弁理士の給与・年収は?初任給や支給されるボーナスはどれくらい?
弁理士は合格率7%前後という非常に難易度の高い資格が必要な職業です。難関を突破したのちに得られる収入はどの程度なのでしょうか。どのような働き方があるのか、年収を上げるためには何が必要なのか、弁理士の給与・年収について紹介します。
弁理士の初任給
一般企業と大差なし
弁理士は特許・実用新案・意匠・商標などの知的財産を保護するため、特許庁へ申請・出願を代理で行う職業です。毎年30万件以上の申請・出願が行われており、中にはすでに権利が認められている特許などに類似した案件を取り扱うこともあります。
多様な案件を扱う中で、特許を認めさせるためには経験に裏打ちされた柔軟な対応が求められます。経験豊富な弁理士ほどさまざまなケースに対応できるため、難解な案件も多く扱うことができ、報酬も多く獲得することができます。
未経験の弁理士は、ベテランに比べ多くの案件を扱うことができないため、報酬は比較的低額からスタートします。大手求人サイトによれば、未経験の弁理士の募集はおおよそ月給20~25万円からのスタートが多く、難関試験の突破が求められる職業にしては少額といえるかもしれません。
それでも、以下の全産業平均初任給に比べても大きな差はなく、一般的な新人としての扱いは受けられるようです。
学歴 | 全産業平均 |
---|---|
大学院修士課程修了 | 23.9万円 |
大学卒 | 20.7万円 |
出典:厚生労働省「平成30年賃金構造基本統計調査」
弁理士の平均給与の統計
平均40万円前後
弁理士は経験を積むことにより、急激な収入増加が見込めます。実務未経験者は前述の通り20~25万円前後からスタートしますが、弁理士全体の平均的な月収はおよそ40万円前後となります。
厚生労働省が公表している「平成30年賃金構造基本統計調査」における、全産業平均月収の30.4万円と比較しても大きい金額となるため、収入面では恵まれた職業といえるでしょう。
特許事務所勤務は上がりやすい
弁理士の雇用先は、特許事務所と一般企業に分類されます。特許事務所はその名の通り特許などの申請や出願などを請け負う事務所です。
特許事務所にはさまざまな知的財産に関する案件が依頼され、案件の難易度に応じたキャリアを持った弁理士が対応します。
特許事務所に勤務する弁理士の収入は対応した案件から事務所が得た売上に比例するため、難易度が高く高額な案件を対応できれば、弁理士の収入も大きく上がることが期待できます。
企業内弁理士は資格手当あり
一般企業に勤務する弁理士は、知財部などに所属し、その企業が発明した知的財産の申請・出願を行うだけでなく、その企業が保有している知的財産の管理も業務に含まれます。
弁理士の資格を所有していることで、資格手当という形の追加報酬を得ることはできますが、給与形態は一般社員と大きく変わることはなく、金額面ではそれほど大きな収入にはならない傾向にあるようです。
弁理士の年収統計
平均700万円前後
弁理士の年収は、平均月収から類推するとおおよそ700~750万円程度となります。「平成30年賃金構造基本統計調査」で公表されている、全産業・全年齢の平均給与は491.2万円と類推されるため、年収で比較した場合も一般的には高額の報酬といえるようです。
ただし、弁理士はその試験の難易度から、20代のうちに取得できるケースは非常に少なく、弁理士として活動している人口の平均年齢は一般的な職業よりも高めになっています。
日本弁理士会が公開している「会員分布状況」によれば、2019年1月31日時点の弁理士の平均年齢は、51.0歳となっています。全産業労働者の平均年齢が42.5歳のため、弁理士は比較的高齢であることがわかります。
年齢にかかわらず初任給はおおよそ20万円台、年収にして350~400万円前後からスタートすることを考えれば、急速な収入増が見込めることがわかるでしょう。
就業形態により年収に幅
弁理士の雇用先は特許事務所と一般企業に大きく分けられますが、年収の平均はどちらも大きく変わらないと考えてよいでしょう。しかし、あくまで平均値であり、同じ年収でもその幅に差があります。
一般企業に勤務する弁理士は、他のサラリーマンと同様に年を追うごとに徐々に昇給していきます。ある程度能力や実績に応じた収入差は生まれますが、同一企業・業界内の平均から大きく離れない程度の差となります。
特許事務所に勤務する弁理士の収入は、対応する案件から得られる売上に比例して変化します。特許事務所に所属する弁理士の収入は、担当している案件の売上の30~40%といわれています。特許の出願にかかる費用は、出願から特許取得、10年間の維持まで含めておおよそ100万円、20年維持の場合は200万円前後の売上となることが多いようです。
一人で20年維持の案件を1本こなせればそれだけで60~80万円の収入になり、こなす本数が増えればさらに比例して増えていきます。事務所によっては複数人で1案件に対応することもあるため、その場合には分散されますが、その分多くの件数をこなすことができるようになるでしょう。
守備範囲を広げて収入増
増加する国際特許出願に対応
特許庁が公表している「特許庁ステータスレポート2018」によれば、2013年の特許出願件数は328,436件でしたが、2017年には318,479件と、この5年で約1万件減少しています。しかしその反面、国際特許出願件数は2013年の54,157件に対し、2017年は62,530件と大きく数を伸ばしています。
企業の海外進出に伴い、出品する対象国においても知的財産を守るため、海外における特許権の取得が増加しているようです。今後もさらに海外進出に伴う国際特許の需要は高まっていくでしょう。国際特許に関する知識と語学力を身に着けることで、収入の増加につながっていくことが期待できます。
知的財産を通じた経営コンサルティング
同じく「特許庁ステータスレポート2018」によれば、2015年から2017年の間は、特許出願数は318,500件前後を維持、その中で交際特許は60,000件から62,000件前後へ緩やかに増加しています。
ゆっくりと国内の特許出願が減少していく中で、弁理士が行える次の仕事は「いかに知的財産を活用するか」をクライアントに提示していくことでしょう。
知的財産は企業にとって非常に大きな財産です。有効に活用すれば、多くの収入につなげることができます。知的財産の活用を通じた経営のコンサルティングに進出することができれば、弁理士として他を一歩も二歩もリードした存在となれるでしょう。
年収2,000万円超も夢ではない
弁理士はある程度のキャリアを積むことで、特許事務所・企業内弁理士問わず年収1,000万円を得ることはそれほど難しいことではありません。ではそれよりさらに上を目指すには何が必要なのでしょうか。
前述の国際特許やコンサルティングといった得意分野を持つことも一つの方法ですが、独立開業をすることも、収入アップにつながる方法です。
「会員分布状況」によれば、弁理士の就業形態のトップ3は
- 特許事務所経営 23.7%
- 会社勤務 23.2%
- 特許事務所勤務 22.4%
と、弁理士にとって独立は非常に一般的な就業形態です。また事務所内の弁理士の人数も、69.6%の事務所が「1人」としており、弁理士1人で経営する形態が一般的になっています。
前述の通り特許出願1件あたり100万円を超える売上を得ることもできるため、案件をこなす数に比例して多くの収入を得ることができ、年収2,000~3,000万円も夢ではありません。
弁理士の給料・年収まとめ
年収は平均700万円前後
弁理士の年収は、おおよそ平均700万円前後です。他の平均年収の約500万円に比べ、高額の年収が期待できるでしょう。
独立後の収入は青天井
弁理士は独立して個人事務所を経営することが一般的な就業形態であり、専門分野を持つことで年収2,000万円以上も得ることが可能です。
さらに多くの年収を得るために、国際特許やコンサルティングといった得意分野を広げていくことで、さらに高額の報酬を得ることができるでしょう。
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弁理士の参考情報
平均年収 | 700万円~1000万円 |
---|---|
必要資格 |
|
資格区分 | 国家資格 |
職業職種 | 法律・政治 |
統計情報 出典元:
- 職種・性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
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