建築施工管理技士の資格試験には1級と2級がある!建設現場に必要な国家資格の解説
国土交通省管轄の国家資格、建築施工管理技士は、建設業に欠かせない資格で、主任技術者・監理技術者の要件として認められています。この記事では建築施工管理技士の資格は1級と2級に分かれていること、それぞれの受験に必要な実務経験や合格率などについて紹介します。
建築施工管理技士の資格とは?
建築施工管理技士は建設現場の管理者に必要な国家資格
建築施工管理技士は建設業法第27条の2に基づく国家資格で、国土交通省管轄、一般財団法人建設業振興基金が試験を実施しています。
建設工事にはいくつもの施工過程があり、その施工計画や安全・品質・工程の管理など、建設現場全体の管理を行うのが施工管理技士です。建設業の許可を得るには営業所ごとに専任の技術者を置き、建設工事現場に主任技術者・監理技術者を置かなければいけないのですが、施工管理技士はその技術者の要件に認められています。
また公共工事の入札に参加する建設業者の経営規模を数字化して計測する経営事項審査では1級建築施工管理技士は5点、2級建築施工管理技士は2点として評価されます。
建築施工管理技士資格の1級と2級の違い
建築施工管理技士の資格は1級と2級とに分けられています。1級と2級では担当することができる工事の規模が大きく異なります。
外注総額4000万円以上の建築を行う時は現場に監理技術者を置き、4000万円未満の場合は主任技術者を置くことが建設業法で決まっていますが、監理技術者になれるのは1級建築施工管理技士や1級建築士などだけで、2級建築施工管理技士がなれるのは主任技術者だけです。
さらに2級建築施工管理技士の資格は「建築」「躯体」「仕上げ」の独立した資格に分けられ、すべての分野で資格を得るにはそれぞれの試験に合格しなくてはなりません。1級建築施工管理技士は、一つの試験ですべての分野の業務に携わる資格を得ることができます。
建築施工管理技士の資格の難易度・合格率
建築施工管理技士試験の受験資格
建築施工管理技士試験には受験資格が設けられています。受験資格は実務経験が必要なのですが、必要な実務経験年数は学歴や資格によって異なります。
また、国土交通省令によって定められた学科を卒業していれば必要な実務経験年数は短縮されます。指定されている学科は以下のような学部・学科です。
実務経験年数が短縮できる学部・学科
- 衛生工学科
- 鉱山土木学科
- 造園(学)科
- 電気通信(工)学科
- 農業土木(学)科
- 機械(工学)科
- 砂防学科
- 治山学科
- 都市工学科
- 緑地(学)科
- 建築(学)科
- 森林土木(学)科
- 電気(工学)科
- 土木(工学)科
1級建築施工管理技士試験は、2級試験に合格していることが必須ではないため、受験資格を満たせばいきなり1級試験を受けることも可能です。
1級建築施工管理技士試験に必要な実務経験年数
■大学を卒業、または専門学校で4年間の教育を受け高度専門士の称号を得た人
卒業後4年6カ月以上(指定学科を卒業した場合3年以上)
■短期大学、5年制高等専門学校を卒業、または専門学校を卒業し専門士の称号を得た人
卒業後7年6カ月以上(指定学科を卒業した場合5年以上)
■高等学校、専門学校を卒業した人
卒業後11年6カ月以上(指定学科を卒業した場合10年以上)
■その他
15年以上
■2級建築施工管理技士試験に合格した人
合格後5年以上
2級建築施工管理技士試験に必要な実務経験年数
■大学を卒業、または専門学校で4年間の教育を受け高度専門士の称号を得た人
卒業後1年6カ月以上(指定学科を卒業した場合1年以上)
■短期大学、5年制高等専門学校を卒業、または専門学校を卒業し専門士の称号を得た人
卒業後3年以上(指定学科を卒業した場合2年以上)
■高等学校、専門学校を卒業した人
卒業後4年6カ月以上(指定学科を卒業した場合3年以上)
■その他
8年以上
建築施工管理技士試験の試験内容は学科試験と実地試験に分かれる
建築施工管理技士試験は学科試験・実地試験の2つに分かれています。両方の試験に合格しなければ建築施工管理技士の資格を得ることはできません。
学科試験で合格したが実地試験に不合格だった人は、その次の年だけは学科試験を省略し、実地試験から受験することができます。また、1級建築士の資格を持っている人は学科試験は免除され、最初から実地試験のみの試験となります。
1級建築施工管理技士試験の合格率は学科試験が40~50%、実地試験が40%ほど
学科試験の試験科目は建築学(環境工学、各種構造、構造力学、施工共通、躯体工事、建築材料、仕上げ工事)、施工管理法、法規です。全問マークシート方式で、全問題中60%以上正解すれば合格とされています。建設に関する幅広い分野の知識を試されるため、建設関係の試験のなかでは複雑で難しい試験です。合格率は40~50%です。
実地試験は施工管理法を問われる試験で合格ラインは60%以上と学科試験と同じで、合格率は40%ほどです。実地試験といっても実技の試験があるわけではなく自由記述式の筆記試験です。
2級建築施工管理技士試験の試験は「建築」「躯体」「仕上げ」に分かれている
2級建築施工管理技士の資格は「建築」「躯体」「仕上げ」の3つに分かれており、試験もそれぞれに分かれています。
1級試験と同じく学科試験と実地試験に分かれており、学科試験に合格することで実地試験の受験が可能になります。また、人手不足の建築業界でより多くの施工管理技士を確保するため2017年度から試験が年2回実施されるようになりました。
2級建築施工管理技士試験の合格率は学科試験が40~50%、実地試験が30~40%ほど
2級建築施工管理技士試験は学科試験の合格率が40~50%ほど、実地試験は30~40%ほどになっています。2級試験は学科試験が「建築」「躯体」「仕上げ」の3つに分かれ、実地試験で共通の問題を受ける形式になっていました。
しかしある種目で2級資格を得た後、別の種目での資格を得るために学科試験から受け直さなければいけないため、学科試験を共通にし、実地試験で専門知識のテストをする方式が現在検討されています。
建築施工管理技士の資格を取るためには
建築施工管理技士の資格を得るには建設業界で働きながら試験に向けて勉強することになります。毎年1回行われる試験に向けて、短くても半年から1年以上かけて勉強する受験者が多いです。
試験対策を行うゼミに通う
建築施工管理技士合格を目指す講座は色々なところで開かれています。講義と課題によって知識を習得し、試験対策も行えますが、定期的に通学しなければいけないことが負担になることもあります。そのため、仕事の状況を見ながら考慮する必要があります。
通信講座で勉強する
各種資格スクールでは通信講座を行っているところもあります。自分のペースでテキストを進められるのが利点であり、時間の都合がつけやすいというメリットがあります。
独学で勉強する
市販されている参考書や問題集、過去問を使って完全に独学で合格する人もいます。資格スクールに通学したり、通信講座を受けるより圧倒的にコストパフォーマンスが良い方法ですが、合格するには自己管理が必要になります。
しかし建築施工管理技士試験は絶対評価で合格が決まるということ、全点数のうち60%が合格ラインということ、多くの試験問題は過去問題をベースにして作られることを考えれば、繰り返し過去問を問いていけば独学でも合格が目指せる試験といえるでしょう。
建築施工管理技士の資格・試験まとめ
建築施工管理技士は国家資格で、建設現場に必須の存在
建築施工管理技士は国土交通省管轄の国家資格で一般財団法人建設業振興基金が試験を実施しています。建設業は営業所ごとに専任の技術者を置き、建設工事現場には主任技術者・監理技術者を置かなくてはいけないのですが、建築施工管理技士はその技術者の要件に認められています。
建築施工管理技士は1級と2級があり、2級は関われる建設工事の規模に限界があるのに対し、1級は上限がなく、大規模な建設工事の責任者になることができます。建築施工管理技士の試験を受けるためには実務経験が条件になりますが、必要な年数は学歴や卒業学科によって異なるので、自分の場合は何年必要か調べておくのが大切です。
建築施工管理技士の参考情報
平均年収 | 450万円~600万円 |
---|---|
必要資格 |
|
資格区分 | 国家資格 |
職業職種 | 建築・不動産 |
建築施工管理技士の関連記事
「フォロー」をお願いします
最新情報をお届けします