カイロプラクターの資格・試験とは?取得しておくと役立つ資格の特徴などを解説
カイロプラクティックはアメリカを発祥とする民間療法ですが、日本ではまだ法制化されておらず、国家資格は設けられていません。現在は民間資格のみがあるカイロプラクターですが、最もメジャーな資格として「登録カイロプラクター」があります。本記事では、カイロプラクターに役立つ資格などについてご紹介します。
カイロプラクターの資格とは?
「カイロプラクター」の国家資格は存在しない
カイロプラクターは、アメリカ発祥の民間療法、代替治療であるカイロプラクティックを用いることで、人々の身体機能を改善します。例えば骨盤のズレの矯正等、本来健康を維持するために必要な骨周りの矯正を行うことで身体の自然治癒力に働きかけ、身体のバランスの改善、身体の不調の改善を促します。
日本では、こうしたアプローチで行う代替療法が伝統的にあり、例えば鍼灸治療、あん摩マッサージ指圧などが知られています。こうした仕事はしっかりと法整備がなされており、法律に基づいた国家資格が設けられています。
しかし、カイロプラクターは日本ではまだまだ法整備が進んでおらず、国家資格も設けられていない状態です。勿論用いる技術や理論も異なりますし、アメリカ発祥の代替療法ではありますが、今後ますますの需要拡大が見込まれており、今後しっかりとした法制化が行われる可能性もあります。
カイロプラクティック教育はWHOガイドラインに準拠するのが望ましい
日本など多くの国では明確な法制化や公的資格の設立がなされておらず、誰でもカイロプラクターとして開業できてしまうので、自由である一方、未熟な施術による事故の報告もあるなど、多くの危険性をも孕んでいます。こうした現状を踏まえ、施術者の技術の水準、施術方法などを明確にすべきとの意識が高くなっています。
こうした事情を受けてWHO(世界保健機関)では、2005年に「カイロプラクティックの基礎教育と安全性に関するWHOガイドライン(指針)」を発行しました。これはカイロプラクティックにおいて安全かつ有用な技術教育がなされることを目的としたもので、日本語他10カ国語以上に翻訳されています。
またWHOでは1997年にNGO「世界カイロプラクティック連合(WFC)」を初めて認可しました。WFCは世界80カ国以上からなるカイロプラクティック団体で、日本にもWFC加盟団体が存在し「日本カイロプラクターズ協会(JAC)」が代表的な団体となっています。
2014年より始まった「登録カイロプラクター」制度が代表的
日本では2014年から「日本カイロプラクティック登録機構(JCR)」によって、日本において専門的な教育を受けたカイロプラクターを登録・認定する制度がスタートしました。JCRは、前述のWHO作成のガイドラインに則ったカイロプラクティックの資格化実現の為に設立された団体です。
法制化されていないことからカイロプラクターの技術レベルや数を把握しきれない現状を改善するため、しっかりとした教育を受けてカイロプラクティック療法に従事するカイロプラクターの正確な把握を目的に、行政と連携してカイロプラクターの技術認定および登録を行っています。
カイロプラクター登録者名簿を広く一般に公開するとともに、定期的に厚生労働省医政局医事課や関係省庁に対しても提出することで、適正なレベルの技術を持ったカイロプラクターの基準を明確化し、それに基づいた公的資格化へ向けた取り組みを進めています。
カイロプラクターに役立つ資格「登録カイロプラクター」
JCRによる「登録カイロプラクター」資格とは
JCRによる「登録カイロプラクター」は民間登録資格です。安全かつ適正なカイロプラクティック治療を行う技術と知識を持っており、カイロプラクティックに係る法規をしっかりと理解し、適正な広告表記を行う心掛けのあるカイロプラクターを認定し登録後、名簿として一般に広く公開されます。
認定基準を満たす知識やスキルを持ち、適正なカイロプラクティック治療の運営が行えると判断された者のみが登録されることで、明確な技術水準が可視化され、カイロプラクターとしての信頼性が機構によって担保されます。
登録に際する条件として、所定の受験資格を満たす必要があり、その上で、登録認定試験に合格する必要があります。受験資格が与えられるのは「WHOガイドライン準拠のカイロプラクティック教育プログラム修了者」となっており、事前にWHO基準の教育プログラムを受ける必要があります。
教育プログラムの例としては、「CCE認証取得カイロプラクティック教育」や、「日本カイロプラクターズ協会(JAC)承認カイロプラクティック標準化コース(CSC)」、国民生活センター要請による「カイロプラクティック安全教育プログラム」などがあります。こうしたプログラムの修了者のみが、登録カイロプラクター名簿へ申請でき、認定試験へと臨むことができます。
なお、アメリカやオーストラリア、スイスなど法制化された国においてカイロプラクター免許を取得した人や、全米カイロプラクティック試験委員会の試験合格者などは、認定試験が免除されます。
JCRによる「登録カイロプラクター」認定試験の概要
試験実施日程
試験は年に1回、毎年度2月に実施されます。
試験の内容
登録認定試験は第1部と第2部に分かれて行われ、それぞれ試験時間は135分、多肢選択のマークシート形式で100問ずつ、合計200問出題されます。
試験科目は第1部と第2部で異なります。要項より以下に一覧を引用します。
【第1部】患者評価の理解と一般常識を確認するための問題
- 1.患者への問診
- 2.理学検査
- 3.神経筋骨格系検査
- 4.X 線検査
- 5.臨床検査と特殊検査
- 6.診断および臨床所見
- 7.カイロプラクティック・テクニック
- 8.補助療法
- 9.症例対処方法
【第2部】臨床でよく目にする25症例のマネジメントに関する問題
- 1.関節、神経学、筋骨格系の症状
- 2.消化器系、心臓血管系、呼吸器系および外皮の症状
- 3.内分泌、代謝、男女生殖器、血液学、リンパ系、腎臓、泌尿器系の症状
- 4.その他多岐にわたる症状(アレルギー・栄養学)、眼、耳、鼻、喉、小児、性病など
「登録カイロプラクター」認定試験の難易度・合格率
JCRが認定する登録カイロプラクターの認定試験は、WHOのガイドラインに準拠した教育プログラムにおいて履修した科目から出題されます。WHO基準の基礎医学やカイロプラクティックにおける検査方法やテクニックに加えて、臨床能力をも試されることとなります。
難易度としては、カイロプラクティックに係る各出題科目の範囲において、概ね基本的なところを理解しておけば十分合格できる内容となっています。合否のボーダーラインは7割程度の得点となっていて、合格率はおよそ80〜90%となっています。
合格率が非常に高くなっていますので、しっかり教育プログラムを受け、内容を理解していればほぼ確実に合格できるでしょう。
カイロプラクターの資格取得を目指せる学校・教室
日本唯一のWHO基準校が1校だけ存在する
カイロプラクターは、今の日本においては明確な資格、免許は必須とはなりません。しかし、先述したように公的資格が存在しないことによる危険性(主に未熟な施術による事故などのリスク)が指摘されていて、早急な法整備が求められています。
日本ではカイロプラクターの資格が法制化されていませんので、公的な教育機関の単位修得によって資格が得られる制度はありません。資格が必要ないので、様々なカイロプラクター養成講座と名乗るプログラムが乱立している状態です。そうした講座の質は国際的にも保証されておらず、教育水準としては疑問が残ります。
ただし、日本において唯一1校だけ、WHO基準の高度なカイロプラクティック教育が受けられる教育機関が存在します。それが「東京カレッジ・オブ・カイロプラクティック」です。
東京カレッジ・オブ・カイロプラクティックは、オーストラリアのRMIT大学と、日本カイロプラクティック総連盟(JCA)の合意によって開設された「RMIT大学日本校カイロプラクティック学科」を前身とし、カイロプラクティック教育評議会の国際認証を取得している教育機関であると同時に、世界カイロプラクティック学生評議会の参加校でもあります。
2012年に、南洋州カイロプラクティック教育評議会(CCEA)により、東京カレッジ・オブ・カイロプラクティックによるDC号(ドクター・オブ・カイロプラクティック称号)が認定され、国際的な教育水準に達していることを認められました。
この称号は法制化された国において大学教育を受けた者に与えられる称号と同等とされ、東京カレッジ・オブ・カイロプラクティック卒業者は、アメリカ全土のカイロプラクティックに係る試験を運営する全国カイロプラクティック試験協会による開業試験の受験資格を得ることができるとされています。
国際標準の教育を受けたいなら、こうした学校に進学するのもいいでしょう。しかし、東京カレッジ・オブ・カイロプラクティックは文部科学省の認可校ではないため、当校で取得した単位は高等教育における取得単位としては認められませんので、そこだけ注意が必要です。
カイロプラクターの資格・試験まとめ
カイロプラクターとしてしっかり評価されるためには国際標準の教育を
カイロプラクターは日本では法制化されていないため、誰でも開業が可能な状態となっています。しかし、そうした状況から明確な技術と知識を持たない自称カイロプラクターが蔓延する事態となっており、明確な技術水準を認定する制度が実施されるようになりました。
カイロプラクターはアメリカ発祥の民間療法であり、諸外国ではしっかりと法制化し、国家資格が設けられています。そうした国々では高等教育において所定の単位を取らないとカイロプラクターになることはできません。
日本でも将来的にそうした法整備が行われていくでしょう。そうなった時にもしっかり生き残れるように、専門的な技術や知識を認定し登録する現存制度を活用して、しっかりと自分の実力を研鑽し、信頼性を高めることが大切です。
カイロプラクターの参考情報
平均年収 | 300万円~400万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 民間資格 |
職業職種 | 心理・福祉・リハビリ |
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