな仕事?
魚介類を収穫する仕事
漁師とは、魚介類を専門に収穫する職業です。日本において、魚介類は毎日の食事に欠かせない重要な存在です。栄養源として求められるだけでなく、地域の特色となる特産品として評価されるものも数多く存在します。
地域や漁法によって収穫する魚介種はさまざま
一口に漁師といってもその収穫対象は細かく分かれており、その手法もさまざまです。地域や季節によって獲れる魚介類は大きく異なります。北海道ではサケ、タラ、ホッケなど。北陸ではタイやスズキがあり、四国・九州ではイカ、ヒラメ、ブリというようにその顔触れは大きく変わります。
また収穫対象によって手法も大きく異なるため、同じ漁師と呼ばれる職業の中でも、近海で漁場とする漁師、遠洋に出て長期の漁を行う漁師などに分けされています。
国産の魚介類は根強い人気がある
海に出て魚介類を収穫する「海面漁業」は年々漁獲量が減少している傾向にあります。その背景には海外から安い魚介類が輸入されてくることも影響しています。
しかし国産の魚介類は味や信頼性の面から根強い人気があります。また秋鮭・初カツオといった「季節もの」を重視し、関サバ・大間マグロ・明石鯛のようなブランド魚介類を尊重する文化があるため、国産魚介類の需要が大きく低下することはないでしょう。
漁師の仕事の具体的な内容
漁業の種類は3つ
漁師の仕事場となる漁業には、海域によって「沿岸漁業」「沖合漁業」「遠洋漁業」の3つに分類されます。
沿岸漁業
沿岸漁業は、小型の漁船を用いて近場の漁場で操業します。明け方から昼頃までの漁や夕方から深夜にかけての漁など、対象の魚介類によって時間帯は異なりますが、その多くは日帰りで行えます。
現在日本の漁師の9割が沿岸漁業に関わっているといわれています。
定置網漁
決まったポイントに網を設置し、一定のタイミングで引き上げる漁法です。どの位置に網を張れば魚群を捉えられるのかを理解しなければならないため、蓄積された経験が収穫量に大きく影響します。無理に魚群を追い回さないため獲りすぎる危険性が低く、環境にやさしい漁法として評価されています。
収穫される魚介種は地域によって大きく異なりますが、基本的な漁法は全国共通しています。
まき網漁
沿岸で魚群を探し、網で追い込む漁法です。何隻もの船で船団を組み、探索、魚の誘導、網の投入、運搬と役割を分担することが多いです。
これも地域により魚介種は特色が出ますが、アジ、サバ、イワシが収穫対象となる漁場は多くあります。
地引網漁
陸を拠点にし、沖合に向けて網を張り、魚群が入ったタイミングで引き上げる漁法です。以前は人力で網を引き揚げていましたが、現在はウインチが用いられることがほとんどです。
巨大な網を一気に引き上げる漁法や収穫された魚の姿が派手に見えるため、観光の目玉として活用されることも多くなっています。
養殖業
魚が成長できる環境を整え、食用の魚介類を育てて収穫する養殖業も沿岸漁業の一種です。最も技術の進歩が目覚ましい漁法であり、漁業全体の漁獲量が減少している中でも養殖による漁獲量は増加傾向となっています。
小型魚の養殖が中心でしたが、近年ではブリやマダイといった大型魚の養殖も実現しており、今後も漁獲量の増加が期待されています。
沖合漁業
沖合漁業は陸から離れ、200海里水域内まで遠征します。船のサイズも大きくなり、長い時には数週間の間、陸には戻らずに漁をし続けます。
一本釣り漁
沖合漁業の代表的な漁法です。イワシなどの小型魚を餌としてまき、さらに水をまいて水面を波立たせます。それを見て魚の群れがいると勘違いして集まってきた大型魚を釣り竿で釣り上げるのが一本釣りの漁法です。
カツオ・ビンチョウマグロが対象となることがほとんどです。針にかかったら一気に釣り上げ、頭上に跳ね上げた勢いで釣り針を外す「跳ね釣り」が一本釣りの基本技術です。しかし跳ね釣りは非常に高度な技術であり、習得までに2~3年はかかるとされています。
底引き網漁
海に投げ入れた網を船で引き、海底から根こそぎ収穫するのが底引き網漁です。水深によって収穫できる魚介種が異なります。水深200メートルから1,500メートルまで幅広く、浅いところではタイやエビ、深いところではスケドウダラやホッケ、全域でカレイといった、多様な魚介種が収穫できます。
遠洋漁業
数か月~1年ほどかけ、遠洋まで漁に向かいます。500トンを超えるような大型船で向かうことも多く、期間中はずっと同じメンバーと顔を合わせるため人間関係の維持にも注意が求められます。
はえ縄漁
船から長さ150~200キロの「はえ縄」を垂らし、針のついた「枝縄」で魚を捕る漁法です。メバチ、キハダ、カジキマグロといった大型魚が対象になり、枝縄から釣れた魚を取り外すのは漁師が手で行うため非常にハードな漁法といえます。
トロール漁
魚群に向けて三角形の袋網を張り、ウインチで一気に引き上げる漁法です。ハイテク機器により狙った魚群を捕獲できることから注目されていましたが、底引き網漁同様に網が海底を荒らしてしまうことから環境への影響が懸念されています。
インドネシアでは環境への影響を理由に2017年にトロール漁が禁止されており、練り物などに使われるすり身の原材料が大きく不足するという事態が発生。今後も漁法に対する各国の対応が懸念されています。
漁師の仕事のやりがい
自然を相手にする仕事
漁師は巨大な海を相手に漁を繰り返します。本来は人間の力でどうにもならない相手ですが、知識と経験で難関を乗り越え成果を上げていくのは大きな喜びと自信になるでしょう。
また生き物である魚を相手にすることから、時には思い通りの収穫ができないこともあります。収入面で苦しくなることもありますが、反面予想をはるかに超える大漁となった場合には精神面、経済面で大きな充実を得られるでしょう。
国民の食生活を支える
スーパーなどでは海外産の魚介類が安く販売されており、国産の魚介類は低価格帯の食料品を求める層からは敬遠されることも少なくありません。しかし一方で、品質や安全性の面から国産に対する根強いファンも多く存在しています。
国産の魚介類のみを取り扱うことを売りにしている飲食店もあり、それぞれの地域の特産品として観光の目玉になっているもの数多く存在。日本の食文化には国産の魚介類は欠かせない存在です。そのような食文化を支えるため、新鮮な魚介を多く提供する役割を担うことは、漁師としての仕事を誇らしく思えることでしょう。
一人前の漁師を目指す
頑強でタフな男性を表す表現として「海の男」という言葉が使われることがあります。この言葉は地域や時代を問わずに、いつでもどこでも変わらない評価を受けています。漁師が目指す一人前の男とは、まさに海の男。荒れる海に負けず、大漁を持ち帰るその姿に同じ漁師たちからも称賛と尊敬を受けることができるでしょう。
いずれ独立し、自分の船を持てるようになれば、漁師仲間の間での立場や評価が上がるだけでなく、経済面でも充実することが期待できます。自他ともに認められる一人前の漁師となることは、誰もが憧れる「海の男」になることといってよいでしょう。
漁師の仕事内容まとめ
日本の食文化を支える魚介類を収穫する職業
漁師は、日本の食文化に無くてはならない豊富な種類の魚介類を収穫する職業です。地域や季節により収穫できる魚介種はさまざまであり、漁師の世界は豊富な知識と経験がものをいう厳しい環境といえるでしょう。
海を相手に一獲千金を狙う
海や魚といった自然を相手にするため、毎回必ず思い通りの成果が上げられるとは限りません。しかし繰り返し海に出た経験とそこで得た知識を生かし、多くの魚介類を収穫することができれば、一獲千金も夢ではないでしょう。
漁師の参考情報
平均年収 | 200万円~600万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | 自然・動物 |
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