マンション管理士の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説
皆さんは、マンション管理士という職業を聞いたことがあるでしょうか。マンション管理士とは、マンションに住む人々にとっては欠かすことのできない、職業の一つでもあります。今回は、マンション管理士が具体的に、どのような業務を担っているのかを順番にご紹介していきます。
マンション管理士とはどんな仕事?
マンション管理士とは、マンションの外装や内装の維持管理に関連するコンサルティング業務を行う仕事のことです。
そのマンションを管理している組合などが直面しているトラブルの解決を目指して行動する専門家であり、周りの人に、自分がマンション管理士であると周知するためには、国家資格であるマンション管理士試験に合格し、登録しておくことが必要になります。
マンション管理人とマンション管理士の違い
よく混同される名称に、マンション管理人というものがありますが、マンション管理士の方が、法律の専門的な知識が求められる点や、国家資格を保有している点で、大きな違いがあります。
そもそもマンション管理士という職業は、マンションの管理や維持に関連する問題や管理組合から受けた相談に、法的視点から具体的な解決策を示し、マンションの運営を滞りなく進めるという役割を持っています。
この資格は、国家資格でもあることから難易度が高く、合格者は毎年約10%を下回るといわれています。
マンション管理士の具体的な仕事の内容
近年、日本国内でマンションに住んでいる住民は、年々増加している傾向にあります。マンションならではの、立地条件や設備など特徴的な要素を兼ねそろえた物件が増えてきており、マンションで暮らす魅力が大きくなっていることが、増加の傾向にある1つの理由でもあります。
ただし、1つのマンションに住む住民が増えているということは、増えた人の数だけ問題が発生する可能性も高くなります。そのような事態に対応するべく、法律で義務化されたのが、各々のマンションごとで管理組合を設置するということです。
それぞれのマンションに管理組合が設立したことで、そのマンション独自の規則を作成して、事前にトラブルを防止することが重要な目的でした。しかし、管理組合の運営委員の構成員は、そのマンションに住んでいる住民が受け持っていることが多いため、専門的な知識を待っていません。
そのため、マンションの管理に法的な視点を持ち、幅広いアドバイスができるマンション管理士という役割を持った人が必要になりました。また、マンション管理士は、管理組合から直接依頼を請け負うだけでなく、地方自治体が実施しているセミナーに出席したりすることもあります。
マンション管理士になるためには
まず、マンション管理士の国家試験を受けて、試験に合格になければいけません。国家試験に合格し、その後に、マンション管理士として登録することで、初めてマンション管理士と名乗ることができます。
しかし、マンション管理士の資格は名称独占資格といい、独占業務として活動することができないことになっています。要するに、国家試験に合格しても、名簿に登録しておかなければ、マンション管理士として名乗ることができない性質がある国家資格になっています。
ただし、周りに名乗ることをしないのであれば、マンションを管理している組合から、運営方針などに関して相談を受けることはできます。
マンション管理士試験の概要
この国家試験は、毎年11月に、国土交通省が主体となって取り扱っている試験であり、公益財団法人マンション管理センターが指定試験機関となって行われています。また、受験資格に制限がないため、学歴や年齢を問わず、多くの人が受験することができます。
試験の形式は、マークシート方式で行われ、問題数は50問で、その内35問以上を正解することで合格することができます。そして、国家試験に合格した者は、公益財団法人マンション管理センターで登録を行い、今後は登録した人だけが、マンション管理士として名乗ることができるようになります。
ちなみに、この登録には実務経験の有無などは定められていないため、試験に受かることができれば登録することができます。
マンション管理士として働く上でのやりがい
マンション管理士の仕事の一番のやりがいは、マンションに住んでいる居住者の方の相談を直接聞くことができる点です。他にも、一定期間の間に、大きな修繕が必要になるマンションでは、どこから効率的に修繕作業に取り組むべきか、マンションの管理組合にアドバイスを与えることができます。
そして、マンション管理士の顧客は、そのマンションの管理と運営している管理組合になります。この管理組合から顧問料を徴収し、他にも多数の組合と契約を締結することで、自分が所属している、または独立して開業している自分の会社の利益に影響してきます。
マンション管理士の仕事をする上での心構え
大抵、1人のマンション管理士が1年間で請け負う組合の数は、約20~25程度といわれています。請け負う数字に限度はないため、営業能力のある人たちの契約者数は、さらに多くなります。
マンション管理士として働くということは、仕事が入ってくるのを待つのではなく、自分の足で営業活動をして、顧客との信用を深め、契約数を上げていくことが重要になります。
つまり、契約数が、自分の給与や年収に、直接影響してくるため、自分の頑張り次第で給与が上がることに、1つのやりがいを見出すことができる職業であると言えます。
マンション管理士として柔軟な対応を
たとえば、修繕工事の際にマンションの規約で定められている通りに、ベランダの物を撤去するのではなく、住民の気持ちを考えて、マンションの共有スペースなどに、暫定的に動かすように、取り計らってくれるマンション管理士もいます。
このように、修繕工事の間は預かってもらうなど、規約の通りに働くだけでなく、配慮が可能なところは、できるだけ住民に寄り添って行動する。このような、小さな積み重ねから、住民との信頼関係を構築することも1つのやりがいだと思います。
マンション管理士の資格を取った後に独立した場合
マンション管理士は、国家試験に受かった後で、自分で独立して開業することが可能な資格です。しかし、実際にマンション管理士の資格だけを持って開業している人は少なく、土地家屋調査士や行政書士など、それらの資格を合わせ持って開業する人が多数を占めています。
要するに、マンションの管理・運営の相談を受けたら、その案件からマンション改修を自分で受け持ち、それらに関連する書類の作成を引き受けるといった仕事の流れになります。そのため、上記のように複数の資格を保有していれば、独立して一人でやっていく際にも仕事を継続して引き受けることが可能な状況を作り出すことができます。
また、無理に独立をしなくても、不動産の管理会社では、マンション管理士と他の資格を合わせて保有していると、仕事をする上で高く評価され、給与が上がる可能性もあります。不動産の管理会社でも、マンション管理士が持ち合わせる、法律に関連する専門的な知識は、日々の業務を行う上で非常に役に立つからです。
マンション管理士の年収について
ところで、マンション管理士の年収はいくらなのでしょうか。
だいたい、マンション管理士の年収は、年代ごとで異なり、20代で約400万円、実績を積んでいるマンション管理士で、約800万円と言われています。
また、非常に難しい国家資格に受かり、マンション管理士という職種に就いているため、転職などを考えた際には、かなりの好条件で受け入れてくれる所もあります。
そのため、実績がない駆け出しの頃から、個人の事務所を独立開業していくことは、非常に困難であり、将来的に独立して開業していきたいと考えている人は、マンション管理士に関連する他の資格(行政書士や宅地建物取引士)などを取得していき、自分の評価や実績を積んでいくようなキャリア・プランを立てている方が多くいます。
マンション管理士の仕事内容まとめ
マンション管理士の今後について
国家資格であるマンション管理士の求人は、今後、増加していく傾向にあると考えることができます。最近は、都会や地方を問わず、立地条件さえ満たせば、マンションを設立していく傾向にあります。
そのため、老朽化対策が必要なマンションも、増加の一途をたどっており、今から10年後には、マンションの老朽化対策が必要になる建物は、約2倍になるのではと計算されています。それと同時に、マンションに住んでいる住民の高齢化も進み、今のような管理組合を運営していくことが、年を重ねるごとに難しくなってきます。
つまり、管理組合で老朽化について対策を講じ合うには、マンション管理士という専門家の存在を、欠かすことができなくなるからです。
マンション管理士の参考情報
平均年収 | 300万円~800万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 国家資格 |
職業職種 | 建築・不動産 |
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