弁護士の資格試験とは?司法試験の概要と合格の秘訣

弁護士の資格試験とは?司法試験の概要と合格の秘訣

法律のプロ、弁護士として働くためには、試験に合格しなければなりません。また試験を受けるための条件も存在します。今回はこの記事で、弁護士として働くために合格しなければならない試験、司法試験の情報をご紹介します。

弁護士になるための試験、司法試験とは?

学識や応用能力を備えているかを判断する国家試験

弁護士試験は1872年から採用された司法省職務定制から4年後に発表された代言人規則によってスタートしました。現在の司法試験は平成14年法律第138号による改正後の司法試験法に基づき、法務省が定める国家試験です。

弁護士だけでなく、裁判官や検察官など法曹として働くために必ず合格しなければならない国家試験です。弁護士は基本的人権の擁護など社会正義を目指す法律の専門家です。

弁護士としてデビューできれば、法律事務所に就職して、あらゆる刑事事件や民事事件を取り扱うことができます。また最近ではスポーツ関連会社でアドバイザリー業務や、医療機関で事故防止のためのコンサルティング業務など、法律知識を生かして他分野で働く弁護士もいます。

司法試験に合格してもすぐには弁護士になれない

司法試験に合格した後でもすぐに弁護士として仕事することはできません。司法試験合格後に1年間の司法修習が行われます。

司法修習では裁判修習、検察庁修習、弁護士修習が行われます。裁判修習では、裁判所で裁判官の横や後ろに座って傍聴をしたり、事件の内容について検討したりします。検察庁修習では、起訴状を書いたり、被疑者の取調べの一部を担当したりします。弁護士修習では、法律事務所で弁護士と2か月間付きっきりで行動して、弁護士業務の全てを学びます。

1年間の修習の後、終了試験が行われます。終了試験に合格したら、やっと弁護士として名乗ることができます。

司法試験には受験資格がある

弁護士になるためには司法試験の合格が必須ですが、司法試験には受験資格があります。司法試験を受験するための資格には、法科大学院を修了するか、司法試験予備試験に合格することが必須となります。

法科大学院とは?

法科大学院とは弁護士や裁判官、検察官として働く人たちを養成するプロフェッショナルスクールです。法科大学院は2004年に設立されて、現在では全国に43か所存在します。

法科大学院には法学未修者コースと法学既修者コースがあります。法学未修者コースは憲法、刑事法、行政法、商法や民事法などの法律に関する基本的な知識から徐々に学びんでいきます。法学未修者コースは3年間が標準修業年限となっています。

法学既修者コースは法律の基本的な部分については学ばず、2年間で法律に関する奥深い知識について学んでいきます。法学既修者コースで学ぶには、法律基本科目試験での合格が必要となります。法学既修者コースで学ぶ人の多くは大学の法学部出身者です。

司法試験予備試験とは?

司法試験予備試験とは、法科大学院修了者と同じレベルの学識や応用能力、さらに法律についての基礎的な心得があるかを判定する試験です。法科大学院予備試験に合格すると、司法試験の受験資格が得られるので、法科大学院で学ぶ時間や費用など負担を減らしたい人にはおすすめの方法です。

司法試験の難易度・合格率

難易度は高め。専門書を数多く読み、知識を身につけることが重要

司法試験は、5択の中から解答を選ぶ短答式試験と、自分の言葉で分かりやすく説明する論文式試験で構成されています。

短答式試験の試験科目は、憲法、民法、刑法の3科目です。点数はそれぞれ憲法が50点満点、民法が75点満点、刑法が50点満点となっています。

論文式試験の試験科目は、憲法や行政法についての公法系科目、民法や商法および民事訴訟法についての民事系科目、刑法や刑事訴訟法についての刑事系科目、さらに選択科目の4科目です。点数はそれぞれ公法系科目が200点満点、民事系科目が300点満点、刑事系科目が200点満点、選択科目が100点満点となっています。

短答式試験と論文式試験を合わせると合計で、975点満点になります。ただし採点は、はじめに短答式試験において各科目とも満点の40%以上、総合で満点の約65.7%以上が必要になります。そして短答式試験に合格した人についてのみ論文式試験も採点されるという仕組みです。

2018年の司法試験の合格点は805点で、正答率は80%以上です。司法試験は他の試験と比較してもかなり難しく、難易度はかなり高めです。そのため、数多くの法律の基本書、判例、論文、政治学や判決例について本やインターネットを使って知識を深める必要があります。さらに司法試験の過去の問題を読み直して、どのような意図で問題が出されているかの傾向を読み取る必要があります。

司法試験

合格率 28~29%
受験資格 司法試験を受験するためには、法科大学院課程を修了、または、司法試験予備試験の合格のいずれかが必須条件である。
受験費用 28.000円
出題範囲 短答式試験については、憲法、刑法、民法の3科目の択一式試験で、論文式試験については、公法系科目 (憲法及び行政法に関する分野の科目)、民事系科目 (民法,商法及び民事訴訟法に関する分野の科目)、刑事系科目 (刑法及び刑事訴訟法に関する分野の科目)と選択科目(租税法、知的財産法、倒産法、環境法、国際関係法、経済法、労働法のうち受験者のあらかじめ選択する1科目)の記述式試験です。

司法試験予備試験も難易度は高い

司法試験予備試験は、短答式試験、論文式試験と口述試験があり、それぞれが別の日に行われる3段階試験となっています。それぞれの試験を合格すると次の試験に参加することができます。

短答式試験は、270点が満点となっており、2018年の試験では160点が合格ラインでした。論文式試験は500点が満点となっており、2018年では240点が合格ラインでした。

口述試験の場合は、民事実務、刑事実務それぞれ60点を基準点として配点し、合格ラインは119点となっています。合格率はわずか約3~4%となっており、司法試験の合格を目指すためには、まずは司法試験予備試験の合格を目指す必要があります。

司法試験予備試験に合格するためには、予備校やゼミなどを積極的に利用したり、答案練習会などに参加したりして、知識を取り入れるだけでなく、試験の実践を積むことも大切です。

司法試験予備試験

合格率 3~4%
受験資格 司法試験予備試験は学歴や年齢の制限はなく、だれでも受験することが出来ます。大学生や法科学院生、社会人の多くが受験しています。
受験費用 17.500円
出題範囲 短答式試験は短答式による筆記試験は憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法と一般教養科目から出題されます。論文式試験は憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法、一般教養科目と法律実務基礎科目から出題されます。口述式試験は法律実務基礎科目から出題されます。

司法試験の合格を目指す人へのおすすめの学校

中央大学

中央大学は、司法試験合格を目指す人のために法律学科、国際企業関係法学科、政治学科などが用意されている大学です。

法律といえば中央大学。毎年多くの合格者を輩出しているのも魅力

中央大学は、法律家を育てるための学校として100年以上の歴史があります。中央大学は毎年多くの司法試験の合格者を輩出しており人気があります。法学部は2022年に都心に新しいキャンパスを設立する予定で、学ぶ環境にも優れています。

東京法律専門学校

東京法律専門学校は、司法試験(法科大学院進学、予備試験対応)コースがあり4年間をかけて法律について基礎からじっくり学ぶことができます。またこの専門学校は、4年間継続履修することで大学卒業資格を取得することもできます。

司法試験に合格するためにじっくり学べる専門学校

東京法律専門学校は、専門学校で史上初の司法試験の現役合格者を輩出しました。法律のみならず一般教養についてもじっくり学ぶことができます。さらに論文形式の問題にも対応できるように、より実践的な知識も学ぶことができます。

弁護士の資格まとめ

弁護士になるなら司法試験の合格が絶対、合格率は低いので計画的な学習を

弁護士として働くためには、司法試験に合格することが必要条件になります。また司法試験に受験資格があり法科大学院で学ぶか、司法試験予備試験の合格が必須となります。そのため弁護士を目指すなら長期的な計画と学習が必要となります。

司法試験の合格を目指す場合には、大学や専門学校での学習や、予備校やゼミなどがおすすめです。法律に関する基本的な知識だけでなく、試験に合格するための応用知識の習得も必要になります。

弁護士の参考情報

平均年収500万円~1000万円
必要資格
  • 弁護士
  • 法曹資格
資格区分 国家資格
職業職種法律・政治

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