登山家の給与・年収は?登山家として収入を得るのは非常に難しい
登山家は世界最高峰の登頂を夢見て、様々な山に登り自らを鍛えます。特に高山病に罹ると言われる4000メートル以上の高山に登るのは、毎度命がけです。しかし、実際に登山家として収入を得て食べていける人は殆どいないと言われています。今回は、登山家の給与・年収をめぐる事情について紹介していきます。
登山家としての収入はほぼなく、殆どが副業収入である
日本で登山家として収入を得ている人は殆どいない
基本的には、登山家という仕事には、定期的な給料というものが存在しません。
山登りというのは本来孤独な行為であり、かつ、実益が発生する行為である「仕事」とはあまり見做されません。多様な生き方が認められ始めた現代においても、登山は仕事ではなく趣味の延長、あるいは金持ちの道楽、などと見做されていることが多いです。
特に日本では、プロの登山家というのはほとんど存在していないといっても過言ではありませんし、純粋に一人で登山をすることでお金が発生するということは現状ほぼありません。
基本的に仕事というものは、「誰かを支援してその見返りとして報酬が発生する」ものです。登山の分野でいえば、人の登山を導き支援する、登山ガイド、山岳ガイドなどは立派な「仕事」ですが、登山家と、それらのガイドとは一般的には別のものとされています。
登山家としての収入ではなく、別の仕事で食べている人が殆ど
現在世の中で「登山家」と呼ばれる人たちは、ほぼ全員がなんらかの別の仕事を持っていて、それが山に関連する分野である人もいますが、全く別の仕事を掛け持っている人もたくさんいます。
掛け持つ仕事も様々で、登山や山に直接関わるガイドやインストラクターの仕事や、登山装備を開発しているアウトドア分野の企業に勤めたりなど山に近しい企業に勤めている人や、学校の教員、フリーランス業など比較的長期休暇が取りやすい仕事をしている人が多いようです。
また、医者から登山家に転身した人、登山を趣味にしている医者など、医療機関にも登山に足を踏み入れる人が多いと聞きます。なぜかというと、社会的に見ても高収入な人が多い職業であるというのもありますが、何よりも、事故や怪我、病気のリスクが高い登山において、医者は重宝されるからです。そして、自身が人間の身体に詳しいことが、登山家として有利に働くというのも大きいです。
登山という行為には莫大なお金がかかる
ただ山を登るというだけでも沢山の装備と関連費用が必要
登山というのはお金と時間が多くかかってしまうものです。リュック、登山靴、レインウェアを始め、トレッキングパンツ、地図、コンパス、ヘッドライト、雪山登山に必要なピッケル、ロッククライミングに必要なクライミング用ロープやハーネス、カラビナなど、登山には数多の装備が必要になります。
また、海外の世界的な名峰に登る場合は、入山料、海外渡航費や生活費、現地ガイドの人件費、高額な保険など、かかる費用は山積みです。登山が俗に「金持ちの趣味」と呼ばれる所以はそうしたところにあります。
登山家が別の仕事をしてでも資金を調達するのには、こうした高額な登山費用を工面する意味合いがあります。スポンサーがつけばこうした費用は企業に支援してもらえますが、スポンサー契約には多くの場合相応の実績が必要です。実績を積むまでにも、多額の資金が必要なのです。
山を登るのに入山料がかかる場合もある
日本ではあまり一般的ではありませんが、海外の山には入山料を納めなければならないところも多くあります。
世界最高峰の標高8848mを誇るエベレストの場合、一般的なネパール側のルートからの入山料はおよそ110万円です。世界の名峰の中でも際立って高いのがエベレストで、山に入るだけでも、100万円を超える費用がかかるのです。
エベレストではその他、レンタルを含む装備費用、遠征のための交通費、生活費、現地ガイド、シェルパ(ネパールの少数民族の一つで、高所に強くエベレスト登山の際の荷物運搬などサポート全般を担当)の人件費など諸費用を足すと、登頂には1000万円以上かかるとも言われています。
南米の最高峰であるアコンカグアの入山料は住んでいる国や入山の目的(登頂なのかトレッキングなのかなど)、ハイシーズンかそうでないかで入山料が変わりますが、日本人でハイシーズンに登頂する場合、およそ8万5000円ほどと言われます。また別途登山許可証も必要で取得におよそ9万かかり、その他登山道具や交通費も含めると100万前後かかるようです。
一方で安いところもあります。東南アジアの最高峰、マレーシアはポルネオ島にある標高4095mのキナバルは、入山料は5000円ほどとかなり安く、必須のガイド代や送迎費用、航空券や宿泊費を含めても日本からでも20万円ほどで登頂が可能です。キナバルは登山道もしっかり整備されており登りやすく、高山でありながら高度な技術が必要ない山として、初の海外登山にお勧めの山として知られています。
日本最高峰の富士山の場合では、世界遺産登録を機に、平成26年より「富士山保全協力金」という形で入山料を徴収していますが、あくまでも任意であり、価格も1000円と、海外に比べるとかなり安くなっています。
日本では富士山でも任意徴収に留まっているように入山料徴収は一般的ではないので、殆どの山は入山するだけなら無料です。しかし登山費用や交通費を加味すれば、日本百名山を全制覇しようと思ったら、日本国内でも200〜300万の出費は覚悟すべきと言われています。
登山家として収入を得るにはどうすればいいのか
登山家として収入を得るにはスポンサーの確保が必須
日本では数えるほどしかいないとはいっても、プロの登山家は存在しています。著名な人でいえば、植村直己さんや、竹内洋岳さんといった人がいますが、そういった人たちは、どういった手段で日銭を稼いでいるのでしょうか。
一般的には、様々な山、特に海外の名高い山を登頂することで名前を上げ、登山家として評価されることが必須となります。そうして登山家として一定の評価を得ると、企業がスポンサーとして登山費用や用意する装備の費用などを支援してくれるようになります。
竹内洋岳さんの場合は少し特殊で、もともとスポーツ用品店の社員でしたが実績を認められ、社長の計らいで会社に籍を置きながら登山に専念できるようになりました。これは会社所属のスポーツ選手と同じように、スポンサー契約の一つの形です。
登山家として収入を得るためには、「登山家としての自分」をいかにブランディングし、企業に売り込むかが勝負です。実際に著名な登山家の多くは、山を登るために登山の計画書を作成し、企業を一軒一軒回って売り込みを行い、そうした努力を重ねて一人前の登山家に成長していった過去があります。駆け出しの登山家で、国内の山を登っているだけでは、なかなかスポンサーがつくレベルに達するのは難しいでしょう。
登るだけでも厳しい世界の高峰を制し、名前を挙げれば、企業の方から声が掛かってスポンサーを引き受けてくれることもありますが、登山以外の分野では知名度が足りず、自ら実績を売り込んでいかなければならない人が多いです。
高名な登山家には億単位の年収を得る人もいる
しかしスポンサーがついて次々と世界の有名な山を登頂していけば、飛躍的に知名度が上がり、売り込みをせずともスポンサー契約がついて、装備費用も含めた継続的な支援を受けることが可能になります。スポンサーがつけば、登山家として、登山だけで生活ができるようになります。
登山だけで生活できるほどの収入を得られる人はごくわずかと言われていますが、知名度が上がれば、講演会やセミナー、執筆活動による原稿料、自著書籍の出版による印税、テレビなどマスメディアへの出演費用、CMの契約料など多くの副収入を望むことができます。
近年では、栗城史多さんのように、インターネットから知名度に火がつき、自ら会社を立ち上げた登山家もいます。栗城史多さんはエベレスト登山の模様をインターネット上で生中継するなど「冒険の共有」を目指していたそうですが、中継にかかる通信費は1回の登山だけで1億円単位の費用が必要で、スポンサー探しに奔走したといいます。
また世界でもトップレベルの高名な登山家で、人類史上初の8000メートル峰全14座への無酸素完全登頂を成し遂げたラインホルト・メスナーさんの場合では、その偉大な実績から多くのスポンサーがつき、その年収は10億円は堅いと言われています。
登山家の給与・年収まとめ
登山家収入にはスポンサーが必須、そのために実績を積もう
登山家は、プロとして収入が望めなければ、高額な費用をかけたスポーツの趣味と変わりません。
どうしても登山家で食べて行きたいのであれば、自ら費用を調達してまずは実績を積まないといけません。そのために、就職をしたり、インストラクターをしたりと殆どの人は別の仕事を持ちながらコツコツと実績を磨いていくのです。
登山家としての収入を得る為にはスポンサーが必須で、スポンサーがつく為には実績が必須となります。スポンサーが集まるほどの実績を積むまでにも、登山家には多くの危険と莫大な費用を覚悟しなければならないでしょう。
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登山家の参考情報
平均年収 | - |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | 自然・動物 |
統計情報 出典元:
- 職種・性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
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