行政書士になるには?必要な資格や求められる能力について解説
行政書士になるためには資格の取得が必須ですが、そのための方法はいくつかあります。とはいえ簡単な試験ではありませんから、自分に合う資格取得方法を探し、何年も前から準備する必要があります。行政書士になるための具体的な資格取得方法と、どのような人が有利なのか、まとめています。
行政書士になるにはまず資格取得
行政書士になるためには、まず第一に行政書士試験に合格しなければなりません。行政書士試験は国家試験で、かなり難しい試験だともいわれていますが、受験資格制限はなく、誰でも受験をすることが可能です。
行政書士試験の受験料は、7,000円で、無理なく受けられる価格設定です。しかも資格は一生有効で、一度試験に合格し登録申請を行えば、再度試験を受ける必要はありません。
よく同じ職種だと間違えられることが多い司法書士よりは難易度は低いようですが、合格率は5%前後と言われています。1年以上勉強しても試験に合格できなかったという人もおり、試験合格のためにはかなりの努力が求められるようです。
行政書士の資格取得後は登録を忘れずに
行政書士の資格試験に受かったら、それだけで安心してしまいそうですが、合格後には行政書士会に登録、入会することを忘れないようにしましょう。行政書士を職業にしたいのであれば、自分の事務所が所在する都道府県の行政書士会に入会申請をして、登録する必要があります。
ここで必要になってくるのが、入会金。この金額は都道府県によって様々で一律ではないのですが、平均すると大体15万円~30万円前後となります。またそれとは別に年会費も必要で、金額は5万円~10万円前後です。
結構大きな金額ですが、行政書士会への登録、入会は行政書士として活動し続けるために必要な事ですから、必要経費と考えて念頭に置いておきましょう。
行政書士の資格を取得する方法
行政書士になるためには、まず行政書士試験に合格し資格を取得する必要がありますが、そのためにどんな方法があるのでしょうか?
自分の経歴、生活パターン、年齢によって選択肢は変わるかもしれませんが、一般的な2つの方法を紹介したいと思います。
専門のスクールに通う
行政書士の試験を受けるためにはまず勉強ですが、そのために民間の資格予備校やスクール予備校に通う人が多いようです。独学なら膨大な試験課題の中のどこから手を付けたらよいか分からなくなってしまいますが、専門のスクールに通えば効率的な勉強の仕方や、どの項目に重点をおけばいいのかなど教えてもらえます。
また疑問点が浮かんでも、すぐ講師に質問をすることができるので分からないままという心配はありません。講座内容なスクールによって異なり、さまざまな科目を組み合わせたパッケージとなっているものや、試験内容をすべて網羅する総合講座など多岐にわたります。
ですから、まずは体験授業などを受け、自分の進捗状況やスケジュール、能力、経済状況に合う講座を選択することができます。専門のスクールに通うと、同じ目標を持った仲間ができます。励ましあいながら試験勉強に取り組むことができるので、長く続く試験勉強のモチベーションを保つためにも一役買ってくれることでしょう。
独学で通信講座を利用する
定期的に専門のスクールに通うのが難しいという場合には、スクールが受講形態のひとつとして提供している通信講座を利用するという方法もあります。通信講座なら自分の好きな時間や場所で勉強できますし、スケジュール調整も容易です。社会人で働きながらでも勉強できるでしょう。
通信講座の教材も様々な種類が揃っています。テキストタイプのものもあれば、講師の授業をDVD録画したもの、インターネットでの動画配信など自分の好みに合わせて選べます。また分からない点があれば、質問受付のサポートシステムを利用できます。ある意味、家から一歩も出ずに勉強することが可能なのです。
利用している人の中には、子育て中の主婦や体力的な理由で家から出られない人などもいます。提供している通信講座によってシステムは異なり、それぞれに持ち味があるので、色々と見てから自分に合ったサポート体制を提供している通信講座を選ぶと良いでしょう。
行政書士の資格所得に有利な人
行政書士の資格取得に、学歴や年齢による受験資格は設定されていません。ですから望むのであれば誰でも受験が可能なのです。
とはいえ、仮にも国家資格ですから、そんなに簡単に受かるわけではありません。どんな人が行政書士になりやすいのか、資格取得に有利な人の特徴を紹介します。
法学部出身者
行政書士は法律に関する専門職です。もちろん法律に関するものばかりを扱うわけではありませんが、どうしても法律関係の仕事が多いので、法学部出身者の方がかなり有利になります。
行政書士の試験では、法令科目として憲法、民法、行政法、また一般知識科目として政治経済、一般常識や文章理解といった幅広い範囲から出題されます。こうした試験の勉強をするときにも、法律関連の専門用語や法律的な知識があるとかなりスムーズです。
もし早い段階で行政書士になることを決めているのであれば、法学部のある大学に進学することをおすすめします。
公認会計士の資格保持者
このパターンは正確にいうと資格所得に有利というよりも、行政書士の試験を受けずに資格を取得することができるというものです。
今すでに弁護士、弁理士、税理士、公認会計士の資格を持っている人は、試験を受けなくても日本行政書士会連合会への登録だけで行政書士としての仕事をスタートできます。
また、国・地方の公務員や特定独立行政法人の職員として17〜20年以上の行政事務経験がある人も同様です。これらの資格、経歴には行政書士資格が含まれているからです。
ただし弁護士、弁理士、税理士、公認会計士の資格は行政書士より上位資格と言われていて難しいものなので、そんな資格を持っている人がわざわざ行政書士の登録をする可能性は低いでしょう。
行政書士補助者
行政書士の資格を初めから取らなくても、行政書士の補助者として業務を行うことは可能です。
まずは補助者として働きながら、行政書士の一番近くで仕事を見て学び、働きながら勉強するという方も多いようです。実際に実務を傍で体験していますから事前に得た知識や経験も多く、行政書士の試験にも受かりやすいはずです。
行政書士になるために求められる能力
行政書士になるために特別な条件は必要ありませんが、どんな仕事でも向き不向きというものがあります。
性格や能力、今までの経験などから推測できるものです。行政書士も特殊な仕事ですから、行政書士特有の求められる能力というものがあります。
どんな能力が求められるのか、紹介します。
事務処理能力
行政書士の主な仕事内容は、特に書類作成業務です。他にもいろんな業務がありますが、パソコンに向き合っている時間が特に長いので、かなり高度な事務処理能力が求められます。集中力があり、慎重でミスが少ないタイプが向いているでしょう。
行政書士に依頼される書類には、失敗が許されないような重要なものが沢山あります。あらゆる重要認可書類があり、ちょっとした気のゆるみから誤字脱字があったとか、内容を間違えたなどの簡易的なミスは許されないのです。
必要となる書類を間違える、もしくはミスをして認可が下りなかったなんてことになれば、顧客からの信頼はガタ落ちです。このような評判はすぐに広まるため、今後の仕事にも大きく影響するでしょう。
迅速さ
行政書士に任せられる仕事には、迅速さが求められるものも多くあります。書類を提出するにあたって、顧客の要望と書類の提出期限、スケジュールに対応するために、かなりの早さが求められる仕事内容もあるからです。
認可が下りる期間なども書類の種類、提出する場所によって異なりますから、頭の中で迅速にスケジュールを組まなければなりません。機敏に反応し、柔軟なスケジュール管理ができる能力も必要かもしれません。
向上心があること
行政書士の仕事内容は実に多岐にわたります。顧客の依頼によっては、経験したことがないような業界の仕事を引き受けることもあるでしょう。そのためには事前に自分で勉強したり、情報収集することが必要です。
扱える案件が多くなればそれだけ顧客の数も増え、今度の仕事に繋がるわけですから、努力するのは当然でしょう。そのような意味でも、自分の得意分野だけに固執せず、さまざまな業界に興味を持ち挑戦する向上心が必要です。
行政書士は個人事務所で仕事するスタイルが基本ですから、仕事に対する姿勢は収入や業績に直接影響します。何事にも臆せず、向上心を持った行政書士はそれなりに経験を積めるはずです。
コミュニケーション能力
行政書士の仕事は書類作成だけと思っている方も多いですが、実はサービス業でもあるのです。
顧客あっての仕事ですから、人付き合いも欠かせません。実際に認可書類や提出書類を作成する時には、まず顧客の聞き取りや話し合いを行います。顧客が望んでいること、納期の確認、必要な情報を聞きます。
素人から筋道立てて話を聞くためには、ある程度のコミュニケーション術が必要です。中には取り留めなく話す人もいますから、その情報を頭の中で整理して、必要なものだけをピックアップすることも求められます。また、大切な情報を教えてもらうのですから、信頼関係の構築も必要不可欠です。
営業能力
行政書士のほとんどが個人事務所を持ち、自分で顧客を獲得することによって仕事を得ています。そのためには自分で営業に出向いたり、広告を出したりするなどの努力が必要です。
営業といっても飛び込みで顧客が獲得できることは稀ですから、日ごろから人付き合いを大切にし、ツテを作り、広い人脈を築いておくことが必要になるでしょう。
行政書士になる女性も増えている
行政書士などの士業系の職種は、男性が多いイメージがあります。
とはいえ最近では女性の行政書士も多くなり、個人事務所を構えている場合も少なくありません。行政書士として、もしくは行政書士補助者、事務員など様々です。中には女性の行政書士しかいない、女性専用の行政書士事務所もある程です。
特に顧客が問題を抱えた女性の場合、女性の行政書士の方が相談しやすいということで、女性の行政書士の増加傾向がみられているようです。夫婦間の問題やDV、財産分与や離婚に関する相談では感情的になることも多く、問題を抱えた女性の顧客の中には男性を過度に恐がる人も。
そうした場合、女性の方が安心して相談でき、問題を解決しやすいというメリットがあるのです。このような背景もあり、女性行政書士の活躍の場はこれからも増えていく傾向にあります。
行政書士になるには?まとめ
行政書士になるためには、何よりもまず資格が必要です。国家試験である行政書士試験を受け、それに合格し、行政書士会に入会、登録をして初めて行政書士として働くことができます。
行政書士の試験はかなり難しく、合格率は低いので受かるためには徹底的に試験勉強をしなければなりません。専門のスクールに通ったり、通信講座を活用しながら独学で学ぶ人もいます。
とはいってもやはり、行政書士は法律に関する専門職。法学部の出身や行政書士事務所で補助員として経験を積んでいる人の方が試験に受かりやすく、有利だと言えるでしょう。
大変な職種のイメージがある行政書士ですが、色々な原因で問題を抱える人や困っている人を助けることができ、大変感謝される仕事です。年々需要も上がってきていますから、これからもっと多くの行政書士が必要とされることでしょう。
行政書士の参考情報
平均年収 | 300万円~1000万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 国家資格 |
職業職種 | 法律・政治 |
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