ひよこ鑑定士の資格・試験とは?取得しておくと役立つ資格の特徴などを解説
1日の作業時間内に何千、何万羽のひよこのオスとメスを鑑別する「ひよこ鑑定士」には、どのような資格や試験が必要となるのでしょうか?知識や技術を身につけたことを証明できる「初生雛鑑別師」の資格が必要となります。本記事では、ひよこ鑑定士の資格「初生雛鑑別師」の資格や、役立つ資格などについてご紹介します。
ひよこ鑑定士の資格「初生雛鑑別師」とは?
ひよこ鑑定士になるには「初生雛鑑別師(高等鑑別師一種)」の資格が必要です。
高等鑑別師の資格は独学で簡単に取得できるものではなく、養成所に入所して学んだり、孵化場で研修生として実際に働いたりするなど、いくつかの段階を経てから取得するものです。
まずは、初生雛鑑別師(高等鑑別師一種)の詳しい試験内容について紹介します。
初生雛鑑別師の試験概要
初生雛鑑別師資格は、公益社団法人畜産技術協会が運営と管理を行っている民間資格で、別名「高等鑑別師一種」とも言います。試験は4月と10月の年に2回行われ、合格者には郵送で通知がなされます。
試験内容は100羽ずつに分けられた計400羽のひよこが与えられ、36分以内に鑑別を行い、正解率が平均99パーセント以上であることが基準とされています。合格者は公益社団法人畜産技術協会の高等鑑別師として正式に登録されます。
受験資格は、同協会の運営する鑑別師養成所の「初等科」または「特別研修科」を修了し、加えて予備試験に合格していることが前提です。
試験に使われる雛の詳しい内訳
高等鑑別師の試験で使われる雛の数は400羽。内訳は、卵用種が300羽と肉用種100羽に分かれます。
また、正解率は卵用種98パーセント以上、肉用種97パーセント以上が求められ、さらに10分以内に100羽以上の鑑別をクリアしなければいけないという条件も加わります。
初生雛鑑別師への道のり
初生雛鑑別師の資格を取得するためには、いくつかの段階をクリアしなければなりません。最終目的である資格取得をする人の割合は養成所の入所者の50~60パーセント。
約半分の人が脱落するので、厳しい道のりとも言えるでしょう。ここでは、どのような方法で「初生雛鑑別師」にたどり着くのか、順を追って見ていきましょう。
初生雛鑑別養成所に入所する
初生雛鑑別師になるためには、はじめに同協会が運営する「初生雛鑑別師養成講習」を受ける必要があります。
養成所の入所には「高等学校卒業または同等以上の資格保有者かつ満25歳以下・健康に問題がなく1.0以上(矯正可)の視力がある」という条件があります。
試験日は年に1回2月上旬に実施され、書類審査・面接と学科考査の3つで合格の判断がなされます。
養成講習の初等科・特別研修科を受講する
養成所に入所後は「初等科」または「特別研修科」でひよこ鑑定に関する技術や知識を身につけます。初等科は春に開講し修了までは5ヶ月間を要します。
一方、特別講習科は初等科を修了した人以外を対象とする講習で、2ヶ月間で講習が修了します。定められた講習期間で月から金曜日まで週5日間、9~17時まで授業を受けます。
孵化場で研修生として実務に携わる
養成所での受講が修了したら、全国にある孵化場に派遣されて研修生として実務に携わります。実地研修の期間は人によってさまざまで、早い人なら1年足らず、平均は2~3年かかるとされています。
予備考査の試験を受ける
予備考査とは「初生雛鑑別師(高等鑑別師一種)」を取得する一歩手前に行われるもので、必ず受験する必要がある試験です。初生雛鑑別師の試験と同様に、用意されたひよこを時間内に判別しなければならず、加えて鑑別の正解率で合否が決定します。
ひよこの詳細は卵用種300羽。試験時間は30分ですが、12分以内に100羽の識別をこなさなければなりません。また、100羽ずつにわけられたひよこの鑑別率95パーセント、全体の平均で96パーセント以上の正確さを求められます。
予備考査に合格したら、ひよこ鑑定士として認められる初生雛鑑別師の試験を受けることができます。
ひよこ鑑定士の資格の難易度・合格率
ひよこ鑑定士に必須とされるそれぞれの試験や資格などの正しい合格率は発表されていませんが、それぞれのおおよその難易度を解説します。
養成所への入所は毎年10~15名程度
養成所への毎年の入所人数は10~15名程度と言われています。初生雛鑑別養成所で講習を受けるためには審査や試験がありますが、それほど難しいものとはされていません。学科考査では一般的な常識や教養知識、作文力があれば特に問題はないでしょう。
一番重要視されるのはやる気や意気込みを問われる面接考査。自分の想いを十分に伝えられるように予め予備練習を行っておくとよいでしょう。入所するにあたり学費が100万円以上かかるとされていますが、厳しい訓練を行うため途中で脱落者が出ることも。
生半可な気持ちは持たずに、最終目的である資格取得をする強い気持ちを持ち続けることが重要となるでしょう。
予備考査と高等考査の難易度は高め
両者の合格率は予備考査が約39パーセント、高等考査(初生雛鑑別師)が約60パーセントといわれています。予備考査では半分以上が合格できません。
また、高等考査においては予備考査よりもひよこの種類や求められる鑑別率が高くなるので、決してやさしい試験とは言えないでしょう。
最終的には入所した人数の半数程度が最終的な高等考査に合格するといわれています。難易度や合格率から考えても、ひよこ鑑定士になることは難しいと断言できるでしょう。
その他のひよこ鑑定士に役立つ可能性がある資格
ひよこ鑑定士に関係する資格や試験はあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
鑑別選手権大会
資格ではありませんが、養成所や諸資格の運営管理を行っている公益社団法人畜産技術協会では、毎年1回「全日本初生雛雌雄鑑別選手権大会」を行っています。
この大会には全国各地からのひよこ鑑定士が参加して技術を競うため、入賞や優勝をすることが自身の技術力の証明につながります。
全日本初生雛雌雄鑑別選手権大会の詳細
「全日本初生雛雌雄鑑別選手権大会」は全国のひよこ鑑定士が集まって、技術の向上を目的に、鑑別率やタイムを競う大会です。
2018年の大会は第59回なので、約60回の長い歴史がある競技大会です。大会の出場は個人の「選手権競技」と3名1グループの「グループ競技」に分けられ、肛門鑑別用初生雛100羽でタイムや正解率を測ります。
トップの優勝者には「農林水産大臣賞」が贈られますが、その他にも会長賞・関係団体長賞など多くの褒賞に加え、優勝旗・優勝カップ・優勝楯なども用意されています。なお、2018年11月に開催された大会での優勝者の成績は、個人部門は4分41秒で鑑別率100パーセント、グループ競技では5分59秒で鑑別率98パーセントでした。
また、10位までの入賞者の年齢は下は30歳から上は75歳と幅が広く、体力や視力の問題がなければ高齢者になっても十分活躍できる職種ということが証明されています。
英語をはじめとする外国語資格
ひよこ鑑定士の就職先は日本国内のみならず、海外の孵化場にも多く存在します。同協会でも海外斡旋を行っており、斡旋先はベルギー・ドイツ・フランス・ハンガリーなどのヨーロッパ圏が多いのが特徴です。他にもデンマーク・スウェーデン・ニュージーランドなどいろいろな国や地域が実績としてあります。
ひよこ鑑定士の仕事は個人で黙々と作業するものなので、周りの人と話すことは他の職種に比べたら少ないとされますが、生活する上で現地の言葉を話せた方が仕事をする上でも絶対的に有利と考えられます。
最低でも世界の公用語である英語をある程度マスターしておいた方が、海外で働くときも心理的に余裕を持つことができるでしょう。
ひよこ鑑定士の資格が取れる学校
ひよこ鑑定士の資格を取るための学校は公益社団法人畜産技術協会が運営管理をする「初生雛鑑別師養成所」への入所一択です。
入所して受講を修了するだけでは最終段階の高等考査の資格を得ることにはならず、2~3年の研修期間や予備考査などもクリアする必要があります。
ひよこ鑑定士になろうと決めたなら、まずは養成所への入所試験をパスするところから考えはじめるとよいでしょう。
ひよこ鑑定士の資格保有者数は少ない
平成28年10月現在における、ひよこ鑑定士の資格の所有者数は日本国内登録者だけでも117名しかいません。(海外登録者を含めると183人)。
海外ニーズの深まる中、日本の労働人口の0.5パーセントにも満たない貴重なひよこ鑑定士は私たちの食生活を支える上で貴重な存在といえるでしょう。
ひよこ鑑定士の資格・試験まとめ
資格取得には強い気持ちをもって取り組もう
ひよこ鑑定士に必要な「初生雛鑑別師(高等鑑別師一種)」の資格を取得するためには、いくつかの決められたステップを踏む必要があります。
合格するまでには少なくとも平均2~3年の時間が必要になるでしょう。講習の厳しさや難易度の高い試験を受けなければならないことを考えると、まずは強い気持ちを持って養成所への入所を決断することが重要となるでしょう。
ひよこ鑑定士の参考情報
平均年収 | 500万円~600万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 民間資格 |
職業職種 | 自然・動物 |
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