裁判官の給与・年収は?平均月収や支給される手当まとめ
裁判官として働いた場合、どれほどの給与・年収が支払われるのでしょうか。莫大な知識と法に基づく厳格な規律とが求められる裁判官という職業の中でも、より身近で理解しやすい部分の給与と年収について、この記事で解説します。
裁判官の給与はどのように決まる?
裁判官は公務員であり、階級があります。裁判官の給与・年収が変動する理由としては、この階級の上下によるところが大きいといえるでしょう。裁判官として任官した場合、まずは判事補という階級からスタートとなります。
この後、特例判事補、判事と階級が上がっていくことになります。また最高裁判所については若干階級が異なり、最高裁判所裁判官・最高裁判所長官といった階級に分かれます。
判事補となるには?
裁判官は法についてのプロフェッショナルとなる必要があります。あらゆる法令に精通し、現実の諸問題を裁判の場で判断することが必要となるためです。また単純な法文だけではなく過去の裁判例や歴史にも精通していることが求められます。
裁判官の判事・判事補となるためには、学生時代から法の課程に進んでいるという方が多く、大学卒業後に「法科大学院」の課程を収め、司法試験に合格する必要があります。司法試験に合格した後、今度は「司法研修所」にて研修を受け裁判所から採用されることで裁判官となることができます。
つまり大学時代、司法試験合格時から法に関する深い見識を持っており、またそれに加えて司法研修所でも実力を示し続ける必要があるということです。
給与の決まり方:号俸
裁判官は他の公務員と同様に報酬が法律で定められています。これは主に「号俸」によって計算されます。根拠となる法令は「裁判官の報酬等に関する法律」です。裁判官としてのスタートである「判事補」となった場合の号俸は「判事補12号」で、ここから年に1号俸ずつ昇給していくというイメージです。
判事補1号となった後、今度は判事8号となり、ここからまた昇給が進んでいきます。ただし判事4号以上への昇給は限られた人材のみが昇給することになります。つまるところ、裁判官になって同じ号俸での待遇であれば基本的に同業で給与に差がつくことはなく、皆同じ給与ということになります。
裁判官の給料
このように判事補12号から判事4号までは同業の間であれば同様の給料となるわけですが、判事補12号の給料は、23.14万円、判事補1号で42.07万円、判事8号で51.6万円、判事1号まで登りつめれば117.5万円という月給です。
なお問題なく勤務し続けていれば平等に昇給する判事4号まではおおむね任官から20年とされており、このときの月給はおよそ81.8万円です。年収に直すと、およそ1,300万円前後と考えられます。
最高裁判所長官の給与
最高裁判所長官は全国に一人であり、この職業は当然誰でもなれるものではありません。ただでさえ狭き門である裁判官の中でも生え抜きの人材であるといえるでしょう。最高裁判所長官は、ときの内閣が指名し、天皇から任命されるという誉れ高い職業で、この職業の給料は年収およそ3,200万円とされています。
裁判官の給与の実態
裁判官は「判事補」「判事」という給与体系に分かれており、判事補で12~1号、判事で8~1号、そして東京高等裁判所長官、その他の高等裁判所長官、最高裁判所長官というそれぞれの階級に分かれています。他の公務員と同様に、公務員である裁判官も長く勤務しているとそれだけ給与が上がるための階級が上がっていき、その分給与が変わっていきます。
判事補・判事の給与
裁判官の判事補・判事の月給は、平成28年施行の法ではそれぞれ以下のようになっています。
まずもっともはじめにある判事補12号は23.14万円、判事補11号では23.76万円、判事補10号では24.43万円、判事補9号で25.32万円、判事補8号で27.57万円、判事補7号で28.6万円、判事補6号で30.35万円、判事補5号で31.87万円、判事補4号で34.08万円、判事補3号で36.41万円、判事補2号で38.7万円、判事補1号で42.07万円です。
階級 | 月給 |
---|---|
判事補12号 | 23.14万円 |
判事補11号 | 23.76万円 |
判事補10号 | 24.43万円 |
判事補9号 | 25.32万円 |
判事補8号 | 27.57万円 |
判事補7号 | 28.6万円 |
判事補6号 | 30.35万円 |
判事補5号 | 31.87万円 |
判事補4号 | 34.08万円 |
判事補3号 | 36.41万円 |
判事補2号 | 38.7万円 |
判事補1号 | 42.07万円 |
一方で判事は次のとおりです。判事8号で51.6万円、判事7号で57.4万円、判事6号で63.4万円、判事5号で70.6万円、判事4号で81.8万円、判事3号で96.5万円、判事2号で103.5万円、判事1号で117.5万円となっています。
階級 | 月給 |
---|---|
判事8号 | 51.6万円 |
判事7号 | 57.4万円 |
判事6号 | 63.4万円 |
判事5号 | 70.6万円 |
判事4号 | 81.8万円 |
判事3号 | 96.5万円 |
判事2号 | 103.5万円 |
判事1号 | 117.5万円 |
東京高等裁判所長官、その他の高等裁判所長官の給与
一般の判事・判事補とは異なる階級にある「東京高等裁判所長官」「その他の高等裁判所長官」の給料は、判事1号のそれよりも高く設定されています。平成28年施行の法では、東京高等裁判所長官の報酬月額は140.6万円、その他の高等裁判所長官の報酬月額は130.2万円となっています。
最高裁判所長官・最高裁判所判事の給与
最高裁判所という職場では他の裁判所の判事補・判事、あるいは高等裁判所の長官とも異なる報酬体系が設けられています。最高裁判所長官の報酬月額は201万円、最高裁判所判事の報酬月額は146.6万円となっています。
最高裁判所長官の報酬はやはりその重責に見合うだけの報酬が定められています。また最高裁判所判事となる人物は下級裁判所判事のほか、弁護士、大学教授、外交官など様々な人材が選出されます。
簡易裁判所判事の給与
全国に存在する簡易裁判所の判事もまた、その他の判事補・判事の給与体系とは異なります。平成28年に施行された法律では、簡易裁判所の判事の給与は以下の通りです。
17号で23.14万円、16号で23.76万円、15号で24.43万円、14号で25.32万円、13号で27.57万円、12号で28.6万円、11号で30.35万円、10号で31.87万円、9号で34.08万円、8号で36.41万円、7号で38.7万円、6号で42.07万円、5号で43.81万円、4号で57.4万円、3号で63.4万円、2号で70.6万円、1号で81.8万円となっています。
階級 | 月給 |
---|---|
簡易裁判所判事17号 | 23.14万円 |
簡易裁判所判事16号 | 23.76万円 |
簡易裁判所判事15号 | 24.43万円 |
簡易裁判所判事14号 | 25.32万円 |
簡易裁判所判事13号 | 27.57万円 |
簡易裁判所判事12号 | 28.6万円 |
簡易裁判所判事11号 | 30.35万円 |
簡易裁判所判事10号 | 31.87万円 |
簡易裁判所判事9号 | 34.08万円 |
簡易裁判所判事8号 | 36.41万円 |
簡易裁判所判事7号 | 38.7万円 |
簡易裁判所判事6号 | 42.07万円 |
簡易裁判所判事5号 | 43.81万円 |
簡易裁判所判事4号 | 57.4万円 |
簡易裁判所判事3号 | 63.4万円 |
簡易裁判所判事2号 | 70.6万円 |
簡易裁判所判事1号 | 81.8万円 |
裁判官の賞与
裁判官・公務員に共通する制度であり、民間の企業でいうところのボーナスである「期末手当」や「勤勉手当」といった手当もまた、「裁判官に対する期末手当及び勤勉手当の支給に関する規則」によって定められて支給されます。
この期末・勤勉手当は報酬月額にそれぞれの俸級をかけてその手当の金額を算定していくという方法で決められます。もちろん実際にはより細かな算定方法がありますが、原則はこのような算定方法です。
期末・勤勉手当の計算方法
裁判官における期末・勤勉手当は報酬月額と地域手当に報酬月額の10%~20%を掛け、さらに判事では3.15、判事補は4.2を掛ける、などの方法で手当の金額が算出されます。裁判官・判事補・判事という職業の年収というものを算定するとき、号俸で定められた報酬月額に加えて地域手当その他の各種手当て、そして期末・勤勉手当を加えた金額となります。
他の法律職との比較
職務内容が同じではありませんので単純比較はできませんが、他の代表的な法律職といえば弁護士が挙げられるでしょう。弁護士は、平均年収ではおよそ1,000万前後といわれているほか、独立開業した弁護士では1,000万円を大きく越えることもあるとされます。
とはいえ同じ年齢で堅実に給料が上がっていくのは公務員である裁判官の方に分があるといえます。一方、独立開業弁護士はその年収の最高額が定まっているわけではありません。そのため、自分の努力次第では、裁判官を大きく越える年収となるケースも考えられるでしょう。
裁判官と他の職種との比較
日本の平均給与と比較して、裁判官の給与は年齢別に見ても大きく裁判官のほうが上回っています。さすがに20代の年齢では大きな差はありませんが、30代から差は大きくなっていきます。とはいえ裁判官の仕事というのは自分自身の判断、つまり裁判によって、他者の人生を一変させてしまう恐れもあります。
また大きな話題を集めるような刑事事件の審理を担当することも考えられ、その判決ひとつがその後の判例や国民社会に大きな影響を与えるということも考えられます。こうした大きな責任と重圧から考えますと、平均的な日本人の給与と比較して高めの給料となっていることにも、ある程度納得がいくというものです。
とはいえそれだけ責任とやりがいにも溢れた仕事であることから、高い給料だけが目的というわけではなく正義感や遵法精神が発揮される仕事であるとも評価できます。
裁判官の給料・年収まとめ
法を守る重責に見合う給与
裁判官は公務員の中でもとりわけ高い遵法精神が求められる職業であるといえます。そうした重責に見合うだけの報酬が法で定められております。裁判官には階級があり、基本的には階級に沿って給与が定められています。そのため同期との間で差はつきにくいですが、最高裁判所や高等裁判所の判事となると、昇給していく可能性も残されています。
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裁判官の参考情報
平均年収 | 400万円~1000万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 国家資格 |
職業職種 | 法律・政治 |
統計情報 出典元:
- 職種・性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
- 年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
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