健康運動指導士の資格・試験とは?健康運動指導士認定試験の概要と合格の秘訣
健康運動指導士が担当する仕事自体には、資格の取得などは不要です。しかし健康運動指導士の資格を取ることで、指導計画を作り、厚労省が認定する健康増進施設への就職が可能となるなど、有利となります。今回は、健康運動指導士の資格を取得する方法や、認定試験の情報をご紹介します。
健康運動指導士の資格とは?
健康運動指導士の資格の概要
健康運動指導士の資格は、国家資格ではなく民間資格です。健康運動指導士の養成、および資格は、1988年に、当時の厚生省の施策の一つとして始まりました。
当初は厚生大臣(厚生労働大臣)の認定事業でしたが、2006年以降、財団法人健康・体力づくり事業財団の独自事業になっています。資格を取得するには、財団指定の認定試験を受験し合格する必要があります。
健康運動指導士の携わる仕事とは、フィットネスクラブやスポーツジム、医療施設や福祉施設、介護施設などでの、健康増進、体力づくりなどを目的とした、適切、かつ安全な運動を指導することです。これらの仕事そのものには、健康運動指導士の資格は必須ではありません。
スポーツインストラクターや、作業療法士など、健康運動指導士の仕事に関連する他の資格も多数あります。
健康運動指導士の資格を取ると、厚労省認定施設への就職が有利に
健康運動指導士の養成が始まった1988年、旧厚生省の施策の一つとして、同時に「運動型健康増進施設認定規程」を策定し、各地のスポーツクラブやフィットネスクラブを対象とし、運動型健康運動増進施設としての大臣認定制度を開始しました。この認定も財団法人健康・体力づくり事業財団が調査法人として大臣の指名を受け実施しています。
認定対象となるのは、健康増進のための運動を安全かつ適切に実施できる施設(運動型健康増進施設)、および、健康増進のための温泉利用および運動を安全かつ適切に実施できる施設(温泉利用型健康増進施設)で、前者はスポーツクラブやフィットネスクラブ、後者は温泉施設をはじめ温水プールやスパ、健康・福祉プラザ、ふれあいセンター、連携型の温泉施設などがあります。
健康運動指導士の資格の難易度・合格率
「健康運動指導士」認定試験の概要
健康運動指導士の資格を得るためには、まずは受験資格を得る必要があります。
受験資格を得るために必要なステップとしては、「健康運動指導士養成講習会を受講する」か、あるいは、「厚生労働大臣が認定している健康運動指導士の養成施設を修了すること」が挙げられます。このどちらかの道を辿った後で、認定試験を受け、合格することで健康運動指導士の資格を得ることができます。
健康運動指導士の認定試験は、1年度ごとに合計3回の試験があります。回毎に開催地域が異なり、北海道、東京、愛知、大阪、福岡、沖縄がありますが、3回とも開催される地域は東京と大阪だけです。地域によっては年1回しか受験チャンスがないので、要項をよく読んでおきましょう。3回のうちいずれかの試験に合格すれば、資格を取得することができます。試験時間は120分、筆記試験にて行われます。
認定試験の受験資格は、養成校に進学している場合は、「養成校の養成講座を修了しかつ当養成校を卒業見込みの者」あるいは、「養成校の全講座を修了したが受験申し込みを行わなかった者で、かつ養成校卒業から4年以内の者」および「未修了で卒業してから4年以内に科目履修生等で不足単位を取得した者」に限られます。
また養成校に進学していない場合は、健康運動指導士養成講習会における所定の講座を全て修了しているか、あるいは認定試験日の1ヶ月程度前までに修了が見込まれること、および、健康運動指導士試験に不合格となり再受験を希望する者であることが条件となります。
健康運動指導士養成講習会は受験資格に応じて必要単位が変わる
健康運動指導士養成講習会についても所定の受講資格が設けられていて、誰でも受講可能なわけではありません。健康運動指導士養成講習会は、受講資格が複数あり、それぞれに所定の取得単位数に応じたコースが用意されています。
例えば、「歯科医師、看護師、准看護師、薬剤師、栄養士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、理学療法士、作業療法士、臨床検査技師のいずれかの国家資格を有している者であって、大学(修業年限4年以上)卒業者」(およびそれと同等以上の能力を有すると財団が特別に認定する者)の場合ですと、講習会の所定の単位の全カテゴリー分に当たる104単位を取得せねばなりません。
その他、「保健師または管理栄養士の資格を有している者」の場合ですと、講習会における所定の単位のうち70単位を取得すればよく、「4年制体育系大学(教育学部体育学系を含む)卒業者あるいは卒業見込み者」の場合ですと51単位、「健康運動実践指導者の称号を有する者」あるいは「日本体育協会(日本スポーツ協会)認定資格であるスポーツプログラマー、アスレチックトレーナー、フィットネストレーナーのいずれかの資格を有している者」あるいは「日本フィットネス協会認定資格であるGFIエグザミナー、GFIディレクターのいずれかの資格を有している者」の場合、40単位のみで講習を修了することができます。
なお、健康運動指導士の資格は更新制で、資格を取ってからも5年ごとに更新が必要になります。更新のたびに、所定の講習会を受講する必要があります。また、認定試験の要項をみると、健康運動指導士の資格は非喫煙者であることが望ましいとされています。
健康運動指導士認定試験の合格率は受験資格により幅がある
健康運動指導士の資格における特徴として、試験の内容は同じだが、合格率に関して、受験資格に応じて合格率が大きく異なることが挙げられます。
公益財団法人 健康・体力づくり企業財団が、公式サイトに公開している、第140回健康運動指導士認定試験結果(平成30年11月23日実施)によれば、合格率は以下のようになっています。
項目名 | 合格率 |
---|---|
講習会の104単位コースの受講者 | 100% |
講習会の70単位コースの受講者 | 91.3% |
講習会の51単位コースの受講者 | 66.7% |
講習会の40単位コースの受講者 | 72.7% |
養成校養成講座修了者 | 81.6% |
再受験者 | 56% |
講習会受講後、あるいは養成校修了の場合の総計合格率が80.3%に対し、再受験者の合格率は56%となっていて、8割を超える人が1回目の受験で突破していることがわかります。このことから、所定の講座を修了していれば、さほど難しくない試験であると言えます。再受験の場合、勉強を自分でし直さないといけないこともあって、合格率はぐっと下がります。
健康運動指導士認定試験の概要
合格率 | 受験資格により異なるが総計73%前後 |
---|---|
受験資格 |
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受験費用 |
(別途審査料2,057円が追加) |
その他の健康運動指導士関連資格
同財団が認定する健康運動実践指導者の資格
健康運動指導士を養成している健康・体力づくり事業財団が認定している関連資格として、健康運動実践指導者というものがあります。
健康運動指導士が保健医療の関係者と連携しながら、各種の運動プログラムの作成や指導計画を練ったり調整したりする立場であるのに対して、健康運動実践指導者は、健康づくりを目的に作成された運動プログラムに準じて、実際に運動指導を行う仕事です。
つまり健康運動実践指導者は現場で実際に運動指導を中心に行う技術者で、健康運動指導士は主に運動プログラムや指導計画を管理する立場にある管理者の立場ということができます。
健康運動実践指導者の受験資格は、体育系短期大学や体育専修学校もしくはこれと同等以上の学校の卒業者、3年以上運動指導に従事した経験のある者、運動指導に関連する資格を有する者、保健医療に関する資格を有する者、学校教育に関する資格を有する者、いずれか1つに当てはまれば良いので、かなり敷居は低くなっています。
なおかつ、健康運動指導士の受験資格において健康運動実践指導者の有資格者は最も少ない40単位コースを受講できるので、健康運動指導士の受験にはかなり有利となっていますので、健康運動実践指導者から健康運動指導士へのステップアップを行う人も少なくありません。
健康運動指導士の資格を取るための学校
厚生労働大臣が認定する養成校への進学が最も合理的
先に見てきた通り、健康運動指導士の資格をとるには、4年制大学の修了が必須条件となります。また厚生労働大臣が認定する養成校へ進まなかった場合、講習会の受講が必要で、最低40単位、受講資格の条件如何によっては104単位もの単位をしっかり取らないといけません。
健康運動指導士を最初から目指すならば、厚労省認定の養成校へ進んでおくと、卒業見込み時点でそのまま受験が可能で、かつ高い合格率を誇ることから、非常に有利になります。
厚生労働大臣認定の、健康運動指導士養成校は4年制大学しかありませんが、全国各地に存在します。養成校の数は平成30年4月の時点で80校を超えていますので、比較的選択肢も豊富です。
健康運動指導士に関する資格まとめ
養成校に進学して効率よく資格を取ろう
健康運動指導士の資格をとっておくと、厚生労働省認定の健康増進施設へ就職することが可能となります。健康運動指導士は国家資格ではありませんが、もともと国が進めていた事業の一環で条件となる単位数も多いので、資格があるだけでも仕事の信頼性はかなり高まるでしょう。
健康運動指導士の資格の特徴として、養成校を出る以外の選択肢が非常にややこしいことが挙げられます。資格をとるなら、養成校に進学して効率よく資格をとることが最もシンプルで手っ取り早い方法と言えます。
健康運動指導士の参考情報
平均年収 | 200万円〜400万円 |
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必要資格 |
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資格区分 | 民間資格 |
職業職種 | 心理・福祉・リハビリ |
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