登山家の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説

登山家の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説

登山家は、全国でもプロでやっている人は非常に少なく、また、ベテランであってもいつ不慮の事故などで命を落とすかわからない、非常に危険な仕事です。昨今は富士山の世界遺産認定や登山ブームにより、登山家や趣味の登山が盛り上がっています。この記事では、登山家の仕事内容や、将来性についてご紹介します。

登山家とはどんな仕事?

自分と向き合い、自分に鞭打ち、高山の登頂を目指す仕事

登山家の本分であり、第一の仕事は、文字通り「山を登ること」です。日本各地、世界各地の様々な山に登って、その頂上に立つことが、登山家にとっての至上の喜びであり、仕事上の大きな実績になります。

プロ登山家はもちろん、兼業登山家の人たちも、より高みを目指して名峰を登頂することで実績を積んでいきます。体力を鍛え、登山技術を鍛える為に、国内の山を登る人たちは多いです。しかし、日本の最高峰は富士山ですから、最高でも3,776mしか登ることができません。

本当に登山技術がある、プロの登山家として真の意味で評価され始めるのは、国内にはない、海外の4,000m級を超える山を登り始めてから。海外の登山経験こそが、キャリアのスタート地点といっても過言ではありません。そして、最終的なゴールとして第一に挙げられるのが、何と言ってもヒマラヤ山脈にある、世界最高峰のエベレストです。

かつて高名な登山家ジョージ・マロリーは、「なぜエベレストに登りたいのか?」と聞かれた際、「そこにエベレストがあるからだ」と言ったとされています。日本ではしばしば誤って「なぜ山に登るのか?」「そこに山があるからだ」というやりとりで流布されていますが、若干の意味の違いがそこにはあります。

エベレスト登頂成功が登山家の仕事として、ひとつの到達点

登山家にとって、エベレストは一つの到達点であり、その意味合いはかなり特別なものとされています。エベレスト登頂に高度な登山技術が必要となるのは勿論、エベレストの山頂付近はただ立っているだけでも非常に危険な領域があるからです。まず、4,000mを超えた頃から殆どの人が高山病になります。7,000m、8,000m級になると、酸素量が地上の3分の1に減少します。

そうした危険を乗り越え、世界最高峰に立つことが登山家としての1つの最高到達点です。しかしエベレストと同等クラスの、8,000m級の山はエベレスト以外にもたくさんあります。世界最高峰ランキング14位までの山は全て8,000m級の高峰です。

10位までのうち2位のカラコルム山脈の最高峰K2以外は全てヒマラヤ山脈にありますので、エベレストに挑戦する頃には、それらの世界最高峰も視野に入れてトレーニングを積みます。エベレストにこだわり、エベレストのみを繰り返し登頂する人もいます。

しかし命を落とす危険もある中で、この難関に挑むことは仕事として成立することは少ないと言われています。特に日本では、登山家は職業としてあまり認知が進んでいないので、山を登るのが登山家の仕事ではありますが、大多数の登山家はそれで報酬をもらったり、生活が成り立ったりするのは難しいというのが現状です。

登山を仕事として成立させるには、スポンサーを確保することが重要

登山家の殆どは、山に関する別の仕事、あるいは全く分野が違う仕事をすることで、登山費用を稼いでいます。ですので、厳密な意味での「プロ登山家」は殆どいないのです。プロ登山家は、その名の通り、登山をすることがお金になる人たちのことをさします。

プロ登山家として収入を得る為には、知名度と実績をあげて企業にアプローチしてもらうか、あるいは自ら企業を回って売り込みをかけるか、いずれかによって企業とスポンサー契約を結ばないといけません。企業により登山費用や遠征費、設備費などを支えてもらうことで、更なる難関への登頂が達成できるのです。

また、知名度が上がれば、講演活動や執筆活動、自著の出版の印税、メディアへの出演料、CM契約料などで、副収入という形ではありますが、登山家としての収入を得ることができます。人によっては自ら起業し、企業として契約を取る人もいます。

しかしながら現状そうした方法で生活ができている人は全国でも数十人に満たないほどしかいません。

登山家の仕事の具体的な内容の例

竹内洋岳さん :世界8,000m級14座を日本人で初めて制覇

竹内洋岳さんは、日本人で唯一、世界の8,000m級の高峰14座(14個の山)を全て登頂したことで世界的に知られるようになった登山家です。

日本では実績を積んだ優秀な登山家よりもパフォーマンス性の高い登山家が知名度を上げるので、日本ではあまり知られていませんが、この偉業がいかに凄いかは、その達成人数が世界でたった28人しかいないことからもわかります。

竹内さんは、大学時代に初めてヒマラヤに登頂し、1995年にマカルー(8,463m)、1996年にはエベレスト(世界最高峰 8,848m)、カラコルム山脈最高峰のK2(世界第2位の標高 8,611m)と連続で登頂に成功します。2012年に世界8,000m級14座の完全制覇を達成し、これまで9座に留まっていた日本人登山家の記録を塗り替えました。そのうち11座への無酸素登頂も日本人では唯一です。

2012年に第17回「植村直己冒険賞」を受賞。2013年に文部科学大臣顕彰の「スポーツ功労者顕彰」を受賞、第15回「秩父宮記念山岳賞」を次々に受賞。14座制覇の偉業を果たした人を「14リミッター」と呼びますが、日本国内でもこれだけの賞を受賞するほどの偉業ということです。

ICI石井スポーツ社員から、会社所属のプロ登山家へ

もともと、竹内さんはICI石井スポーツというスポーツ用品を売る会社の社員でした。しかし実績をあげて行く中で、2005年のエベレスト登頂時、突如意識を失ってしまいました。原因は高山環境に身を置くことで発生しやすくなる脳梗塞で、一命は取り留めたものの、日本に帰ってからも度々脳梗塞の影響による体調不良が続き、会社からの退職を考えていました。

しかし、この時に会社社長の計らいもあって、会社に所属しながら登山に専念できるようになり、プロ登山家として再出発をしました。自分の勤務する会社をスポンサーとしたプロ登山家という、他にはあまり類を見ないキャリアの持ち主です。こうした特別なキャリア形成も、世界レベルの実績あってのことと言えるでしょう。

国を挙げて登山隊を組むのではなく、国際公募登山に応募

かつて日本では、大規模な登山隊を率いて高峰に挑むのが主流でした。例えば竹内さんがはじめてヒマラヤを登頂したときも、日本山岳隊に参加して世界第5位のマカルー(8,463m)に登頂しました。しかし、今は社会情勢の変化もあり大規模な登山隊を組むことは少なくなりました。実際に日本山岳会も98年以来20年に渡って登山隊の海外派遣を行っていません。

竹内さんは海外の交流のある登山家が所属する会社が公募する国際公募登山に挑戦します。そうして日本人として一人で国際公募登山に参加し、海外の高名な登山家と共にチームを組み、何度も8,000m級の高峰に挑むこととなりました。

竹内さんのポリシーは、なるべく酸素やシェルパ(ネパールの少数民族で高山に強く、エベレストに登る際に荷物運搬はじめ登山サポートを担当する)の力を借りずに迅速に登山を行うことです。無酸素で登頂を行うことは苦難を極める為、それ自体が実績となります。

こうしたポリシーに基づいた登山論を多く発表し、著書も書き、積極的にSNSを活用して、プロ登山家として今も活発に活動しています。

登山家の仕事のやりがい

登山経験を通して、社会に貢献する仕事

登山というのは、多くの困難を乗り越えなければならないスポーツであり、極限状況下における迅速な判断を必要とし、絶対的なリーダーシップを要求されます。高山の極限の環境では、一つの間違いがただのミスではなく、即座に死に繋がります。

こうした特質から、登山はよく会社経営に例えられます。いまの大手IT企業社長など、社会の有力者は積極的に登山を行っていると言います。社員とチームを組んで登山を行うことで、共に苦難を乗り越えて行くチームの結束を深めたり、社内に偉大な実績をあげた登山家を招聘し、経験を広く共有してもらうことで、社員の士気を高めたりもします。

登山は、本来は孤独な行為であり、山が好きな人が、自身の夢のために取り組むイメージが強いものです。しかしその絶対的な意志と、死を覚悟し命を賭して夢に挑む姿勢には、社会全体が励まされます。こうした側面においても、社員を率いて戦う経営者がシンパシーを感じるところなのでしょう。

また、エベレスト登頂など偉大な実績をあげたことによって広くメディアに取り上げられ、自分の情熱が広く社会に認められ、多くの支援を受けることができるようになった時、登山家は孤独から抜け出ます。応援してくれている人への責任を感じると同時に、大きな社会的役割を実感します。

登山の実績が認められることで、他人だけでなく、自分の活動の励みにもなります。これが大きなやりがいと、新たな夢への情熱へと繋がって行きます。

自らの登山経験を共有し、多くの人の登山をサポートする

多くの登山家は、登山ガイド、山岳ガイドなど別の仕事で生活しています。ガイドで生活を維持しながら登山費用、旅費などを貯めて、個人として国内外を問わず様々な山へ登っています。山に関わる以上、登山家としての経験を最大限活かせるのが、ガイドの仕事です。

プロ登山家でも、引退すれば山岳ガイド、登山ガイド、ロッククライミングインストラクターなどに転身する人もいますが、こうした仕事は、趣味として登山をする人々が安全に楽しく登山できるよう、経験から導いた様々なアドバイスを行い、登山を最大限にサポートします。

こうした仕事によって、登山そのものの楽しさを広く社会に伝えて行くこともまた、登山家の大きなやりがいと言えるでしょう。登山を楽しんだ人たちの中から、新たなプロ登山家が誕生する可能性もあります。

登山家の仕事内容まとめ

登山の経験は様々なことに繋がる、やりがいのある仕事

登山は体力的にも、精神的にも非常にハードです。趣味であったとしても、かなりストイックなポリシーを持って挑まなければ、簡単に命を落としてしまいます。

こうした緊張感の中での地道な努力が精神を強くし、こうした経験を広く伝えることで、登山という行為を超えた、人生訓のようなものを生み出すことができるのが、登山家の仕事です。

苦難を経て掴んだ実績が広く世に認められた時の喜びは、何にも代え難いものです。それだけではなく、登山家が新たな夢を追うことで、社会全体を奮起させることができる可能性をも秘めています。

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