司法書士の資格・試験とは?司法書士試験の概要と解説
司法書士資格試験は司法試験の次に難しいと言われている国家資格です。合格率は3%程度なので、一発で合格するためには3,000時間程度の学習が必要とされています。司法書士試験には筆記試験と口述試験がありますが、重きを置くべきは筆記試験で、憲法や民法などの問題が出題されます。本記事では、司法書士に関する資格試験などについて解説します。
司法書士の資格とは?
司法書士資格試験は司法試験に次ぐ難関試験
司法書士を目指す上で、司法書士試験に合格する必要がありますが、この資格は司法試験の次に難しいと言われている難易度の高い資格です。
司法試験といえば、検察官や弁護士、裁判官になる人が受験するものですが、それに劣らないくらいの難しい試験に合格する必要があります。
司法書士試験に出題される問題は法律関係だけでなく、普段馴染みのない専門度の高いものなので、集中力や効率のよい学習プランが求められます。
司法書士試験は昭和53年から導入されましたが、毎年平均2万人ほどが受験しています。
受験資格はなく、誰にでもチャンスがある
司法書士資格試験に受験資格はなく、だれでも受験することができます。大学生や社会人として他の仕事をしている人でも司法書士試験に挑戦できます。
また、特別な学校に通う必要もなく、人種・性別・学齢に関係なく司法書士を目指すことが可能です。
筆記試験と口述試験
司法書士試験には筆記試験と口述試験があり、筆記試験では憲法や民法、商法などの問題に加えて、商法登記法や不動産登記など、司法書士にとって必ず必要なる知識力が問われます。
口述試験は、筆記試験を合格した人のみに対して行われ、ほとんどの人が合格します。
司法書士試験、筆記試験の概要
司法書士試験には筆記試験と口述試験がありますが、筆記試験は以下の要領で実施されます。
午前の部(2時間) | 午後の部(3時間) | ||||
---|---|---|---|---|---|
択一式問題 | 択一式問題 | 記述式問題 | |||
憲法 | 3問 | 民事訴訟法 | 5問 | 不動産登記 | 1問 |
民法 | 20問 | 民事保全法 | 1問 | 商業登記 | 1問 |
刑法 | 3問 | 民事執行法 | 1問 | ||
会社法(商法) | 9問 | 司法書士法 | 1問 | ||
供託法 | 3問 | ||||
不動産登記法 | 16問 | ||||
商業登記法 | 8問 |
筆記試験は午前の部と午後の部に分かれており、択一式と記述式問題が用意されています。
それぞれの内容を詳しく解説します。
択一式問題:午前の部
午前9時半~11時半に行われる、択一式問題午前の部では、憲法や民法など計35問が出題され、各問題の配点は3点です。大学で法学部を専攻していた人であれば、在学中に学んだことを応用できると思いますが、司法書士試験ならではの問題も出題されます。
例えば、根抵当権や先取特権などは馴染みが浅い分野になるのでしっかりとした対策が必要になります。特に会社法(商法)で苦戦する人が多いようなので、憲法や刑法では間違いがないように回答しましょう。
択一式問題:午後の部
択一式問題の午後の部は記述式問題も一緒に行われます。つまり、択一式問題と記述式問題を3時間でこなす必要があり、時間配分が大きなカギになります。
特に法大生でも馴染みのない供託法や不動産登記法などにつまづいてしまうと時間が無くなってしまう可能性があります。経験者のコメントを参照すると、午後の択一問題では、スムーズ問題を解く必要があり、じっくりと記憶を遡って回答する余裕はないようです。
記述式問題
記述式問題とは、模擬の登記申請書を作る問題で、なにも書いていない状態から契約書や登記事項証明書、議事録などを参照しながら登記申請書類を完成させなければいけません。
この問題にかける時間は50~60分程度と言われており、択一式問題をどれだけスムーズに回答できるかがカギになります。事前に登記書作成の練習問題をたくさんこなし、できるだけ短時間で仕上げられるように準備する必要があります。
司法書士試験の難易度・合格率
合格率3%の超難関の国家資格
司法書士試験に挑む人の数は毎年、2万人程度と言われていますが、合格者は600~800人程度になっており、合格率は3%程度です。
司法書士と比較される行政書士の合格率は9~10%程度となっており、司法書士よりも高い割合です。これには、行政書士試験の方が出題される問題の幅が狭く、学習対策がとりやすいという背景があるようです。
司法書士は超難関の国家資格ですが、合格後は就職や独立の機会に恵まれることが多く、今後も司法書士の仕事が無くなることはないと考えられます。難しい資格ですが、挑戦するだけの価値があります。
司法書士試験の合格率が低い理由
一般的な資格試験の場合、決められた合格点をクリアすれば全員合格になる、絶対評価試験が採用されていますが、司法書士試験では相対評価試験が導入されています。
つまり、一定の合格点を超えれば自動的に合格になるのではなく、基準点を超えた受験者で相対評価を行ない、合格点が決められます。これにより、合格者の数が一定以上増えないように制限されることになり、合格率も低い水準を維持することになります。
司法書士試験に導入されている「足切り」
司法書士試験では、足切りが行われるので、午前の択一式問題と午後の択一式問題、記述式問題すべてにおいて基準点をクリアしておかなければ不合格となります。
例えば、平成30年の場合、約14,000人が受験して、午前の択一問題の基準をクリアした人は約2,800人で、午後の択一問題をクリアできた人は約3,400人ですが、両方の基準に合格した人はわずか2,100人程度です。
さらにその2,100人中から記述式問題に合格した人は1,000人程度になり、その中の上位正解者が合格とみなされます。結果として、平成30年では700人程度が合格と認定され、14,000人中700人の合格者ということになります。
口述試験試験で落ちる人は少ない
筆記試験に合格した人には口述試験が用意されています。会話形式で行われる試験で、問われたことに対して的確に回答することが求められています。
しかし、筆記試験と比較するなら難易度は非常に低く、口述試験で不合格になる人は少ないと言われています。試験官側は、受験者を落とすために口述試験を行なうのではなく、受験生のレベルを図るためにいくつかの質問をするようです。
この試験のために特別な対策を行なう必要はあまりなく、時間と労力は筆記試験につぎ込むのが得策です。
司法書士試験に合格するために必要なこと
一発合格を目指すなら3,000時間の勉強
司法書士試験に一発で合格することを目指すなら3,000時間の学習が必要だと言われています。
行政書士試験の合格を目指す場合は500~600時間、弁護士の場合は3,000~8,000時間の学習が必要とされており、これらと比較しても司法書士試験の難易度の高さが伺えます。
一発合格を目指す場合、個人差がありますが、1~3年程度が必要になるでしょう。しかし、法律系の大学を出ている人や法律資格に馴染みのある人であれば、1,400~2,000程度の学習時間で合格する人もいるようです。
試験学習をシュミレーション
それでは、司法書士試験に合格するために必要な3,000時間の学習をシュミレーションしてみましょう。もし、3年間で3,000時間を達成したいのであれば1日2時間程度、1年の期間であれば1日に8時間の学習が必要になります。
学習スタイルに関してはその人の状況によって大きく変わります。試験対策にすべての時間を割けるのか、それとも働きながら勉強時間を捻出する必要があるのかなど、自分に合った学習スタイルを確立させましょう。
資格スクールに通うのが一般的
司法書士試験に合格するためには、効率よく学習を進めていく必要があります。出題範囲も広いため、過去問対策を中心とした試験対策を行います。
もちろん、独学でも合格できる可能性がありますが、一般的には資格スクールに通う人が多いようです。独学の場合、学習の予定を守れなかったり、途中で意欲をなくしてしまうことがありますが、スクールに通うなら同じ志を持った仲間と鼓舞し合うことができますし、学校指導のカリキュラムに沿う形で学習できます。
経験のある講師から学ぶことで無駄のない学習が可能になりますし、計画していたよりも短い時間で司法書士試験に合格できる可能性もあります。
司法書士の資格取得に役立つ学校
法政大学
法律を学習できる大学として有名は法政大学には、法学部があり、司法書士だけでなく行政書士や裁判官、国家公務員を目指す人が通っています。
憲法や民法、刑法について詳しく学び、法律を理論的に理解することでプロフェッショナルな法律家を目指すことができます。
司法書士になるためには法原理を応用できる多様性が求められますが、法政大学では柔軟な思考力と教養を深めることが可能です。入学するためには高い偏差値が必要ですが、司法書士になりたいと思っているのであれば挑戦してみるといいでしょう。
東京法律専門学校
東京法律専門学校では、法律関係の職に就きたいと思っている生徒の就職を応援しています。法律に強い人材を生み出すだけでなく、親しみやすく地域に根差した専門家になれるようなカリキュラムを組んでいます。
有能な司法書士は、依頼者が抱えている法律上のトラブルを的確に判断して、解決できるようにサポートする必要がありますが、この学校では法律の知識を身に着けるだけでなく、コミュニケーション能力を高めることなどにも重きを置いています。
司法書士を目指す人だけでなく、行政書士や弁護士を目指す人もいるので、お互いに刺激し合いながら学習できます。
伊藤塾
伊藤塾は法律学習に馴染みのない人でも、一から学習できるカリキュラムを用意しており、司法書士試験に一発で合格できるようにサポートしてくれます。
この塾には司法書士入門講座というものがあり、これまでの合格実績に基づいた授業が展開されています。改正されることが多い法律の分野においても最新の試験傾向を研究した模試試験も行われ、効率よく学習することができます。
司法書士の資格・試験まとめ
司法書士試験は高難易度!しっかり試験対策を講じれば合格できる可能性あり
司法書士試験は合格率が3%台となっている超難関の国家資格です。
合格するためには3,000時間程度の学習期間が必要といわれており、大学の法学部や専門学校、スクールに通うなどの対策が必要になるでしょう。
難易度の高い資格試験ですが、効率よく学習を行うなら合格できる可能性があり、年齢制限や学歴も関係ないので、誰にでもチャンスがあります。
法律の専門家である司法書士になりたいと思っている人は、今回の情報を参考にして試験合格を目指しましょう。
司法書士の参考情報
平均年収 | 250万円~600万円 |
---|---|
必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | 国家資格 |
職業職種 | 法律・政治 |
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