弁理士になるには?必要資格や向いている人の特徴などを具体的に解説

弁理士になるには?必要資格や向いている人の特徴などを具体的に解説

知的財産を保護のため特許等の出願を代行する弁理士。多くの工業製品と法律に関する知識が求められる職業ですが、弁理士になるにはどのような方法があるのでしょうか。弁理士になるための方法について紹介します。

弁理士になるには何が必要?

弁理士の国家資格に合格すること

弁理士になるためには、年1回実施される弁理士試験に合格し、国家資格である「弁理士」を取得する必要があります。

弁理士試験は3つの段階に分けられています。

5月(1次試験) 短答式
7月(2次試験) 論文式
10月(3次試験) 口述式

それぞれの段階で合格した場合のみ、次の段階の試験に進むことができます。

指定修習機関での実務修習

弁理士試験に合格した後、弁理士としての活動を行うためには日本弁理士会に登録をすることが必要です。

その登録のためには、指定修習機関での実務修習を受ける必要があります。現在日本で認められている指定修習機関は「日本弁理士会」のみとなっています。

実務修習はe-ラーニングによる通信講座と集合講習で構成されています。毎年12月ごろからスタートし、e-ラーニング46.5時間(93単位)、集合講習27時間(54単位)を約3ヶ月で修了します。

弁理士に向いている人、適性がある人

一人で地味な作業を継続できる

弁理士は出願に関する膨大な量の書類を作成することが主な業務となる職業です。ただ書類を書くだけでなく、担当する出願内容に類似した特許が存在しないかの調査や、特許として認められるための対策を講じるといった対応が求められます。

そのため1日のほとんどを机の前で過ごすことになり、非常に地味な作業を一人でこなし続ける必要があります。一人で延々と調査や作業を行うことが苦にならないことが、弁理士として活躍できる最初の適性といえるでしょう。

新しい技術や知識への関心

年間の総出願数は年々減少傾向にあるとはいえ、現在も年間30万件をこえる出願の手続きが行われています。

特許出願の数だけ新しい技術が生まれており、その技術を知的財産として登録させるため、弁理士は常に進歩する技術や知識について学び続けることが求められます。

弁理士として活動し続ける間は、新しいことに対する情報を仕入れ、その情報を業務に生かしていくことが必須です。常にアンテナを高く張り、自分自身の知識や情報をアップデートし続けられることが弁理士として進歩するために必要な姿勢といえるでしょう。

クライアントとの信頼関係を築ける

クライアントから弁理士へ特許出願の依頼が来る時点では、出願に必要なだけの情報がそろっているとは限りません。弁理士はクライアントから受け取った情報から、出願に必要な情報を整理し、書類にまとめていくことが求められます。

細かい情報を引き出すためには、クライアントとの信頼関係を築くことが何より重要です。クライアントも大切なアイディアの特許出願を代理人として任せるために、弁理士が信頼できる相手であることを求めます。

出願書類はクライアントの依頼をきっかけにして生まれる、弁理士とクライアントの共同作品といえます。お互いの間に信頼関係を築くことが最良の作品を生むことにつながるのです。

語学力と国際感覚に優れる

近年では特許等の総出願数は減少傾向にありますが、国際特許出願は増加し続けています。国際的なビジネスを展開する企業はこれからも増加していくため、その傾向は継続するでしょう。

弁理士の仕事も国内だけでなく、海外と直接やり取りをすることが増えています。その際には外国語で書かれた書類を読んだり、反対に日本語の書類を外国語に翻訳することも求められます。

現在は英語での対応が中心ですが、今後はさらに多くの言語への対応が求められていくでしょう。海外の言語を使えること、また国際的な観点をもって業務に当たれることは弁理士として大きなメリットとして受け止められます。

論理的で細かい点を見逃さない

特許等の出願は、書類を出せば必ず登録できるとは限りません。出願内容が法律上の拒絶理由に該当すると、特許庁から「拒絶理由通知」が送付され、権利化の手続きは一度停止します。

拒絶理由通知には多くの場合、すでに公開されている特許等と比較して同様の内容と判断できるという内容が記載されています。それに対し弁理士は、どの点が既存の特許等とどのように異なっているのかを再提示するための意見書を作成することが求められます。

特許庁が指摘する同一の特許等であるという論理に対し、何がどのように異なっているか反論するためには、比較された特許や、関連した判例などを含めた多くの情報から相違点を洗い出し、論理的に説明する必要があります。

小さく細かな相違点も見逃さず、不利になることには触れない論理的な文章を作成できることが、弁理士としての最大の腕の見せ所といえるでしょう。

弁理士になるための学校・教室

理工学部系の大学出身者が8割以上

特許庁が公開している「弁理士試験統計」によれば、平成30年度の最終合格者の出身系統は82.3%が理工系で占められており、法文系は12.7%にとどまりました。

弁理士は法律を扱うことから法文系の受験者が多いイメージですが、実際には工業デザインを指す「意匠」を扱うことから、理工系の知識が生きる職業であるといえるでしょう。

有名大学出身が大半

同じく平成30年度の弁理士試験合格者の出身校を見ると、

  1. 東京大学(36名)
  2. 京都大学(29名)
  3. 大阪大学(16名)
  4. 慶應義塾大学(11名)
  5. 北海道大学(11名)
  6. 東京工芸大学(10名)
  7. 早稲田大学(9名)

と、全合格者数260名のうち上位7大学で半分近くを占め、有名大学の合格者が多いことがわかりました。

弁理士試験には受験資格がなく、誰でも受験することが可能ですが、実際には高い学力が求められており、平成30年度では短大・専門・高校卒業者による合格者はわずか2名となっています。

専門学校で集中的な学習

弁理士は弁護士や公認会計士といった難関資格に並ぶ難易度とされており、平成30年度の合格率はわずか7.2%でした。合格者の平均受験回数は3.78回であり、中には10回以上受験を続けているケースもあります。

弁理士受験者の職業はそのほとんどが一般企業や特許事務所で働いており、勉強は専門学校で集中的に行うケースが多いようです。

専門学校では1次試験の短答式、2次試験の論文式など、それぞれの試験対策を効率よく行えるだけでなく、数年ごとに変更されるといわれる法律の変化にも対応した学習ができるため、弁理士試験のための学習には必須といえるでしょう。

独学・通信教育と並行

弁理士試験に合格するためには専門学校での集中的な学習が必須ですが、それだけでは十分な学習量にならないと考えられています。

弁理士に合格するためには一般的に3,000時間の学習が必要といわれており、専門学校での学習では1年を通じてもとても十分な時間とはいえません。そのため、多くの受験者は専門学校に加え、独学や通信講座による勉強を重ねています。

弁理士試験は税理士試験のように科目合格を翌年以降に持ち越せるような形式ではないため、一度にすべての科目に合格する必要があります。十分な知識を得るためには、繰り返し長い時間をかけて学び、知識を脳裏に刻み込むことが必要なのです。

弁理士になるには?まとめ

国家資格に合格する必要がある

弁理士になるためには、国家資格である弁理士試験に合格し、さらに日本弁理士会が主催する実務修習を修了する必要があります。弁理士試験は大変な難関試験として知られており、有名大学の卒業生でも7%程度しか合格できません。

専門学校と独学・通信教育を並行

弁理士試験に合格するためには、高度な試験対策を行える専門学校に通うだけでなく、独学や通信教育で十分な量の勉強をすることが必要です。合格までには3,000時間の勉強が必要とされる弁理士試験の合格には、長い年月と努力の量が求められるのです。

弁理士の参考情報

平均年収700万円~1000万円
必要資格
  • 弁理士
資格区分 国家資格
職業職種法律・政治

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