獣医師になるには?必要資格や向いている人の特徴などを具体的に解説
動物の医師である「獣医師」になるには、獣医学部・学科がある大学で学び、国家試験を受ける必要があります。単に動物が好きだから、かわいいから、というだけでなれるわけではないのが実際のようです。今回は獣医師になるために必要なこと、スキルや資質、適性などをご紹介します。
獣医師になるには何が必要?
6年の就学後に獣医師国家試験を受験
人以外の動物の医師である「獣医師」になるには、獣医師国家試験を受けて合格し、獣医師免許を取得した上で診療するのに必要な届け出を出す必要があります。
まず、獣医師国家試験の受験資格を得るためには、獣医学部・学科がある大学を卒業しなければなりません(通常、大学の学部は4年制ですが、獣医学部・学科は6年制です)。したがって、獣医師になるには、獣医学部・学科で6年間修学することが大前提となります。
そして、6年の課程を終了したら、年に1度行なわれる獣医師国家試験を受験します。獣医師国家試験に合格したら、動物病院、動物園などに就職するか、開業します。診療を行ったり開業したりする場合は、その日から10日以内に都道府県知事に届け出が必要です。
研修医としての勉強も必要
実際に獣医師として働くためには、臨床を経験しながら知識や経験を積み重ねることが必要です。2~3年程度、研修医としての勤務経験を経て、一人前になっていく人が多いようです。
獣医師に向いている人、適性がある人
動物だけではなく人とのつながりも
獣医師は動物の医師ですから、動物と関わりたくない人は獣医師に向いていません。獣医師に向いている人としては、動物が好きなこと、動物のために働きたいと思うことが基本条件でしょう。
ただ、動物が好きであれば十分かというと、そうとも言えません。獣医師は、動物だけではなく、その動物と関わりのある人間とも接していかなければなりません。ペットや家畜であれば飼い主の意向を聞いたり、気持ちに寄り添ったりする必要がありますし、動物看護師や事務スタッフなど、一緒に働く人たちとのコミュニケーションも必要不可欠です。
時には辛い現実もある
当然ながら、動物も病気になったり死んだりします。獣医師として仕事をしていくと、中にはどうしても助けられない命と向き合わなければならないこともありますし、そのような動物の飼い主とも接しなければなりません。また、職場によっては動物実験が必要となることもあります。
獣医師を目指すなら、動物が好き、かわいい、という気持ちだけではなく、動物の命と向き合う仕事であるということを肝に銘じておくことが大切です。また、目の前の動物に感情移入しすぎず、獣医師として必要な判断をしながら仕事をしていく冷静さも必要です。
動物相手だからこその忍耐力も必要
動物とは会話ができませんので、具合が悪くてもどこがどう悪いのか説明してくれるはずもなく、獣医師が動物をしっかりと診て、判断していかなければなりません。慣れない病院に来て、動物が素直に診察台に乗ってくれるとも限りません。じっとして欲しくても暴れることもあるでしょう。人に慣れている家畜などでも、警戒心が強い動物もいます。
診察が思い通りに進まないことはしょっちゅうありますが、その度に苛立ったり、落ち着きをなくしたりしていては、仕事になりません。獣医師になるには、動物をきちんと観察し、動物が訴えたいことを察する忍耐強さ、根気が必要です。
判断力も必要
当然のことながら、獣医師は自分で動物の診断をします。治療の選択肢が多数ある場合や、判断が急がれる場合も出てくるかもしれません。中には辛い決断をしなければならないこともあるでしょう。獣医師には、常に自分で考えて、的確な判断を下すことが求められます。
時代の流れにも敏感に
動物医療の世界は進歩がめまぐるしく、次々と新しい治療方法が見つかったり、新しい治療薬が開発されたりしています。それらの新しい情報をきちんと取り入れ、必要な医療機器を導入したり、新しい治療方法を取り入れたりする判断も、獣医師が責任を持って行なわなければなりません。
新しい情報を入手し、時代の流れに柔軟に対応していくことも、獣医師に求められる適性のひとつです。
学ぶことが好きなこと
獣医師になるには、6年間の修学の後に獣医師国家試験を受験しなければなりません。当然ながら、相当量の勉強が必要ですので、それが嫌だという方は、獣医師に不向きと言えます。
しかし、獣医師国家試験に合格するだけが獣医師の勉強ではありません。獣医師として働き出した後も、進歩していく動物医療についての勉強は欠かせません。専門知識を貪欲に広め、深めようとする姿勢を持ち続けることが必要です。
獣医師になるための学校・教室
獣医学部・学科で6年修学
獣医師になるためには、獣医学部・学科がある大学で6年間修学して獣医師国家試験の受験資格を得る必要があります。
日本には獣医系の大学が以下の17大学しかありません。国立大学法人が10大学、公立大学法人が1大学、私立大学が6大学です。この17大学の募集定員の合計が1000人にも満たないため、入学試験は非常に倍率が高いのが現実です。
獣医系の国公立大学
大学名 | 学科 |
---|---|
帯広畜産大学 | 畜産学部共同獣医学課程 (北海道大学との共同教育課程) |
北海道大学 | 獣医学部共同獣医学課程 (帯広畜産大学との共同教育課程) |
岩手大学 | 農学部共同獣医学科 (東京農工大学との共同学科) |
東京農工大学 | 農学部共同獣医学科 (岩手大学との共同学科) |
東京大学 | 農学部獣医学専修 |
岐阜大学 | 応用生物科学部獣医学課程 (鳥取大学との共同学科) |
鳥取大学 | 農学部獣医学科 (岐阜大学との共同学科) |
山口大学 | 共同獣医学部 (農学部獣医学科は鹿児島大学との共同学部) |
鹿児島大学 | 共同獣医学部 (農学部獣医学科は山口大学との共同学部) |
宮崎大学 | 農学部獣医学科 |
大阪府立大学 | 生命環境科学域獣医学類 |
獣医系の私立大学
大学名 | 学科 |
---|---|
酪農学園大学 | 獣医学群獣医学類 |
北里大学 | 獣医学部獣医学科 |
麻布大学 | 獣医学部獣医学科 |
日本大学 | 生物資源科学部獣医学科 |
日本獣医生命科学大学 | 獣医学部獣医学科 |
岡山理科大学 | 獣医学部獣医学科 |
大学選びはしっかりと
上記17の大学以外でも、アニマルサイエンス、アニマルセラピー、動物看護といった学部・学科がある4年制大学などはあります。しかし、4年制の大学や短大、専門学校を卒業しても、獣医師国家試験の受験資格を得ることはできませんので注意してください。
また、17の大学の中にも、動物の臨床に力を入れている大学もあれば、研究に注力する大学もあります。希望する進路に応じてしっかりと大学を選びましょう。
一般入試以外の方法
各大学とも一般入試は狭き門ですが、それ以外に、推薦入試や地域枠がある大学もあります。編入試験を受験するという選択肢もあります。
また、北海道江別市のとわの森三愛高等学校は、酪農学園大学との高大一貫教育を行なっています。なお、2019年4月からは、学校名が「酪農学園大学附属とわの森三愛高等学校」となる予定です。
これらの選択肢が必ずしも一般入試より楽とは言い切れませんが、早くから計画的に準備をすることで、合格できる可能性が高まるでしょう。
社会人学生は厳しい
獣医学部・学科では、高度に専門的な内容を学びますし、解剖、実験といった実習を伴うカリキュラムを多くこなさなければなりません。最近は、社会人として日中、働きながら、夜に開校している大学へ通ったり、通信教育で学んだりする人も増えていますが、獣医師になるために働きながら獣医学部・学科に通うのはかなり難しいと言えます。
したがって、一度社会人になってから獣医師を目指すとしたら、ほとんどの場合は仕事を辞めて6年間の学生生活をやり直すことになります。獣医師国家試験の受験に年齢制限はありませんが、その前提となる獣医学部・学科を目指す時点でかなりの狭き門を突破しなければなりません。
また、私立大学は学費も高額で、6年間で1,000万円以上かかります。ですから、他の仕事をしている方が獣医師に転職するのは、現実的には相当厳しい道のりと言わざるを得ません。
獣医師になるには?まとめ
狭き門を突破して憧れを現実に
動物と向き合い、動物を治療する憧れの職業「獣医師」。獣医師になるには、獣医学部・学科のある大学に行かなければなりませんが、その倍率は高く、狭き門となっています。入学後も、高度な知識や専門的な実習など、学ぶことが多くあります。
また、国家試験合格後も、日々進展する動物医療の情報をきちんと収集し、新しい治療方法を取り入れていくなど、常に学び続ける姿勢が必要です。
獣医師の参考情報
平均年収 | 500万円〜800万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 免許 |
職業職種 | 自然・動物 |
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