漁師の資格・試験とは?小型船舶操縦士の免許や海上特殊無線技士免許は非常に役立つ
漁師になるために必要な資格や試験はありませんが、実践の場で使用する船を運転するための小型船舶操縦士の免許や、無線で連絡を取り合う時に使う海上特殊無線技士免許は取得しておくと便利です。講習を受けるのに費用は掛かりますが、難易度は易しく実用的な資格なので、漁師を目指す人は早めの取得がおすすめです。
漁師の資格とは?取得すべき資格はある?
漁師になるために資格や学歴は関係ありません。漁師として個人で漁業を営む人へ弟子入りしたり、水産企業に就職したりして漁に出ることで漁師になれます。また、家業を継ぐ形で漁師の仕事を始める人もいます。しかし船の運転免許や無線の免許など、持っていた方が役に立つ、もしくはゆくゆく必ず取る必要がある資格を紹介します。
船を操縦するために免許が必要!一級小型船舶操縦士免許は取得すべき
小型船舶操縦士の資格にはいくつか種類があります。漁師になる人は小型船舶最上位資格の一級小型船舶操縦士を取得するのがよいでしょう。種類によって操縦してよい水面の範囲や船の種類が変わってきます。一級小型船舶操縦士は総トン数20トン未満の船を運転することができます。この免許を持っていると、ヨットなどで世界一周も可能な資格です。
二型小型船舶操縦士は湖や川、湾などの陸岸に囲まれた水域、海岸から9kmまでの海域を運転することができます。沿岸や湖の釣りなど陸から近い場所で船を使う人に適しています。小型船舶操縦士の第一号限定は湖や川だけに限定された資格で、総トン数5トン未満で、エンジンも小出力のもののみなどの制限があります。湖や川を専門に釣りを行う人に適した資格です。
特殊小型船舶操縦士は水上オートバイに乗るための資格です。たとえ他の小型船舶操縦士の資格を持っていても、特殊小型船舶操縦士の資格を持っていなければ水上オートバイは操縦ができません。
水産系の学校では免許取得のサポートがあるかも。将来独立するなら必須資格
水産系の大学や専門学校では小型船舶操縦士取得のためのサポートを行ってくれるところもあります。水産企業に就職する場合、就業先や業務内容によっては船を運転する機会がないこともあるようです。しかし、将来的に独立して漁業を営むつもりであれば、必ず持っておくべき資格と言えるでしょう。
海では無線を使って情報交換、レーダーで情報収集が必要。海上特殊無線技士免許
海の上では無線で連絡を取り合い、情報交換をしたりすることがあります。現在日本では無線設備を有する総トン数20トン以上の船舶に乗船する職員は海上特殊無線技士免許が必要です。また第1級~3級があるため目的に応じた資格を取得する必要があります。
特に漁師を目指す人が取得することが多いのが、第1級か第2級です。大まかな違いとして第1級海上特殊無線技士を取得すると国際航海にて無線を操作することが可能です。国内航海のみの場合は第2級海上特殊無線技士の取得で無線を操作することができます。第3級は沿岸海域での小型漁船やプレジャーボートの無線電話のみです。
漁で役立つ、小型船舶操縦士・海上特殊無線技士資格の難易度は?
小型船舶操縦士、海上特殊無線技士免許は、両方とも合格の難易度はそれほど高くなく、易しい方です。しかし、受験したり講習を受けたりするのにそれなりの費用がかかるので、準備は必要です。また、両方とも実践で使用する重要な知識と技術です。合格率が高いからと言って高をくくって受験すると、実践の場で困ることになります。
自動車免許と少し似ている?どのようなルートで小型船舶操縦士免許が取得できるか
普通自動車運転免許を取得するために教習所に通うのと流れは似ています。小型船舶操縦士資格を取得するための一般的な受験方法は、国土交通省に登録されている小型船舶教習所でカリキュラムを履修することです。カリキュラムを修了すると視力、聴力などの身体検査を受け、クリアすれば合格となります。
小型船舶操縦士免許を取得には費用は掛かるが難易度はあまり高くない?
小型船舶教習所で免許を取得するのにかかる費用は教習所やどの級を受験するかによって変わります。
通常一番費用がかかる1級小型船舶操縦士の資格を取得するには、12~18万円ほど必要です。教習所が遠方であれば加えて交通費や宿泊費を必要とします。取得にかかる日数は1級で最短5日、2級で最短3日で取得可能です。費用と通える教習所があれば難易度は易しいと言えます。
海上特殊無線技士免許取得のためのルートは二つ、難易度は易しめ
海上特殊無線技士免許を取得するためのルートは、大まかに分けて2つあります。1つは国家試験に合格することです。筆記試験に加え実技試験もあります。最近の合格率は第1級で50%前後、第2級では80%を超えています。一つめのルートは国家試験を受験し合格することです。国家試験は筆記と実技があります。
もう一つは、総合通信局長の認定を受けた団体が実施する養成講座を修了することです。第1級を取得するには7日間、第2級を取得するには3日間養成講座を受け、修了試験を合格することで資格を取得することができます。
講座を受講することで資格を取得することができ、合格率も第1級で半数を超えていることから比較的易しい資格と言えるでしょう。ただし、無線に関して全くの初心者であったり、実践で無線を使う人が多いため、短時間でしっかりと学ぶ姿勢が必要です。
その他漁師に関連する資格や試験
漁業権は独立して漁師をするなら必須、まずは漁業組合会員になる必要がある
漁業権は漁をする権利のことです。ルールを守れば個人で釣りをする程度は問題ありませんが、漁をする場合は漁業権を得る必要があります。日本各地にある漁業協同組合に加盟し、売り上げの一部を支払うなど取り決めを守ることで、漁業権を取得することができます。
漁業協同組合員になるにも、その地域で漁業に従事した実績が認められないと組合員になれないことが多いです。また、定住して漁業を続けるつもりであることは最低条件です。そのため、家業を継ぐなど特殊な場合以外は、まずは漁業会社に就職するなどして漁船の乗組員として働くことが必要です。
バイオテクノロジーの知識・技術を証明できるバイオ技術者認定試験
バイオ技術者認定試験とは日本バイオ技術教育学会が実施している民間資格です。初級・中級・上級と3段階に分かれており、高校や大学、専門学校でバイオテクノロジー、生命科学、遺伝子工学関連の勉強をする必要があります。水産・農業・食料生産・医療・保健衛生などさまざまな分野に密接なかかわりを持ちます。
バイオ技術者は大学の研究室や製薬、民間企業の研究部門や農業試験場など一般企業から公的な研究機関で働くこともあります。漁業にも養殖や品種改良が密接にかかわっていますので、バイオテクノロジーの知識や技術があれば漁師として選択肢が広がります。
動植物も含めた、生物全体の理解を深めることができる生物分類技能検定
財団法人自然環境研究センターの認定する検定試験で4~1級まで4段階あります。生物を分類するための知識を向上させ、野生生物や自然環境の調査・保全を担う人材を育てる目的で実施されています。内容は水圏動物以外にも植物や動物も含まれていますので、幅広い知識が求められます。
海や川の魚を含めた生物や自然全体に注目して学びたい方にはおすすめです。4~2級までは受験資格は特に要りませんが、1級のみ、3年以上の実務経験が求められます。2級以上の合格は難易度が上がります。
漁師になるために役立つ資格や知識が学べる学校はあるのか?
漁師を名乗るために資格や学歴は不要です。しかし、水産の知識や魚の生態など学校で学んでおくとより理解を深めることができます。中学生のうちから漁業関係の仕事に就きたいと思っている人は水産高校に進学するのがおすすめです。高校卒業後、大学や専門学校の水産科や海洋学部で学ぶことができます。
養殖や海洋環境保全についても学ぶ、札幌科学技術専門学校 海洋生物学科
漁師として魚を獲るだけではなく、育てることを念頭に置いた授業を受けることができます。海洋ビジネスをタイムリーにとらえた学習カリキュラムが組まれているので、現代の漁業・養殖に関する知識を学べます。
他にも観賞魚の飼育管理や海洋環境の保全についても勉強できるので、漁師だけでなく漁業関連・水産関係の仕事に就きたい方にもおすすめの学科です。
インターンシップや実習が充実していて就職、就職後も役立つ体験ができる
在学中から水族館や魚介類の養殖業務、海洋調査業務などさまざまな分野の職場体験ができます。就職に有利になるほか、将来水産関連のどのような仕事に就きたいか決まっていない人には貴重な体験になります。
一級小型船舶操縦士など、技術と知識の理解を深める資格取得サポートがある
漁師になるうえで必要な一級小型船舶操縦士の免許取得を目指すことができます。漁師になってからでも取得可能ですが、早くに取得することで就職に有利になることもあります。そのほか潜水士や生物分類技能検定など、生物調査や水中の作業に欠かせない資格取得を目指せます。
漁師の資格・試験まとめ
漁師になるために資格は必要ないが、現場で役立つ資格は取得すべき
漁師になるために必要な資格や学歴はありませんが、小型船舶操縦士や海上特殊無線技士免許は早めに取得しておくことで役に立つかもしれません。また、独立して商売として漁業を行う場合は漁業権が必要です。
漁業権を得るためには漁業協同組合員になるところから始める必要があり、まずは漁師として経験を積むことが必要です。専門学校や大学で水産やバイオテクノロジーの勉強をすることで、漁師としての将来の選択肢を広げやすいです。
漁師の参考情報
平均年収 | 200万円~600万円 |
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必要資格 | 必要資格なし |
資格区分 | - |
職業職種 | 自然・動物 |
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