言語聴覚士の仕事内容とは?やりがいや魅力について解説
言語聴覚士の仕事は、生まれつきや事故が原因で障害を持つ患者さんをサポートすることです。言語聴覚士の職場としては、医療機関のほか、保健施設、福祉施設、教育機関などがあり、様々な施設で患者さんの補助・支援業務にあたっています。本記事では、言語聴覚士の具体的な仕事内容、仕事のやりがいなどについてご紹介します。
言語聴覚士とはどんな仕事?
音声や言語、聴覚などの障害を回復向けてサポートする
言語聴覚士の主な仕事は、生まれつきや事故などが原因で「話す」「聞く」「食べる」など、さまざまな機能に障害を持つ方を回復に向けてサポートすることです。健常者とできるだけ同じような生活ができるようにリハビリや指導を行い、障害の改善や維持を目的としています。
そのような障害を持つ患者さんは子供から大人までと幅広く、人によって持っている障害が異なるもの。そのため、患者さんの障害に合ったリハビリを行いつつ機能向上に向けた指導を行うことで、自分らしく楽しい生活ができるようになるサポートを行っています。
話す・聞く・食べるという機能は、私たちが生きていく上で必要な機能です。健康であれば当たり前のことですが、障害を持つ患者さんはこのような機能が正常に働かないため、生きる楽しさや喜びを忘れてしまうことがあるようです。
患者さんに生きる楽しさ・喜びを取り戻してもらうためにも、言語聴覚士は患者さんに寄り添いながら支えてあげることが大切だといえるでしょう。
患者さんのペースに合わせてリハビリを行う
リハビリによる障害の回復は、患者さんによって異なります。順調に回復していく患者さんはどんどん次のステップへと進むことができますが、思うようにリハビリの結果が出ない患者さんにはゆっくりと今できることを行うことが大切です。
患者さん自身はきっと「早く健康な状態に戻りたい」と考えているとは思ますが、焦ってリハビリを行っても障害が回復に向かうことはありません。そのため、言語聴覚士が患者さんにしっかりと寄り添いながら患者さんのペースに合わせてサポートしてあげることが回復への近道となるでしょう。
言語聴覚士が活躍する場所は4つある
訓練やリハビリと聞くと「職場=病院」というイメージを持つ方が多いと思いますが、言語聴覚士が活動する場所は4つあります。
1つ目はみなさんが想像する医療機関のリハビリテーション科や耳鼻科などが職場となります。
2つ目は保健施設となっていて、訪問介護やデイケアセンターなどで活躍することができます。
3つ目は福祉施設となっていて、特別養護老人ホームや重症心身障害などが職場となります。
4つ目は教育機関となっていて、特別支援学級などで活躍する言語聴覚士もたくさんいます。
このように、言語聴覚士の活躍の場にはさまざまなものがあり、言語障害や聴覚障害を持つ患者さんのリハビリや指導を行っているようです。
他職種の方や患者さんとコミュニケーションを取ることも重要な仕事
言語聴覚士は他職種の方と連携を取りながら仕事を行うことも多いので、チームとして活動するためにもお互いにコミュニケーションを取ることが大切です。
患者さんに関する情報交換やリハビリの経過などを行うことで、より良いサポートを行ことができるでしょう。また、コミュニケーションは関係者だけでなく、患者さんに対しても大切なことです。
言語聴覚士と患者さんはコミュニケーションを取ることで信頼関係を築くことができます。担当する言語聴覚士を信頼できるからこそリハビリにも一生懸命に取り組むことができますし、障害に関する相談や悩みを打ち明けてくれることもあるそうです。
どんな職種でもコミュニケーション能力は求められるものですが、人との関わりの多い言語聴覚士にも必要なスキルだといえるでしょう。
言語聴覚士の具体的な仕事内容
声を出す、またはスムーズに会話をする訓練
言語障害を持つ患者さんは、声を出すことやスラスラと会話を交わすことが難しいといわれています。そのため、声帯・唇・舌の運動機能の回復を目的とした訓練を行います。
患者さんによっては日々トレーニングを続けることでそれぞれの機能が回復し、まずは声が出るようになり、スムーズな会話ができるようになるといわれています。
声を出すことや会話をすることは、人と人がコミュニケーションを取るための大切な機能なので、患者さんの障害レベルは状態にあった訓練が必要になるでしょう。
検査や補聴器を使った聴覚障害のリハビリ
聴覚障害を持つ患者さんは、人の声や音などを聞き取る機能が低下しています。そのため、聴覚検査を行ったり、補聴器を使って音を聞いたりといったリハビリを行うことで、聴覚機能の回復を目的としています。
また、補聴器でのリハビリで回復が見られない場合は、人工内耳を使ったリハビリを行うこともあります。このリハビリには手術が必要になるようですが、補聴器よりも声や音を聞くことができる可能性が高く、聴覚障害2~3級の患者さんに行われるリハビリ方法だといわれています。
口や舌の動かし方を指導しながら食事の訓練
摂食嚥下障害を持つ患者さんは、上手く食事をとることができないといわれています。そのため、口や舌を動かすトレーニングや動かし方の指導を行い、食べ物を飲み込むためのリハビリを行います。
また、食事をする際の観察や状態の把握などを行い、患者さんに合った食事の訓練を行うことで、障害の回復・改善を目的したリハビリを行う必要があるでしょう。
発達障害の子供に対して言葉や人間関係への関心を持たせる訓練
発達障害を持つ子供は、言葉の発達が遅れていたり、人間関係に無関心だったりといった障害を持っています。そのため、文字を書く・単語や文法を教えるなどを行い、年齢に合った言葉の獲得を目的としています。
また、障害を持つ子供に寄り添って会話をする訓練を行うことでコミュニケーションを身に付け、人間関係に関心を持たせるといった支援も行います。明るい未来を子供に与えるためにも、子供の目線に合わせて対応することが大切だといえるでしょう。
理解力や記憶力を向上・改善を目的とした訓練
高次脳機能障害を持つ患者さんは、人との会話が理解できなかったり、何かを覚えることができなかったりといった記憶障害の回復が必要になります。そのため、図形が描かれたカードを使う、または積み木を使うといったトレーニングを行います。
トレーニングの中で患者さんの心理や知能を検査し、状態に合わせて会話の訓練を行うことで障害の回復を目的としています。このような訓練は記憶障害で有名な認知症の進行を抑える効果もあるので、現状維持のためにも障害に悩む患者さんに積極的に取り組んでもらうことが大切だといえるでしょう。
言語聴覚士の仕事のやりがい
症状の回復によって患者さんの表情が明るくなった
言語聴覚士としてのやりがいには、症状の回復によって患者さんの表情が明るくなってくる様子を見ていると、心から嬉しく思えるという意見が多かったです。
言語聴覚士は自分が健常者でも常にさまざまな障害を持つ患者さんを見ているので、どれだけつらい思いをしているのかという患者さんの気持ちを理解しています。
そのため、症状の回復によってつらい状況を打破することができた患者さんを見ると、本当に嬉しい気持ちでいっぱいになるそうです。
リハビリを頑張る患者さんの姿
自分がサポートするリハビリを一生懸命に頑張る患者さんを見ていると、前向きに考えているんだという気持ちが伝わってくるそうです。
自分がサポートすることで人の役に立っているという実感が持てるため、言語聴覚士として大きなやりがいを感じることができるそうです。
言語聴覚士の仕事内容まとめ
患者さんの障害を回復・現状維持を目的とした訓練を行うのが主な仕事
言語聴覚士は患者さんの持つ障害に合った訓練を行い、障害の回復や現状維持を目的としたサポートを行います。しかし、障害によって行う訓練の内容は異なりますし、同じ訓練でも患者さんによってはなかなかリハビリの成果が見られないこともあります。
そのような時、一番つらい思いをしているのは患者さんです。患者さんの力になるためにも、言語聴覚士が寄り添ってリハビリをサポートし、常にコミュニケーションを取ることが大切です。
根気のいる大変な仕事ではありますが、やりがいを感じられる素晴らしい職業なので、医療関係や人の役に立つ仕事に就きたいという方は、言語聴覚士を目指してみてはいかがでしょうか。
言語聴覚士の参考情報
平均年収 | 350万円~450万円 |
---|---|
必要資格 |
|
資格区分 | 国家資格 |
職業職種 | 心理・福祉・リハビリ |
言語聴覚士の関連記事
「フォロー」をお願いします
最新情報をお届けします