作業療法士の給与や年収は?平均月収や支給される手当まとめ
高齢化社会が進む中、リハビリの専門職である作業療法士は人気の仕事です。最近では、作業療法士として活躍できる場が、病院だけではなく、発達障害の子どものための施設や自治体の保健センターなど多岐に渡ります。今後、さらなる活躍が期待される作業療法士の給与や年収などは、どのくらいなのかをお伝えします。
作業療法士の初任給
作業療法士の新卒初任給は平均23万円前後
作業療法士として働く場合、初任給は23万円前後が相場と言われています。大卒の平均的な初任給は、20万円前後と言われているので、作業療法士は平均より上ということになります。勤務地や働く場所によっても変わるため、一概には言えませんが、医療系である作業療法士の初任給は、高めに設定されているようです。
ちなみに、2017年調査の厚生労働省統計によると、男性の場合は初任給23.8万円、女性の場合は初任給23.1万円です。若干の男女差はありますが、どちらも約23万円前後という結果になっています。
働きながら作業療法士を目指す人は初任給が低い
作業療法士は、大学や短期大学、専門学校などに3年以上通った上で、国家資格に合格しなくてはいけません。この国家試験に合格して、ようやく「作業療法士」を名乗ることができます。
ただし、中には、働きながら作業療法士を目指す方もいます。作業療法士の「見習い」として就職する方もいるため、初任給の中に資格手当が含まれないことになります。
作業療法士の資格手当は、平均2万円と言われています。先ほどお伝えした、作業療法士の初任給23万円に見習いの方の給与も含まれているため、初任給の平均値が下振れている可能性が高いです。
作業療法士の平均給与の統計
作業療法士の平均給与は27.2万円
厚生労働省の平成29年度賃金構造統計基本調査によると、平均給与は約27.2万円ということが分かります。患者さんのリハビリを担当する作業療法士は、担当するリハビリの時間が決まっていることが多いため、他の医療系職業と比較すると、長時間労働や休日出勤は、少ない傾向にあります。
参考までに、医療・福祉業界の全体的な平均給与は27.9万円となっています。これと比較すると、作業療法士は若干下回るものの、おおよそ平均的な給与であることが分かります。医療・福祉関係の仕事は、夜勤や残業などが多い印象です。
しかし、作業療法士の場合、恒常的な残業というよりは、勉強会などで単発的に残業となる可能性が高く、夜勤や宿直もありません。その上での平均給与27.2万円というのは、好待遇と言えるでしょう。
勤務先の規模によって給与が変わる
厚生労働省の平成29年度賃金構造統計基本調査によると、企業規模によっても平均給与が異なることが分かります。
企業規模による平均給与
10人以上 | 27.2万円 |
---|---|
10~99人 | 29.2万円 |
100~999人 | 26.9万円 |
1,000人以上 | 26.6万円 |
上記を見てわかるように、小さい規模の勤務先は、給与が高い傾向にあります。特に、10~99人規模は29.2万円であり、最も低い金額の26.6万円と2.6万円の差があります。この差は、年間31.2万円にも及び、大きな差となっています。規模の大きい勤務先が、必ずしも好待遇であるとは限らないことを念頭に置いて就職活動をしましょう。
平均給与には男女差がある
厚生労働省の平成29年度賃金構造統計基本調査によると、男性作業療法士の平均給与は27.7万円、女性は26.6万円と男性の方が約1万円高い結果となっています。
これは、女性が結婚や出産などにより、仕事を休まざるを得ない状況にあることが影響しています。さらに、勤務先によっては、家族手当を支給しているため、家族を扶養することの多い男性の給与が高くなる傾向にあります。
経験年数が長いと給与は高くなる
経験年数10年未満の場合、男性の平均給与は27.3万円、女性は26.2万円となっています。これが経験年数15年以上になると、男性は35.3万円(+8万円)、女性は32.2万円(+6万円)と大幅に増えています。
勤務先によって状況が変わるため、一概には言えませんが、経験年数が長くなるほど、昇格や昇進を繰り返すことで役職手当が付くなど、給与が上がる傾向になります。
特に、作業療法士はリハビリの専門職であるため、長年の経験による熟練された技術や知識が高く評価されます。病院や福祉施設によっては、患者さんから指名が入るほど人気の作業療法士の方もいるようです。
勤務先で認められ、昇格や昇進をすることは、給与が上がる喜びはもちろんのこと、仕事のやりがいにも大きく繋がるでしょう。
作業療法士の年収統計
作業療法士の平均年収は約405万円
厚生労働省の平成29年度賃金構造統計基本調査によると、作業療法士の平均年収は約405万円であることが分かりました。また、男性の平均年収は412万円、女性の場合は397万円であり、若干の男女差があります。これは、上記でもお伝えしたように、女性の場合は結婚や出産による影響が大きいため、男性よりも少ない年収となっています。
年齢別の年収で見ると、50代前半の年収が最も高く、男性の場合は586万円、女性の場合は559万円となっています。50代後半以降は、男女共に年収が下がっていることから、昇進や昇格のピークは50代前半となるケースが多いことが分かります。
作業療法士は若い世代が多いため、平均年収が低め
作業療法士の平均年齢は31~35歳、国家資格保持者の約40%は20代、平均勤続年数は5~6年という統計結果が出ています。また、女性の割合が6~7割を占める職種です。作業療法士の平均年収が、それほど高くない結果となったのは、これらの要因が関係していると言えるでしょう。
安定的な年収と働きやすさが魅力
作業療法士は、経験年数に応じて緩やかに年収が上がって行き、上限の年収は50代前半で550~590万円であることが分かりましが。ずば抜けて高い年収という訳ではありませんが、夜勤や残業が少ない職種であることから、安定的に長く続けることができる仕事です。
また、作業療法士の資格は、国家資格に合格したあとに更新する必要のない資格です。一度、資格を取得すれば、条件の良い職場へ転職することもできます。最近では、作業療法士の就職先として、病院に限らず、介護施設や児童福祉施設、自治体の保健センターなど活躍の場が多岐に渡ります。
今後も、作業療法士の二―ズは増える傾向にあるため、働く場所に困るということは考えにくいでしょう。年収だけで見ると他の医療系職種よりも少なく感じるかもしれませんが、安定的に長く働ける仕事であることが、お金に変えることのできない大きな魅力です。
有名な作業療法士になれば高収入が期待できる!?
作業療法士の中には、活動の幅を全国に広げ、有名になっている方もいるようです。全国各地で講演会の開催や書籍の販売、熟練された技術を伝承する育成会を催すなど、謂わば「作業療法士のカリスマ」として活躍されています。作業療法士を目指す方の中には、そういった有名作業療法士に憧れを抱いている方も多いと思います。
一躍、有名な作業療法士になると、通常の給与に加えて、講演料や書籍の売上などといった副収入が加わります。そのため、一般の作業療法士よりも高い年収を得ることができるのです。作業療法士は、リハビリを扱う仕事であるため、熟練された技術を身に付けるには、経験を重ねることが大切です。
日々の仕事の中でリハビリの技術を高め、より多くの患者さんから指示されるよう努力ことで、将来的には、さらなるステップアップを期待できるかもしれません。
作業療法士として独立するケースもある
最近では、社会の抱える問題を解決するために、NPO法人などを設立し、社会起業家として独立する作業療法士の方もいます。例えば、震災の被災者が多く住む地域で、専門的なリハビリを受けることができずに困っている方々を対象に、訪問リハビリ事業を行っています。
また、子どもの発達障害を支援するために、作業療法士が早い段階で個別に訓練・指導を行うなどの活動も行われています。これまで、病院の中でしか接することのなかった作業療法士が、地域社会と積極的に接することで、活躍の場を広げています。
作業療法士の給料・年収まとめ
作業療法士の年収は経験年数に応じて上がる!給与以外のやりがいや働きやすさが魅力
作業療法士の平均給与は23万円前後、平均年収は約405万円であることが分かりました。ただし、経験年数が長いと年収550万円以上と高くなることから、経験を積んで技術を磨くことが必要です。
さらに、夜勤や残業が少ないことから、安定的に長く働けることも魅力の一つです。また、熟練の技術で有名になると、さらなる年収アップを期待できます。
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作業療法士の参考情報
平均年収 | 350万円~500万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 国家資格 |
職業職種 | 心理・福祉・リハビリ |
統計情報 出典元:
- 職種・性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
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