義肢装具士の給与・年収は?初任給やボーナス、支給される手当まとめ
一般に医療職といえば、専門性の高いお仕事で、その分給与も一般的なお仕事と比べて条件が良いという印象を持っている方も多くいるでしょう。この記事では、医療関係の職であり、かつ工学系の知識と技能も求められる「義肢装具士」について、その給与・年収や採用などについて解説していきます。
義肢装具士の初任給
義肢装具士は、日本全国でもまだ5000人程度しかいないという、少数の専門家によって行われている仕事です。
それゆえに、「義肢装具士の給料」という情報に触れたことがあるという方は少数であるかもしれません。義肢装具士国家試験に合格し、実際に義肢装具士として支払われる初任給はいくらほどなのでしょうか。まずこの項目では、義肢装具士の初任給について解説します。
気になる義肢装具士の初任給は?
初任給を考えるとき、やはり地域差というものはあるもので、それは資格職である義肢装具士も例外ではありません。しかし、あくまで目安としてであればある程度の傾向は見えてきます。
厚生労働省の労働白書によれば、義肢装具士の平均の初任給は概ね15万円前後です。先に述べたように地域差があるので、都市部から離れた地域で勤務する場合には、この金額よりも少ない初任給となる場合もあるでしょう。
義肢装具士としての「初任給」の考え方
義肢装具士は資格職でありますが、それはあくまで義肢装具士として働くためには資格が必要、という意味であって、いわゆる士業のように独立することが選択肢に入るというようなものとは少し趣きが異なります。
一般的に義肢装具士は、フリーランスや独立といったことではなく、義肢装具メーカーに勤務したり、リハビリテーション施設、医療機関などに一般職員として勤務する場合が多くあります。
なお、必ずしも断言はできませんが、専門職として義肢装具メーカーで勤務する場合には、新しい義肢装具の研究や開発といった業務がメインになり、医療機関で勤務する場合にはリハビリテーション担当として勤務することになることが多いと言われており、これは給与水準にも関わってきます。
「経験」がない義肢装具士の初任給は、「どこに勤務するか」が重要
もし、義肢装具士として働く上で少しでも初任給を高くしたい、と考えている場合には、一般の新卒社会人と同様、「経験」というカードを持っていない以上、「初任給を高く設定している採用主体を選ぶ」という選択肢が重要になります。
義肢装具士としての採用は決して多くはありませんが、義肢装具士国家試験に合格するほどの学習を重ねてきた以上、それに携わる仕事に就きたいと考えている方は多いでしょう。そうなると、医療機関やメーカーが主な選択肢となってきますが、その中でより初任給の条件がよい会社、あるいは医療機関を選択する、ということになります。
義肢装具士の平均給与
義肢装具士は、義肢装具士国家試験を突破してはじめて名乗ることができる職業です。それまでの人生で義肢装具に深い関心と熱心な学習を続けてきた方々が義肢装具士となるため、生涯その仕事を続ける、という方も多くいます。
やりがいとしては充分ですが、気になるのは給与の部分です。そこでこの項目では、義肢装具士の平均給与について解説します。
義肢装具士の平均給与:年齢別
まず、義肢装具士の平均給与を年齢別に見てみます。
年代 | 平均月収 |
---|---|
20代 | 20万円 |
30代 | 30万円 |
40代 | 36万円 |
厚生労働省の労働白書を参照すると、20代の義肢装具士の平均給与は20万円前後、30代の義肢装具士の平均給与は30万円、40代の義肢装具士の平均給与は36万円となっています。
なお、これはあくまで年齢別によってのみ算定したものであり、医療機関に勤めているのか、メーカーなのか、リハビリテーション施設であるのかといった区別はなされていません。実際には、これら「就職先」によっても平均を狂わせない範囲での上下があることは間違いないでしょう。
義肢装具士は年齢を重ねてから転職も可能?
義肢装具士として勤めてきたものの、給与アップのために転職をしたい、と考える方もいるかもしれません。そのようなことが可能かというと、義肢装具士という資格は比較的転職と相性がよいといえるでしょう。というのも、義肢装具士は現在日本全国でも5000人程度と数が少なく、有資格者は歓迎されるという状況があるためです。
義肢装具について、義肢装具を使う人が今後増えるという具体的な見込みはありませんが、リハビリテーションと組み合わせると高齢化の影響もあり、介護業界などでも義肢装具士がリハビリテーションを行う機会は多くあります。
さらに、義肢装具士の有資格者であれば給与に別途資格手当などがついて、転職を行った結果給与が上がるというケースも決して少なくないでしょう。
義肢装具士の給与と日本の平均給与統計との比較
義肢装具士の平均給与と、日本全体の平均給与統計とを見比べると、年齢が上がるごとに給与が上がっていくというグラフの比例具合は同様ですが、その一方で日本の給与平均のほうが全体を通して約5万円ほど、義肢装具士の平均給与を上回っています。
したがって、義肢装具士の平均給与は日本の平均給与よりやや低めであることがわかります。ただし、それはあくまで平均の金額であるため、他の資格と組み合わせて資格手当をもらっていたり、義医師装具士に対して高い報酬設定をしているメーカーなどに勤務している場合には、平均を上回る給与を得ている方がいることも間違いありません。
義肢装具士の平均年収
義肢装具士になることを志している方にとっても、生活基盤は重要です。この場合、年収ベースとしてどれだけの給与がもらえるのかという点が重要であるわけですが、平均給与の項目では日本全体の給与平均と比較して、義肢装具士の平均給与はやや低めという結果となりました。
では、それはそのまま義肢装具士の年収に反映されているのでしょうか。この項目では、義肢装具士の年収の統計について解説していきます。
気になる義肢装具士の年収とは?
義肢装具士の平均年収は、310万円~405万円とされています。
先の項目で紹介した平均給与から大きく逸脱するような数字ではありませんが、月給に加えてボーナスの支給があるという状況がうかがえます。一般のサラリーマンと比較しても、働き方がまったく違うというようなことではないので、比較しやすい職種であるといえるでしょう。
義肢装具士はボーナスがもらえる?
義肢装具士として働いていくうえで、月の給与のほかにボーナスが支給されているかという点については、ひとえに勤務先の労働条件によるといえます。ボーナスの支給を前提として義肢装具士を採用している場合もありますし、そうでない場合もあります。
ただし、特に義肢装具メーカーなどに勤務する場合に考えなければならないのは、一般に義肢装具メーカーという企業は、いわゆる「大企業」にカテゴライズされる企業というのは少なく、就職先の選択肢としてはどうしても中小企業となることについては知っておく必要があります。
中小企業であるからボーナスが出ないというわけではありませんが、ボーナスや福利厚生の面で、一般のサラリーマンが大企業に勤めた場合と比べて、見劣りしてしまうケースがないわけではありません。
資格手当はどのように取り扱われるか
一般に、資格手当については他の業種や職種でも見られます。義肢装具士の場合の資格手当もほぼ同様の扱いで、主に月の給与の中の基本給とは別に、手当分として別途支給されるというケースが多いといえるでしょう。
ただし、これも企業によるため、基本給を算定する際に資格の有無を確認し、有資格者としての金額、つまり手当分をすでに上乗せしたうえでの給与を基準として採用している場合ももちろんあります。
いずれのケースであっても、資格を持っていることが不利に働くということは考えにくく、一般に有資格者であれば、無資格者と比べてより高い水準の給与・年収を受け取ることができる可能性が高いと考えて間違いないでしょう。
自営業としての義肢装具士
法律職などでの「士業」では、すでにある事務所に勤務する以外に、独立という選択肢があります。
では義肢装具士はどうかというと、それがないわけではありません。数的には多いわけではありませんが、自営業として義肢装具製作を請け負ったり、あるいは義肢装具を含めた福祉用具などの製作を請け負うものづくり分野での独立・起業を行っているという場合もあります。
このようなケースは「義肢装具士」というカテゴリでの年収統計には載ってこないケースであるため、厚生労働省の労働白書などでも、測りきれていない年収であるともいえます。幅広く製作を手がけている製作所などを自営業として経営していれば、より高い年収を確保しているというケースもありえるでしょう。
義肢装具士の給与・年収まとめ
傷ついた人を支える、給与では表せない喜びもある仕事
義肢装具士の給与は、採用段階では必ずしも高いとは言い切れません。しかしながら、患者さんの痛みや喪失感に寄り添い、その後の患者さんの生活や人生を少しでも良いものにしようと支える仕事でもあります。
もちろん、技能によって給与や年収の差は出てきますが、こうした仕事には、給与や年収だけでは語りきれない喜びがあります。
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義肢装具士の参考情報
平均年収 | 300万円~400万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 国家資格 |
職業職種 | 心理・福祉・リハビリ |
統計情報 出典元:
- 職種・性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
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