介護事務の資格・試験とは?取得しておくと役立つ資格の特徴などを解説
介護事務の資格試験は多数あり、自分に合った資格試験を選ぶことができます。なかでもケアクラーク(R)や介護報酬請求事務技能検定試験は介護事務の資格として認知度が高いのでしっかりとチェックしておきましょう。本記事では、介護事務に関する各資格試験の内容や難易度などについてご紹介します。
介護事務に役立つ資格「ケアクラーク(R)」
介護事務の基礎から応用まで、知識の習得が可能
介護事務の資格、ケアクラーク(R)は一般財団法人 日本医療教育財団が認定している資格で、介護事務の資格としても高い認知度があります。
一般財団法人、日本医療教育財団は介護や福祉の体制を整えることやスタッフの技術力の向上に尽力しており、ケアクラーク(R)試験では、介護事務に必要なスキルだけでなく、コミュニケーション能力や心理分析などの問題も出題されます。
そのため、介護のことについて基礎から学習したい方や介護事務のスペシャリストとして活躍したい方におすすめです。
合格者にはケアクラーク(R)の称号が付与
ケアクラーク技能認定試験に合格することで、ケアクラーク(R)の称号が与えられ、介護施設や事業者などでの活躍が期待できます。
ケアクラーク(R)の称号を持つ者は介護報酬請求に関する事務作業だけでなく、介護技術や社会福祉、そして高いコミュニケーション能力を持つ人として認知されます。
大規模な介護施設や事業所でもケアクラーク(R)取得者が活躍しており、介護事務の専門家として活躍したいと思っている人はしっかりとチェックしておきましょう。
ケアクラーク(R)資格の試験概要
一般財団法人 日本医療教育財団の公式ホームページには、ケアクラーク(R)資格を取得するための情報が記載されています。
試験日程や受験料は状況に応じて変更される可能性があるので、受験する場合は事前に確認しておきましょう。
試験日程
年6回(4月、6月、8月、10月、12月、2月)
受験料
6,700円(税込)
申込期間
当該試験日の2ヵ月前より3週間前まで
試験実施方法
在宅試験
申込方法
受験料を財団指定口座宛に振り込んだ後、受験の申込書に振込明細書を添付して、日本医療教育財団本部へ郵送
受験票の発送
試験日の10日前までに発送
試験問題の受取
受験申込書に記入して住所へ郵送
試験問題と解答用紙の返送
試験日翌日までに返信用封筒に試験問題と解答用紙を入れて送る
合否の判定
学科試験と実技試験の得点率が70%以上
試験結果の発表
試験日から約1ヵ月後に郵送にて通知
技能認定合格証の交付
試験結果の通知から約1ヵ月後に郵送
ケアクラーク(R) 資格の難易度と合格率
ケアクラーク(R)の合格率は70%程度となっており、介護業界が初心者の人でも十分に合格できる可能性があります。
ケアクラーク(R)の試験では、試験中に参考資料を持ち込むことが許可されており、必要に合わせて参照することができます。すべての情報を暗記する必要がないので、必然的に合格率も高くなっています。
また、受験資格もなく、介護業界の実務経験がない人でも受験することが可能です。
試験に合格するための対策
■筆記試験
ケアクラーク(R)試験では筆記試験と実技試験が行われます。筆記試験の出題範囲は広いですが、介護事務に関する基礎的な問題が出題されるので実務経験を有している方であればさほど難しい問題とはならないでしょう。
介護事務の経験がない人であれば、介護保険制度に関する問題には馴染みがないと思うので、事前にテキストを購入して対策を行いましょう。先にも書いたように、試験では資料を持ち込むことができるので、すべての情報を暗記する必要はありません。
■実技試験
ケアクラーク(R)の実技試験では、介護報酬請求の関する事務作業の能力と介護給付費明細書の作成業務が必要になります。
60分の制限時間の間でこなす必要があり、時間との戦いになります。介護事務の経験者であっても参考書等を使って、レセプト問題をたくさん解いて、スピーディーに回答できるように対策を講じましょう。
介護事務に役立つ資格「介護事務管理士(R)」
日本で初めての介護事業者向けの資格試験
介護事務管理士(R)技能認定試験は日本で初めての介護事業者向けの試験として知られており、2000年から開催されています。
この資格は技能認定振興協会が実施しており、介護事務に関係する業務、例えば、介護施設での受付や会計、レセプトの作成能力に関する問題が出題されます。
介護事務として働きたいと思っているのであれば、是非取得しておきたい資格の一つです。
介護事務管理士(R)技能認定試験を取得するメリット
介護事務管理士(R)技能認定試験に合格することで介護事務管理士の称号が与えられ、訪問看護ステーションやデイサービスセンター、保険請求審査機関などで働くことができます。
介護事務が担当する介護保険制度は常に改正が行われており、介護報酬に関しても改正が行われます。
介護施設としては信頼できる人材に介護保険に関する業務を行なってほしいと思っており、介護事務管理士(R)技能認定試験の資格を持っておくことで、十分な知識とスキルがあることをアピールできます。
また、資格を有しておくことで就職した時に即戦力として活躍することが可能です。
介護事務管理士(R)技能認定試験に関する試験概要
介護事務管理士(R)技能認定試験に関する試験概要をまとめました。受験料や実施日は変更される可能性があるので、必要に応じて確認してください。
試験実施日
年6回(1月、3月、5月、7月、9月、11月)第4土曜日に実施
試験時間
15:45~17:45
受験料
6,500円(税込)
合否発表
試験実施後1ヶ月以内に文書にて通知。
受験場所
各都道府県の指定会場や専門学校など
介護事務管理士(R)技能認定試験の難易度と合格率
介護事務管理士(R)技能認定試験の合格率は約50%といわれており、事前にしっかりとした対策を講じる必要があります。
介護業界に馴染みのない人であれば、全くの準備なしで合格することは難しいかもしれません。また、介護事務に馴染みのある人でも、介護給付費明細書の作成などの試験対策を行っておいた方がいいでしょう。
ちなみに、この試験には受験資格はなく、介護事務の経験がない人や介護業界での実務経験がない人でも受験できます。
介護事務管理士(R)技能認定試験の内容
実技試験
この試験では実技試験と学科試験が行われ、実技試験では以下の問題が出題されます。
- 介護給付費明細書の点検
- 介護給付費明細書の作成(居宅サービス・施設サービス)
どちらも、介護給付費明細書を作るために必要な知識が問われます。3問が出題され、各問題が50%以上の得点であり、3問の合計が70%以上であれば合格になります。
学科試験
学科試験では以下の内容の試験が行われます。
■法規
介護保険制度、介護報酬の請求に関する知識
■介護請求事務
介護給付単位数の算定や介護報酬明細書の作成、介護用語に関する知識が問われます。10問出題され、70点以上で合格と判定されます。
介護事務管理士®技能認定試験では、実技と学科、両方の合格ラインをクリアする必要があります。
介護事務に役立つ資格「介護事務実務士」
在宅受験が可能
介護事務実務士試験は医療福祉情報実務能力協会(MEDIN)が主催している資格試験であり、在宅で受験することもできるので、家事や育児で忙しく受験会場まで行く時間がないという主婦の方におすすめです。
また、受験資格はなく誰でも受験できます。これから医療業界で活躍したいという方は挑戦してみるといいでしょう。
指定の通信講座であれば無試験で取得可能
介護事務実務士試験の大きな特徴の一つが、指定されている通信講座を受講すれば無試験で資格を取得できるということです。
通信講座によって違いがありますが、3~4カ月程度の講座を修了することで資格を取得できます。確実に資格を取りたいという方におすすめです。
介護事務実務士試験の試験概要
合格基準
実施された試験の受験者偏差値55以上、8割正答で合格と判定
願書申込み受付期間
- 4月下旬~5月下旬頃
- 10月上旬~11月上旬頃
(年に2回実施)
試験日程
- 7月上旬頃
- 12月上旬頃
(年に2回実施)
受験料
7,700円
合格発表日
- 8月上旬頃
- 1月下旬頃
(認定証の発行には手数料として1,540円が必要)
介護事務実務士資格の難易度と合格率
介護事務実務士の合格率は約70%となっており、しっかりと対策を講じておけば十分に合格できるレベルです。
難易度が低いとはいえ、介護給付明細書に関する問題は専門性が高いので、事前にスクールなどに通って問題の出題傾向を探っておきましょう。
介護事務実務士資格試験の内容
介護事務実務士試験には学科と明細書作成の問題が出題されます。難易度は低めですが、合格するためにはしっかりと準備をしておきましょう。
学科
- 介護保険法および関連法規
- 介護保険制度 居宅サービス・施設サービス
- 介護報酬の請求
上記に関する問題が20問出題されます。
明細書作成
- 介護給付明細書の作成
- 介護報酬明細書作成(居宅サービス、施設サービスより3問が出題)
介護事務に役立つ資格「介護報酬請求事務技能検定」
介護報酬請求事務技能検定は介護業界では認知度の高い資格試験
介護報酬請求事務技能検定試験は、日本医療事務協会が主催している資格試験であり、介護事務に関する資格の中でも認知度の高い資格試験です。
合格すれば、履歴書に日本医療事務協会主催 介護報酬請求事務技能検定試験に合格、と記載できるので、就職の時にも有利になります。
介護報酬請求事務技能検定の合格者は、介護事務に関する知識とスキルを持っているものをみなされます。将来、介護ヘルパーやケアマネジャーとしても活躍したいと思っている方は是非、挑戦してみましょう。
介護報酬請求事務技能検定の受験資格
介護報酬請求事務技能検定試験には、以下の受験資格があります。
- 日本医療事務協会が認定する介護事務講座を修了した者
- 受験申請のあった高校・専門学校・短期大学・大学等
- 受験申請のあった一般受験申込み者
介護報酬請求事務技能検定の試験概要
試験実施日
偶数月実施(第3日曜日実施)
試験時間
2時間
試験申込み
必要な書類を日本医療事務協会へ請求する。その後、試験日の10日前までに、必要書類一式を郵送。期日までに届かなかった場合は受験不可。
試験内容
- 学科試験
- 実技試験(診療報酬明細書作成)
受験料
6,480円(税込)
合否発表
試験日から約2週間後
受験場所
要確認
試験の実施日や受験料は変更される可能性があるので、事前の確認が必要です。
介護報酬請求事務技能検定試験の難易度と合格率
介護報酬請求事務技能検定試験の合格率は約80%となっており、難易度は低めです。
試験会場に資料を持ち込めるので、介護業界の初心者であっても取得しやすい資格になっています。
検定試験では教材の持ち込みOK
介護報酬請求事務技能検定を受験する時には教材や資料を持ち込むことができます。そのため、すべての情報を暗記する必要がないので初心者でも合格できる可能性があります。
ただし、計算機以外の電子機器、例えば、スマートフォンや携帯電話の使用は認められていないので注意しましょう。
試験の内容
介護報酬請求事務技能検定試験では、実技試験と学科試験が行われます。
実技試験では、診療報酬明細書作成に関する問題が出題されます。学科試験の時には、参考資料の持ち込みが可能なので、すべてを暗記する必要はありません。
介護事務の資格が取れる学校・講座
それでは、介護事務の資格を取得できる学校を紹介します。介護事務の資格を取り扱っているスールや通信学校はたくさんあるので、すべてを特集することはできませんが、以下の学校をおさえておくといいでしょう。
記載している料金や取得までの期間は条件によって変わることがありますので、実際に入校する際は、事前に確認してください。
ヒューマンアカデミー
ヒューマンアカデミーの講座を修了すれば、試験を受けなくても介護事務実務士の資格を申請することができます。確実に資格を取りたいという方におすすめです。
入学金 | 0円 |
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受講料 | 35,000円(税込み) |
取得までの期間 | 約4カ月 |
目指せる資格 | 介護事務実務士 |
ニチイの通信講座
福祉教育に関して長い歴史のあるニチイ。そんなニチイだからこそ安心できるカリキュラムとテキストが揃っています。
講座を修了した後、ケアクラークの資格取得に向けてサポートを受けることができます。
入学金 | 0円 |
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受講料 | 39,600円(税込み) |
取得までの期間 | 約4カ月 |
目指せる資格 | ケアクラーク技能認定 |
生涯学習のユーキャン
約4か月の受講期間内で、介護事務管理士 技能認定試験を受験します。自宅で受験できますし、テキストを見ながらの受験になるので合格できる可能性が高くなります。
講座修了後は介護事務として就職するためのサポートも整っています。
入学金 | 0円 |
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受講料 | 39,000円(税込み) |
取得までの期間 | 約4カ月 |
目指せる資格 | 介護事務管理士 |
日本医療事務協会
日本医療事務協会の大きな特徴は、3日間で介護報酬請求事務技能検定試験にチャレンジできる点です。
短期間で介護事務に求められている介護保険に関する知識と請求事務に関するスキルと身に着けることができます。
とにかく短期間で介護事務の資格を取りたいという方におすすめです。
入学金 | 0円 |
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受講料 | 48,600円(税込み) |
取得までの期間 | 6時間×3日間 約18時間 |
目指せる資格 | 介護報酬請求事務技能検定試験 |
介護事務の資格・試験まとめ
介護事務の資格は多数。自分に合った資格試験を選ぼう
介護事務に関係する資格はたくさんあり、取得する方法や費用も様々です。介護事務として活躍したいと思っているのであれば、資格を持っていると有利になりますから、自分に合った資格試験を選びましょう。
多少の違いはありますが、介護事務に関する資格試験の難易度は比較的、低めになっています。介護業界での実務経験がない人でもしっかりとした対策を講じることで資格試験に合格できるでしょう。
介護事務の参考情報
平均年収 | 250万円~400万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | 心理・福祉・リハビリ |
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